彼女の周りは敵だらけなので無意味と思われた固有スキルを使い殺していく

絵樹瑠

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事件

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「こっちに隠れよ!」

「そんなにひっぱらないで……」

 王都から離れた森の中にある小さな村で一人の少年が少女の腕を引っ張りながら走っていた。その会話を聞くと少女が嫌がっているように聞こえるが、周りの大人達はその様子を温かく見守っていた。何故なら、その少女の無表情ながらもどこか嬉しそうに笑っている顔つきと、いつも見慣れていた光景ということが理由だった。
 少女の顔は子供ながらも綺麗に整っており、透きとおるような少し青がかった銀髪と赤色の目が、その容姿を最大限に引き立てていた。少年の顔は平凡で、カッコいいと呼ばれるほど形は整っていない。普通は可愛い少女といっしょにいれば文句などを言われそうだが、その性格は無邪気で、それにどこか優しげな雰囲気のせいか嫉妬されることはなかった。

「あっちにいい隠れ場所があるんだ!」

 どうやら今日は村の他数人の子供達とかくれんぼをしているようだった。森に少し入った所にいい隠れ場があるらしい。

「おーい、レイ、リリィ、あんまり遠くに行くなよー。最近は森の様子がおかしいからなー」

 森の中に入ろうかとしたのを見た村の人が心配してかそう呼び掛けた。レイと呼ばれた少年はわかってるよーと言いたげな顔をしたあと、リリィと呼ばれた少女と一緒に森のなかに入っていった。森の様子がおかしいと言う理由は最近魔物が普段よりも多いからだ。増えたのはゴブリンやコボルトなど弱い魔物ばかりだから被害は出ていない。村には人が大勢とまではいかないが、それなりに人はいるので村の中には臆病なゴブリンなどは滅多に入ってこない。
 
「ほらここ!」

「洞窟……?」

 レイが指差した先には木々に隠れている高さ2メートルほどの洞窟はあった。周りには草も伸びきっており、注意してみなければ気づかないだろう。

「前ここら辺で遊んでこけたときに見つけたんだ」

「こけたんだ……」

 リリィはレイをジト目で見いながらそう言った。それに対してレイは一瞬たじろいたものの、そのあとただではこけない男だ~とかなんとか言いはなった。

 「?……」

「?どうした?」

 リリィが洞窟を見て首を傾げていたので、不思議そうにレイが聞いた。

「なかになにかいるような……」

 昔からリリィは勘が鋭かった。何故かはわからないが、村のみんなから、彼女にはなにか人間とは別のの力があるのではないのかとも思われていた。だが幼い少女が索敵スキルを持っていると思えなかった。また少女の可愛さもあり、特になにも言われていなかった。

「え、なかに誰かいるの?」

「魔物かも……」

「魔物!?じゃあ俺たちでやっつけよう!」

 レイは村の中の子供達のなかでもずば抜けた運動神経があった。しかも12才なのに魔力操作が得意で 、身体強化も使えていた。リリィも負けず劣らずの強さであった。
 リリィは頷き、レイと共に洞窟の中の入っていった。
 なかを進んでいくと異臭がしてきたので、おもわず二人は顔をしかめた。それでも進んでいくと二体のゴブリンが床に転がっていた。

 「あ、いたけど死んでない?」

 「……?」

「仲間割れかな?いや、それだとここでする理由がない」

 レイはなにか引っかかるような気がして思考に没頭する。なにか手がかりはないかと死体を見た。

「傷が切り傷になっているような……」
 
 隣からリリィが言った。彼女もなにかおかしいと思っていたみたいだ。

(誰かに倒された?血がここにたまっていることは、ここに追いつめられてやられた可能性がある。なんのために?素材の剥ぎ取りもされていない)
 
 普通は倒した魔物の剥ぎ取りはする。何故なら商人や冒険者ギルドに持っていくと買い取ってもらえるからだ。
そこでレイはある可能性に気がついた。

「だれかをはめるための罠か……?」



「正解だガキ」


 そんなことばが聞こえた瞬間にレイの意識は無くなった。
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