迷宮サバイバル! 地下9999階まで生き残れ!

ねこねこ大好き

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旅路の真相

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 サタンが作り出した風穴を通って地下9999階に戻る。
「しかし……これが全王の力か」
 戻る途中で己の手を見る。真っ白で死人の様だ。
 しかし漲る力は以前と比べ物にならない。
 まぎれもなく最強の力だ。
「最も、サタンに逃げられちまったんだから、こけおどしだ」
 頭が痛い。それでも顔を上げるしかない。

「どうやって地上に出るか、方法を見つけないと」
 その答えはルシーたちが知っているはずだ。



「レイ!」
 戻るとローズたちが駆け寄る。

「す、凄いな」
 リリーが手に触ると呻く。

「生物として、もはや格が違う」
 タケルがため息交じりにじろじろ見る。

「ぜ、全王に似てるけど、レイだとかっこいいかも」
 マリアは顔を赤くする。

 どうもサタンが去って気が抜けてしまったようだ。張り詰めたままだったから気持ちは分かるが。

「褒めるのは止めろ。こんな力が欲しくてここまで来たんじゃねえ」
 野次馬をどかしてルシーの前に立つ。

「どうやったら外に出られる?」
「そうなるよね」
 ルシーは暗い顔でため息を吐く。

「結論を言う前に、なぜサタンがレイを地下9999階まで呼んだのか話そう。時間操作しているから、それくらいの時間はある」
 ルシーの目に頷く。



「サタンという存在は知っているね」
 ルシーの言葉に、チュリップとタケルたちが頷く。

「サタンは神が最初に作った存在にして、無限にある平行世界をひっくるめても一人しか居ない唯一の存在だ」
「どういうことだ?」

「ちょっと難しい話をするけど、僕はこの世界ではルシーという名前だ。だけどタケルたちが居た異世界ではルシファーと呼ばれる存在だ」
「堕天使ルシファー! お前が!」
 タケルたちフロアマスターが目の色を変えるが、ルシーは首を横に振る。

「それは平行世界の僕の話。似ているけど違う存在。まあ、そっくりさんとでも思ってくれればいい」
 ルシーは言葉を一度区切る。

「僕だけでなく、ベルやアス、レイ、チュリップ、リリー、ローズ、タケル、マリア、ジュン、マリク、マイコ、フロアマスターたちも異世界にそっくりさんが居る。別の可能性とでも言うべきか。このように、異世界にはそっくりさんがたくさん居る。ただ一人、サタンを除いて」
「それが唯一の存在という意味か」

「その通り。奴は数多の神や天使を作り出した唯一神と同じく唯一の存在。神に最も近い存在で、神の後継者を騙る悪だ」
「なるほど。サタン、別名神の敵対者。この地下9999階はサタンを封じるための場所だった」
 チュリップが呟く。

「そうだ。遥か昔、サタンと神だけが存在する時、サタンは神に反逆した。神はサタンを返り討ちにし、この永久凍土の世界に封印した。しかしサタンは虎視眈々と封印を抜け出す方法を考えた。それが、神の呪いを身代わりに移す方法だ」
「レイは身代わりに選ばれた。身代わりとなりえる強さを持たせるために戦わされた」
 チュリップの言葉にルシーは頷く。

「サタンはレイたちが住む故郷へ抜け出した。そこから人間として、神に戦いを挑む。それがサタンの計画であり、今、遂行された」
 ルシーの言葉にため息が出る。

 そんな下らねえことのために、俺たちは振り回されたのか!



「なぜレイなの? レイ以外にも適切な人は居たと思うけど?」
 ローズがじっとルシーを睨む。ルシーはため息を吐く。

「その前に、昔話をする」
 ルシーはバツが悪そうに鼻を掻く。

「僕やベル、アスは元々レイたちが居た天界の天使だ。タケルたちが想像するルシファーと同じ。そして僕たちは昔、サタンに戦いを挑んだ」
「何で」
 ローズの語尾が強まる。

「僕たちには仲間が居たんだ。そいつらが気に食わなくてね。そいつらが居なくても大丈夫と神に示すため、サタンに戦いを挑んだ」
「結果、返り討ちにあった」
 リリーのこめかみがぴくぴく動く。

「その通り。そしてレイたちの世界が脅威にさらされた原因でもある。僕たちはサタンの封印を少しだけ解いてしまった。そうしないと戦えないからね」
 ルシーは許してくれと言いたげに声を落とす。

「話を続ける。僕たちはサタンの封印を解いてしまった。そして僕たちはサタンに取り込まれた。サタンは僕たちに神を殺すための足場を作るように命じた」
「それがこの迷宮か」

「そう。そしてある程度できたところで、神の怒りで土を被せられた。それがレイたちが住む地上となった」
 ルシーは唾を飲みこむ。

「僕たちは迷宮に封じ込められた。そして神の呪いで地上に出られなくなった。だけどサタンは諦めない。そこで分身を一つ作り出し、迷宮の外へ送った。レイのご先祖だ」
「俺の先祖がサタンだと!」
 ひっくり返りそうになるが踏ん張る。

「僕自身信じられなかった。分身とはいえ元はサタンだ。消滅したと思った。地上の様子は分からないから、確認する術も無かった。だけどレイの記憶や体質を見て確信した。レイは紛れもなく、サタンの血を引いている」
「レイのフルネームは、レイ・サータ。なるほど、苗字がサタンと似ていますね」
 チュリップは頷く。

「どんな理由で分身が生き残ったのか、なぜ子供を作ったのか分からない。分かるのは、レイがサタンの血を引いている。サタンと同じ強さに成れる。その確信があったからこそ、レイはここまで来たし、来れた」
「偶然に頼り過ぎな計画だ。レイがここに来るとは限らない」
 タケルが鼻で笑う。ルシーも鼻で笑う。

「まあね。言い訳をすると、レイたちが地下十一階で食べた食べ物に秘密がある。あれを食べると下級天使と同じ強さになる。副作用は強烈でまず死ぬけど、死ななければサタンと同じ強さに成れる可能性が出て来る。計画はそんな感じ。それでも杜撰なのは認めるよ」

「なるほど。私たちは死にかけて、レイが耐えれたのはそれが原因。レイは先祖がえりを起こした」
「私たちは看護の過程でレイの体液を貰ったから、私たちも生き残ることができた」
 チュリップとリリーが軽く首を振る。



「サタンの計画と俺が呼び出された理由は分かった。これまでの道のりの意味も。だから教えてくれ。どうやったら外に出られる」
「結論を言えば不可能だ」
 ルシーは真顔で答える。

「サタンは強い。しかし神の呪いはそれ以上に強い。あのサタンがあの手この手と策を練ったのがいい証拠だ」
「しかし」

「変わり身は考えないほうが良い。サタンすら封じる呪いだ。僕でも一瞬で消滅する。その結果、呪いは再びレイに戻ってくる」
「……別の方法は無いか?」

「あればすでにサタンは実行している」
 重苦しい沈黙が訪れる。

「どうやってサタンの分身は外に出たんだろ?」
 フロアマスターの一人が暢気に呟いた。
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