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リリー、ローズ、チュリップ、迷宮へ再び
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真夜中にアルカトラズ十五世たちが戦々恐々する前に時間を戻す。
夜のころ、リリーは王宮の自室で夕食も食べずにイライラと歩き回っていた。
「なぜ私が拒絶されなくてはならない? あいつらのせいだ!」
リリーは迷宮から脱出してしばらくすると、朝飯も昼飯も夕飯も食べすぎるくらいに回復した。
そして体力が回復するにつれて、恨み言を呟くようになった。
「レイに分かってもらわないと……しかしどうやって?」
同じことを繰り返し呟く。
「チュリップ!」
そんな心の膿が溜まっている状態で、運悪くチュリップが外へ出て行くのを見かけてしまった。
「あいつ! こんな夜にどこに!」
チュリップは武器を装備してチュリップを追いかけた。
一方ローズもリリーの姿を見かけていた。
「どこに行くつもり?」
ローズは学校の一件の後、リリーと同じく調子を戻していった。そして同じくイライラと落ち着きが無くなった。
「あいつも悪いんだ! なんでチュリップを止めなかったの! レイも悪いけどあいつらも悪いんだ!」
ローズはベッドの上で枕に鉄槌を下すのを止めてリリーを追いかける。
「あら? お久しぶりですね」
チュリップは迷宮の前で足を止めると、振り返ってリリーたちを小馬鹿にしたような感じに慇懃無礼なお辞儀をする。
三人は迷宮の前で再開した。険悪な雰囲気で。
「どこに行くつもりだ」
リリーはチュリップの装備を睨む。
「レイのところに行きます。当然でしょ」
凍てつく目で冷笑する。
「レイを傷つけたお前が何をしに行く」
リリーの目尻が引きつる。
「何をしに行くって? 私はレイの恋人ですよ? 恋人が手を繋ぎあわなくてどうするのです?」
「恋人!」
リリーの後ろからローズが一歩ずつ足を怒らせてチュリップに迫る。
「レイの恋人は私! お前じゃない!」
「あなたは恋人じゃありません! だってレイは迷惑していた! あなたも分かっているでしょ?」
ローズが歩みを止めて、息を詰まらせる。
「あなたはレイに体を売った。でもレイは嫌だった。あなたが哀れだから抱いただけ。愛していない。あなたも内心気づいていたでしょ? だからあなたはそれを否定するために、何度も何度も自らを窮地に追い詰めた。レイの愛を確かめるために。レイの気を引くために」
「うるさい」
「レイも迷惑でしょう。あなたみたいな貧相な雌ガキを抱くなんて拷問。知ってますか? 男ってあそこを大きくするのに結構苦労するんですよ。ブス相手なら特に!」
「殺してやる」
「二人とももう止めろ。耳が腐る」
ローズが杖を構えたところで、リリーが剣を抜く。
「地下100階でお前たちを殺しておけばよかった」
剣の刃が光を放ち始める。
「レイはリーダーだ。リーダーには命を捧げるのがメンバーの務めだ。それなのにお前たちはごちゃごちゃとレイを引っかきまわし、傷つけた。万死に値する!」
リリーの殺気が嵐を呼ぶ!
「毎晩毎晩、あなたたちをどうやって殺そうか考えていました。でもそれは止めました。まだ良心があったから。本当、甘かったです!」
チュリップの冷笑が草木を枯らす!
「皆嫌い! 大っ嫌い! 死ね!」
ローズが呪文を唱えるとアルカトラズ国に天まで届く火柱が登る!
「殺してやる!」
火炎地獄の中でリリーはローズの腹を蹴り上げる。
「ぐぇ!」
ローズは空高く舞い上がるが、勢いが収まると地に落ちることなく、飛行を開始する。
「炎魔法! ファイヤーレーザー!」
熱線が大地を焼き尽くす。
「ち! 魔法が吸収された!」
ローズは平然と炎の中で佇むリリーとチュリップに舌打ちする。
「剣術魔法! 空一閃!」
リリーが斬撃をローズに飛ばす。
しかし斬撃はローズの体に触れると跡形もなく吸収された。
「殺してやる!」
三人が叫ぶと、余波で地面が揺れた。
「まるで神話の世界だ!」
三人の争いを止めに来たユリウスが物陰に隠れて嘆く。
三人が殴り合うと衝撃波や突風が巻き起こり近づくことすらできない。
「ガキの癖に大層な力を持ちやがって!」
アルカトラズ十五世が轟音から耳を塞ぐ。
「アルカトラズ! どうする!」
ユリウスは三人から発する眩い光から目を逸らす。三人の攻撃は地割れが生じるほど苛烈になっていく。
「三人を荒野に行かせる!」
「どうやって!」
轟音の中なので怒鳴り声を上げあう。
「ガウス! ローズに攻撃しろ! この位置からでいい!」
「良いのか! もしも反撃されたら後ろの都が消し飛ぶぞ!」
「良いからやれ!」
「さすが暴君だ! 炎魔法! ファイヤーレーザー!」
熱線が空を飛ぶローズの顔に命中する。
「何!」
ローズは傷一つなかったが、横やりに怒ったのか苛立たし気にガウスたちが居る方向を見る。
「剣術魔法! 空一閃!」
リリーがよそ見をしているローズに斬撃を放つ。
「くそ!」
ローズは危険を察知して、ガウスたちと反対の方向に逃げる。逃げる方向に荒野がある。
「逃がすか!」
リリーとチュリップはローズを追いかける。
三人は荒野の方角へ移動した。
「あいつらの狙いは俺たちじゃない。横やりを入れられたら場所を変える」
アルカトラズ十五世は遠のく轟音を聞きながら汗を拭う。
「それにしても、どうする? 俺たちが入ったところで台風に突っ込む木の葉みたいに吹っ飛ばされるのが落ちだ」
ユリウスが悔し気に剣を握りしめる。
「奴らが疲れるのを待つしかない」
「それまでに死んでしまうのでは?」
ガウスは心配そうに次々に発生する火柱を見る。
「戦いを見た限り、奴らは互角だ」
アルカトラズ十五世は懐から小瓶を数個取り出すと、ユリウス、ガウス、ゼウス、バッカスに渡す。
「どうも奴らは魔法攻撃を吸収できるらしい。だから必ず接近戦になる」
「そうなるとローズとチュリップがリリーに殺される!」
ユリウスの言葉にアルカトラズ十五世は首を振る。
「あいつらは迷宮の地下1000階まで行く実力者だ。接近戦でも活路を見出す根性がある」
アルカトラズ十五世は小瓶の液体を飲み干すと苦い顔をする。
「不味い!」
四人も苦い顔をする。
「まさかこの歳で強化薬を飲むとは思わなかった」
「私は魔術師だから飲みたくないんだが」
「これ反動がきついから飲みたくないんだよな……明日模擬戦の監督やるし」
「平の冒険者に戻って冒険したいと思っていたが、気が変わった! 二度と冒険はしない!」
四人はぐっと強化薬を飲む。全員の瞳が赤くなる。
「作戦は簡単。あいつらがヘトヘトになったら頭を叩いて叱る! ユリウスはリリー、ガウスはローズ、ゼウスはチュリップ! 俺はここで待機! バッカスは酒とつまみを持ってこい!」
「殺すぞお前!」
「うるせえな冗談だよ! すぐに追いかけるぞ! 荒野の方角へ向かったとはいえ、途中で方向転換するかもしれない! 何としてもあいつらを荒野で食い止める!」
アルカトラズ十五世たちは風の速さで三人を追いかけた。
荒野では身がすくむほどの地獄絵図が繰り広げられていた。
「炎魔法! ファイヤーボム!」
ローズが地面に手を当てると、地面が見る見ると赤く盛り上がり、最後には火山の噴火のように爆発する。
ローズは宙に浮かぶリリーとチュリップの腹に蹴りをぶち込む。二人はクレーターができるほどの速度で地面に叩きつけられる。
「殺してやる!」
リリーはローズに剣を構えて突っ込む。ローズは空へ飛び、攻撃を避ける。
「逃がすか!」
リリーは足に力を貯めて地を蹴る。地面が凹むとともにリリーはローズまで飛ぶ。
「ばーか!」
空を飛べるローズは方向転換してリリーを避ける。ローズが方向転換中にチュリップはジャンプし、ローズまで飛ぶ。方向転換中に方向を変えることはできないため、ローズは迎え撃とうと拳を放つ。
「クソガキ!」
リーチの差でチュリップの拳がローズの顔面にさく裂する。
「ぶっ殺す!」
二人は掴みあいながら地面に落ちる。
「死ね死ね!」
掴み合いになると、体の大きいチュリップが有利だった。彼女はギリギリとローズの首を絞める。
「くたばれ!」
その背中をリリーの剣が貫く。
「邪魔だ!」
チュリップは怯まず裏拳でリリーを吹き飛ばす。
「炎魔法! ファイヤーレーザー!」
チュリップの手が離れると、ローズは炎魔法でチュリップを押しのけた。
本格的な殺し合いだ。常人の理解を超えている。
常人ならこう思う。なぜ死なないのか? いつこの戦いは終わるのか?
「くそ……」
三人は絶妙な距離でにらみ合う。
三人で共通するのは、凄まじい攻撃力と、それすらも凌ぐ防御力と生命力であった。
即死しない限りすぐに傷は癒える。そして即死するような攻撃も耐える防御力を持っている。
三人の戦いは、一進一退の消耗戦に移行していた。
アルカトラズ十五世の読み通りである。
「は、は、は」
日が出るころになるとようやく、三人の息が荒くなる。
「ちくしょう!」
武器は粉々に砕け散っていた。三人は涙を流して殴り合う。
拳の勢いは始めに比べれば十分弱まっている。しかしそれでも、地面を抉るほどの威力を持つ。
「何でレイを奪ったの! 私が始めに告白したのに!」
ローズは空を飛べる技術を生かし、地面を滑るように移動する。そうやって高速移動を可能にし、体格さを埋める。
「私だって好きだった! 先に奪ったのはお前だ!」
チュリップは拳を避けず顔面で受け止めて、カウンターを放つ。
「レイを傷つけたお前らは同罪だ!」
リリーがチュリップの後頭部を蹴飛ばす。
「愛しているならなぜ傷つけた! 愛しているならなぜ信じなかった!」
華麗な連撃で二人の急所を殴打する。
「だったらお前は何で私たちを見なかった!」
ローズが頭突きで反撃する。
「お前はレイばっかり見てた! 私たちの話なんて聞いてなかった!」
「それが何の関係がある!」
リリーが頭突きを仕返すと、三人は再び距離を取る。
「レイはリーダーだ! 私はリーダーの意見に耳を傾けていただけだ!」
リリーは地面に膝を付く。血が口から滴る。
「ふざけるな! レイの言いなりだったくせに! 私の事なんて考えもしなかったくせに!」
ローズは地面に手を付く。頭から血が流れる。
「結局! 誰もレイの事を考えてないじゃない! 私もお前たちも! レイの苦しさに気づこうともしなかった! レイは強い! それを言い訳にしていた!」
チュリップは地面に血を吐く。
「だから! 殺してやる! 今なら私はレイの苦しみを癒せる! お前たちは邪魔だ!」
チュリップは震える足で二人に近づく。
「殺してやる! お前らなんか嫌いだ!」
ローズは震える足で立ち上がる。
「私は間違っていない! 間違っているのはお前らだ!」
リリーは震える拳を解き放つ!
アルカトラズ十五世が三人に割って入ると、黄金の鎧が粉々に砕け散った。
「……え?」
三人は突然の事態に呆然とし、後ずさる。
「アルカトラズ様!」
三人は血を吐くアルカトラズ十五世を見て悲鳴をあげる。
「いい加減にしろ!」
アルカトラズ十五世は、怯んだ三人に拳骨をぶち込む。
さらにユリウス、ガウス、ゼウスがそれぞれ、三人の頬を叩く。
「いつまで不貞腐れているつもりだ! 目を覚ませ!」
恩師に恫喝されると、三人は力なく座り込んだ。
「アルカトラズ様……どうしてここに? そのお怪我は?」
チュリップは三人を代表して、アルカトラズ十五世たちに話しかける。
アルカトラズ十五世たちは、鎧もボロボロで、いたるところに火傷や擦り傷、切り傷を作っていた。
「お前たちがヘトヘトになるまで待っていたんだよ! この近くでな! そしたら待ってるだけで傷だらけだ!」
アルカトラズ十五世は血を吐きながらも威厳を持って三人の前に立つ。
「お前たちは国を亡ぼす気か! それが望みか!」
三人は固まって動かない。
「見ろ! この無残な姿を!」
三人は辺りを見渡す。
地面が焼き溶けて溶岩となっている。大きなクレーターがあちこちある。
少し遠くを見れば、森の木々が根こそぎなぎ倒されている。
もしもここが都なら、多くの死者が出ていた。もしも農場なら食糧が壊滅し、多くの餓死者が出ていた。
「お前たちに命じる! 迷宮に行ってレイに会ってこい!」
アルカトラズ十五世は俯く三人に言い放つ。
三人は顔を上げない。
「君たちは、自分の力で他人を傷つけると思わなかったのかな?」
ガウスが険しい目で三人を見下ろす。
三人は何も言わない。
「顔を上げろ! 王の御前だ!」
ユリウスは三人の態度を叱りつける。
三人は少しだけ顔を上げる。
「君たちはレイに会うべきだ。そうして心に整理を付けてきなさい」
ゼウスは静かに三人を見つめる。
三人は呆然としながらも少しずつ涙を流す。
「お前ら、俺の名前分かるか?」
バッカスが三人の前に座る。
三人は首を振って知らないと言う。
「冒険者ギルドの長、バッカスだ。俺の教育不足でお前らを危ない目に合わせて、すまなかった」
バッカスは頭を下げて続ける。
「迷宮は楽しかっただろ?」
口調は澄んだ泉のように穏やかだ。
「お前たちは、楽しかった。だからレイに会いたい。ここに居ても詰まらないから。そうだろ?」
三人は迷うように押し黙る。
「迷宮へ行って、レイに会ってこい。そして文句を言ってこい」
「え?」
三人が声を上げる。
「今回の騒動の原因を聞いて、俺は誰が悪いのか分かった! 全員悪い! 何が悪いか! 迷宮に迷い込んで一回も話し合わないなんてダメだろ! 話し合いはしてた? お前たちのやったことは確認! レイの考えを聞いていただけ! 何が心配か? 悩みはあるか? そういうのを吐き出さないとダメなんだ! それで喧嘩した! 結構! お前たちならすぐに仲直りできた! なぜか分かるか!」
三人は首を振る。
「お前たち皆、レイが好きだからだ」
三人がグスグスと泣き出す。
バッカスは足を崩して胡坐になる。
「お前たちは確かに悪い。でも、レイも悪い。だから文句を言ってこい。そして、レイを連れ戻してこい」
バッカスの言葉が青空に溶ける。
「もう一度、レイに会ってきます」
三人は迷宮へ行くことを公言した。
三日後、ぐっすりと休んだ三人は装備を整えて再度、アルカトラズ十五世たちとともに地下三階へ行く。
「この先が地下十一階か」
落とし穴の前でアルカトラズ十五世は体を震わせる。
「お前たちに一つ、助言をしておこう」
落とし穴から下りる前に三人は一度バッカスに振り替える。
「お前たちはある言葉を言っていない。レイにも、仲間にも、誰にも。それが何か、考えながら進め」
三人はよく分かっていないような表情だった。
三人は考えるが、答えは出ない。そうしているうちに落とし穴が閉じ始める。
「行ってきます」
三人はアルカトラズ十五世たちに挨拶すると、落とし穴から地下十一階へ下りた。
「やっと面倒が消えた」
アルカトラズ十五世は盛大にため息を吐いた。
「しかし、まだまだ三人の間にしこりはありますね。私たちが横やりを入れた形ですから、当然と言えば当然ですが」
ガウスは閉じた落とし穴に向かってため息を吐く。
「これ以上あいつらに構ってられるか! 殺し合いがしたくなったら勝手に殺しあえ! 俺は知らん!」
アルカトラズ十五世は踵を返す。
「でも、俺たちにも言っていない言葉に気づければ、大丈夫でしょう」
ユリウスは苦笑してアルカトラズ十五世に続く。
「できれば、気づいて欲しいですね」
ガウスも続く。
「気づくと思いますよ。そして喧嘩はしても、もう殺し合いはしないと思います。ねぇ、バッカス」
ゼウスはバッカスに笑いかける。
「奴らは迷宮の達人だ。迷宮で殺し合いをする。それがどんな馬鹿なことか、理解している。だからこそ、あいつらは地下100階で殺し合いをしなかった」
バッカスは落とし穴に背を向けて、自信のある笑みを浮かべる。
「だから大丈夫。あいつらなら気づく。なぜもう一度レイに会いたいのか? 愛とかそんなんじゃない。それよりももっと簡単な、本当の気持ちに」
夜のころ、リリーは王宮の自室で夕食も食べずにイライラと歩き回っていた。
「なぜ私が拒絶されなくてはならない? あいつらのせいだ!」
リリーは迷宮から脱出してしばらくすると、朝飯も昼飯も夕飯も食べすぎるくらいに回復した。
そして体力が回復するにつれて、恨み言を呟くようになった。
「レイに分かってもらわないと……しかしどうやって?」
同じことを繰り返し呟く。
「チュリップ!」
そんな心の膿が溜まっている状態で、運悪くチュリップが外へ出て行くのを見かけてしまった。
「あいつ! こんな夜にどこに!」
チュリップは武器を装備してチュリップを追いかけた。
一方ローズもリリーの姿を見かけていた。
「どこに行くつもり?」
ローズは学校の一件の後、リリーと同じく調子を戻していった。そして同じくイライラと落ち着きが無くなった。
「あいつも悪いんだ! なんでチュリップを止めなかったの! レイも悪いけどあいつらも悪いんだ!」
ローズはベッドの上で枕に鉄槌を下すのを止めてリリーを追いかける。
「あら? お久しぶりですね」
チュリップは迷宮の前で足を止めると、振り返ってリリーたちを小馬鹿にしたような感じに慇懃無礼なお辞儀をする。
三人は迷宮の前で再開した。険悪な雰囲気で。
「どこに行くつもりだ」
リリーはチュリップの装備を睨む。
「レイのところに行きます。当然でしょ」
凍てつく目で冷笑する。
「レイを傷つけたお前が何をしに行く」
リリーの目尻が引きつる。
「何をしに行くって? 私はレイの恋人ですよ? 恋人が手を繋ぎあわなくてどうするのです?」
「恋人!」
リリーの後ろからローズが一歩ずつ足を怒らせてチュリップに迫る。
「レイの恋人は私! お前じゃない!」
「あなたは恋人じゃありません! だってレイは迷惑していた! あなたも分かっているでしょ?」
ローズが歩みを止めて、息を詰まらせる。
「あなたはレイに体を売った。でもレイは嫌だった。あなたが哀れだから抱いただけ。愛していない。あなたも内心気づいていたでしょ? だからあなたはそれを否定するために、何度も何度も自らを窮地に追い詰めた。レイの愛を確かめるために。レイの気を引くために」
「うるさい」
「レイも迷惑でしょう。あなたみたいな貧相な雌ガキを抱くなんて拷問。知ってますか? 男ってあそこを大きくするのに結構苦労するんですよ。ブス相手なら特に!」
「殺してやる」
「二人とももう止めろ。耳が腐る」
ローズが杖を構えたところで、リリーが剣を抜く。
「地下100階でお前たちを殺しておけばよかった」
剣の刃が光を放ち始める。
「レイはリーダーだ。リーダーには命を捧げるのがメンバーの務めだ。それなのにお前たちはごちゃごちゃとレイを引っかきまわし、傷つけた。万死に値する!」
リリーの殺気が嵐を呼ぶ!
「毎晩毎晩、あなたたちをどうやって殺そうか考えていました。でもそれは止めました。まだ良心があったから。本当、甘かったです!」
チュリップの冷笑が草木を枯らす!
「皆嫌い! 大っ嫌い! 死ね!」
ローズが呪文を唱えるとアルカトラズ国に天まで届く火柱が登る!
「殺してやる!」
火炎地獄の中でリリーはローズの腹を蹴り上げる。
「ぐぇ!」
ローズは空高く舞い上がるが、勢いが収まると地に落ちることなく、飛行を開始する。
「炎魔法! ファイヤーレーザー!」
熱線が大地を焼き尽くす。
「ち! 魔法が吸収された!」
ローズは平然と炎の中で佇むリリーとチュリップに舌打ちする。
「剣術魔法! 空一閃!」
リリーが斬撃をローズに飛ばす。
しかし斬撃はローズの体に触れると跡形もなく吸収された。
「殺してやる!」
三人が叫ぶと、余波で地面が揺れた。
「まるで神話の世界だ!」
三人の争いを止めに来たユリウスが物陰に隠れて嘆く。
三人が殴り合うと衝撃波や突風が巻き起こり近づくことすらできない。
「ガキの癖に大層な力を持ちやがって!」
アルカトラズ十五世が轟音から耳を塞ぐ。
「アルカトラズ! どうする!」
ユリウスは三人から発する眩い光から目を逸らす。三人の攻撃は地割れが生じるほど苛烈になっていく。
「三人を荒野に行かせる!」
「どうやって!」
轟音の中なので怒鳴り声を上げあう。
「ガウス! ローズに攻撃しろ! この位置からでいい!」
「良いのか! もしも反撃されたら後ろの都が消し飛ぶぞ!」
「良いからやれ!」
「さすが暴君だ! 炎魔法! ファイヤーレーザー!」
熱線が空を飛ぶローズの顔に命中する。
「何!」
ローズは傷一つなかったが、横やりに怒ったのか苛立たし気にガウスたちが居る方向を見る。
「剣術魔法! 空一閃!」
リリーがよそ見をしているローズに斬撃を放つ。
「くそ!」
ローズは危険を察知して、ガウスたちと反対の方向に逃げる。逃げる方向に荒野がある。
「逃がすか!」
リリーとチュリップはローズを追いかける。
三人は荒野の方角へ移動した。
「あいつらの狙いは俺たちじゃない。横やりを入れられたら場所を変える」
アルカトラズ十五世は遠のく轟音を聞きながら汗を拭う。
「それにしても、どうする? 俺たちが入ったところで台風に突っ込む木の葉みたいに吹っ飛ばされるのが落ちだ」
ユリウスが悔し気に剣を握りしめる。
「奴らが疲れるのを待つしかない」
「それまでに死んでしまうのでは?」
ガウスは心配そうに次々に発生する火柱を見る。
「戦いを見た限り、奴らは互角だ」
アルカトラズ十五世は懐から小瓶を数個取り出すと、ユリウス、ガウス、ゼウス、バッカスに渡す。
「どうも奴らは魔法攻撃を吸収できるらしい。だから必ず接近戦になる」
「そうなるとローズとチュリップがリリーに殺される!」
ユリウスの言葉にアルカトラズ十五世は首を振る。
「あいつらは迷宮の地下1000階まで行く実力者だ。接近戦でも活路を見出す根性がある」
アルカトラズ十五世は小瓶の液体を飲み干すと苦い顔をする。
「不味い!」
四人も苦い顔をする。
「まさかこの歳で強化薬を飲むとは思わなかった」
「私は魔術師だから飲みたくないんだが」
「これ反動がきついから飲みたくないんだよな……明日模擬戦の監督やるし」
「平の冒険者に戻って冒険したいと思っていたが、気が変わった! 二度と冒険はしない!」
四人はぐっと強化薬を飲む。全員の瞳が赤くなる。
「作戦は簡単。あいつらがヘトヘトになったら頭を叩いて叱る! ユリウスはリリー、ガウスはローズ、ゼウスはチュリップ! 俺はここで待機! バッカスは酒とつまみを持ってこい!」
「殺すぞお前!」
「うるせえな冗談だよ! すぐに追いかけるぞ! 荒野の方角へ向かったとはいえ、途中で方向転換するかもしれない! 何としてもあいつらを荒野で食い止める!」
アルカトラズ十五世たちは風の速さで三人を追いかけた。
荒野では身がすくむほどの地獄絵図が繰り広げられていた。
「炎魔法! ファイヤーボム!」
ローズが地面に手を当てると、地面が見る見ると赤く盛り上がり、最後には火山の噴火のように爆発する。
ローズは宙に浮かぶリリーとチュリップの腹に蹴りをぶち込む。二人はクレーターができるほどの速度で地面に叩きつけられる。
「殺してやる!」
リリーはローズに剣を構えて突っ込む。ローズは空へ飛び、攻撃を避ける。
「逃がすか!」
リリーは足に力を貯めて地を蹴る。地面が凹むとともにリリーはローズまで飛ぶ。
「ばーか!」
空を飛べるローズは方向転換してリリーを避ける。ローズが方向転換中にチュリップはジャンプし、ローズまで飛ぶ。方向転換中に方向を変えることはできないため、ローズは迎え撃とうと拳を放つ。
「クソガキ!」
リーチの差でチュリップの拳がローズの顔面にさく裂する。
「ぶっ殺す!」
二人は掴みあいながら地面に落ちる。
「死ね死ね!」
掴み合いになると、体の大きいチュリップが有利だった。彼女はギリギリとローズの首を絞める。
「くたばれ!」
その背中をリリーの剣が貫く。
「邪魔だ!」
チュリップは怯まず裏拳でリリーを吹き飛ばす。
「炎魔法! ファイヤーレーザー!」
チュリップの手が離れると、ローズは炎魔法でチュリップを押しのけた。
本格的な殺し合いだ。常人の理解を超えている。
常人ならこう思う。なぜ死なないのか? いつこの戦いは終わるのか?
「くそ……」
三人は絶妙な距離でにらみ合う。
三人で共通するのは、凄まじい攻撃力と、それすらも凌ぐ防御力と生命力であった。
即死しない限りすぐに傷は癒える。そして即死するような攻撃も耐える防御力を持っている。
三人の戦いは、一進一退の消耗戦に移行していた。
アルカトラズ十五世の読み通りである。
「は、は、は」
日が出るころになるとようやく、三人の息が荒くなる。
「ちくしょう!」
武器は粉々に砕け散っていた。三人は涙を流して殴り合う。
拳の勢いは始めに比べれば十分弱まっている。しかしそれでも、地面を抉るほどの威力を持つ。
「何でレイを奪ったの! 私が始めに告白したのに!」
ローズは空を飛べる技術を生かし、地面を滑るように移動する。そうやって高速移動を可能にし、体格さを埋める。
「私だって好きだった! 先に奪ったのはお前だ!」
チュリップは拳を避けず顔面で受け止めて、カウンターを放つ。
「レイを傷つけたお前らは同罪だ!」
リリーがチュリップの後頭部を蹴飛ばす。
「愛しているならなぜ傷つけた! 愛しているならなぜ信じなかった!」
華麗な連撃で二人の急所を殴打する。
「だったらお前は何で私たちを見なかった!」
ローズが頭突きで反撃する。
「お前はレイばっかり見てた! 私たちの話なんて聞いてなかった!」
「それが何の関係がある!」
リリーが頭突きを仕返すと、三人は再び距離を取る。
「レイはリーダーだ! 私はリーダーの意見に耳を傾けていただけだ!」
リリーは地面に膝を付く。血が口から滴る。
「ふざけるな! レイの言いなりだったくせに! 私の事なんて考えもしなかったくせに!」
ローズは地面に手を付く。頭から血が流れる。
「結局! 誰もレイの事を考えてないじゃない! 私もお前たちも! レイの苦しさに気づこうともしなかった! レイは強い! それを言い訳にしていた!」
チュリップは地面に血を吐く。
「だから! 殺してやる! 今なら私はレイの苦しみを癒せる! お前たちは邪魔だ!」
チュリップは震える足で二人に近づく。
「殺してやる! お前らなんか嫌いだ!」
ローズは震える足で立ち上がる。
「私は間違っていない! 間違っているのはお前らだ!」
リリーは震える拳を解き放つ!
アルカトラズ十五世が三人に割って入ると、黄金の鎧が粉々に砕け散った。
「……え?」
三人は突然の事態に呆然とし、後ずさる。
「アルカトラズ様!」
三人は血を吐くアルカトラズ十五世を見て悲鳴をあげる。
「いい加減にしろ!」
アルカトラズ十五世は、怯んだ三人に拳骨をぶち込む。
さらにユリウス、ガウス、ゼウスがそれぞれ、三人の頬を叩く。
「いつまで不貞腐れているつもりだ! 目を覚ませ!」
恩師に恫喝されると、三人は力なく座り込んだ。
「アルカトラズ様……どうしてここに? そのお怪我は?」
チュリップは三人を代表して、アルカトラズ十五世たちに話しかける。
アルカトラズ十五世たちは、鎧もボロボロで、いたるところに火傷や擦り傷、切り傷を作っていた。
「お前たちがヘトヘトになるまで待っていたんだよ! この近くでな! そしたら待ってるだけで傷だらけだ!」
アルカトラズ十五世は血を吐きながらも威厳を持って三人の前に立つ。
「お前たちは国を亡ぼす気か! それが望みか!」
三人は固まって動かない。
「見ろ! この無残な姿を!」
三人は辺りを見渡す。
地面が焼き溶けて溶岩となっている。大きなクレーターがあちこちある。
少し遠くを見れば、森の木々が根こそぎなぎ倒されている。
もしもここが都なら、多くの死者が出ていた。もしも農場なら食糧が壊滅し、多くの餓死者が出ていた。
「お前たちに命じる! 迷宮に行ってレイに会ってこい!」
アルカトラズ十五世は俯く三人に言い放つ。
三人は顔を上げない。
「君たちは、自分の力で他人を傷つけると思わなかったのかな?」
ガウスが険しい目で三人を見下ろす。
三人は何も言わない。
「顔を上げろ! 王の御前だ!」
ユリウスは三人の態度を叱りつける。
三人は少しだけ顔を上げる。
「君たちはレイに会うべきだ。そうして心に整理を付けてきなさい」
ゼウスは静かに三人を見つめる。
三人は呆然としながらも少しずつ涙を流す。
「お前ら、俺の名前分かるか?」
バッカスが三人の前に座る。
三人は首を振って知らないと言う。
「冒険者ギルドの長、バッカスだ。俺の教育不足でお前らを危ない目に合わせて、すまなかった」
バッカスは頭を下げて続ける。
「迷宮は楽しかっただろ?」
口調は澄んだ泉のように穏やかだ。
「お前たちは、楽しかった。だからレイに会いたい。ここに居ても詰まらないから。そうだろ?」
三人は迷うように押し黙る。
「迷宮へ行って、レイに会ってこい。そして文句を言ってこい」
「え?」
三人が声を上げる。
「今回の騒動の原因を聞いて、俺は誰が悪いのか分かった! 全員悪い! 何が悪いか! 迷宮に迷い込んで一回も話し合わないなんてダメだろ! 話し合いはしてた? お前たちのやったことは確認! レイの考えを聞いていただけ! 何が心配か? 悩みはあるか? そういうのを吐き出さないとダメなんだ! それで喧嘩した! 結構! お前たちならすぐに仲直りできた! なぜか分かるか!」
三人は首を振る。
「お前たち皆、レイが好きだからだ」
三人がグスグスと泣き出す。
バッカスは足を崩して胡坐になる。
「お前たちは確かに悪い。でも、レイも悪い。だから文句を言ってこい。そして、レイを連れ戻してこい」
バッカスの言葉が青空に溶ける。
「もう一度、レイに会ってきます」
三人は迷宮へ行くことを公言した。
三日後、ぐっすりと休んだ三人は装備を整えて再度、アルカトラズ十五世たちとともに地下三階へ行く。
「この先が地下十一階か」
落とし穴の前でアルカトラズ十五世は体を震わせる。
「お前たちに一つ、助言をしておこう」
落とし穴から下りる前に三人は一度バッカスに振り替える。
「お前たちはある言葉を言っていない。レイにも、仲間にも、誰にも。それが何か、考えながら進め」
三人はよく分かっていないような表情だった。
三人は考えるが、答えは出ない。そうしているうちに落とし穴が閉じ始める。
「行ってきます」
三人はアルカトラズ十五世たちに挨拶すると、落とし穴から地下十一階へ下りた。
「やっと面倒が消えた」
アルカトラズ十五世は盛大にため息を吐いた。
「しかし、まだまだ三人の間にしこりはありますね。私たちが横やりを入れた形ですから、当然と言えば当然ですが」
ガウスは閉じた落とし穴に向かってため息を吐く。
「これ以上あいつらに構ってられるか! 殺し合いがしたくなったら勝手に殺しあえ! 俺は知らん!」
アルカトラズ十五世は踵を返す。
「でも、俺たちにも言っていない言葉に気づければ、大丈夫でしょう」
ユリウスは苦笑してアルカトラズ十五世に続く。
「できれば、気づいて欲しいですね」
ガウスも続く。
「気づくと思いますよ。そして喧嘩はしても、もう殺し合いはしないと思います。ねぇ、バッカス」
ゼウスはバッカスに笑いかける。
「奴らは迷宮の達人だ。迷宮で殺し合いをする。それがどんな馬鹿なことか、理解している。だからこそ、あいつらは地下100階で殺し合いをしなかった」
バッカスは落とし穴に背を向けて、自信のある笑みを浮かべる。
「だから大丈夫。あいつらなら気づく。なぜもう一度レイに会いたいのか? 愛とかそんなんじゃない。それよりももっと簡単な、本当の気持ちに」
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