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ヒューゴの覚悟
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「姉貴たちにお願いがあります」
思い詰めた顔をして商会にやってきた弟(義弟)に二人は目配せを交わす
既視感しかない
「その、こんど、マリアと……」
「マリアちゃんとどうしたの~?」
「出かけるんだけど、また服を選んで……
アドバイスをしてくれないか」
「えー、そろそろ自分で選びなさいよ」
「マリアちゃんなら何着ててもかっこいいって言うわよ」
ニヤニヤしている
が、ヒューゴは気づかない
「いつもみたいに出かけるだけじゃなくて、マリアの領地……タレッソ領の祭りに行くから、もしかしたら両親にご挨拶とか、まだわからないんだけど、な。キチンとした格好で印象の良いような、それでも動きやすくて……」
ニヤニヤニヤニヤ
(知ってる~!)
「でも、もうちょっとキチンとお願いしてほしいわよね。服だけ整えてもねえ
誠意っていうか~
そういうのも練習した方がいいんじゃないかしら」
実姉が頬に手を当てて言う
「そうよね、ヒューは癖で威圧感が出ちゃうから
もっと自然な笑顔とかー
子供が怖がらない雰囲気とかー
ね、笑ってみて」
義姉も笑顔のレクチャーをする
「こ、こうですか」
「んー、まだ固いけど、こんなもんか」
「さ、言えるわよね?お姉さまたちにお願いしてみなさい。できるでしょ、ヒュー」
「服を、選んでくださいお姉さまたち」
「素っ気ないわねえ」
「適した服を、自分では選べないので、力を貸してください……
お姉さま、よろしくお願いします」
「卑屈になることと誠意は違うのよねえ」
「くっ、どうしてもマリアとの仲を認めて貰いたいので、俺を格好よくしてください!姉さんたちの力を借りてプロポーズしたいんだ。お願いします!」
姉たち、拍手をして頬を染めている
「できるじゃない、ヒューゴ!さすが私たちの弟」
バックヤードで、笑いをこらえている兄と、怯えているリナ
(グラン商会の皆さん怖すぎる、ヒューゴさんがなかなか実家に帰らないのってこれが理由では?)
で、この商会の皆さんは全面的にマリアちゃんの味方で。
ヒューゴさん、絶対にマリアちゃんの作戦に負けるんだろうな。だってあんなに既成事実を作る気だったもの
姉たちはいそいそと服を出してきた
「え、こんな服で良いのか」
ヒューゴが拍子抜けしたのも無理はない
白いシャツとベージュのズボン
「ヒューゴ、こういうシンプルなシャツほど仕立ての違いが出るのよ」
そういうもんか
「こちら、既にヒューの寸法で仕立ててあります」
なんで?こわい
「あと、ヒューゴが見せるべきものは解ってるわね?」
「解ってる!誠意と清潔感だろ」
「わかってないわー」
「あのね、マリアちゃんの領地に行くということはマリアちゃんを狙ってる男にも見せつけないといけないってこと」
「わかった、男を見せろってことだな!マリアに寄ってくる男は全部追い払ってやる」
ゴッ
実姉の拳が腹に入った
義姉の瞳が冷たくなった
「わかってないわねー」
「仕事用の殺気出してんじゃないわよ」
お客さんが入ってきたので二人は接客スマイルで声をかけ、死角にヒューゴを追い込んだ
後ろは壁
騎士なのに逆らえない
「あのね、アンタは黙って腕見せとけばいいのよ」
「あと第二ボタンまで開けること」
「あとは余裕ぶっとけば良いの」
顔に『?』を貼り付けたようなヒューゴだが、初デートの時から姉たちのアドバイスを頼ってしまったので頭が上がらない
いや、もともと逆らえないんだった
「腕を見せろって?」
「慣用句じゃないわよ。そのまま、良い筋肉持ってるんだから腕まくりしろってことよ」
「なんで」
「わかってないわねー」
何度目だ、これ言われるの
「タレッソ領は馬の産地なの。そこの男は下半身が逞しいわ。ヒューゴは細身だからナメられるわよ。見せるとしたら、上半身!!しなやかな騎士の筋肉!!隙あらば腕まくりしなさい」
「はい、練習!」
腕まくりの練習をさせられた
きっちり折り返すと、デコピンされた
「ちまちま折ってんじゃないわよ!ザッと無造作に腕まくりしなさい!」
「ダメ!丸めるのは皺になるから。ササッと無造作かつエレガントに捲るの!」
スパルタである
仮にもこの男、騎士団で寡黙で男らしいことで知られ、黒狼とも呼ばれている
腕まくりの練習をさせられ、俺は服を選んでもらうだけで良かったのに何をさせられているんだろう
無造作ってなんだっけ
特訓は夜まで続いた
思い詰めた顔をして商会にやってきた弟(義弟)に二人は目配せを交わす
既視感しかない
「その、こんど、マリアと……」
「マリアちゃんとどうしたの~?」
「出かけるんだけど、また服を選んで……
アドバイスをしてくれないか」
「えー、そろそろ自分で選びなさいよ」
「マリアちゃんなら何着ててもかっこいいって言うわよ」
ニヤニヤしている
が、ヒューゴは気づかない
「いつもみたいに出かけるだけじゃなくて、マリアの領地……タレッソ領の祭りに行くから、もしかしたら両親にご挨拶とか、まだわからないんだけど、な。キチンとした格好で印象の良いような、それでも動きやすくて……」
ニヤニヤニヤニヤ
(知ってる~!)
「でも、もうちょっとキチンとお願いしてほしいわよね。服だけ整えてもねえ
誠意っていうか~
そういうのも練習した方がいいんじゃないかしら」
実姉が頬に手を当てて言う
「そうよね、ヒューは癖で威圧感が出ちゃうから
もっと自然な笑顔とかー
子供が怖がらない雰囲気とかー
ね、笑ってみて」
義姉も笑顔のレクチャーをする
「こ、こうですか」
「んー、まだ固いけど、こんなもんか」
「さ、言えるわよね?お姉さまたちにお願いしてみなさい。できるでしょ、ヒュー」
「服を、選んでくださいお姉さまたち」
「素っ気ないわねえ」
「適した服を、自分では選べないので、力を貸してください……
お姉さま、よろしくお願いします」
「卑屈になることと誠意は違うのよねえ」
「くっ、どうしてもマリアとの仲を認めて貰いたいので、俺を格好よくしてください!姉さんたちの力を借りてプロポーズしたいんだ。お願いします!」
姉たち、拍手をして頬を染めている
「できるじゃない、ヒューゴ!さすが私たちの弟」
バックヤードで、笑いをこらえている兄と、怯えているリナ
(グラン商会の皆さん怖すぎる、ヒューゴさんがなかなか実家に帰らないのってこれが理由では?)
で、この商会の皆さんは全面的にマリアちゃんの味方で。
ヒューゴさん、絶対にマリアちゃんの作戦に負けるんだろうな。だってあんなに既成事実を作る気だったもの
姉たちはいそいそと服を出してきた
「え、こんな服で良いのか」
ヒューゴが拍子抜けしたのも無理はない
白いシャツとベージュのズボン
「ヒューゴ、こういうシンプルなシャツほど仕立ての違いが出るのよ」
そういうもんか
「こちら、既にヒューの寸法で仕立ててあります」
なんで?こわい
「あと、ヒューゴが見せるべきものは解ってるわね?」
「解ってる!誠意と清潔感だろ」
「わかってないわー」
「あのね、マリアちゃんの領地に行くということはマリアちゃんを狙ってる男にも見せつけないといけないってこと」
「わかった、男を見せろってことだな!マリアに寄ってくる男は全部追い払ってやる」
ゴッ
実姉の拳が腹に入った
義姉の瞳が冷たくなった
「わかってないわねー」
「仕事用の殺気出してんじゃないわよ」
お客さんが入ってきたので二人は接客スマイルで声をかけ、死角にヒューゴを追い込んだ
後ろは壁
騎士なのに逆らえない
「あのね、アンタは黙って腕見せとけばいいのよ」
「あと第二ボタンまで開けること」
「あとは余裕ぶっとけば良いの」
顔に『?』を貼り付けたようなヒューゴだが、初デートの時から姉たちのアドバイスを頼ってしまったので頭が上がらない
いや、もともと逆らえないんだった
「腕を見せろって?」
「慣用句じゃないわよ。そのまま、良い筋肉持ってるんだから腕まくりしろってことよ」
「なんで」
「わかってないわねー」
何度目だ、これ言われるの
「タレッソ領は馬の産地なの。そこの男は下半身が逞しいわ。ヒューゴは細身だからナメられるわよ。見せるとしたら、上半身!!しなやかな騎士の筋肉!!隙あらば腕まくりしなさい」
「はい、練習!」
腕まくりの練習をさせられた
きっちり折り返すと、デコピンされた
「ちまちま折ってんじゃないわよ!ザッと無造作に腕まくりしなさい!」
「ダメ!丸めるのは皺になるから。ササッと無造作かつエレガントに捲るの!」
スパルタである
仮にもこの男、騎士団で寡黙で男らしいことで知られ、黒狼とも呼ばれている
腕まくりの練習をさせられ、俺は服を選んでもらうだけで良かったのに何をさせられているんだろう
無造作ってなんだっけ
特訓は夜まで続いた
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