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筆名を考えた(4)
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「うまい。
うまいけど、これをこんな面倒くさい男に食わせてもらうのが哀しい。女がこんな短時間でツマミ作ってくれたらうっかり彼女にしてしまいそうだ!」
「石原くんが僕の予想以上にゲスく、不特定多数の彼女未満さんがいるのですね。で、何ですかこの気持ち悪い歌は」
「女性目線で詠んでやった、どう思う」
「駄作だと思います」
地ビールを空けながら。
「バッサリか」
「ええ。石原くんらしいセンスが全く感じられない。都会風というか、遊んでるぞ俺、みたいなオラオラさが。」
「でも、写真とくっつけたら人気出るんだぜ」
二弾目は、ご飯にゴマを入れて練る。
梅干しも刻む。
「……そういうのは、それこそリア充の世界ですから僕にはなんとも」
「あ、嫌いだっけ。でもお前、あんまり見下してない感じだと思ったんだけど?」
「見下すとかじゃなくて……
苦手は苦手です。
なんか」
じゅうう、と焼く。
「キラキラしてて、息苦しいんですよね」
石原、ビールむせた。
「で、アンケートですけど。石原くんはなんて?」
「適当に書いたから覚えてねーな」
#
粒と粒が境目を無くし争いをする暇もなく焼き付けられる
繰り返す我の食事の道しるべ一本のうどん蛇神となる
故障かと会話のなかに嘲りの色を探して胡椒と気づく
ほうらくの音 煎餅の焼ける音
熱の怒りの焦げていく音
初めてのペアグラス最後の瞬間(とき)は甘い毒酒がいいな落城
「僕も女性目線で詠んでみましたが……」
「どこがだよ!」
「いつもよりロマンチックで、ほら、僕の歌には珍しく他人の面影があるでしょう」
「闇深いな……ほうらくってなんだ?」
「封神演技に出てくる拷問というか処刑道具で、熱した鉄の棒に……」
「なんかもういい。」
じゅうう
「焼けましたね」
「友達と会話してて、筆名決まったって捏造しましょうかね。友達いないからすぐにバレるけど」
『終わってる終崎やまと、短歌始めました』
ブログタイトルはこれで決まりだな。
やらないけど。
うまいけど、これをこんな面倒くさい男に食わせてもらうのが哀しい。女がこんな短時間でツマミ作ってくれたらうっかり彼女にしてしまいそうだ!」
「石原くんが僕の予想以上にゲスく、不特定多数の彼女未満さんがいるのですね。で、何ですかこの気持ち悪い歌は」
「女性目線で詠んでやった、どう思う」
「駄作だと思います」
地ビールを空けながら。
「バッサリか」
「ええ。石原くんらしいセンスが全く感じられない。都会風というか、遊んでるぞ俺、みたいなオラオラさが。」
「でも、写真とくっつけたら人気出るんだぜ」
二弾目は、ご飯にゴマを入れて練る。
梅干しも刻む。
「……そういうのは、それこそリア充の世界ですから僕にはなんとも」
「あ、嫌いだっけ。でもお前、あんまり見下してない感じだと思ったんだけど?」
「見下すとかじゃなくて……
苦手は苦手です。
なんか」
じゅうう、と焼く。
「キラキラしてて、息苦しいんですよね」
石原、ビールむせた。
「で、アンケートですけど。石原くんはなんて?」
「適当に書いたから覚えてねーな」
#
粒と粒が境目を無くし争いをする暇もなく焼き付けられる
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故障かと会話のなかに嘲りの色を探して胡椒と気づく
ほうらくの音 煎餅の焼ける音
熱の怒りの焦げていく音
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「僕も女性目線で詠んでみましたが……」
「どこがだよ!」
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