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地下101階の悪魔
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暗黒の中、空気の動きと研ぎ澄ました五感を頼りに迷宮を進む。
罠でローズとリリーから分断されてしまった。一刻も早く合流しなくてはならない。
「大丈夫ですか?」
不幸中の幸いは、チュリップが一緒に居たことだった。彼女の声を聴くと太陽の下に居るような安心感が芽生える。くすぶる気持ちがたちどころに収まる。
「大丈夫だ。それより、こんな結果になってごめん」
暗闇なのでしっかりと手を握り合い進む。
「まあ、起きてしまったことは仕方がありません」
太陽のように温かい彼女の声が沈むと一気に心が冷たくなる。
「絶対に助かる。俺が必ず助ける!」
彼女の声が沈まないように強く言い切る。そうしないと俺が不安に飲まれる。
しかし、足が棒になるほど歩いても結果は出なかった。
「何で出口がねえんだ!」
壁に鉄槌を食らわせるが、迷宮はびくともしない。我慢できず座り込む。
いったいどれほど歩いた? 一日か? 二日か? それとも半日も経っていないのか? マッピングすればどのくらい進んだのか分かるのに、紙も無い状況ではそれもできない。
「どうやら、私たちはここで死ぬようですね」
諦めの声がチュリップから出る。
「まだだ! まだ終わってねえ!」
必死に励ます。元気な声が聴きたい!
「無駄ですよ。だって、これはあなたのせいなんですから!」
彼女の声が炎のように熱くなると、熱病にうなされるかのような汗が出る。
「本当に悪かった! でも諦めるな!」
「何を言っているんですか? あなたがローズに現を抜かすからこんなことになるんです!」
背筋が寒くなる。彼女の手が震え始める。
「あなたたちは私が命がけで冒険しているのに隠れてセックスしていた! 知らないと思っていたんですか? あのガキの気持ち悪い喘ぎ声を聞くたびに耳を引きちぎりたくて仕方なかったです!」
後ろめたさで喉が震える。
「そ……それは、悪かった。もう、やらない」
どこかで感じていた。
浮かれて注意力散漫になっていたのは、自分ではないかと。
「はぁ! 笑わせますね! 今更遅いんですよ! それにあなたは何ですか? あのガキに夢中になって躾けもできない! あのガキがつけあがるのはお前が何も叱らないからだ! それどころかヘラヘラしやがって! 日々神経を尖らせている私の横で新婚旅行ですか!」
チュリップの罵倒は堰を切るかのようにあふれ出る。
「この暗闇を見ろ! ヘラヘラと軽率に行動した結果だ! どうせあの女とやることだけ考えてたんでしょ!」
「それは違う!」
バシンと頬に痛みが走る。
「え?」
頬を叩かれた?
「反省してませんね」
再び頬に激痛が走る。
「レイ? 私は怒っているのです。叱っているのです。それに口答えするのはおかしいと思いませんか?」
バシンバシンと頬を叩かれる。
凄まじい痛みだ。腫れあがっているかもしれない。
「何か言ったらどうですか?」
耳に平手が飛んでくると、耳鳴りが激しくなる。
「す、すまない」
「ごめんなさいでしょ?」
バキンと拳が飛んできた。
「ご、ごめんなさい」
これほど怒っているとは思わなかった……だが当然の結果かもしれない。
こんなことになったのは、俺が集中していなかったためだ。
「悪いと思ってますね?」
「は、反省している」
「もうローズとイチャイチャしませんね?」
「もうしない」
チュリップに叩かれてようやく踏ん切りが付いた。イチャイチャするのは、ここから脱出してからだ。
「良い子ですね」
よしよしと抱きしめられたのが分かる。
どうやら、機嫌を直してくれたようだ。
「少しだけ、休みましょう。疲れているでしょ」
チュリップの体から良い臭いすると、頭がぼんやりして体が安らぐ。
「何だか……良い臭いがする……」
「私特製の香水です。いっぱい嗅いでください」
よしよしと頭を撫でられる。
壁に体を預けると、チュリップが覆いかぶさってくる。
「あなたがイチャイチャしたくなるのも分かります」
またよしよしと抱きしめられる。
「こんな場所です。気が迷うのも当たり前です」
「そ……うか」
眠気で瞼が重い。
「ですから、私があなたを慰めてあげます」
唇にあたたかいものが触れる。
そしてにゅるりと苦甘い物が入ってくる。
吐き出そうと思ってもどんどん喉を奥にながれこむ。
「な……」
あたまがぐらぐらする。
「レイ、私が好きですか?」
チュリップはレイの顔を撫でながらキスをする。
「あ……あ」
レイは虚ろな表情で呻く。
「好きですよね?」
強烈な張り手がレイの顔面に叩き込まれる。
「す……すきだ……」
「ですよね。前に言っていましたものね。私もあなたが大好きです」
チュリップは満面の笑みでレイの顔を舐める。
「もうあんな女に見とれてはダメですよ?」
「う……う!」
レイはチュリップから逃げるように悶える。まるで羽をもがれた羽虫だ。
「聞こえてますか?」
チュリップは何度も何度もレイを殴る。
「わ……わる……い」
もはやレイに意識はない。暗黒の世界でも分かるくらいに弱っている。
「良い子ですね」
なのにチュリップは微笑む。
「さあ……愛し合いましょう」
チュリップはレイの服を素手で引き裂いた後己の服を引き裂く。
「さあ、これを飲んで。私も飲みますから」
チュリップは服の隠しポケットに入っている真っ赤な丸薬を噛み砕くと、口づけで無理やりレイに飲ませる。
「ああ! 気分が高ぶってきました!」
チュリップは目を血走らせて笑う。
「ああ! レイ! 愛しています! 心から愛しています!」
チュリップはレイに馬乗りになって狂喜する。
「あなたが悪いんですよ! 二度と男にときめかないと誓ったのに! 何度も何度も私をときめかせて! それなのにあんな女と浮気をして!」
チュリップは笑いながらボロボロと涙をまき散らす。
「あ……」
レイが痙攣するとチュリップも痙攣し、しばし動かなくなる。
「ふふ……でももう許しました」
チュリップはレイの体にしんなりと肌を重ねて微笑む。
「あなたは私と同じく汚れました。だからこれからは責任を持って、あなたのお世話をします。老衰することないこの迷宮で、永遠に」
チュリップは再度真っ赤な丸薬を噛み砕き、口づけでレイの口に流し込む。
二人の瞳孔が拡大と縮小を繰り返す。
「まずは! あの女の1000倍愛し合いましょう! あのガキと33回やったのですから33000日! 嬉しいですね! 私も嬉しいです!」
チュリップは口の端から唾液を垂らす。
「ああ! 今分かりました! 今までの私の不幸はすべて神の試練だった! あなたと出会うための試練だった! 今私は神に祝福されている!」
二人の体が痙攣する。それでもチュリップは動き続けた。
しばらくすると二人の口から泡が出る。それでようやくチュリップの動きは止まる。
「お……ぇ……」
チュリップは震える手で己の顔を掴む。
「か……み……よ……わたし……を……いやし……たま……え」
手から光が迸る。見る見るとチュリップの顔色が良くなる。
「ふふ……神よ、愛しき夫を癒したまえ」
チュリップは両手でレイの顔を包むと呪詛のような呪文を唱える。
「ん……あ!」
レイが目を覚ます。レイは暗闇の中必死に顔を動かす。
「おはようございます、あなた」
チュリップは愛おしき者を撫でるような丁寧な手つきで、逞しいレイの胸板を撫でる。
「チュリップ! いったい何が! ぐ!」
血圧が上昇し、鼓動が高まると、レイは歯を食いしばりながらチュリップの腰に両手を添える。
「あなた? 忘れたの? 私を犯したことを忘れたの?」
「お、犯しただと!」
レイは歯ぐきから血が出るほど歯を食いしばる。
「本当に忘れたんですか? 泣き叫ぶ私を組み伏せて、何度も何度も。あなたが一番分かっているでしょ?」
「ば、馬鹿な!」
「馬鹿な? ふざけんな! この醜い物は何! この両手は何! あなたが犯した証拠じゃない!」
レイは目を震わせながら痙攣する。チュリップは聖母のようにレイの顔を両手で包む。
「でも私は許します。だってあなたは私を愛していた。これはそれに気づけなかった私の罰」
チュリップの猫なで声が暗闇に轟く。
「あなた? 私を愛していますね? 愛しているから、犯したんですよね?」
レイは体を引きつらせて耐える。
「愛している。その一言で良いんです。そうすれば、私はあなたの物になります。たっぷり犯していいんです」
チュリップの舌がレイの耳を這う。
「レイ、愛しています」
レイの歯にヒビが入る。
「あ! あいしている!」
レイはチュリップを吹き飛ばすかのように起き上がると、チュリップの両肩を掴んで押し倒す。
「私も愛してます!」
チュリップはレイの肩に爪を立てる。レイの肩から鮮血が流れる。
「まずは一日100回愛していると言いましょう! そうしましょう!」
「ああ! あいしてる!」
「もっと! もっと!」
「あいしてる! あいしてる!」
「わたしもあいしてます! あいしてますあいしてますあいしてます!」
レイは悪魔に魅入られたかのように愛を叫ぶ。
チュリップは悪魔のように愛を求める。
二人は喉が裂けるほど叫び続ける。
「どうする……」
二人が発狂している一方、リリーは地下100階の広間でウロウロと落ち着きなく歩き回っていた。
「レイたちが戻ってこない……探しに行くべきか? しかしレイは先に行けと言った。ならばここで待つべきか?」
苦々しく地下101階へ続く階段を睨む。
「くそ! レイ! 私にはお前が必要なんだ! 私にはお前の指示が必要なんだ!」
飼い主の帰りを待つ子犬のようにリリーは階段の前でうろつく。
「リリーさん! もう行こう! 探しに行こう!」
ローズは悲痛な表情でリリーに詰め寄る。
「レイが戻ってくるかもしれない。それに、レイが居ない状況で動くのは危険だ」
「レイが死んじゃうかもしれないんだよ!」
「レイが死ぬわけないだろ!」
「レイは死なないよ! でも怪我してるかも! 助けに行かないと!」
リリーは煮え切らない表情で押し黙る。
「……レイは生きるために先に進むと言った。それがこのチームの掟、ルールだ」
リリーは武器を持ち、階段を睨んで舌打ちする。
「チュリップの奴、どうして後ろと言ったんだ? 背後に逃げ道があると思ったのか? マッピングもしていないのに?」
リリーは頭を掻きながら、レイを捜索するためにローズと一緒に地下101階へ戻った。
罠でローズとリリーから分断されてしまった。一刻も早く合流しなくてはならない。
「大丈夫ですか?」
不幸中の幸いは、チュリップが一緒に居たことだった。彼女の声を聴くと太陽の下に居るような安心感が芽生える。くすぶる気持ちがたちどころに収まる。
「大丈夫だ。それより、こんな結果になってごめん」
暗闇なのでしっかりと手を握り合い進む。
「まあ、起きてしまったことは仕方がありません」
太陽のように温かい彼女の声が沈むと一気に心が冷たくなる。
「絶対に助かる。俺が必ず助ける!」
彼女の声が沈まないように強く言い切る。そうしないと俺が不安に飲まれる。
しかし、足が棒になるほど歩いても結果は出なかった。
「何で出口がねえんだ!」
壁に鉄槌を食らわせるが、迷宮はびくともしない。我慢できず座り込む。
いったいどれほど歩いた? 一日か? 二日か? それとも半日も経っていないのか? マッピングすればどのくらい進んだのか分かるのに、紙も無い状況ではそれもできない。
「どうやら、私たちはここで死ぬようですね」
諦めの声がチュリップから出る。
「まだだ! まだ終わってねえ!」
必死に励ます。元気な声が聴きたい!
「無駄ですよ。だって、これはあなたのせいなんですから!」
彼女の声が炎のように熱くなると、熱病にうなされるかのような汗が出る。
「本当に悪かった! でも諦めるな!」
「何を言っているんですか? あなたがローズに現を抜かすからこんなことになるんです!」
背筋が寒くなる。彼女の手が震え始める。
「あなたたちは私が命がけで冒険しているのに隠れてセックスしていた! 知らないと思っていたんですか? あのガキの気持ち悪い喘ぎ声を聞くたびに耳を引きちぎりたくて仕方なかったです!」
後ろめたさで喉が震える。
「そ……それは、悪かった。もう、やらない」
どこかで感じていた。
浮かれて注意力散漫になっていたのは、自分ではないかと。
「はぁ! 笑わせますね! 今更遅いんですよ! それにあなたは何ですか? あのガキに夢中になって躾けもできない! あのガキがつけあがるのはお前が何も叱らないからだ! それどころかヘラヘラしやがって! 日々神経を尖らせている私の横で新婚旅行ですか!」
チュリップの罵倒は堰を切るかのようにあふれ出る。
「この暗闇を見ろ! ヘラヘラと軽率に行動した結果だ! どうせあの女とやることだけ考えてたんでしょ!」
「それは違う!」
バシンと頬に痛みが走る。
「え?」
頬を叩かれた?
「反省してませんね」
再び頬に激痛が走る。
「レイ? 私は怒っているのです。叱っているのです。それに口答えするのはおかしいと思いませんか?」
バシンバシンと頬を叩かれる。
凄まじい痛みだ。腫れあがっているかもしれない。
「何か言ったらどうですか?」
耳に平手が飛んでくると、耳鳴りが激しくなる。
「す、すまない」
「ごめんなさいでしょ?」
バキンと拳が飛んできた。
「ご、ごめんなさい」
これほど怒っているとは思わなかった……だが当然の結果かもしれない。
こんなことになったのは、俺が集中していなかったためだ。
「悪いと思ってますね?」
「は、反省している」
「もうローズとイチャイチャしませんね?」
「もうしない」
チュリップに叩かれてようやく踏ん切りが付いた。イチャイチャするのは、ここから脱出してからだ。
「良い子ですね」
よしよしと抱きしめられたのが分かる。
どうやら、機嫌を直してくれたようだ。
「少しだけ、休みましょう。疲れているでしょ」
チュリップの体から良い臭いすると、頭がぼんやりして体が安らぐ。
「何だか……良い臭いがする……」
「私特製の香水です。いっぱい嗅いでください」
よしよしと頭を撫でられる。
壁に体を預けると、チュリップが覆いかぶさってくる。
「あなたがイチャイチャしたくなるのも分かります」
またよしよしと抱きしめられる。
「こんな場所です。気が迷うのも当たり前です」
「そ……うか」
眠気で瞼が重い。
「ですから、私があなたを慰めてあげます」
唇にあたたかいものが触れる。
そしてにゅるりと苦甘い物が入ってくる。
吐き出そうと思ってもどんどん喉を奥にながれこむ。
「な……」
あたまがぐらぐらする。
「レイ、私が好きですか?」
チュリップはレイの顔を撫でながらキスをする。
「あ……あ」
レイは虚ろな表情で呻く。
「好きですよね?」
強烈な張り手がレイの顔面に叩き込まれる。
「す……すきだ……」
「ですよね。前に言っていましたものね。私もあなたが大好きです」
チュリップは満面の笑みでレイの顔を舐める。
「もうあんな女に見とれてはダメですよ?」
「う……う!」
レイはチュリップから逃げるように悶える。まるで羽をもがれた羽虫だ。
「聞こえてますか?」
チュリップは何度も何度もレイを殴る。
「わ……わる……い」
もはやレイに意識はない。暗黒の世界でも分かるくらいに弱っている。
「良い子ですね」
なのにチュリップは微笑む。
「さあ……愛し合いましょう」
チュリップはレイの服を素手で引き裂いた後己の服を引き裂く。
「さあ、これを飲んで。私も飲みますから」
チュリップは服の隠しポケットに入っている真っ赤な丸薬を噛み砕くと、口づけで無理やりレイに飲ませる。
「ああ! 気分が高ぶってきました!」
チュリップは目を血走らせて笑う。
「ああ! レイ! 愛しています! 心から愛しています!」
チュリップはレイに馬乗りになって狂喜する。
「あなたが悪いんですよ! 二度と男にときめかないと誓ったのに! 何度も何度も私をときめかせて! それなのにあんな女と浮気をして!」
チュリップは笑いながらボロボロと涙をまき散らす。
「あ……」
レイが痙攣するとチュリップも痙攣し、しばし動かなくなる。
「ふふ……でももう許しました」
チュリップはレイの体にしんなりと肌を重ねて微笑む。
「あなたは私と同じく汚れました。だからこれからは責任を持って、あなたのお世話をします。老衰することないこの迷宮で、永遠に」
チュリップは再度真っ赤な丸薬を噛み砕き、口づけでレイの口に流し込む。
二人の瞳孔が拡大と縮小を繰り返す。
「まずは! あの女の1000倍愛し合いましょう! あのガキと33回やったのですから33000日! 嬉しいですね! 私も嬉しいです!」
チュリップは口の端から唾液を垂らす。
「ああ! 今分かりました! 今までの私の不幸はすべて神の試練だった! あなたと出会うための試練だった! 今私は神に祝福されている!」
二人の体が痙攣する。それでもチュリップは動き続けた。
しばらくすると二人の口から泡が出る。それでようやくチュリップの動きは止まる。
「お……ぇ……」
チュリップは震える手で己の顔を掴む。
「か……み……よ……わたし……を……いやし……たま……え」
手から光が迸る。見る見るとチュリップの顔色が良くなる。
「ふふ……神よ、愛しき夫を癒したまえ」
チュリップは両手でレイの顔を包むと呪詛のような呪文を唱える。
「ん……あ!」
レイが目を覚ます。レイは暗闇の中必死に顔を動かす。
「おはようございます、あなた」
チュリップは愛おしき者を撫でるような丁寧な手つきで、逞しいレイの胸板を撫でる。
「チュリップ! いったい何が! ぐ!」
血圧が上昇し、鼓動が高まると、レイは歯を食いしばりながらチュリップの腰に両手を添える。
「あなた? 忘れたの? 私を犯したことを忘れたの?」
「お、犯しただと!」
レイは歯ぐきから血が出るほど歯を食いしばる。
「本当に忘れたんですか? 泣き叫ぶ私を組み伏せて、何度も何度も。あなたが一番分かっているでしょ?」
「ば、馬鹿な!」
「馬鹿な? ふざけんな! この醜い物は何! この両手は何! あなたが犯した証拠じゃない!」
レイは目を震わせながら痙攣する。チュリップは聖母のようにレイの顔を両手で包む。
「でも私は許します。だってあなたは私を愛していた。これはそれに気づけなかった私の罰」
チュリップの猫なで声が暗闇に轟く。
「あなた? 私を愛していますね? 愛しているから、犯したんですよね?」
レイは体を引きつらせて耐える。
「愛している。その一言で良いんです。そうすれば、私はあなたの物になります。たっぷり犯していいんです」
チュリップの舌がレイの耳を這う。
「レイ、愛しています」
レイの歯にヒビが入る。
「あ! あいしている!」
レイはチュリップを吹き飛ばすかのように起き上がると、チュリップの両肩を掴んで押し倒す。
「私も愛してます!」
チュリップはレイの肩に爪を立てる。レイの肩から鮮血が流れる。
「まずは一日100回愛していると言いましょう! そうしましょう!」
「ああ! あいしてる!」
「もっと! もっと!」
「あいしてる! あいしてる!」
「わたしもあいしてます! あいしてますあいしてますあいしてます!」
レイは悪魔に魅入られたかのように愛を叫ぶ。
チュリップは悪魔のように愛を求める。
二人は喉が裂けるほど叫び続ける。
「どうする……」
二人が発狂している一方、リリーは地下100階の広間でウロウロと落ち着きなく歩き回っていた。
「レイたちが戻ってこない……探しに行くべきか? しかしレイは先に行けと言った。ならばここで待つべきか?」
苦々しく地下101階へ続く階段を睨む。
「くそ! レイ! 私にはお前が必要なんだ! 私にはお前の指示が必要なんだ!」
飼い主の帰りを待つ子犬のようにリリーは階段の前でうろつく。
「リリーさん! もう行こう! 探しに行こう!」
ローズは悲痛な表情でリリーに詰め寄る。
「レイが戻ってくるかもしれない。それに、レイが居ない状況で動くのは危険だ」
「レイが死んじゃうかもしれないんだよ!」
「レイが死ぬわけないだろ!」
「レイは死なないよ! でも怪我してるかも! 助けに行かないと!」
リリーは煮え切らない表情で押し黙る。
「……レイは生きるために先に進むと言った。それがこのチームの掟、ルールだ」
リリーは武器を持ち、階段を睨んで舌打ちする。
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