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話が違うじゃないですか
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「美味いか?これはどうだ?酒は飲めないのか?」
膳の上の彩りの良い野菜や、黄金色の油したたる肉を取り分けて口に運ばれている。
正直、味がしません。
なぜ私はこんな目に合っているのでしょう。
と何度思ったことか。
膝に乗せられています。
胡座をかいた蒼の宮さまの片ひざに乗っています。
腰に手を回されているので体を離そうとしても無理でした。
宮さまはお酒も召し上がって上機嫌です。
時々恥ずかしさに俯く私の顔を上げさせたり、髪を撫でてきます。
悪戯が過ぎる、と睨んでみても、顔が良すぎて赤面してしまう。
うう、大人の余裕というやつでしょうか。
そのあとは部屋に連れていかれました。
もしかしてこのまま宮さまの私室に連れていかれるかと思ったのですが、通りすぎたので安心しました。
考えすぎていたのだと恥ずかしくなりました。
「何を考えているか手に取るようにわかるのだが。」
笑いながら髪の毛に口づけられました。
「可愛いな、そなたは」
この人、顔が良すぎるだけの、悪い大人だ。
連れてこられた部屋は布団が敷いてあり、そこに下ろされる。
「なんで宮さまも入ってくるんですか!」
「つれないなあ。夫婦になったというのに」
「わたしは、お飾りの妻だと」
「言ってないよ?」
「へっ?」
「言ってないけど」
じりじりと距離を詰められて抱き込まれる
「うそ、じゃあ本当に私、宮さまと……?
だって、無理です。身分も釣り合ってないし」
「そのお陰でそなたが断れないのだから、身分も役に立つものだな」
「私、綺麗じゃないし。もっときれいな人がたくさんいるのに」
「綺麗な顔なんか鏡見てりゃいい。見飽きた」
手が、衣服を脱がそうとあちこちを行ったり来たりしている。
「だって、年も」
「ああ。待ちわびた」
「こんな急に、宮さま」
「もういいだろ」
口を閉じるように手でつついた後、額に口づけられた
「逃げんな」
低い声で言われて体が震える。
この人は人に命令することに慣れている立場だった。
混乱して、涙がにじむ。
「怖いか?」
「やめてくれるの?」
「それは無理」
「ふえ、」
よしよしと頭を撫でながら、反対の手で服を脱がせてしまった。
優しくなんかない。
男の人の手。
「なあ、考えてみろ。誰でも初めての時は怖いし痛いらしい。
それなら、顔の良い方がいいだろ?お前、俺の顔好きだろう」
なんて理屈を!大人げない。
「こんな、だますみたいに。好きだったのに、宮さま、初恋だったのに、」
「俺もだ」
「嘘つきぃ、きらい」
「嫌いは堪えるな、さすがに。でも俺は好きだ」
その日は結局、宮さまが譲歩してくれたようで純潔は散らされなかったが、色々と思い知らされた。
父さん母さんに言えない秘密を持ってしまいました。
膳の上の彩りの良い野菜や、黄金色の油したたる肉を取り分けて口に運ばれている。
正直、味がしません。
なぜ私はこんな目に合っているのでしょう。
と何度思ったことか。
膝に乗せられています。
胡座をかいた蒼の宮さまの片ひざに乗っています。
腰に手を回されているので体を離そうとしても無理でした。
宮さまはお酒も召し上がって上機嫌です。
時々恥ずかしさに俯く私の顔を上げさせたり、髪を撫でてきます。
悪戯が過ぎる、と睨んでみても、顔が良すぎて赤面してしまう。
うう、大人の余裕というやつでしょうか。
そのあとは部屋に連れていかれました。
もしかしてこのまま宮さまの私室に連れていかれるかと思ったのですが、通りすぎたので安心しました。
考えすぎていたのだと恥ずかしくなりました。
「何を考えているか手に取るようにわかるのだが。」
笑いながら髪の毛に口づけられました。
「可愛いな、そなたは」
この人、顔が良すぎるだけの、悪い大人だ。
連れてこられた部屋は布団が敷いてあり、そこに下ろされる。
「なんで宮さまも入ってくるんですか!」
「つれないなあ。夫婦になったというのに」
「わたしは、お飾りの妻だと」
「言ってないよ?」
「へっ?」
「言ってないけど」
じりじりと距離を詰められて抱き込まれる
「うそ、じゃあ本当に私、宮さまと……?
だって、無理です。身分も釣り合ってないし」
「そのお陰でそなたが断れないのだから、身分も役に立つものだな」
「私、綺麗じゃないし。もっときれいな人がたくさんいるのに」
「綺麗な顔なんか鏡見てりゃいい。見飽きた」
手が、衣服を脱がそうとあちこちを行ったり来たりしている。
「だって、年も」
「ああ。待ちわびた」
「こんな急に、宮さま」
「もういいだろ」
口を閉じるように手でつついた後、額に口づけられた
「逃げんな」
低い声で言われて体が震える。
この人は人に命令することに慣れている立場だった。
混乱して、涙がにじむ。
「怖いか?」
「やめてくれるの?」
「それは無理」
「ふえ、」
よしよしと頭を撫でながら、反対の手で服を脱がせてしまった。
優しくなんかない。
男の人の手。
「なあ、考えてみろ。誰でも初めての時は怖いし痛いらしい。
それなら、顔の良い方がいいだろ?お前、俺の顔好きだろう」
なんて理屈を!大人げない。
「こんな、だますみたいに。好きだったのに、宮さま、初恋だったのに、」
「俺もだ」
「嘘つきぃ、きらい」
「嫌いは堪えるな、さすがに。でも俺は好きだ」
その日は結局、宮さまが譲歩してくれたようで純潔は散らされなかったが、色々と思い知らされた。
父さん母さんに言えない秘密を持ってしまいました。
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