迷宮サバイバル! 地下9999階まで生き残れ!

ねこねこ大好き

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友情と愛情と嫉妬

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「俺はパソコンを取ってくる。すぐに戻る」
「分かった」
 村の前で和解したタケルと別れる。

「さて、可愛いローズたちはいい子にしてるかな?」
 少々重い足取りでローズたちの元へ向かう。

 そしてローズたちが潜伏する小屋の前に立つと深呼吸する。
「入るぞ」
 ガチャリと扉を開ける。

「え?」
 全裸の四人と目が合った。皆さんエロい体をお持ちで。

「ごめん。不可抗力。殴っていいから許して」
「さっさと扉を閉じろ!」
 ローズとチュリップとリリーの華麗な連続技が顔面にぶち当たる。

「ああ……俺は女難の相でもあるのか?」



「改めて、ただいま」
「お帰りなさい」
 マリアに続いて三人が挨拶する。三人は少し緊張した雰囲気で、体が固い。

「……俺の話をする前に、まずは、ローズたちの話を聞きたい」
 三人の顔は思いつめているようにも見えた。
 このまま、タケルについて話しても、心あらずで耳に入らない。

「俺が居ない間に、何かあったのか?」
 三人はチラチラと互いに目配せし合う。俺に視線を合わせようとしない。

 煮え切らない三人に苛立ち始める。
 しかし三人の後ろに居るマリアが、困り顔で人差し指を唇に当てて、静かに、と呟く。
 その姿を見て、三人が喋るのをじっと待つことにした。

「レイは、私たちと結婚したいと思うか?」
「結婚?」
 三人の目は真剣だ。だから目を瞑って、改めて考えてみる。

「ふむ……結婚か。改めて言われると、想像できないな」
 三人の表情が曇る。しかし正直に答えるしかない。

「つくづく、勢い任せだ。冷静に将来設計なんて考えたことも無い。それなのに、お前たちが欲しいか。どの口が言う、だな」
 目を閉じると、自分の浅はかさに涙が出た。

「ごめん」
 三人に頭を下げる。
 謝る以外、どうすればいいのか分からない。

「三人はどうなんだ?」
 三人の目をじっと見つめる。

「私は、考えたことも無かった」
 リリーは口を開くと涙を流す。ローズとチュリップも涙を流す。

 そこから、昨夜の話を聞いた。

 三人とも結婚を真面目に考えてはいなかった。
 しかし離れたくない。

 ローズは居場所が欲しいから離れたくない。
 チュリップは肉欲から離れたくない。
 リリーは俺に依存しているから離れたくない。

「なるほど」
 頷くと頭が痛くなる。

 もしも迷宮の外なら、誰かが叱ってくれた。アドバイスをくれた。
 俺よりも良い男を見つけることができた。

 でもここは違う。
 嫌いでも離れる訳にはいかない。

「俺は誰も好きにならないほうがいいな」

 三人と別れる訳にはいかない。だがこれ以上揉めては先に進むことができない。

 ならば誰も選ばない。外に出てしまえば、この異常な関係も終わる。

「はっきり言うが、俺はもうお前たちと恋愛関係を持つ気はない。気持ちはありがたい。でも先に進むのに邪魔なら、終わりにする」

 三人の肩が落ちる。

「ただ、どんな関係でも、俺はお前たちを見捨てない。前みたいに置いて行ったりしない。約束する」

 言い切ると、ため息が出た。



「お前らしくも無い回答だな」
 突然の声にびっくりして振り返ると、タケルがパソコンを持って苦笑していた。

「タケル!」
 リリーたちが一斉に立ち上がる。

「もう俺はお前たちと戦う気はない。レイを見れば分かるだろ」
 タケルは俺に向かって鼻で笑う。

「そ、そうだ! 皆に言うのが遅れたが、タケルは俺たちの仲間になった! 本当だ!」
 しかしローズたちは警戒心を解かない。マリアなど三人の背中に隠れてしまった。

「気持ちは分かる。だからまずは謝ろう」
 タケルはパソコンを床に置くと、四人に土下座する。

「済まなかった。許してくれ」
 ローズたちから急激に殺気が引く。マリアもこっそり顔を出す。

「最も、近寄られても気分が悪いだろう。だから仲間といっても距離は置く」
 タケルは扉に背中を預け、近づかないという意思を見せる。

「確かにタケルは酷いことをした。だけど理由があった。そして、もう俺たちと戦う気は無い」
 マリアも含めてローズたちはタケルをじっと睨む。タケルはじっと睨み返す。

「……分かった。とりあえず、信用する。ただし、それ以上近づかないで」
 ローズたちは椅子に座りなおして、タケルに吐き捨てる。

「分かっている。それはそれとして、お前たち、中々に強欲だな」
 タケルはパソコンを俺に投げ渡すと、小馬鹿にするように顎を指先で撫でて笑う。

「強欲?」
 リリーたちが目を吊り上げる。

「強欲さ。レイだけじゃなく、ローズならリリーとチュリップ、チュリップならローズとリリー、リリーならローズとチュリップにも好かれたい。そう思っている」
「ん? どういうことだ?」
 タケルの指摘に頭がこんがらがる。

「その様子だと、何回か、レイに誰が好きか問いかけたんだろ? でも答えは出ない。当然だ。なぜならローズたちは、レイだけじゃなく、他の仲間も好きなんだから」
「ん? ん?」

「早い話、ローズたちは、友達を失うことが怖いのさ」



「友達?」
 タケルに復唱する。するとタケルはため息を吐く。

「気づかないレイもダメだな。明るい性格だからだろうが、とにかく、暗い人生ってものを知らないから気づけない。そいつらは、友達に恋人ができることを恐れている。嫌がっている」
「ちょっと待て? 意味が分からないぞ?」
「お前はそうだろう。マリアなら分かるんじゃないか」

「私!」
 三人の背中に隠れていたマリアが飛び出す。

「例えば、友達が知らない相手と仲良くしていると、嫉妬とか寂しさとか感じなかったか? 恋人ができたと言って、予定が合わないと捨てられたと感じなかったか?」
「……あんた私の前世知っているの?」
 マリアには心当たりがあるようだ。

「そいつらが感じているのはそれさ。友達が遠くに行くのが嫌なのさ。だから話が進まない。だから互いに邪魔し合う。レイに対する愛情もあるだろうが、な」
「おいおい? え? ちょっと待て! 俺はよく理解できないんだが!」
「あんまり俺がしゃしゃり出ても仕方ないだろう。ただ、そうだな……」
 タケルはペロリと唇を舐めると、扉を開けて半歩外に出る。

「乱交してみろ。それで全部分かる」

「ちょっと待て! お前はいったい何を言っている!」
 タケルの発言に目が回る。

「ちなみに、レイに聞くが、ローズたちが他の男とやっているところを見て祝福できるか?」
「ふざけたこと言うなぶっ殺すぞ」
 タケルの言葉に頭に血が上る。
 タケルは苦笑しながら扉を閉じる。

 閉じきる前に一言残す。

「お前たちは離れられないんじゃない。離れたくない。それだけの、とてつもなく簡単な話なのさ」

 タケルは笑いながら言った。



「何言ってんだあいつは!」
 ため息を吐くが、そわそわして落ち着かない。

 ローズが他の男に、チュリップが他の男に、リリーが他の男に抱かれる?
 絶対に嫌だ!

 もちろん、愛し合っているなら祝福すべきだ。だけど、受け入れられない光景だ!

「乱交、してみますか?」
 チュリップが舌なめずりしながら皆の顔を見る。

「な、何を言っている! そんなこと許されない!」
 リリーは耳まで真っ赤にしながら立ち上がる。しかしチュリップから後ずさるようなことはしない。

「私、タケルの話なんて右から左だったんですけど、乱交って言葉に凄く興奮したんです! そして、レイだけじゃなくて、リリーとローズと一緒に! その光景を想像すると! 吐き気がするほど興奮しました!」

「お、おかしいよ! そんなのできない!」
 ローズも立ち上がり、チュリップを睨む。

「私もおかしいと思います。あなたたちとキスをする? レイとセックスしている姿を見る? 嫌ですね! なのに凄く濡れているんです!」
 チュリップは服を脱ぎ捨てて全裸になる!

「わ、私お邪魔みたいね! 出て行くからゆっくりしていってね!」
 マリアは転がりながら扉を突き破る勢いで出て行った。
 残ったのは、俺たち四人だけだった。

「すっごく濡れてる! 見えます?」
 チュリップは指先で雫を掬い取ると、それを口に入れる。

「あら、美味しい」
 チュリップと目が合う。

「あら! レイは、もう止まらないようですね」
 気づくと俺はチュリップの背後に迫っていた。

「ふふ……勝負して見ませんか? 誰が一番、レイから搾り取れるか?」
 チュリップの妖艶な笑顔と向き合った瞬間、頭の血管がぶちぶちと引きちぎれた。



 レイはチュリップを抱きしめると、もう片方の腕でローズとリリーを抱き寄せる。
「もう限界だ!」
 レイは狂ったように息を荒げる。

「俺は! 俺はとてつもなく我慢してきた! お前たちとセックスしたくて堪らなかった! でもそれはいけないことだと自分を律してきた! だけど我慢の限界だ! お前たちが他の男に抱かれるなんて絶対に嫌だ!」
「れ、レイ! 落ち着いて! ね!」
 ローズは腕の中で、興奮するレイに笑いかける。

「お、落ち着けねえ! もう無理だ!」
 レイはローズの服を脱がせにかかる。

「れ、レイ! 落ち着いて」
 ローズは必死に口で抵抗する。レイの腕は抑えない。

「リリーも脱がせてやる!」
 レイはローズを脱がせると、続いてリリーも脱がせる。

「ま、待て! 止めろ! こんなことしてはいけない! 私たちはチームだ!」
 リリーはレイから顔を背けて、腕で服を抑える。その力は弱弱しく、猛獣よりも強い腕力のレイに簡単にはぎ取られる。

「ああ……ローズってこんなに可愛いんですね」
 チュリップはローズを背中から抱きしめて、両手で小ぶりな乳房やお腹を愛撫する。

「ちゅ、チュリップ! や、止めて!」
 ローズは体をビクビクさせながらチュリップの腕を抑える。

「止めていいの? こんなに濡れているのに」
 チュリップは指先にねっとりと糸を引くほど絡みついた液体を、ローズの前に見せる。

「ああ! 私! とっても興奮してる!」

「チュリップ! 待て! ローズもお前も俺の物だ! 俺が先に犯す!」

 レイは裸のローズ、リリー、チュリップをテーブルの上に並べ、己の服を引きちぎる。

「俺はもう我慢できない! お前たちは全員! 俺の物だ!」

 ローズの足を掴み、広げる。

「まずは、ローズだ! 初めての相手だ! ああ! なんて可愛いんだ!」

「れ、レイ……」

 レイがローズに覆いかぶさると、獣のような喘ぎ声が、小屋の外まで響く。

「次はチュリップだ!」

「あは! ダメ! 最高! 何でこんなに興奮するの!」

 チュリップは涙と涎を垂らしてレイに抱き着く。

「リリー!」

「ま、待て……戻れなくなる……私たちは異常者になってしまう」

 レイはリリーの話など聞かず、一気に唇を奪う。



「……なんかとんでもないことになっちゃったなー」
 星空で松明が必要ないほど明るい夜の中、村の外れでマリアは丸太の上に座ってため息を吐く。

「何やってんだお前? レイたちに交じってないのか」
 マリアは後ろからタケルに声をかけられると、即座に飛びのく。

「怯えるな。ほら、これでも飲むか」
 タケルはワインを片手に上げる。

「……貰う」
 タケルはマリアにワインのボトルを投げる。マリアはそれをパシンと受け取る。

 夜空の中、タケルはマリアから離れた大木に背中を預けた状態で煙草とワインを嗜む。

「あんた、何でローズたちがバイセクシャルだって気づいたの?」
 マリアは丸太に座った状態でワインをラッパ飲みする。

「ローズたちはバイセクシャルじゃない。普通の性癖だ」

「じゃ何で乱交なんか?」

「特別に仲がいいからさ。お互いに信頼しきっている。そういう関係だと乱交も受け入れられる」

「うーん。あまり想像できない」

「あまり気にするな」

「特別な関係か」

「そういうことだ。ちなみに、お前が願えば、あいつらはお前を受け入れる」

「私も!」

「俺は無理だ。敵だったし、何よりレイに殺される」

「それは知ってる。でも私も?」

「俺の話を信じるかは、お前の勝手だ」

 タケルはぐびぐびとワインを飲み進める。

 マリアはレイたちが居る小屋に目を向ける。

「……性欲と心は別かもね」



「ローズ! ローズ!」
「レイ! レイ!」
 獣のようにレイとローズは重なる。

「ちゅ……ちゅ」
 チュリップは腰砕けのリリーに唇を合わせる。

 その日は、朝を迎えても暑い日であった。
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