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帰ろうとしたら
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今日は帰りにキノコを買って、シチューにしよう。余り物のパンをもらって帰るので、ちょっと奮発していつも迷って買わないほうのチーズを買っちゃおうかな。
イケメンさんを見たし、幸せな気分のまま眠りたい。
なんて鼻歌混じりに考えていたら、退勤間近になっていた。
「いらっしゃいま、あ」
昼間の監査の人がやって来た。
黒いコートに黒い手袋。黒い鞄。
背が高いから似合うなあ。
「どうされました?忘れ物ですか」
「気になる点があればまた来ると言っておいた筈だ」
鞄から書類を取り出す。
「まさか、何か不備でもあったんですか」
「不備と言うか教えてもらいたい点がいくつかある。もちろん答えられる範囲で構わない。」
ライラの表情がかわる。
「主任を呼んできますね!」
「いや、君に答えて欲しい」
「私でいいんですか」
「忙しかったか?」
「いえ、もう帰るところです」
「間に合って良かった」
今日中に調べないと困るのかしら。あ、怖い上司に叱られるのかもしれない。
「私、手が空いてるので協力します。手伝わせてください」
「助かる、君の手を借りないと完成しない書類もあって」
「え?」
そこに、キラキラしたオレンジがかった髪色のこれまたイケメンが割り込んだ。
ドアの向こうからそっと見ていたらしい。
営業妨害?
「ちょっとエドガー、こっち来い」
「あの、あなたは」
「ああ、騎士団員のアルフレッド・セグラーと言います。怪しいものではありません。ちょっとエドガーに確認することがあるので、失礼」
(ライラに背を向けて小声で)
「エドガー、今出そうとした書類ってもしかして」
「婚姻届だが」
「なんで!?」
「彼女に書いてもらわないと完成しないだろ。偽造は犯罪だぞ」
「説明せずに書かせるのも犯罪だろ」
「その説明も兼ねて今から情報収集をするから黙っててくれ」
「なんで俺が非常識みたいな扱いになってるのさ!」
ライラは、お友達なのかな?仲良しだなあと思っていました。
でも監査の続きなのに騎士の友達がついてくるって
もしかして、他の同僚にも仕事を押し付けられているからこの騎士さんは告発のためにくっついて来たのかしら
いい人!
「どうぞ、お茶入れてきますね」
「こいつの分は必要ないです」
「ひどい!俺はお前を止めようと」
うんうん、無理に押し付けられた仕事をするのを止めようと。
いい人だわ!
「奥の席でしたら人に聞かれませんので、どうぞ」
「感謝する」
お茶を入れて席に着くと、エドガーが話し出した。
ノートとペンを手に、じっとライラを見つめる。
「先程のオムライス、それに以前私を救ってくれて感謝する。今回君の協力が得られて嬉しい。
私はエドガー・アーベン。文官で今は監査を担当している」
きれいな礼をされて、ライラは緊張した。
「早速ですまないが、君の名前と年齢を教えてくれ」
「知らなかったのか!?」
エドガーはアルフレッドを無視する。
「すまない。必要なので教えてくれ」
「ライラ・ノッテンです。21歳です。」
これはあれね、証言者の身元が必要ってやつね。
「この店で働く曜日と、時間は決まっているのか」
「基本的に週に5日で、早番と遅番があります」
「働き始めたのは」
「えっと、春からなので七ヶ月前です」
「ここの仕事は楽しいか?辞めたくなったことは」
「楽しいです。辞めたいと思ったことはありません」
「もし結婚しても辞めることは考えていない?」
「うーん、ものすごく遠いところへ住むとか、子供が生まれるとかだったら辞めるかもしれません」
「なるほど」
一つ一つメモしていく
アルフレッドは
え、俺いま何を見せられてるの?
エドガーが職権乱用スレスレで気になる女の子の個人情報を聞き出してるんだけど、大丈夫?これ。
ライラちゃん、危機感持った方がいいよ。
というかエドガーの口振りが完全に人事権もってそうな感じなんだけど
答えてしまう圧力。
「君にとってどういった人間が好ましいですか」
「そうですね、お腹をすかせた人に来てほしいですし、きれいに食べてくれたら嬉しいです」
にこにこと答えるライラ。
『ほら』
という顔でアルフレッドを見るエドガー。
「ほら、じゃない!違うからな?」
スーラさんや厨房の者たちも
「違うよライラちゃん!」
って口パクで訴えている
「では、この書類にサインを頼む」
この監査官マジか
というかライラちゃん?大丈夫?
ライラはペンを手にとって
「え?」
やっと気付いてくれた。
みんなの心がひとつになった。
「これ、悪用されませんか?
誰か知らない人がこっちに名前を書いて出したら」
「心配ない。じゃあ私が先に書こう」
サインするエドガー
「わあ、字綺麗なんですね。
じゃなくて、
え?私が書いたら結婚しちゃいますよ、これじゃ。ふふっ」
「結婚しよう」
「へっ?」
ライラが固まった。
エドガーが身を乗り出して、ライラの目を見つめる
「待て、今日はその辺にしておけ」
アルフレッドが、エドガーの肩を掴んで揺さぶった。
「え?え?え?」
ライラの顔がどんどん赤くなる。
エドガーは揺さぶられている。
「もう少しだったのに……」
「お前、本当にいい加減にしろよ!エリーゼに嫌われるぞ」
「お前こそ俺に乱暴していたらエリーゼに嫌われるぞ」
ピタッ、と揺さぶるのを止めた。
「とりあえず、今日のところは失礼します。ライラさん、こいつの言ったことは忘れてね。皆さんもすみませんでした」
そのままズルズルとエドガーを引きずっていく。
「ライラ?忘れられるの?」
赤い頬を抑えて俯くライラを、下から覗き込むエドガー。
「……無理、かも」
「そのままでは帰り道ぼーっとして危ないだろう。送っていこう」
「お前が送っていく方が危ない。俺が送ろう。騎士の名誉にかけて」
アルフレッドがエドガーとライラの間に入る。
「お前の騎士道精神なんぞあてにならない」
「じゃあ、エリーゼの名にかけて誓う。安全に送り届ける」
「仕方ないな、ライラ、こいつの馬車を使え」
エリーゼさんって何者?
ものすごく怖い人?
もしかして上司?
いやそんなことよりどうしよう
私、なんでこんなことに
「ちょっと、お兄さん方!
うちのライラちゃんをからかわないでおくれ!」
スーラさんの後ろに後光が見えるようだった。
「すみません」
「私も一緒に送ってもらおうか。それなら安全だろ」
「スーラさぁぁあーん!」
ライラが抱きついた。
というわけで、ライラとスーラさんをアルフレッドの馬車で送ることになった。
イケメンさんを見たし、幸せな気分のまま眠りたい。
なんて鼻歌混じりに考えていたら、退勤間近になっていた。
「いらっしゃいま、あ」
昼間の監査の人がやって来た。
黒いコートに黒い手袋。黒い鞄。
背が高いから似合うなあ。
「どうされました?忘れ物ですか」
「気になる点があればまた来ると言っておいた筈だ」
鞄から書類を取り出す。
「まさか、何か不備でもあったんですか」
「不備と言うか教えてもらいたい点がいくつかある。もちろん答えられる範囲で構わない。」
ライラの表情がかわる。
「主任を呼んできますね!」
「いや、君に答えて欲しい」
「私でいいんですか」
「忙しかったか?」
「いえ、もう帰るところです」
「間に合って良かった」
今日中に調べないと困るのかしら。あ、怖い上司に叱られるのかもしれない。
「私、手が空いてるので協力します。手伝わせてください」
「助かる、君の手を借りないと完成しない書類もあって」
「え?」
そこに、キラキラしたオレンジがかった髪色のこれまたイケメンが割り込んだ。
ドアの向こうからそっと見ていたらしい。
営業妨害?
「ちょっとエドガー、こっち来い」
「あの、あなたは」
「ああ、騎士団員のアルフレッド・セグラーと言います。怪しいものではありません。ちょっとエドガーに確認することがあるので、失礼」
(ライラに背を向けて小声で)
「エドガー、今出そうとした書類ってもしかして」
「婚姻届だが」
「なんで!?」
「彼女に書いてもらわないと完成しないだろ。偽造は犯罪だぞ」
「説明せずに書かせるのも犯罪だろ」
「その説明も兼ねて今から情報収集をするから黙っててくれ」
「なんで俺が非常識みたいな扱いになってるのさ!」
ライラは、お友達なのかな?仲良しだなあと思っていました。
でも監査の続きなのに騎士の友達がついてくるって
もしかして、他の同僚にも仕事を押し付けられているからこの騎士さんは告発のためにくっついて来たのかしら
いい人!
「どうぞ、お茶入れてきますね」
「こいつの分は必要ないです」
「ひどい!俺はお前を止めようと」
うんうん、無理に押し付けられた仕事をするのを止めようと。
いい人だわ!
「奥の席でしたら人に聞かれませんので、どうぞ」
「感謝する」
お茶を入れて席に着くと、エドガーが話し出した。
ノートとペンを手に、じっとライラを見つめる。
「先程のオムライス、それに以前私を救ってくれて感謝する。今回君の協力が得られて嬉しい。
私はエドガー・アーベン。文官で今は監査を担当している」
きれいな礼をされて、ライラは緊張した。
「早速ですまないが、君の名前と年齢を教えてくれ」
「知らなかったのか!?」
エドガーはアルフレッドを無視する。
「すまない。必要なので教えてくれ」
「ライラ・ノッテンです。21歳です。」
これはあれね、証言者の身元が必要ってやつね。
「この店で働く曜日と、時間は決まっているのか」
「基本的に週に5日で、早番と遅番があります」
「働き始めたのは」
「えっと、春からなので七ヶ月前です」
「ここの仕事は楽しいか?辞めたくなったことは」
「楽しいです。辞めたいと思ったことはありません」
「もし結婚しても辞めることは考えていない?」
「うーん、ものすごく遠いところへ住むとか、子供が生まれるとかだったら辞めるかもしれません」
「なるほど」
一つ一つメモしていく
アルフレッドは
え、俺いま何を見せられてるの?
エドガーが職権乱用スレスレで気になる女の子の個人情報を聞き出してるんだけど、大丈夫?これ。
ライラちゃん、危機感持った方がいいよ。
というかエドガーの口振りが完全に人事権もってそうな感じなんだけど
答えてしまう圧力。
「君にとってどういった人間が好ましいですか」
「そうですね、お腹をすかせた人に来てほしいですし、きれいに食べてくれたら嬉しいです」
にこにこと答えるライラ。
『ほら』
という顔でアルフレッドを見るエドガー。
「ほら、じゃない!違うからな?」
スーラさんや厨房の者たちも
「違うよライラちゃん!」
って口パクで訴えている
「では、この書類にサインを頼む」
この監査官マジか
というかライラちゃん?大丈夫?
ライラはペンを手にとって
「え?」
やっと気付いてくれた。
みんなの心がひとつになった。
「これ、悪用されませんか?
誰か知らない人がこっちに名前を書いて出したら」
「心配ない。じゃあ私が先に書こう」
サインするエドガー
「わあ、字綺麗なんですね。
じゃなくて、
え?私が書いたら結婚しちゃいますよ、これじゃ。ふふっ」
「結婚しよう」
「へっ?」
ライラが固まった。
エドガーが身を乗り出して、ライラの目を見つめる
「待て、今日はその辺にしておけ」
アルフレッドが、エドガーの肩を掴んで揺さぶった。
「え?え?え?」
ライラの顔がどんどん赤くなる。
エドガーは揺さぶられている。
「もう少しだったのに……」
「お前、本当にいい加減にしろよ!エリーゼに嫌われるぞ」
「お前こそ俺に乱暴していたらエリーゼに嫌われるぞ」
ピタッ、と揺さぶるのを止めた。
「とりあえず、今日のところは失礼します。ライラさん、こいつの言ったことは忘れてね。皆さんもすみませんでした」
そのままズルズルとエドガーを引きずっていく。
「ライラ?忘れられるの?」
赤い頬を抑えて俯くライラを、下から覗き込むエドガー。
「……無理、かも」
「そのままでは帰り道ぼーっとして危ないだろう。送っていこう」
「お前が送っていく方が危ない。俺が送ろう。騎士の名誉にかけて」
アルフレッドがエドガーとライラの間に入る。
「お前の騎士道精神なんぞあてにならない」
「じゃあ、エリーゼの名にかけて誓う。安全に送り届ける」
「仕方ないな、ライラ、こいつの馬車を使え」
エリーゼさんって何者?
ものすごく怖い人?
もしかして上司?
いやそんなことよりどうしよう
私、なんでこんなことに
「ちょっと、お兄さん方!
うちのライラちゃんをからかわないでおくれ!」
スーラさんの後ろに後光が見えるようだった。
「すみません」
「私も一緒に送ってもらおうか。それなら安全だろ」
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