【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音

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罪を知る

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わたしは、彼女…現在のオーロラに気付かれない様に注意しつつ、
勉強室で、白い竜の本が無いかと探した。
簡単な絵本の様な物をみつけ、
わたしはそれをこっそりと部屋に持ち帰り、読んだ。
それは、草創の物語りで、ウィバーミルズ王国の成り立ちの話だった。

争いが長く続く時代…水の騎士は白竜ノアシエルと出会い、
争いを終息させる為、力を貸して欲しいと頼み、ノアシエルの加護を得た。
水の騎士はノアシエルの力と、民を味方に、戦いに勝利する。
争っていた地を一つに纏め、国とし、水の騎士は初代王となった。
ノアシエルは守護竜となり国を見守ると、新王に誓いを立てた。
再び国が乱れた時には、国を滅ぼすか、真の王に力を貸すと。
以来、ウィバーミルズ王国は、争いの無い、豊かな国となった___


「この竜は、ノアシエル様なのね!国の守護竜!知らなかったわ!」

わたしはハンカチの刺繍を掲げ、声を上げた。
王都には至る処で竜の模様を見るし、王家の紋章にも竜の姿はあったが、
ここまで詳しくは知らなかった。てっきり、皆は竜が好きなのだと思っていた。

「戦いが終わった後も、国を見守り、守護して下さっているなんて!
ノアシエル様は、なんて優しくて寛大な竜なのかしら!
今まで知らずにいたなんて、ノアシエル様に失礼だわ!
今日から夜のお祈りに、ノアシエル様を加える事を誓うわ!」

わたしはそれからすっかり、国の守護竜ノアシエルの崇拝者となっていた。
ノアシエルの本や文献を探し、漁り、読み…
ウィリアムのハンカチの刺繍を手本に、刺繍を始めた。
ウィリアムに渡したいと思いながら、丁寧に刺した。

エバと入れ換わり、辛く泣くだけだった日々が、
あの日、ウィリアムと会った事で、すっかり一変してしまった。
勿論、辛くて悲しい事も多いが、そんな時はウィリアムの言葉を思い出した。

『強くならなきゃいけないよ』
『寂しいなら、僕が友人になってあげるよ』
『頑張ったら、魔法を教えてあげるよ』
『大丈夫、頑張れば魔力は強くなる、君次第だよ、エバ』

ウィリアムの言葉はわたしに希望と力をくれた。

そうだわ、泣いてちゃ駄目よ!強くならなくては!
頑張って、頑張って、今までの償いをするの!
そして、元の姿に戻して貰うのよ!!

そうしたら、わたしは、あの方の…
ウィリアム様の婚約者に、戻れるんだわ___!!


◇◇


あれから一月程して、再びウィリアムがモラレス家を訪れた。

朝、使用人たちの噂で、『ウィリアムが来る』と盗み聞いてから、
わたしはずっと、そわそわしていた。
だが、噂通りに、ウィリアムの乗った馬車が屋敷に着いても…
来客の前に、下働きの使用人、小間使いが姿を見せる事は許されず、
わたしは陰ながら眺めるしかなく、彼も当然、気付いた様子は無かった。

きっと、わたしの事は忘れてしまってるわ…と、諦めつつも、
わたしの足は、彼と会った場所へ向かっていた。

庭の外れ、その隅に座って、わたしはハンカチを握りしめ、刺繍を眺めていた。
これは、わたしが刺した物だ。
ウィリアムの綺麗で質の良いハンカチとは違い、
ただの布切れにしか見えない、安物のハンカチだ。
オーロラだった頃には、とても人が使うものでは無いと、軽蔑さえしただろう…

「駄目だわ!こんな物、とても渡せないわ…」

素直に借りた物を返した方が良い。
だけど、どうしても、彼に『これ』を見て欲しかった。
わたしが初めて、時間を掛け、心を込めて刺した、ノアシエルの刺繍を…

「ああ、どうか、力をお貸し下さい、ノアシエル様!!」

わたしが叫んだ時、「ぷっ」と笑い声が聞こえ、わたしは息を飲んだ。
そっと立ち上がり、仕切りから覗くと、目にも眩しい、ウィリアムの姿があった。
だが、そのウィリアムは、口元を手で覆い、笑っている。

「ウィリアム様!?」

「ああ、すまない、まさか、こんな所で、
ノアシエルに加護を求めている人がいるとは思わなくてね…」

ウィリアムは言いながらも、まだ肩を揺らしている。
わたしは聞かれた事で、少し恥ずかしくもあり、必要以上に畏まった。

「そ、それは、その…先日はお見苦しい所をお見せしてしまい、
大変申し訳無く思っており…」

「今日は元気そうだね」

ウィリアムが言い、わたしは力強く頷いた。

「は、はい!ウィリアム様のお陰ですわ!
ウィリアム様のお言葉に、どれだけ励まされているか…!
とても全ては申し上げられない程です!それで、お礼にと思い、これを…」

わたしは頭を下げ、ズイっと、持っていたハンカチを差し出した。

「ありがとう」

ウィリアムはそれをすんなりと受け取ってくれた。
なんて優しい人なのだろう!
わたし…以前のオーロラであれば、嫌な顔をし跳ね付けている所だ。
感動するわたしの前で、彼は刺繍に目を落とし、じっと眺めていた。

「…この刺繍は、君が?」

「はい!ウィリアム様のハンカチの刺繍が、とても素敵でしたので、
同じ物を作りたくて、頑張りました!」

わたしが答えると、ウィリアムが「ぷっ」と小さく吹いた。
わたしは急に不安になった。

「あの、駄目でしたか?似ておりませんか?下手でしたでしょうか?
この様なものは、恥ずかしくて使って頂けませんか?」

「待って、刺繍を笑ったんじゃないから。
ただ、君があまりに素直で純粋で…君はとても、いい子だね」

ウィリアムが言葉を選んでいるのが分かった。
もしかして、子供っぽいと言いたいのだろうか?
オーロラだった頃も、わたしは周囲から『子供っぽい』と言われていた。

「刺繍はとても上手だよ、驚いた、大切に使わせて貰うよ」

ウィリアムの言葉がうれしくて、わたしは先の事も忘れ、
「はい!」と、元気良く返事をしていた。

「それにしても、ノアシエルを良く知っていたね?」
「刺繍を見て、気になって調べました、それで知ったのですが、
驚きましたわ!」

わたしは本を読み得た知識を、感動のままに彼に語っていた。
ノアシエルの優しさや寛大さ、水の騎士との感動のエピソード…
挿絵の白竜は、とても迫力があり、素晴らしく、ずっと眺めていた事…
刺繍をするのが初めて楽しいと思えた事…

「それからは、わたし、夜のお祈りに、
必ず、ノアシエル様への感謝を入れておりますの!」

わたしが言うと、ウィリアムがとうとう声を上げて笑った。
お腹を押さえ、涙を拭っている。
こんな砕けた彼を見たのは初めてで、うれしくないわけでは無いが…
驚きと戸惑いがあった。

「あの、そんなに面白い話をしたでしょうか?」
「いや、君の感性の素晴らしさに、思わず笑ってしまった…失礼したね、エバ」
「ウィリアム様は、感性が素晴らしいと、お笑いになるのですか?」

そのウィリアム様の感性こそ、突き抜けて思えますが?
わたしがキョトンとすると、彼はそのアクアマリンの目を伏せ、口元を手で隠した。
きっと、まだ笑い足りないのだろう。

「もっと沢山、本を読むといいよ」
「ウィリアム様は沢山読まれるのですか?」
「そうだね、僕は本の虫だから、手当たり次第に読むよ」
「わたしも頑張って読んでみます!時間はありますから!」

幸か不幸か、以前はドレスや身支度等、自分の事に時間を掛けていて、
勉強は家庭教師に教わる以外では時間が取れなかったが、
今は使用人の仕事の他は、時間に余裕があった。
食事や風呂、身支度にも然程時間は掛からない。
時間を掛けようにも、持っている衣服は数える程で、
しかもそれらは全てが実用品だ。化粧品等は一切無く、髪飾りすら無く、
櫛が一本転がっているだけなのだ。
尤も、仕事の合い間や一日の労働の後なので、寝てしまう事はしばしば
あったが。

「ただ、あまり本は持っていないので…」
「屋敷には図書室があるよね?」

確かに屋敷には図書室と呼ばれる部屋があり、歴史のある家なので、
かなりの蔵書を保管している。
ただ、その場所に入れるのは限られた者だけで、娘であるオーロラは
自由に入る事が出来たが、残念ながら興味が無く入った事は無かった。

「その…使用人は、使えませんから…」

わたしは自分の立場を思い出し、声が小さくなった。
彼に使用人だと思われる事が何故か恥ずかしい。

「そうか、それは失念していた…余計な事を言って、すまなかったね」
「いえ!気にしないで下さい」

元の姿に戻れば、直ぐにでも入る事が出来るし、好きなだけ読めるのだ。
寧ろ、自分は恵まれている。

「他に困っている事はある?また叩かれたりしていないかい?」

ウィリアムの視線がわたしの手に落ちる。
わたしは急に恥ずかしくなり、手を隠した。
今日は鞭で打たれてはいないが、以前に打たれた時の傷痕は残り、
使用人の仕事で荒れてもいた。

「最近は慣れて来ましたし、酷く怒る事はあまり無いので、
泣いたりはしていません」

オーロラは定期的に失敗や悪さをし、わたしが罰を受ける様にしていた。
最初は尊敬していた父に叩かれる事が、酷く辛く悲しく泣いてしまったが、
自分をエバだと思い込む事で、何とか耐えられる様になった。
痛みに慣れるという事は無く、鞭を見ただけで反射的に身が竦んでしまうし、
何を言っても止めて貰えないと諦めてからは、成るべく声を殺し、
嵐が過ぎるのを待つ様になった。以前、エバがしていた様に…。
それらの事は彼には言いたく無く、つい、視線を落としてしまう。

「食事を抜かれるのは少し辛いですが…」

「食事をさせて貰えないのか!?」

ウィリアムが酷く驚いていたので、わたしは不味い事を言ってしまった気がした。

「いえ!たまに、その、一食抜かれたり、その程度です!
あの、今のお話、オーロラ様にも、旦那様たちにも…
おっしゃらないで下さいますか?」

「ああ、君が叱られるからだね?」

ウィリアムの声は硬く、わたしは自分が叱られたみたいに思え、身が竦んだ。

「すまない、怯えさせてしまったね。
僕は、相手が誰であっても、人が人を人間扱いしない、
そんな人間が嫌いなんだ。そういう者たちは、人間ですら無い___」

ウィリアムの言葉に、わたしはギクリとした。
同じ様な事を、彼女が言っていた。
わたしや両親は、彼女を人間扱いしていないと…彼女は怒っていた。

ならば、わたしは、オーロラは、ウィリアムから嫌われていたかもしれない…!

その事に愕然とした。

わたしは、本当に嫌な娘だったんだわ…!
皆がわたしを嫌っている、ウィリアムにも嫌われ、軽蔑されていた!
だから、ウィリアムは『オーロラ』には、あんな顔しか見せ無かったし、
喋ってもくれなかったんだわ!

「すまない、聞かせない方が良かったね…」

真っ青になり震えるわたしに、ウィリアムが心配そうな表情を見せた。
わたしは必死に頭を振った。

寧ろ、聞かせて貰って良かったのだ。
愛されていると思ったままでいる事の方が残酷だ!

わたしは、オーロラに戻れたら、ウィリアムの婚約者に戻れると思っていた。
だけど、それは無理なのだと、今分かった___

ああ、変りたい!わたしは変らなければいけない!
誰からも恨まれない『わたし』に!

あなたに愛される『わたし』に___!!


「人は変れますよね?間違いに気付けば、変れますよね?
罪を犯しても、償えますよね?」

一生このまま、許されないなんて、無いですよね?

「難しい問題だね…人は簡単には変れ無いものだし、
絶対に正しい人間もいない。
僕も罪を犯す、だから、その質問に答える権利は無い、きっと誰にもね」

わたしは肩を落とした。
『罪は償う事が出来る、人は変れる、大丈夫だ』
わたしは彼にそう言って欲しかったのだ。
ウィリアムの言葉はわたしに力をくれるから…そう思わせてくれるから。

「だけど、自分が望む自分には、もしかしたら近付けるかもしれない。
少しでも良くなろうと励むなら…
神様はそれを償いとしてくれるかもしれないね…」

神様は見ていて下さると、許しをくれると___

やはり、ウィリアムはわたしに希望を見せてくれる。
ウィリアムの優しい表情に、わたしは安堵し、「はい」と頷いた。

だけど、彼が今、わたしの『正体』を知ったら…
きっと、その表情は消えてしまうんだわ…


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