彼女の周りは敵だらけなので無意味と思われた固有スキルを使い殺していく

絵樹瑠

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焦り

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「……ィ…おいレイ!」

「……?」

 レイは自分を呼ぶ声に気がつき目を開けた。自分を呼んでいたのはどうやらお父さんだったらしい。

「レイ!大丈夫か?どこか痛いところはないか?それにリリィはどうした?」

「?なんでお父さんがここに?あれ?ここ家のなかだ……」

「遅くなっても帰ってこないから心配して探しに行ったんだ。そしたら村の人があっちにいたよ、と指差した方向を探していたら洞窟を見つけてな。その中でお前が倒れていたから急いで家に運んできた。あとリリィは?一緒に隠れていたんじゃないのか?」

「リリィ?一緒にいたよ……?……っ!」

 レイは寝ていたせいか頭が回っていないようだった。だがリリィのことを聞いて完全に目が覚めた。最後に聞いた男の声も思い出した。

「父さん!俺意識がなくなる前に男の声を聞いたんだ!多分そいつがリリィを拐ったんだよ!」

 レイは父親に何があったのかすべて話した。父親が話終わったころにレイの胸ポケットを見つめていた。少し膨らんでるように見えたからだ。

「レイ。胸ポケットになにか入っていないか?」

「え?確かに違和感はあるけど…」

 レイはそう言いながら胸ポケットの中を見た。紙が入っていた。取り出してみるとそこにはメッセージが書いてあった。

『 吸血鬼の少女はもらう。
 死にたくなければ我々に対する余計な詮索はするな。』

 そこにはリリィを探すな、来れば殺すと書いてあった。レイよりも大人達に向けて書いたものだとわかる。それよりも気になる点があった。

「吸…血…鬼……?」

 レイはその書いてある単語に疑問をいだいた。リリィは人間のはずだ。人間ではない、ましてや吸血鬼などと何を言っているんだ?と思ったが、よくよく考えてみれば共通点があったはずだ。赤色の目に少女らしからぬ身体能力、さらに異様に鋭い勘。しかし共通点があったにも関わらずそう思わなかったのは、吸血鬼がこんなところにいるはずがない、何より彼女の髪色は少し青がかった銀髪だ。吸血鬼は金髪赤眼と決まっていた。しかしリリィが特殊な分類にはいるのなら納得できる。

「……やはりリリィは吸血鬼だったか…」

「!?お父さんは気がついていたの!?」

 いつも一緒にいたよ自分が気づかなかったのに父親が気づいてたことを知って、レイは驚きの声をあげた。

「薄々な…全種族でも共通で、稀に全く違う種族に見える子供が生まれることがある。リリィもそうだったんだろう。そんなわけないかと思っていたが…どうやらそうだったらしい」

 初めて聞く世界の常識にレイは驚いた。そんなことは知らなかった。けどリリィが拐われた以上それしかあり得ない。おそらく、種族を看破するスキルか魔道具を持っていたのだろう。

「そして容姿だけが違うというわけでもない。能力やスキルだけが違うときもある。おそらくレイ、お前も……いやなんでもない」

「?」

 レイは父親が何を言いかけたのかがわからなかった。

(俺も……?いやそんなはずはない。確かに普通の子供より強いかもしれないが、特殊とは違う。それに持ってない人が多いは固有スキル持っているけど、あの2つはあまり使い物にならない)

 疑問をいだいたがすぐに違うと思い、頭を横にふって思考のを切り替えた。

(それよりもリリィをはやく助けないと!)

  そう思い父親のほうを見たが申し訳なさそうな顔を見てどうしたんだろうと思った。それと同時に嫌な予感がしてきた。

「まさか吸血鬼だから助けないの!?種族何て関係ない、リリィを助けにいこう!」

「……すまんレイ、少女とはいえ吸血鬼を拐える連中だ。おそらく俺達が行ったところで殺されるだけだ」

「じゃあ見捨てるの!?」

「ここは王都や近くの町からも離れており、冒険者ギルドに連絡してもすぐにはこれない。しかも助ける相手が吸血鬼となれば誰もいかないだろう……」

 レイは焦った。確かに吸血鬼は畏れられ、また嫌悪されていた。血を吸う習性があったのも原因の一つかもしれない。けれどリリィを助けないといけない。リリィは友達であり、いつも一緒に遊んでいたこともあるが、レイはリリィに好意を抱いていた。恥ずかしくて本人どころか周りにも言っていなかった。そして、もう会えなくなると思うと胸が締め付けられ、涙がでそうになる。
 嫌だ会えなくなるのは。また会いたい。いつものように笑いあったり、遊んだりしてそばいにいたいとレイは思った。だけど誰も助けにいかない。

 その世の中の理不尽や………
 彼女に向けられ感情や…………
 拐った男達にたいして …………………

 レイのなかで黒いの感情が芽生え始めていた。

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