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一巻番外編 家族亭の朝(一巻発売記念)
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私たちの名前はティア。数十万、数百万のスライムの集合体で、麗夜の恋人!
今日も元気に、麗夜とギンちゃん、ハクちゃんと一緒に、家族亭を盛り上げる!
朝起きると早速、皆でお店を掃除する。
「うーむ……やはり服を着ないとダメなのか?」
ギンちゃんは床を水拭きしていると、いつものようにスカートを踏んでしまう。
「服着ないとダメ。我慢して」
「裸なら洗濯も必要ないのに。人間とは面倒な生き物だ」
ギンちゃんはため息を吐きながら、スカートを叩いて埃を落とす。まだまだ洋服に慣れないみたい。テーブル拭きしながら、文句を言う姿が可愛くて笑ってしまう。
「お姉ちゃん! お母さん! お外の掃き掃除終わったよ!」
ハクちゃんが元気ハツラツでお店に戻ってくる。
「いい子いい子」
頭を撫でると、ハクちゃんの頬っぺたがゆるゆるっと緩む。
「他にお仕事ない! 何でもするよ!」
ハクちゃんの元気な返事を聞くとティアも元気になる。
「じゃあ一階のテーブル拭きお願い。ティアは二階のテーブル拭くから」
「分かった!」
ハクちゃんはスキップしながらテーブルを拭き始める。可愛らしい。
「す、すまねえ。開けてくれ」
二階に行く途中、お店のチャイムが鳴った。開けると、泥だらけの冒険者五人がぜいぜいと荒い息で立っていた。
「は、腹が減った……頼む、何でもいいから食わせてくれ」
「何が起きたの?」
話だけでも聞いて見る。
「三日ほど森の中で遭難してたんだ……冒険中にしくじっちまってな」
「遭難? そう言えば、しばらく顔見てなかったね」
五人はやつれていた。お腹が鳴ったから、とてもお腹が空いている。
「麗夜に聞いて見る。その間にこれで体と装備拭いて」
お店を汚されては堪らないので、五人分のタオルを渡す。これは麗夜が考えたサービスだ。いつも清潔に食べられると好評だ。
「やっぱりここは最高の店だ!」
五人とも、タオルを受け取っただけで笑顔になる。それを見ると、何か食べさせたいと思う。
麗夜は厨房で、難しい顔で食材を見ていた。
「どうしたの?」
「店が繁盛しすぎて食器が足りない。席も足りない。お弁当の容器も足りない」
麗夜は毎日増加するお客さんの数に頭を悩ませていた。最近の日課だ。
「でも一番の問題は、やはりメニューだ」
「メニュー? 皆、美味しいって言ってくれるよ?」
「大部分がエルフやドワーフだ。牛人にウルフマンなど、もっと多くの亜人種に受け入れられるメニューが必要だ」
「どうして?」
「すべての種族が笑顔で美味いと言う店! すべての種族が来たいと思う店! それが俺の第一目標! それを達成しないとダメだ!」
お客さんが来すぎて困っていると言いながら、たくさんのお客さんに来て欲しい。矛盾しているのに、キラキラ輝く横顔に笑ってしまう。
「ところで、何か用か?」
「お腹を空かせた冒険者が五人来た。遭難してたから何か食べさせてくれだって」
「死なれたら困る。無理やりでも口に飯を突っ込め」
麗夜はお腹を空かせた人が苦手だ。そういう人には無条件で優しくなる。
五人にサンドイッチとスープと焼いた鳥肉を持って行く。
「ありがとう! やっぱりこの店は世界一だ!」
五人はむしゃむしゃとお腹いっぱいになるまで食べる。
「遭難した時はダメかと思ったが、ここの弁当のおかげで助かったよ」
「とっても美味いお弁当を食べたら、絶対に生きてやるって元気が出たわ!」
五人はご飯を食べながらガハハと笑う。それが嬉しい。
「ティア。そろそろ店を開けるぞ」
麗夜が厨房から出てくる。ギンちゃんとハクちゃんも来る。お店の前には、たくさんのお客さんが並び始める。
コホンと咳払いする。そして、しっかりと笑顔を作って、声を張り上げる。
「家族亭開店です! 今日もいっぱい食べて!」
今日も楽しい一日が始まる。
今日も元気に、麗夜とギンちゃん、ハクちゃんと一緒に、家族亭を盛り上げる!
朝起きると早速、皆でお店を掃除する。
「うーむ……やはり服を着ないとダメなのか?」
ギンちゃんは床を水拭きしていると、いつものようにスカートを踏んでしまう。
「服着ないとダメ。我慢して」
「裸なら洗濯も必要ないのに。人間とは面倒な生き物だ」
ギンちゃんはため息を吐きながら、スカートを叩いて埃を落とす。まだまだ洋服に慣れないみたい。テーブル拭きしながら、文句を言う姿が可愛くて笑ってしまう。
「お姉ちゃん! お母さん! お外の掃き掃除終わったよ!」
ハクちゃんが元気ハツラツでお店に戻ってくる。
「いい子いい子」
頭を撫でると、ハクちゃんの頬っぺたがゆるゆるっと緩む。
「他にお仕事ない! 何でもするよ!」
ハクちゃんの元気な返事を聞くとティアも元気になる。
「じゃあ一階のテーブル拭きお願い。ティアは二階のテーブル拭くから」
「分かった!」
ハクちゃんはスキップしながらテーブルを拭き始める。可愛らしい。
「す、すまねえ。開けてくれ」
二階に行く途中、お店のチャイムが鳴った。開けると、泥だらけの冒険者五人がぜいぜいと荒い息で立っていた。
「は、腹が減った……頼む、何でもいいから食わせてくれ」
「何が起きたの?」
話だけでも聞いて見る。
「三日ほど森の中で遭難してたんだ……冒険中にしくじっちまってな」
「遭難? そう言えば、しばらく顔見てなかったね」
五人はやつれていた。お腹が鳴ったから、とてもお腹が空いている。
「麗夜に聞いて見る。その間にこれで体と装備拭いて」
お店を汚されては堪らないので、五人分のタオルを渡す。これは麗夜が考えたサービスだ。いつも清潔に食べられると好評だ。
「やっぱりここは最高の店だ!」
五人とも、タオルを受け取っただけで笑顔になる。それを見ると、何か食べさせたいと思う。
麗夜は厨房で、難しい顔で食材を見ていた。
「どうしたの?」
「店が繁盛しすぎて食器が足りない。席も足りない。お弁当の容器も足りない」
麗夜は毎日増加するお客さんの数に頭を悩ませていた。最近の日課だ。
「でも一番の問題は、やはりメニューだ」
「メニュー? 皆、美味しいって言ってくれるよ?」
「大部分がエルフやドワーフだ。牛人にウルフマンなど、もっと多くの亜人種に受け入れられるメニューが必要だ」
「どうして?」
「すべての種族が笑顔で美味いと言う店! すべての種族が来たいと思う店! それが俺の第一目標! それを達成しないとダメだ!」
お客さんが来すぎて困っていると言いながら、たくさんのお客さんに来て欲しい。矛盾しているのに、キラキラ輝く横顔に笑ってしまう。
「ところで、何か用か?」
「お腹を空かせた冒険者が五人来た。遭難してたから何か食べさせてくれだって」
「死なれたら困る。無理やりでも口に飯を突っ込め」
麗夜はお腹を空かせた人が苦手だ。そういう人には無条件で優しくなる。
五人にサンドイッチとスープと焼いた鳥肉を持って行く。
「ありがとう! やっぱりこの店は世界一だ!」
五人はむしゃむしゃとお腹いっぱいになるまで食べる。
「遭難した時はダメかと思ったが、ここの弁当のおかげで助かったよ」
「とっても美味いお弁当を食べたら、絶対に生きてやるって元気が出たわ!」
五人はご飯を食べながらガハハと笑う。それが嬉しい。
「ティア。そろそろ店を開けるぞ」
麗夜が厨房から出てくる。ギンちゃんとハクちゃんも来る。お店の前には、たくさんのお客さんが並び始める。
コホンと咳払いする。そして、しっかりと笑顔を作って、声を張り上げる。
「家族亭開店です! 今日もいっぱい食べて!」
今日も楽しい一日が始まる。
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