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皇都へ
最強のチートスキル、女神の眼差しと対策方法
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チートの中でも最強のスキルは何か?
俺は躊躇いなく洗脳と答える。
魔力無限、レベルマックス、即死攻撃、時間停止。
強力なチートスキルはいくつもある。
しかし洗脳はその中でもトップクラス、シャレにならないレベルの強さだ。
洗脳されてしまったらどんなに強力なチートスキルを持って居ても無意味だ。
手ごまにされて、永遠にこき使われる運命。宝の持ち腐れなんてレベルではない。
おまけに洗脳は国すらも操る。
現在、ゴールド帝国は霧島の言いなりになっている。
霧島が望めば戦争も虐殺も何もかも思いのままだ。帝国が滅ぼうと関係ない。
だが洗脳の本当の恐ろしさは何と言っても、味方はおろか恋人すら敵に回ってしまう可能性があることだ。
そうなったら一貫の終わりだ。
だからこそ対策が必要だ。
だからこそ、歴史上最強の魔王、ゼラに助言を求めた。
「女神の眼差しだな」
冒険者ギルドの屋上で、ゼラはオーリさんの目を見るなり言った。
「女神の眼差し?」
どんなスキルか分からなかったので質問の意味を込めてオウム返しする。
「勇者だけが扱える洗脳スキルだ。最大の特徴は洗脳が伝染すること」
ゼラは事も無げに言ったが、俺は恐ろしさのあまり目を見開いた。
「伝染するだって!」
驚きの声を出す。しかしゼラは落ち着いた感じに長い髪をかきあげる。
「洗脳された者の目を見ると伝染する」
ゼラはクスリと微笑む。
「人間はもちろんモンスターや動物すら洗脳するスキルだ。本当に面白い!」
そして晴れやかに笑った。
「なんでお前は笑ってんの?」
笑ってる場合じゃないと思うんだけど。
「このクラスの洗脳は私にも扱えないから感心したんだ」
ゼラはキョトンと首をかしげる。
そんな場合じゃないだろ。ある意味無垢で可愛らしいけど。
「感心するのは良いんだけどね……」
こっちはそんな場合ではない。
霧島の奴、ちょっと強すぎる。
人間だけでなく動物やモンスターにすら感染する洗脳。
本当にシャレにならない。
もはや皇都は霧島の手に落ちたと思っていいだろう。
「俺は怖いからゼラみたいに感心できないな」
「怖い? なぜだ? 私が居るのに?」
一気にゼラの表情が困惑に染まる。
ゼラは自分が絶対に負けないと自負しているから、霧島の事が怖くなかった。
だからさっきは感心できた。
でも俺が怖がっていると知って、ヤバいと理解したみたい。
「俺やティアまで洗脳される危険があるだろ」
「そんなことか! それだったら私に任せろ!」
ゼラは俺の不安を聞くとパッと明るく笑った。
「女神の眼差しは最強の洗脳スキルだ。おまけにどんなに修練を積んでも取得できないスキルでもある。私にすら取得不可能だ。勇者だけに許された紛れもないチートと言える」
ゼラは両手を胸元まで持ってくると、そのまま祈るように合わせる。
「だが私や麗夜を洗脳することはできない」
ゼラが両手の手のひらを放すと、真っ黒な宝石のペンダントが現れた。
「これはなんだ?」
ゼラがくれたので手に取って眺める。
真っ黒なダイヤモンドのようで、売ったら高そうだ。
「私の力を込めたお守りだ。女神の眼差しの洗脳も防ぐ」
「マジで!」
相談してよかった!
「というか麗夜は私の力を持って居るから洗脳されないぞ」
さすがゼラ。
仲間にして心の底から良かったと思う。
「まあこれがあればティアやハクちゃんも洗脳されないで済む」
とにもかくにもこれで一安心だ。
「ハクも洗脳……」
ゼラの表情が険しくなる。
「麗夜。もしかして、放っておいたらハクやティアも洗脳されていたのか」
「その可能性はある」
「つまり私の敵になると?」
「放っておいたらね」
「ならすぐに霧島を殺そう」
ゼラが手のひらを城に向けたので慌てて羽交い締めにして止める!
「待てゼラ! 落ち着け!」
「放してくれ! 一回だけでいいから殺させてくれ!」
一回殺したら終わりだろ。
「お前が本気出したらこの国が滅ぶだろ!」
「大丈夫! 消毒するだけだ!」
消毒じゃなくて焦土だろ。
「とにかく落ち着け! まだ被害は出ていない!」
「うわぁあああああ!」
……
…………
「しかし、このまま放っておいて良いのか?」
ゼラは落ち着くと苦々しく城を睨む。
「放っておくわけにはいかない」
俺は額に浮かぶ汗を手の甲で拭う。
ゼラの奴、とんでもない馬鹿力だ。おかげで全身汗だくだ。
「なら夜にでも城に乗り込んで暗殺しよう」
「本当に君って過激だな」
気持ちは分かるけど。
大きく深呼吸する。
「ゼラの気持ちはわかる。でも今、霧島を殺すのは不味い」
「どうしてだ?」
「殺しちまったらいよいよ和平の道が無くなる」
ゼラの力を使えば霧島など簡単に殺せる。
何せ向こうの最大の武器である洗脳が効かないのだ。
そうなったら霧島なんぞ赤子の手を捻るようなもんだ。
だが霧島は腐っても勇者だ。殺してしまうと帝国に宣戦布告するのと同じになる。
「和平する意味があるのか?」
ゼラは不服そうだ。よほど頭にきたんだな。
「一応和平するためにこっちに来たからね」
俺はじっと城を見つめる。
「それに……霧島の行動はむしろ俺たちにとってプラスになる」
口から思わず愉悦の笑みがこぼれる。
「ほう……何か策があるのか」
するとゼラも意地悪そうな笑みを浮かべた。
俺はゼラに頷く。
「皇帝たちにかかった洗脳を解いてやったら、皇帝は俺たちをどう思うかな?」
「恩人だと思うだろうな」
「そうなったら和平も?」
「簡単だろうな」
「だろ!」
「そして麗夜はこの世界の支配者になる!」
結論がおかしいぞ。
「とにかく帝国は未曽有の危機だ。なら俺たちが救ってやろう」
「面白くなってきた!」
ゼラは両手でにやつく口元を隠す。
「とにかく今は急いでティアたちに洗脳対策のペンダントを配ろう」
気合が入ったのでパシンと手を叩く。
「そうだな! 急いだ方が良い!」
ゼラはボキボキと指を鳴らす。
殴りこみにいくわけじゃないんだぞ? そこまで殺気立つな。
「ついでに今聞くが、洗脳されたかどうか、区別する術はある?」
「洗脳が完了すると瞳が虹色になる。それが霧島の手先になった合図だ」
なるほど。区別する方法があるなら大分楽だ。
「最後に、洗脳は目を合わせた瞬間完了するのか?」
「数分程度目を合わせる必要がある」
結構重い条件だ。
目を合わせ続けるってのは親しい間柄じゃないと難しい。
だから散歩する程度ならまず洗脳にかからないだろう。
もっとも買い物をする時や会議の時は別だ。
オーリさんが洗脳されかけたのも、冒険者ギルドで仕事をしたからだろう(冒険者ギルドの職員に洗脳された人が居る)
「あの……私のこと忘れてない?」
おずおずとオーリさんが手を上げる。
霧島に意識が行っていたからすっかり忘れてた。
「ごめん。一瞬忘れてた」
「あなたはそういう子ね」
オーリさんは乾いた笑みをした。
「それはそれとして、私も洗脳されかかってたの?」
オーリさんは信じられないとこめかみを押さえる。
「瞳が微かに虹色になっていたぞ。軽くだが洗脳状態だったはずだ」
ゼラは腕組みして黒いペンダントを放り渡す。
「……そう言えば、麗夜に会うまで、何となく気分が良かったわ。霧島って名前を聞くと気分が高揚した気がする」
オーリさんは黒いペンダントを首にかけると不愉快そうに鼻を鳴らした。
「無事でよかったよ」
「会議中、居眠りしてたのが良かったのかしら」
俺が笑うとオーリさんも笑った。
その様子を見ていたゼラが咳払いした。俺とオーリさんは、何だろう? とゼラに顔を向ける。
「麗夜は私の力を持って居る。麗夜に近づいたから洗脳が弱まったんだ」
「あら、そうなの」
「つまり私のおかげでもある。私にも感謝しろ」
ゼラは偉そうに腕組みした。
「ありがと」
オーリさんは親愛を込めてかゼラの頬っぺたにキスをした。
「うんうん! 分かればいい!」
ゼラはすっかりご機嫌だ。スキンシップに弱いのかな?
「今日から一緒の宿場に止まってくれない? お金はこっちで出すから」
オーリさんは嬉しがるゼラを横目に俺に話しかけた。
そこでゼラをスルーするのか……。状況が状況だから分かるけど。
「オーリさんはすぐに帰った方が良いと思う。皇都は危険だ」
とにかく俺はここにとどまろうとするオーリさんに忠告する。
「本当だったらその方が良いと思うけど、あなたが居るなら話は別でしょ」
「確かに俺たちの傍に居れば安全だと思うけど」
「それにこのまま帰っても不安で眠れないわ」
「確かにこのまま帰っても不安だろうね。霧島が生きている限り亜人の国と戦争になるかもしれないから」
「何より商売の臭いがするわ! 一緒に頑張りましょう!」
オーリさんは瞳に金マークを作ってガッツポーズする。
強かというか、信頼されているというか。とにかく帰るつもりはないらしい。
「まあこっちも止まるところが無かったし、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
「やったわね!」
オーリさんはニッコリ笑うと、未だに嬉しそうなゼラに振り返る。
「今日からよろしくね!」
オーリさんは強引にゼラの手を取ると握手する。
「ねえ。私とお友達にならない?」
そしてゼラが口を開く前に自分のペースにしようと畳みかける。
「友達だと?」
「あなたはとっても凄いから! ぜひ友達にさせて!」
「なるほど! 私が凄いと分かっているのか!」
「もちろんよ! だから友達になって私を守って!」
「私に任せておけ友よ!」
ゼラは機嫌よく高笑いする。
上手く乗せられてるな。
「じゃあさっそく行動しましょう。まずは皆と合流しないと」
オーリさんは身の安全を確保するとそそくさと階段を降りて行った。
「……手ごわい」
俺はニコニコ顔でオーリさんの後に続くゼラを見て肩をすくめた。
俺は躊躇いなく洗脳と答える。
魔力無限、レベルマックス、即死攻撃、時間停止。
強力なチートスキルはいくつもある。
しかし洗脳はその中でもトップクラス、シャレにならないレベルの強さだ。
洗脳されてしまったらどんなに強力なチートスキルを持って居ても無意味だ。
手ごまにされて、永遠にこき使われる運命。宝の持ち腐れなんてレベルではない。
おまけに洗脳は国すらも操る。
現在、ゴールド帝国は霧島の言いなりになっている。
霧島が望めば戦争も虐殺も何もかも思いのままだ。帝国が滅ぼうと関係ない。
だが洗脳の本当の恐ろしさは何と言っても、味方はおろか恋人すら敵に回ってしまう可能性があることだ。
そうなったら一貫の終わりだ。
だからこそ対策が必要だ。
だからこそ、歴史上最強の魔王、ゼラに助言を求めた。
「女神の眼差しだな」
冒険者ギルドの屋上で、ゼラはオーリさんの目を見るなり言った。
「女神の眼差し?」
どんなスキルか分からなかったので質問の意味を込めてオウム返しする。
「勇者だけが扱える洗脳スキルだ。最大の特徴は洗脳が伝染すること」
ゼラは事も無げに言ったが、俺は恐ろしさのあまり目を見開いた。
「伝染するだって!」
驚きの声を出す。しかしゼラは落ち着いた感じに長い髪をかきあげる。
「洗脳された者の目を見ると伝染する」
ゼラはクスリと微笑む。
「人間はもちろんモンスターや動物すら洗脳するスキルだ。本当に面白い!」
そして晴れやかに笑った。
「なんでお前は笑ってんの?」
笑ってる場合じゃないと思うんだけど。
「このクラスの洗脳は私にも扱えないから感心したんだ」
ゼラはキョトンと首をかしげる。
そんな場合じゃないだろ。ある意味無垢で可愛らしいけど。
「感心するのは良いんだけどね……」
こっちはそんな場合ではない。
霧島の奴、ちょっと強すぎる。
人間だけでなく動物やモンスターにすら感染する洗脳。
本当にシャレにならない。
もはや皇都は霧島の手に落ちたと思っていいだろう。
「俺は怖いからゼラみたいに感心できないな」
「怖い? なぜだ? 私が居るのに?」
一気にゼラの表情が困惑に染まる。
ゼラは自分が絶対に負けないと自負しているから、霧島の事が怖くなかった。
だからさっきは感心できた。
でも俺が怖がっていると知って、ヤバいと理解したみたい。
「俺やティアまで洗脳される危険があるだろ」
「そんなことか! それだったら私に任せろ!」
ゼラは俺の不安を聞くとパッと明るく笑った。
「女神の眼差しは最強の洗脳スキルだ。おまけにどんなに修練を積んでも取得できないスキルでもある。私にすら取得不可能だ。勇者だけに許された紛れもないチートと言える」
ゼラは両手を胸元まで持ってくると、そのまま祈るように合わせる。
「だが私や麗夜を洗脳することはできない」
ゼラが両手の手のひらを放すと、真っ黒な宝石のペンダントが現れた。
「これはなんだ?」
ゼラがくれたので手に取って眺める。
真っ黒なダイヤモンドのようで、売ったら高そうだ。
「私の力を込めたお守りだ。女神の眼差しの洗脳も防ぐ」
「マジで!」
相談してよかった!
「というか麗夜は私の力を持って居るから洗脳されないぞ」
さすがゼラ。
仲間にして心の底から良かったと思う。
「まあこれがあればティアやハクちゃんも洗脳されないで済む」
とにもかくにもこれで一安心だ。
「ハクも洗脳……」
ゼラの表情が険しくなる。
「麗夜。もしかして、放っておいたらハクやティアも洗脳されていたのか」
「その可能性はある」
「つまり私の敵になると?」
「放っておいたらね」
「ならすぐに霧島を殺そう」
ゼラが手のひらを城に向けたので慌てて羽交い締めにして止める!
「待てゼラ! 落ち着け!」
「放してくれ! 一回だけでいいから殺させてくれ!」
一回殺したら終わりだろ。
「お前が本気出したらこの国が滅ぶだろ!」
「大丈夫! 消毒するだけだ!」
消毒じゃなくて焦土だろ。
「とにかく落ち着け! まだ被害は出ていない!」
「うわぁあああああ!」
……
…………
「しかし、このまま放っておいて良いのか?」
ゼラは落ち着くと苦々しく城を睨む。
「放っておくわけにはいかない」
俺は額に浮かぶ汗を手の甲で拭う。
ゼラの奴、とんでもない馬鹿力だ。おかげで全身汗だくだ。
「なら夜にでも城に乗り込んで暗殺しよう」
「本当に君って過激だな」
気持ちは分かるけど。
大きく深呼吸する。
「ゼラの気持ちはわかる。でも今、霧島を殺すのは不味い」
「どうしてだ?」
「殺しちまったらいよいよ和平の道が無くなる」
ゼラの力を使えば霧島など簡単に殺せる。
何せ向こうの最大の武器である洗脳が効かないのだ。
そうなったら霧島なんぞ赤子の手を捻るようなもんだ。
だが霧島は腐っても勇者だ。殺してしまうと帝国に宣戦布告するのと同じになる。
「和平する意味があるのか?」
ゼラは不服そうだ。よほど頭にきたんだな。
「一応和平するためにこっちに来たからね」
俺はじっと城を見つめる。
「それに……霧島の行動はむしろ俺たちにとってプラスになる」
口から思わず愉悦の笑みがこぼれる。
「ほう……何か策があるのか」
するとゼラも意地悪そうな笑みを浮かべた。
俺はゼラに頷く。
「皇帝たちにかかった洗脳を解いてやったら、皇帝は俺たちをどう思うかな?」
「恩人だと思うだろうな」
「そうなったら和平も?」
「簡単だろうな」
「だろ!」
「そして麗夜はこの世界の支配者になる!」
結論がおかしいぞ。
「とにかく帝国は未曽有の危機だ。なら俺たちが救ってやろう」
「面白くなってきた!」
ゼラは両手でにやつく口元を隠す。
「とにかく今は急いでティアたちに洗脳対策のペンダントを配ろう」
気合が入ったのでパシンと手を叩く。
「そうだな! 急いだ方が良い!」
ゼラはボキボキと指を鳴らす。
殴りこみにいくわけじゃないんだぞ? そこまで殺気立つな。
「ついでに今聞くが、洗脳されたかどうか、区別する術はある?」
「洗脳が完了すると瞳が虹色になる。それが霧島の手先になった合図だ」
なるほど。区別する方法があるなら大分楽だ。
「最後に、洗脳は目を合わせた瞬間完了するのか?」
「数分程度目を合わせる必要がある」
結構重い条件だ。
目を合わせ続けるってのは親しい間柄じゃないと難しい。
だから散歩する程度ならまず洗脳にかからないだろう。
もっとも買い物をする時や会議の時は別だ。
オーリさんが洗脳されかけたのも、冒険者ギルドで仕事をしたからだろう(冒険者ギルドの職員に洗脳された人が居る)
「あの……私のこと忘れてない?」
おずおずとオーリさんが手を上げる。
霧島に意識が行っていたからすっかり忘れてた。
「ごめん。一瞬忘れてた」
「あなたはそういう子ね」
オーリさんは乾いた笑みをした。
「それはそれとして、私も洗脳されかかってたの?」
オーリさんは信じられないとこめかみを押さえる。
「瞳が微かに虹色になっていたぞ。軽くだが洗脳状態だったはずだ」
ゼラは腕組みして黒いペンダントを放り渡す。
「……そう言えば、麗夜に会うまで、何となく気分が良かったわ。霧島って名前を聞くと気分が高揚した気がする」
オーリさんは黒いペンダントを首にかけると不愉快そうに鼻を鳴らした。
「無事でよかったよ」
「会議中、居眠りしてたのが良かったのかしら」
俺が笑うとオーリさんも笑った。
その様子を見ていたゼラが咳払いした。俺とオーリさんは、何だろう? とゼラに顔を向ける。
「麗夜は私の力を持って居る。麗夜に近づいたから洗脳が弱まったんだ」
「あら、そうなの」
「つまり私のおかげでもある。私にも感謝しろ」
ゼラは偉そうに腕組みした。
「ありがと」
オーリさんは親愛を込めてかゼラの頬っぺたにキスをした。
「うんうん! 分かればいい!」
ゼラはすっかりご機嫌だ。スキンシップに弱いのかな?
「今日から一緒の宿場に止まってくれない? お金はこっちで出すから」
オーリさんは嬉しがるゼラを横目に俺に話しかけた。
そこでゼラをスルーするのか……。状況が状況だから分かるけど。
「オーリさんはすぐに帰った方が良いと思う。皇都は危険だ」
とにかく俺はここにとどまろうとするオーリさんに忠告する。
「本当だったらその方が良いと思うけど、あなたが居るなら話は別でしょ」
「確かに俺たちの傍に居れば安全だと思うけど」
「それにこのまま帰っても不安で眠れないわ」
「確かにこのまま帰っても不安だろうね。霧島が生きている限り亜人の国と戦争になるかもしれないから」
「何より商売の臭いがするわ! 一緒に頑張りましょう!」
オーリさんは瞳に金マークを作ってガッツポーズする。
強かというか、信頼されているというか。とにかく帰るつもりはないらしい。
「まあこっちも止まるところが無かったし、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
「やったわね!」
オーリさんはニッコリ笑うと、未だに嬉しそうなゼラに振り返る。
「今日からよろしくね!」
オーリさんは強引にゼラの手を取ると握手する。
「ねえ。私とお友達にならない?」
そしてゼラが口を開く前に自分のペースにしようと畳みかける。
「友達だと?」
「あなたはとっても凄いから! ぜひ友達にさせて!」
「なるほど! 私が凄いと分かっているのか!」
「もちろんよ! だから友達になって私を守って!」
「私に任せておけ友よ!」
ゼラは機嫌よく高笑いする。
上手く乗せられてるな。
「じゃあさっそく行動しましょう。まずは皆と合流しないと」
オーリさんは身の安全を確保するとそそくさと階段を降りて行った。
「……手ごわい」
俺はニコニコ顔でオーリさんの後に続くゼラを見て肩をすくめた。
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