オタクの逆襲〜漫画キャラを召喚できる俺は最強だった!?〜

がみや

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漫画の中の救世主

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城門は、思っていたよりもあっさりと閉じた。

重い音と共に、僕と山崎さんは外の世界に放り出される。
背後では、もう二度と開かないとでも言うように門が沈黙していた。

「……本当に、追い出されたんだね」

山崎さんが小さく呟く。
僕は返事ができなかった。

城の外は、荒れた街道だった。
舗装は雑で、人通りも少ない。
遠くには町が見えるが、どこか薄暗い。

「お金は……一応あるけど」

袋の中身を確認する。
硬貨は入っている。だが、この世界でどれくらいの価値があるのか分からない。

「能力なしが二人で、異世界生活……」

自分で言っておいて、笑えなかった。

そのときだった。

「おい」

低い声が、背後から聞こえた。

振り返ると、三人組の男が立っていた。
身なりは汚れ、腰には短剣。
明らかに、善人ではない。

「城から出てきたってことは、はぐれ者だな?」
「金、持ってるだろ?」

山崎さんが、びくっと僕の後ろに隠れる。

(やばい……)

逃げ場はない。
助けも来ない。
能力も、ない。

「……渡したら、見逃してくれますか」

情けない声だった。
男たちは笑った。

「渡した後で、どうするかは気分次第だな」

一人がナイフを抜く。

(終わった……)

その瞬間、胸の奥が熱くなった。
焦りと恐怖で、無意識に指を下へ払う。

――視界に、あの空白のステータスが現れる。

だが、今回は違った。

画面が歪み、文字が流れる。
理解できる単語だけが、浮かび上がった。

【ジャンル:漫画】
【対象:キャラクター】
【召喚可能】

「……は?」

次の瞬間、地面に光が走った。

円形の紋章。
青白い光。
まるで、ページをめくるような感覚。

「な、なんだこれ!?」

男たちが後ずさる。

光の中心から、誰かが“現れた”。

黒い外套。
骨のような白い顔。
手には、大きな鎌。

その存在が一歩踏み出しただけで、空気が凍りつく。

――漫画で、何度も見た。

死を司る、あの存在。

「……え?」

山崎さんの声が震える。

次の瞬間だった。

鎌が一閃する。

音もなく、男たちは地面に崩れ落ちた。
血は出ていない。
ただ、完全に意識を失っている。

静寂。

僕は、膝が震えるのを止められなかった。

「……俺が、呼んだ?」

外套の存在が、ゆっくりこちらを見る。
赤い光が、僕を捕らえた。

そして――霧のように消えた。

光も、紋章も、すべて消える。

「た、たけしくん……今の……」

「……漫画の、キャラだ」

口から、自然と答えが出た。

理解した。

王国のステータスに表示されなかった理由。
“能力なし”と判断された理由。

(これは……この世界の枠の外だ)

空白じゃなかった。
書けなかっただけだ。

「俺……たぶん」

拳を握る。

「漫画のキャラを、召喚できる」

山崎さんは、少し間を置いてから、息を吸った。

「……それ、最強じゃない?」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かが変わった。

城。
王。
能力なしと切り捨てた連中。

(……見てろよ)

これは、偶然じゃない。
これは――

能力なしと追放された、俺の逆襲だ。
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