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巡り合い

第581話

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 翌朝、いつものようにワイワイ朝食を食べていたら、突然騎士様が「あっ!」と言って食べる手を止めた。

「話の続きせずに一日経った!」

 なんのことだろうか?

「樹、覚えてない? 昨日朝食の席でネヴォラの故郷の話したの」
「えーっと?」
『涼ちゃんパンがおーしてー』
「がおーー!」
「パパ目玉焼き食べないなら食べるからなー」
「ピザトーストいいよな、城のメニューに組み込めないかなぁ」
「「はふはふ」」
「主様、ご飯食べないなら僕食べてあげる!」

 食べる手を止めた騎士様の左右からアー君と神薙さんが襲い掛かる。

「やめてー、俺の朝食!!」
「母様、クロワッサンもう一個食べたい」
「いいよすぐ出すね~」

 アカーシャはガッツリよりちょっとおしゃれなメニューがお好みです。 

「ね、こんな感じで昨日も流されちゃったの!」

 攻防に負けた騎士様が涙ながらに訴えてくる。

「人の分は美味しいな!」
「うん、分かる!」

 アー君が困った方向で神薙さんに似てきた。
 騎士様がめそめそする理由がまた一つ増えたね。

 可哀想だから話聞いてあげよう、パンをもっと出せとねだる神薙さんにはフランスパンを丸ごと一本使ったキッシュを十本ほど渡した。

「はいどうぞ」

 緑茶でも飲みながら語ってください、メニュー画面が開きっぱなし? 気にしたら負けですよ。

「俺もキッシュ食べる!」
『僕も!』
「マールス、がふがふ、ピザトースト!!」
「っは!」
「僕は紅茶にしようかな」

 このように、子供達は勝手に画面を選択して食べ放題するのである意味安心。

「なぜだろうか、里が滅びた話がとても小さく感じるのは」
「さすがに気のせいだと思います」

 さぁさぁお話の続きをどうぞ、早くしないと子供達が遊べと騒ぎだしますよ。

「迷う暇があったらさくっとどうぞ! 明日まで延期か、永遠に流されますよ!」
「重い話のはずなのに扱いが軽い」

 神薙さんがメニュー画面を連打するのを横目に騎士様が語った滅びかけた理由は、一言でいうと神薙さんが原因だった。

「エルフの霊薬を神薙さんに捧げる分用意したのが原因で怒らせたと」
「食べ放題したいからあの里残したのに、個数制限されてイラッとしたみたい。森林型ダンジョンが某樹海のような死の森になりました」

 それは攻略可能なのだろうか。

 チラッと神薙さんを見たら、子供達がメニュー画面を連打し、待ち構える神薙さんの口に次々料理が消えて行っているではありませんか。
 画面出しっぱなしは危険ですね。

 うわぁ、凄い勢いでポイントが減ってるー。
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