彼女の周りは敵だらけなので無意味と思われた固有スキルを使い殺していく

絵樹瑠

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決意

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(なんでみんな助けにいかないんだよ…)

 レイは心のなかで思った。けれど理由はもうすでにわかっている。

(リリィが吸血鬼だから……?)

 吸血鬼。血を吸う化け物。リリィがたとえ本当に吸血鬼でもいいと思った。そんなことは些細な問題だしそれにリリィは人を傷つけたり、怪我を見るのが嫌な心の優しい少女だった。

(誰も助けにいかないのなら俺一人ででもいってやる!)

 誰も助けにいかないのなら自分だけででも助けると決めた。彼女を拒絶する周りが許せないと思った。いや、憎悪さえわいて出てきた。 

「近くに馬車がないから森の中で潜伏中だろうな。誰かと取引するのならおそらく殺しはしてないと思う。潜伏期間は1、2日程度だろう。とはいえ諦めるしかなさそうだな……」
 父親はそう言いながら立ち上がった。おそらく村の人達に説明しに行くのだろう。
 レイは父親からは部屋にいなさいと言われたので大人しいく従っているように見るよう心がけて部屋に戻った。部屋に戻り、ベットに腰かけながら考える。どうすればリリィを助けれるかを。
 まず自分の持っているスキルを確認する。

「ステータスオープン」

 そう唱えるとレイの前に青色のステータスプレートが表示された。文字はオープンした本人しかみれない。とりあえずレイはスキルを見ていく。


NS(ノーマルスキル) 

魔力操作:体内の魔力の流れを操れる

身体強化:魔力操作で身体能力などを強化できる

RS(レアスキル)

並列思考:処理能力が2つに分散され負担が減り、2つの物事を考えることが出来る。別の属性の魔法を同時に発動できたりなども出来る。


SRS(スーパーレアスキル)

怨者(NEW!):負の感情の高まりに制限がなくなる


固有スキル

思念転送:相手の感情がわかったり、自分の感情を飛ばすことができる。特定するとその相手の感情だけを読み取ることも可能。

リンク:繋げることが出来る。



「ん?新しいスキルが手に入っているな」

 新しく手に入ったスキルがひとつだけあった。スキルは行動や感情、鍛練などで新しく獲得できる。おそらくリリィに対する理不尽な仕打ちのせいで怒ったのが原因だろう。しかしそれだけで何故取得出来たかがわからない。スキルはレア度が高いほど難易度が上がるのだ。

(いや、そんなこと気にしてる時間はない。それにこのスキルがあれば……)

 レイは新しく手に入ったスキルを見て喜んだ。

(これなら、リリィを守るためだったら誰にも負けない)

 そして前から思っていた思念転送の使い方を試してみる。

「感情がわかるなら、それをたどっていけば敵の居場所もわかるんじゃないか?」

 固有スキルを発動し範囲を拡げていく。すると、村の人々の感情がレイに流れ込んできた。

「ぐぅっ!?」

 何十人もの感情が一気に流れ込んできたせいでレイは頭痛や吐き気がしてきた。範囲を拡げると当然入ってくる数も増える。それにともなって負担も増える。役にたたないと思っていた理由はこれだ。

(だがリリィを助けに行く方法はこれしかない!)

 レイは広範囲を索敵するスキルを持っていない。故にこのスキルに頼るしかなかった。並列思考も使って負担を減らしながら再度範囲を拡げていった。村から森に全方位にまんべんなく範囲を広げていく。すると村から12キロ離れたところで、複数の反応があった。おそらくこいつらがそうだろ。

(っ、一人だけ怯え、もしくは諦めの感情がある……)

 それがリリィだとすぐにわかった。今すぐに安心させたいと思ったが、まだ助けてないのにそうさせるのは違うと思った。

(身体強化で8分か……)

 リリィ以外の感情をカットしてレイは家の窓から飛び出した。父親は家にいないはずだが念のために窓から出たのだ。
 森の中に入ってしばらく走っていると、狼系の黒い毛をはやした魔物、ブラックウルフ群れがレイを囲みながら並走してきた。 

「失せろ」

 レイはそう呟きながら思念転送を発動してブラックの群れを睨んだ。するとブラックウルフ達はキャウンと怯えなが逃げていった。目が会ったブラックウルフは気絶して木にぶつかっているのもいた。ブラックウルフが逃げていきのを見たレイは

(この使い方は便利かもしれないな……)

 と、走りながら思っていた。

(あの頃に約束したもんな……)

 昔リリィと交わした約束を思い出しながら……

(絶対に助けてやるからなリリィ!)

 レイはそう決意した。
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