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理性はある内に使おう
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俺、雁宮有木の頭脳はブラック企業に勤めている。
高校生活の九割である勉学に酷使されるのは当然だが、もっと他にリソースを割いている。残業のようなもの。
「有木せえんぱい! 今日は寄り道するんですか?」
甘ったるいというか火照ったというか、思春期の男子にとって火力の高すぎる声で放った銃弾は三つ。
その一。下の名前で先輩呼び。
上下の曖昧な親密さをアピール。周囲の女子を牽制している。
その二。「今日は」
いつもの帰り道を知っていると主張。一緒に帰路につく仲の良さを匂わせている。
私は特別な女の子だと自慢することが目的か。
その三。「寄り道するんですか?」
言葉通りのわけがない。私も当然ついていくと伝えている。
ストレートには言わないのは照れ隠しか、照れ隠ししちゃう私可愛いでしょか、わかっているよね、か。
まったく。油断もスキもありゃしないぜ。
あれだぜ、俺だって思春期ど真ん中男子高校生。
こう露骨に俺のことが好きで、誘ってて、情欲を煽られたら理性は架空の存在と化す。誰かさんの辞書の「不可能」のページみたいな感じで。
俺の辞書に禁欲の文字はないんだぜひゃっはー!
――危ないあぶない。
こうなることを見越して対策してたかいがあったというもの。
後輩にして俺のことが大好きな三ノ宮みやこ。
彼女を大切にすると誓ったんだ。
俺は、絶対に結婚するまで手を出さない。
そのために頭脳をフル回転させている。
「ああ、国道沿いのパン屋に行こうと思ってたんだ。来るか?」
「え――」
上々。みやこめ、可愛いお顔とおめめが混乱でぐるぐるだぞかわいい。
かわいい、じゃなくて、狙い通りだ。
あそこにはラブホテルが多いから、今まであらゆる手段をつくして避けてきたエリアだからな。みやこと初めて一緒に寄り道したときがあのエリアで、あの時ですらアピールがすごかった。
思い返すと、いろいろと策の限りを尽くしたものだ。記憶に新しいのは、みやこの謀略にはまって、夜にあそこを歩く羽目になったことがあったな。
あの時はそう、クラスのアホな男子女子どもを貴重なバイト代で釣って、騎馬を二組用意したのだった。そう、騎馬戦のあれだ。
今見たいにぐるぐるなみやこを勢いで乗せて、「将軍のデートだ!」と声高々に宣言したのだ。みやこはとても恥ずかしそうにしていたからな。ラブホテルとかそんな雰囲気ではなかったから、大成功だ。大性交するところだったが、間一髪。いや違う。
あ、あの時の思い出がフラッシュバックしているのか。混乱じゃなくて羞恥だったか。まあいい。
「どうした? いかないか?」
「え、ううんと、いく…………イク」
なにやら不穏な囁きがあったようだが、馬鹿め。無策なわけなかろう。
無策だったら家族三、四、いや五人の幸せな生活になっとるわ。
さて、この作戦は時間が命だ。
「ほら、はやく」
戸惑うみやこの手を握り、下校を開始する。
人目なんか気にせずに「ちゅー」しようとしたり「ぎゅー」しようとするみやこは、きれいな金髪をゆらしながら大人しくついてきた。
「せんぱい……、今日は大胆なんですね」
「さすがにわかるか」
「はい……。せんぱいの好きなところに連れて行ってください」
しばらく歩くと古い遊園地のようないかがわしい建物が見えてくる。
休憩の文字列が目立つ看板に近づくにつれ、いつもだったら力づくでそこに連行しようとするはずのみやこが、ちらちらと恥ずかし気に俺を見る。
俺はにやりと笑って、言う。
「休んでいく?」
「――――――――うん」
みやこはすっかりされるがままだ。
いつもは、身長も腕力もわりとあるためか、欲望がエナジーになるのか、立場が逆なら犯罪的に見えるであろう痴話げんかじみたものを通行人諸氏にお見せするはめになるところだ。
まさに……なんだろう。獅子身中の虫?
俺はついにこの日が来たという顔でホテルに近づきながら、タイミングを見計らって驚いてみせる。
「おっと、まずい。隠れよう」
「え? なに、どうしたんですかせんぱ――」
さっと口を手でおさえ、物陰から指をさす。
そこには、同じクラスのカップルがいる。
「あらまあ」
「先客だな。ここはやめておくか」
カップルが入口に消えたところで建物を急いで通り過ぎる。
「あの人たちって有木先輩のクラスの方々ですよね!?」
みやこが目を輝かせている。
「そうだったな。まさかあの二人が付き合っていたとはオドロキダナ」
――なんてな! 彼女はな! 小学校のころから彼のことが気になっていたんだが、同じクラスにもならないし、接点も持てないしでずっと片思いだったのだ。それをばっちり見抜いた俺が、ちょっとばかし手を貸したのさ。最初で最後かもしれない、同じクラスになった今年度に。
お礼に立案した放課後デート計画を忠実に実行してもらったが。
まあ、お釣りたっぷりの取引だろう。
同じ道を目的のパン屋まで歩くと、あと二回同じような建物が現れる。
そして、あと二組のカップルがいる。
みやこめ。今日は発情させないぞ。
「あれ、前を歩いているのってもしかしてアイリちゃん?」
「ホントダネ」
「おーいアっ――!」
強く抱きすくめながら口をふさぐ。
みやこが何やら顔を真っ赤に染めて涙目になる。
「よく見るんだ。隣にいるのは生徒会長さんじゃないか?」
アイリちゃんと呼ばれるゆるふわセミロングの女の子の横に並んで歩く、長身の乙女。女子よりも乙女だとかお姉さまだとか、そんな呼称が似合うのは県内トップクラスの成績故か、辣腕を発揮した校内政治の産物か。
「キャッ!」
近寄りがたさから浮いた話の一つもなく、勇気を出した紳士諸氏への対応の塩辛いのなんの。美貌も加味してあだ名はウユニ塩湖だとか。
そんな生徒会長が、声もぎりぎり聞こえるような目の前で!
「……き、ききき、キ、キスしちゃってるよ! アイリちゃんと!!!」
「マ、ママサカ、カイチョウガ」
少し前とは少し違う顔の紅潮をお互いに見合いながらはわはわする俺たち。
――なんてな!
アイリに強引に手を出してしまった事実をたまたま見知った俺が、少しお願いしたのだよ。もっとも、強引に手を出してほしいなんて相談も前に受けていたがね。
「これは近寄れませんねえ。花びらのバリアが降り注いでいます」
先刻よりお上品な気がする建物を素通りする二人。
さりげない歩行スピードの誘導によって時間管理も問題ない。
知り合いたちの情事を想像して腰をくねらせるみやこは、辛抱たまらないという面持ちでこの通り最後のホテルに向かって俺の手を引く。
しかし! そこには!
「せんぱい、ここには誰もいないですよ?」
「なん、だと……!」
ふとスマホをのぞくとメッセージが。
『ごめんがまんできなかった☆』
畜生! あの小悪魔め。欲望に負けて今頃ベッドの上か!
「せん……ぱい?」
温もりでいっぱいになった腕が腰にまわされる。
まずい。理性が、消し飛ぶ!
ぐるぐるする頭を抱えてふと前を見るとパン屋が見える。
「まずは、あっちに行きたいんだ……」
苦し紛れの逃避、みやこは却下するかに思えたが。
「えっ――――――はい……」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして頷く。
予想外の反応だが理性はまだ溶けていない。半ば強引に歩みをすすめて、パン屋のガラス戸までたどり着く。妙にそわそわして黙っているみやこを訝しみつつも、扉を開けて、店主の奥さんらしき、みやこ似のお姉さまが「いらっしゃいませ」と言うや否や目をまんまるに。
「あらまあ、素敵な方を連れていらしてまあ」
ん? みやこはここの常連なのだろうか。
「ほらあなた! みやこの彼氏さんが来たわよ!」
お店の奥に吠える店員さんは、なんだか家族みたいな反応だ。
「なんだと! みやこ! なぜ連絡してくれなかった! 最高のパンを焼いてやると言っていただろう!」
俺たちは、距離感の近すぎるご主人と奥様に導かれ瞬く間にありえん量のパンと飲み物が用意されたテーブルへ。
「お代はいいからね! あと、機械の音で二階の物音聞こえないから! ね!!!」
「いや、さすがに、いや、えっと、どういう……?」
いつよりも真っ赤なみやこは、ホットコーヒーの紙ボトルを指さした。
ちょんと小突いて上目遣いで訴える目。
そこには、書いてあった。お店の名前が。そして、みやこの苗字が。
『三ノ宮ベーカリー』
「三ノ宮みやこさん? ここはもしかして……」
「私の実家です……。知っているのかと思っていまし……た」
みやこは、ホテルに連れていかれるのか、実家に連れていかれるのか、はたまた両方なのか、ずっとドキドキだったらしい。
――そんな話を、二階で聞いた。
――みやこの部屋がある、二階で。
高校生活の九割である勉学に酷使されるのは当然だが、もっと他にリソースを割いている。残業のようなもの。
「有木せえんぱい! 今日は寄り道するんですか?」
甘ったるいというか火照ったというか、思春期の男子にとって火力の高すぎる声で放った銃弾は三つ。
その一。下の名前で先輩呼び。
上下の曖昧な親密さをアピール。周囲の女子を牽制している。
その二。「今日は」
いつもの帰り道を知っていると主張。一緒に帰路につく仲の良さを匂わせている。
私は特別な女の子だと自慢することが目的か。
その三。「寄り道するんですか?」
言葉通りのわけがない。私も当然ついていくと伝えている。
ストレートには言わないのは照れ隠しか、照れ隠ししちゃう私可愛いでしょか、わかっているよね、か。
まったく。油断もスキもありゃしないぜ。
あれだぜ、俺だって思春期ど真ん中男子高校生。
こう露骨に俺のことが好きで、誘ってて、情欲を煽られたら理性は架空の存在と化す。誰かさんの辞書の「不可能」のページみたいな感じで。
俺の辞書に禁欲の文字はないんだぜひゃっはー!
――危ないあぶない。
こうなることを見越して対策してたかいがあったというもの。
後輩にして俺のことが大好きな三ノ宮みやこ。
彼女を大切にすると誓ったんだ。
俺は、絶対に結婚するまで手を出さない。
そのために頭脳をフル回転させている。
「ああ、国道沿いのパン屋に行こうと思ってたんだ。来るか?」
「え――」
上々。みやこめ、可愛いお顔とおめめが混乱でぐるぐるだぞかわいい。
かわいい、じゃなくて、狙い通りだ。
あそこにはラブホテルが多いから、今まであらゆる手段をつくして避けてきたエリアだからな。みやこと初めて一緒に寄り道したときがあのエリアで、あの時ですらアピールがすごかった。
思い返すと、いろいろと策の限りを尽くしたものだ。記憶に新しいのは、みやこの謀略にはまって、夜にあそこを歩く羽目になったことがあったな。
あの時はそう、クラスのアホな男子女子どもを貴重なバイト代で釣って、騎馬を二組用意したのだった。そう、騎馬戦のあれだ。
今見たいにぐるぐるなみやこを勢いで乗せて、「将軍のデートだ!」と声高々に宣言したのだ。みやこはとても恥ずかしそうにしていたからな。ラブホテルとかそんな雰囲気ではなかったから、大成功だ。大性交するところだったが、間一髪。いや違う。
あ、あの時の思い出がフラッシュバックしているのか。混乱じゃなくて羞恥だったか。まあいい。
「どうした? いかないか?」
「え、ううんと、いく…………イク」
なにやら不穏な囁きがあったようだが、馬鹿め。無策なわけなかろう。
無策だったら家族三、四、いや五人の幸せな生活になっとるわ。
さて、この作戦は時間が命だ。
「ほら、はやく」
戸惑うみやこの手を握り、下校を開始する。
人目なんか気にせずに「ちゅー」しようとしたり「ぎゅー」しようとするみやこは、きれいな金髪をゆらしながら大人しくついてきた。
「せんぱい……、今日は大胆なんですね」
「さすがにわかるか」
「はい……。せんぱいの好きなところに連れて行ってください」
しばらく歩くと古い遊園地のようないかがわしい建物が見えてくる。
休憩の文字列が目立つ看板に近づくにつれ、いつもだったら力づくでそこに連行しようとするはずのみやこが、ちらちらと恥ずかし気に俺を見る。
俺はにやりと笑って、言う。
「休んでいく?」
「――――――――うん」
みやこはすっかりされるがままだ。
いつもは、身長も腕力もわりとあるためか、欲望がエナジーになるのか、立場が逆なら犯罪的に見えるであろう痴話げんかじみたものを通行人諸氏にお見せするはめになるところだ。
まさに……なんだろう。獅子身中の虫?
俺はついにこの日が来たという顔でホテルに近づきながら、タイミングを見計らって驚いてみせる。
「おっと、まずい。隠れよう」
「え? なに、どうしたんですかせんぱ――」
さっと口を手でおさえ、物陰から指をさす。
そこには、同じクラスのカップルがいる。
「あらまあ」
「先客だな。ここはやめておくか」
カップルが入口に消えたところで建物を急いで通り過ぎる。
「あの人たちって有木先輩のクラスの方々ですよね!?」
みやこが目を輝かせている。
「そうだったな。まさかあの二人が付き合っていたとはオドロキダナ」
――なんてな! 彼女はな! 小学校のころから彼のことが気になっていたんだが、同じクラスにもならないし、接点も持てないしでずっと片思いだったのだ。それをばっちり見抜いた俺が、ちょっとばかし手を貸したのさ。最初で最後かもしれない、同じクラスになった今年度に。
お礼に立案した放課後デート計画を忠実に実行してもらったが。
まあ、お釣りたっぷりの取引だろう。
同じ道を目的のパン屋まで歩くと、あと二回同じような建物が現れる。
そして、あと二組のカップルがいる。
みやこめ。今日は発情させないぞ。
「あれ、前を歩いているのってもしかしてアイリちゃん?」
「ホントダネ」
「おーいアっ――!」
強く抱きすくめながら口をふさぐ。
みやこが何やら顔を真っ赤に染めて涙目になる。
「よく見るんだ。隣にいるのは生徒会長さんじゃないか?」
アイリちゃんと呼ばれるゆるふわセミロングの女の子の横に並んで歩く、長身の乙女。女子よりも乙女だとかお姉さまだとか、そんな呼称が似合うのは県内トップクラスの成績故か、辣腕を発揮した校内政治の産物か。
「キャッ!」
近寄りがたさから浮いた話の一つもなく、勇気を出した紳士諸氏への対応の塩辛いのなんの。美貌も加味してあだ名はウユニ塩湖だとか。
そんな生徒会長が、声もぎりぎり聞こえるような目の前で!
「……き、ききき、キ、キスしちゃってるよ! アイリちゃんと!!!」
「マ、ママサカ、カイチョウガ」
少し前とは少し違う顔の紅潮をお互いに見合いながらはわはわする俺たち。
――なんてな!
アイリに強引に手を出してしまった事実をたまたま見知った俺が、少しお願いしたのだよ。もっとも、強引に手を出してほしいなんて相談も前に受けていたがね。
「これは近寄れませんねえ。花びらのバリアが降り注いでいます」
先刻よりお上品な気がする建物を素通りする二人。
さりげない歩行スピードの誘導によって時間管理も問題ない。
知り合いたちの情事を想像して腰をくねらせるみやこは、辛抱たまらないという面持ちでこの通り最後のホテルに向かって俺の手を引く。
しかし! そこには!
「せんぱい、ここには誰もいないですよ?」
「なん、だと……!」
ふとスマホをのぞくとメッセージが。
『ごめんがまんできなかった☆』
畜生! あの小悪魔め。欲望に負けて今頃ベッドの上か!
「せん……ぱい?」
温もりでいっぱいになった腕が腰にまわされる。
まずい。理性が、消し飛ぶ!
ぐるぐるする頭を抱えてふと前を見るとパン屋が見える。
「まずは、あっちに行きたいんだ……」
苦し紛れの逃避、みやこは却下するかに思えたが。
「えっ――――――はい……」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして頷く。
予想外の反応だが理性はまだ溶けていない。半ば強引に歩みをすすめて、パン屋のガラス戸までたどり着く。妙にそわそわして黙っているみやこを訝しみつつも、扉を開けて、店主の奥さんらしき、みやこ似のお姉さまが「いらっしゃいませ」と言うや否や目をまんまるに。
「あらまあ、素敵な方を連れていらしてまあ」
ん? みやこはここの常連なのだろうか。
「ほらあなた! みやこの彼氏さんが来たわよ!」
お店の奥に吠える店員さんは、なんだか家族みたいな反応だ。
「なんだと! みやこ! なぜ連絡してくれなかった! 最高のパンを焼いてやると言っていただろう!」
俺たちは、距離感の近すぎるご主人と奥様に導かれ瞬く間にありえん量のパンと飲み物が用意されたテーブルへ。
「お代はいいからね! あと、機械の音で二階の物音聞こえないから! ね!!!」
「いや、さすがに、いや、えっと、どういう……?」
いつよりも真っ赤なみやこは、ホットコーヒーの紙ボトルを指さした。
ちょんと小突いて上目遣いで訴える目。
そこには、書いてあった。お店の名前が。そして、みやこの苗字が。
『三ノ宮ベーカリー』
「三ノ宮みやこさん? ここはもしかして……」
「私の実家です……。知っているのかと思っていまし……た」
みやこは、ホテルに連れていかれるのか、実家に連れていかれるのか、はたまた両方なのか、ずっとドキドキだったらしい。
――そんな話を、二階で聞いた。
――みやこの部屋がある、二階で。
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