クラス転移したら追い出されたので神の声でモンスターと仲良くします

ねこねこ大好き

文字の大きさ
10 / 73
商人と仲良く成ろう!

商人バードとの出会い

しおりを挟む
 のっしのっしときな子の背中に乗って、オオカミの森を散歩する。
「のろのろ」
 膝の上でスラ子が微睡む。
「日差しも時には心地よい」
 背中で赤子さんが欠伸をする。
「平和だ」
 温かい日差しの下だと欠伸が止まらない。



「野菜が食べたい。調味料が欲しい」
 お昼に焼いた肉をかじっていると声が出る。

「不味いのか?」
 きな子が不安げに尋ねる。

「美味しいよ。ただ、ちょっと食べ飽きたなって」
「そうか……」
 残念そうなきな子の体を撫でる。

「味か。私は血しか飲まないから何もできないな」
「味、分からない」
 赤子さんとスラ子がダラリと体を乗せて来る。

「大丈夫ですよ。自分で何とかしますから」
 言いながらもどうしようか悩む。

「町に行ってみるしかないか」
 生活を向上させるなら、人間の助けが居る。
 クラスメイトを嫌って城下に近づこうとしなかったけど、そんなことを言っていたら始まらない。

「皆には助けてもらってばかりで恩返しもしたいし、勇気を出そう」
 きな子、赤子さん、スラ子にはお世話になってばかりだ。
 ここでかっこつけたい。



 お昼を食べて再びオオカミの森を散歩する。
「喧しい声が聞こえるな」
 赤子さんの気配が刺々しくなる。

「どうしました?」
「人間が泣いている」
 きな子は立ち止まると耳をパタパタ動かす。

「行ってもいいか?」
「どうぞ」



「くそ……いてえ……」
 森を抜けると草原が広がる。そして転倒した荷車と下敷きになった男の人が見える。

「大変だ! 助けよう!」
「私が行くと怖がられる」
 耳がしなしなと倒れる。

「僕が話しますから! 早く行きましょう!」
 きな子を急かして荷車まで行く。

「大丈夫ですか!」
「た、たすけてくれ」
 きな子の目を見て、頷きあう。

 きな子が荷車を咥え、僕が男の人の肩を持つ。そして一気に引き上げる。
「胸が……」
 無事男の人を助けることができた。



「大丈夫ですか」
 木陰に男の人を座らせる。
「命は大丈夫だが、肋骨にヒビが入ったようだ」
 男の人は青い顔で荷車を見る。

「荷車も壊れた。これじゃあ荷物が運べねえ」
「僕が運ぶのを手伝います」

「本当かい! 助かったぜ!」
 安請け合いしたら満面の笑みになった。良いけど調子のよい人だ。

「俺はバード。お前は?」
「僕はゼロと言います」

「ゼロ! 良い名だ! 今日から俺たちは親友だ!」
 本当に調子の良い人だ。笑顔が似合うだけに質が悪い。

「ところで、お前さん一人か? なんかデカい化け物が居た気がする?」
「ええと、僕一人です」
 きな子は騒ぎを大きくしたくないと森へ帰った。赤子さんは下等生物と接したくないと僕の影に隠れた。スラ子は男の人を警戒してか、液状になって僕のポケットに収まっている。

「ちっこい体で良く助けられたな」
「こう見えてもちょっとは力があります」
「そいつは心強い。肩を貸してくれ」
 肩を貸して荷車のところへ行く。

「車軸が腐ってる。買い替えときゃ良かった」
 盛大なため息を吐く。

「まあ、幸い荷物は無事だ。悪いが拾ってくれ」
「分かりました」
 大きな樽を掴む。

「赤子さん、手伝ってください」
「いつもより血を飲ませろ」
「分かってます」
 影の中に隠れる赤子さんの力を借りて樽を持ち上げる。

「凄い力だ!」
「言ったでしょ」
 笑って誤魔化し、さらに一つ持ち上げる。

「ありがとよ! ついて来てくれ!」
 よろよろとふらつく足取りを追う。

「肩貸しましょうか?」
「さすがにそこまでは言わねえよ。お前は荷物の心配をしてくれ。俺の生活がかかっているからな」
 バードさんは気丈に笑って進む。

「強いな」
 その姿がとても頼もしく見えた。



「ここだ!」
 夜になっても歩き、行きついたのは大きな屋敷だった。

「ちょっと待っててくれ」
 ガツンガツンと戸を叩く。

「どちら様ですか?」
「バードだ。約束の品を届けに来た」
「バード様ですか」
 戸が開き、真っ白な髪と髭を蓄えた執事が現れる。

「このような夜分にわざわざ?」
「一刻も早く届けたくてね!」
 バードさんの笑みを受けて、執事は苦笑する。

「次からは朝に来てください」
「分かった!」

「……ふう。旦那様をお呼びします。上がってください」



「ほう……無理難題を言って突き放したが、本当に持ってくるとは思わなかった」
 旦那さんは玄関で樽を開けると微笑む。

「俺は旦那の一番の親友ですからね! 無理難題なんて朝飯前です!」
「ならば今日は朝飯を食えなかっただろ」
 バードさんと旦那さんは笑いあう。

「石や砂で誤魔化していないな」
 樽の底まで手を突っ込んで確かめる。臭いからして胡椒か?

「よく見つけてきたな」
「手間かかりました。頭なんて地面と友達に成るくらいくっつけました」
「ふん。どこまで本当か」
 旦那さんが手を叩くと、執事が拳大の袋を持ってくる。

「とにかく、良く届けた。色を付けて渡してやる」
「ありがとうございます! じゃあ夜も遅いんでこれで失礼します!」
「二度と来るな」
 バードさんは旦那さんと軽口を叩きながら外へ出た。



「仲が良いんですね」
「仲良くなるために頑張ったからな。商人は友達作りが上手くないとできねえよ」
 辛そうだったので肩を貸しながら、夜道をのんびり歩く。

「俺の家に寄って行かねえか?」
「良いんですか?」

「良いに決まってる! 友達だろ!」
 騒がしい友人ができた。

 とても嬉しかった。
しおりを挟む
感想 166

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

追放王子の気ままなクラフト旅

九頭七尾
ファンタジー
前世の記憶を持って生まれたロデス王国の第五王子、セリウス。赤子時代から魔法にのめり込んだ彼は、前世の知識を活かしながら便利な魔道具を次々と作り出していた。しかしそんな彼の存在を脅威に感じた兄の謀略で、僅か十歳のときに王宮から追放されてしまう。「むしろありがたい。世界中をのんびり旅しよう」お陰で自由の身になったセリウスは、様々な魔道具をクラフトしながら気ままな旅を満喫するのだった。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

処理中です...