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第1章 悪役令嬢は目立ちたくない
第9話 尾ひれも背びれも胸びれも
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「学園入学前に調べましたの。本当は入学も辞退したかったのですけど、魔法を学ぶだけが学園生活じゃないからって、両親に説得されたのです」
そう、アリアナ・コールリッジはゲーム設定では魔力無しなのだ。だから2年進級時には一番下の劣等生クラスに入れられていた。
(私と違ってアリアナは勉強も全く出来なかったからね~。毎年お金の力で進級してたのよね、確か)
実は貴族でも魔力無しはそこそこいるらしい。そういう者は残念ながら出世は出来ないので、男性の場合は何か自分の身を立てるものを学ばなくてはいけない。剣術とか商売とか。ただ女性は結婚という逃げ道があるから、身分の高い人に関しては大丈夫らしいのだが・・・
(でも、せっかくこういう世界に生まれ変わったんだもん。私だって氷出したり、雷起こしたり楽しみたかった・・・。全然魔術が使えないなんて、ほんとがっかり・・・)
「ア、アリアナ様・・・。でもアリアナ様は勉学が凄くお出来になりますでしょ?!」
「そうそう、それに凄く可愛らしいし!」
「公爵令嬢でいらっしゃいますものねっ、それに、あの・・・ディーン様と言う婚約者もいらっしゃいますし」
3人とも一生懸命私を慰めようとしてくれてる。貴族のくせに魔力無しだと馬鹿にすることもない。
(良い子達だなぁ・・・)
「アリアナ嬢にはコールリッジ公爵家の強い血が流れているからね。ディーン殿と結婚するなら、全く問題は無いよ」
ノエルも穏やかに笑いながらそう言ってくれた。
(この子も優しいな・・・ふふ、でも私には慰めはいらないのだよ)
私はにやりと笑みを浮かべた。精一杯悪役っぽくないようにしたつもりだが、ふてぶてしく見えたかもしれない。
「ありがとうございます。でも皆様、実は私は勉学をしっかり修めてアンファエルン学園の教師になりたいと思っているのです」
「えっ!?」
私がきっぱりとそう言うと、皆は驚いて私に注目した。
「魔術の教師は無理ですが、一般教育学や薬草学などの教師なら魔術が無くても大丈夫でしょう?もしくは、皇国の政治や経済に関わる仕事でも良いですわ。私、自分で身を立てられるようになりたいのです」
「え、あの、でも婚約者のディーン様との結婚は・・・?」
「ディーン様は私の事が好きでは無いのです。」
はっきりそう言うと、皆ハッと息を飲んだが。やはり、そう言った噂は流れているのだろう。
「だから学園を卒業した時に何があって良いように、将来に備えたいと思っているのですわっ」
そう言って拳を握ると、皆呆気に取られたように黙ってしまった。でもその時、
「ぶっ・・・あっははははははっ」
沈黙を破って、クリフが文字通りお腹を抱えて笑い出した。
「お、おいクリフ。」
慌てたようにノエルがたしなめたが、クリフは目に涙を浮かべて笑い続けている。
(私、そんなに笑わせるようなこと言ったかしら・・・?)
ジト目でクリフの方を見ると、それに気づいたのか
「悪い、悪い、・・・くくっ・・、ただ、アリアナ嬢は噂で聞くのとは、随分違うようだと思って・・・はは」
謝りながらもまだ笑っている。
(失礼だな、こんにゃろ・・・)
私は腰に手を当てて、クリフを睨みつけた。背が低いので見下ろす事は出来ないけれど、精一杯背筋を伸ばす。
「噂というのは、尾ひれも背びれも胸びれも付くものですわ。噂で人を判断してますと、いつか足元救われますわよっ!」
(そう、クリフのバッドエンドみたいにね!)
私がフンと横を向くと、クリフは笑うのをやめた。
「すまなかった、アリアナ嬢。ちゃんと謝るよ、ごめん。それに俺はアリアナ嬢の考え方、気に入ったよ」
「え?」
こんなに素直に謝られると思ってなかった。意外と良い奴かも?
「でも、アリアナ嬢は公爵令嬢だ。ディーン殿と結婚しなくても、相手には困らないんじゃないのか?」
と聞いて来たので、つい「ふふん」と笑ってしまった。
そう、アリアナ・コールリッジはゲーム設定では魔力無しなのだ。だから2年進級時には一番下の劣等生クラスに入れられていた。
(私と違ってアリアナは勉強も全く出来なかったからね~。毎年お金の力で進級してたのよね、確か)
実は貴族でも魔力無しはそこそこいるらしい。そういう者は残念ながら出世は出来ないので、男性の場合は何か自分の身を立てるものを学ばなくてはいけない。剣術とか商売とか。ただ女性は結婚という逃げ道があるから、身分の高い人に関しては大丈夫らしいのだが・・・
(でも、せっかくこういう世界に生まれ変わったんだもん。私だって氷出したり、雷起こしたり楽しみたかった・・・。全然魔術が使えないなんて、ほんとがっかり・・・)
「ア、アリアナ様・・・。でもアリアナ様は勉学が凄くお出来になりますでしょ?!」
「そうそう、それに凄く可愛らしいし!」
「公爵令嬢でいらっしゃいますものねっ、それに、あの・・・ディーン様と言う婚約者もいらっしゃいますし」
3人とも一生懸命私を慰めようとしてくれてる。貴族のくせに魔力無しだと馬鹿にすることもない。
(良い子達だなぁ・・・)
「アリアナ嬢にはコールリッジ公爵家の強い血が流れているからね。ディーン殿と結婚するなら、全く問題は無いよ」
ノエルも穏やかに笑いながらそう言ってくれた。
(この子も優しいな・・・ふふ、でも私には慰めはいらないのだよ)
私はにやりと笑みを浮かべた。精一杯悪役っぽくないようにしたつもりだが、ふてぶてしく見えたかもしれない。
「ありがとうございます。でも皆様、実は私は勉学をしっかり修めてアンファエルン学園の教師になりたいと思っているのです」
「えっ!?」
私がきっぱりとそう言うと、皆は驚いて私に注目した。
「魔術の教師は無理ですが、一般教育学や薬草学などの教師なら魔術が無くても大丈夫でしょう?もしくは、皇国の政治や経済に関わる仕事でも良いですわ。私、自分で身を立てられるようになりたいのです」
「え、あの、でも婚約者のディーン様との結婚は・・・?」
「ディーン様は私の事が好きでは無いのです。」
はっきりそう言うと、皆ハッと息を飲んだが。やはり、そう言った噂は流れているのだろう。
「だから学園を卒業した時に何があって良いように、将来に備えたいと思っているのですわっ」
そう言って拳を握ると、皆呆気に取られたように黙ってしまった。でもその時、
「ぶっ・・・あっははははははっ」
沈黙を破って、クリフが文字通りお腹を抱えて笑い出した。
「お、おいクリフ。」
慌てたようにノエルがたしなめたが、クリフは目に涙を浮かべて笑い続けている。
(私、そんなに笑わせるようなこと言ったかしら・・・?)
ジト目でクリフの方を見ると、それに気づいたのか
「悪い、悪い、・・・くくっ・・、ただ、アリアナ嬢は噂で聞くのとは、随分違うようだと思って・・・はは」
謝りながらもまだ笑っている。
(失礼だな、こんにゃろ・・・)
私は腰に手を当てて、クリフを睨みつけた。背が低いので見下ろす事は出来ないけれど、精一杯背筋を伸ばす。
「噂というのは、尾ひれも背びれも胸びれも付くものですわ。噂で人を判断してますと、いつか足元救われますわよっ!」
(そう、クリフのバッドエンドみたいにね!)
私がフンと横を向くと、クリフは笑うのをやめた。
「すまなかった、アリアナ嬢。ちゃんと謝るよ、ごめん。それに俺はアリアナ嬢の考え方、気に入ったよ」
「え?」
こんなに素直に謝られると思ってなかった。意外と良い奴かも?
「でも、アリアナ嬢は公爵令嬢だ。ディーン殿と結婚しなくても、相手には困らないんじゃないのか?」
と聞いて来たので、つい「ふふん」と笑ってしまった。
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