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第1章 悪役令嬢は目立ちたくない
第8話 魔力ゼロなのです!
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クリフはウォーレン侯爵家の子息となっているが、実は先皇帝の隠し子である。
クリフのルートではヒロインは王位継承権争いに巻き込まれる。そして、選択ミスると殺害されるバッドエンドなんかもあるのだ。
(やっぱマジで関わりたくないんだけどな・・・。ミリアの弟の友達なのかぁ・・・。)
でも、当のクリフはアリアナには全く興味無さそうだ。軽い挨拶の後、ノエルとばかり喋っている。馬車は一緒だけど、もともとゲームでは2部からしか登場しないし、アリアナとは全く絡まない人物だ。こっちかあ近づかない限り大丈夫だろう・・・
(・・・と思いたい)
「アリアナ様、さぁ乗りましょう」
「えっ、ええ」
ミリア達に促されて私は馬車に乗り込んだ。
馬車の中では女子トークに花が咲いた。
(こ、これは、なんて楽しいのっ!)
破滅回避にばかり気を使ってたから、正直友達を作る事なんて頭になかった。
(でも私はもう意地悪な悪役令嬢ではないつもりだし、普通の令嬢として友人と楽しく過ごしたって良いわよね?)
「アリアナ様、ミリーはこう見えて凄いのですよ。5歳の時には魔力を操れるようになったのですよ」
「まぁ!凄いのね、ミリア」
ジョージアの言葉に私は本気で驚いていた。
確かこの世界での常識では魔力を操れるようになるのは10歳過ぎのはず。だから貴族の子供は13歳でこの学園に入る事になっている。5歳とか早い時期に操れるようになる者は、総じて魔力の強いものが多いらしい。
これらの知識はゲームの説明書にも書いてあった。まさか主要登場人物ではないミリアが(だってゲームでは名前も出てこなかったぞ)そんな能力の持ち主とは驚きでしかないのだ。
ミリアは頬を染めて、
「恥ずかしいわ、ジョー・・・。アリアナ様、たまたまですのよ。私の家族は魔力が強い者が多くて、魔力を早く扱うのが普通の環境だっただけなのですわ。それにジョーやレティだって10歳前には魔力を扱えるようになったんですよ」
「多分、それはミリーの影響だと思うわ。」
「そうそう、普段からミリーが使うのを見ていたから、私たちも自然に覚えたというか・・・」
ジョージアとレティシアは笑いながらそう言った。
3人は領が近く屋敷も近かったらしい。だから家族ぐるみで仲が良く、小さい頃からよく遊んでいたらしいのだ。
3人がお互いをミリー、ジョー、レティと愛称で呼んでいるのも、仲の良さが伺える。
「3人の魔力の属性は何なのですか?もう色んな魔術が使えるの?」
私がそう聞くと、
「私は土系が得意です、それとあと治癒魔法が使えますわ。ジョーは雷属性が得意でしたわよね。」
「そう、それに炎系。でも攻撃しか出来ないのよね~。レティは氷系が得意よね。」
「ええ、それから簡単な治癒とあと植物系も少し・・・」
(学園に入る前にそれだけ出来れば、大したものだわ!)
正直私は驚いていた。
主人公や主要登場人物以外は、魔力を使えるようになるのは学園に入ってからの方が多いはず。もしかしてこの3人、どっかのルートで出てくる主要キャラだったりするのかしら?
「3人とも凄いわ!びっくりよ。」
すると、ずっと男同士で喋っていたミリアの弟のノエルが話に入ってきた。
「アリアナ嬢、この3人は特別なんですよ。こんなに早く魔力を開眼するものはほとんど居ないです。僕だって学園に入る直前で使えるようになったぐらいで・・・」
少し恥ずかしそうに赤くなりながら、それでも笑ってそう言った。
うん、性格良いな~この子。普通双子の片割れが優秀だと嫉妬して拗ねたりしそうだけど、そういう気配は微塵も無い。
「あっ、それに実はクリフも使えるんですよ!なっクリフ?。こいつも結構早いうちから魔術が使えて、しかも色んな属性を操れるんです」
「まぁ、そうなのですか。」
私は感心した素振りでそう言ったけど、内心(そりゃ、そうでしょ)と思っていた。
何せクリフ・ウォーレンは攻略対象で、先の皇帝の息子なんだもん。確か能力値においては現皇太子と同レベルだったはず・・・
(おお怖っ)
この世界では数種類の属性を操れる者が多いが、ほとんどは貴族の人間だ。というよりも魔力を持っている一族が貴族になったというのが正しい。
ただ、ごくたまに平民でも魔力を有する者が現れる。そう言った者たちは、魔力の大小に応じて魔術学校に奨学生として通わされ、長じては低位の貴族に抜擢されるものもいる。このへんの知識は屋敷に居た1か月で知ったことだ。
ただし、平民でどんなに魔力が強くても、貴族だけのアンファエルン学院に通うのは難しい。だけど、ヒロインは入学できた。
それはヒロインが光の魔力を持ち、世界でも扱い手が少ないという光属性の魔術を操れるからだ。
魔力の大小に関わらず、どの属性の魔術が使えるかは、そのものの生まれた時の資質によるものらしい。ある程度は鍛錬によって使えるようになるらしいが、それでも持って生まれたセンスには叶わないのだ。そして光属性に関しては、どんなに鍛錬しても元々の資質が備わっていないと全く育たない才能なのだ。
(まぁ、私には関係ない事だけどね・・・)
「うらやましいわ。私は全く魔術が使えないから」
私は小さくため息を落とした。
「アリアナ様も2年進級時の魔力テストできっと発現されますわ」
ミリアは力づける様にそう言ってくれたが、
「ううん、もう分かってるの、私は魔力ゼロなのです」
私がそう言うと、皆は「えっ?」という風にこちらを見た。
クリフのルートではヒロインは王位継承権争いに巻き込まれる。そして、選択ミスると殺害されるバッドエンドなんかもあるのだ。
(やっぱマジで関わりたくないんだけどな・・・。ミリアの弟の友達なのかぁ・・・。)
でも、当のクリフはアリアナには全く興味無さそうだ。軽い挨拶の後、ノエルとばかり喋っている。馬車は一緒だけど、もともとゲームでは2部からしか登場しないし、アリアナとは全く絡まない人物だ。こっちかあ近づかない限り大丈夫だろう・・・
(・・・と思いたい)
「アリアナ様、さぁ乗りましょう」
「えっ、ええ」
ミリア達に促されて私は馬車に乗り込んだ。
馬車の中では女子トークに花が咲いた。
(こ、これは、なんて楽しいのっ!)
破滅回避にばかり気を使ってたから、正直友達を作る事なんて頭になかった。
(でも私はもう意地悪な悪役令嬢ではないつもりだし、普通の令嬢として友人と楽しく過ごしたって良いわよね?)
「アリアナ様、ミリーはこう見えて凄いのですよ。5歳の時には魔力を操れるようになったのですよ」
「まぁ!凄いのね、ミリア」
ジョージアの言葉に私は本気で驚いていた。
確かこの世界での常識では魔力を操れるようになるのは10歳過ぎのはず。だから貴族の子供は13歳でこの学園に入る事になっている。5歳とか早い時期に操れるようになる者は、総じて魔力の強いものが多いらしい。
これらの知識はゲームの説明書にも書いてあった。まさか主要登場人物ではないミリアが(だってゲームでは名前も出てこなかったぞ)そんな能力の持ち主とは驚きでしかないのだ。
ミリアは頬を染めて、
「恥ずかしいわ、ジョー・・・。アリアナ様、たまたまですのよ。私の家族は魔力が強い者が多くて、魔力を早く扱うのが普通の環境だっただけなのですわ。それにジョーやレティだって10歳前には魔力を扱えるようになったんですよ」
「多分、それはミリーの影響だと思うわ。」
「そうそう、普段からミリーが使うのを見ていたから、私たちも自然に覚えたというか・・・」
ジョージアとレティシアは笑いながらそう言った。
3人は領が近く屋敷も近かったらしい。だから家族ぐるみで仲が良く、小さい頃からよく遊んでいたらしいのだ。
3人がお互いをミリー、ジョー、レティと愛称で呼んでいるのも、仲の良さが伺える。
「3人の魔力の属性は何なのですか?もう色んな魔術が使えるの?」
私がそう聞くと、
「私は土系が得意です、それとあと治癒魔法が使えますわ。ジョーは雷属性が得意でしたわよね。」
「そう、それに炎系。でも攻撃しか出来ないのよね~。レティは氷系が得意よね。」
「ええ、それから簡単な治癒とあと植物系も少し・・・」
(学園に入る前にそれだけ出来れば、大したものだわ!)
正直私は驚いていた。
主人公や主要登場人物以外は、魔力を使えるようになるのは学園に入ってからの方が多いはず。もしかしてこの3人、どっかのルートで出てくる主要キャラだったりするのかしら?
「3人とも凄いわ!びっくりよ。」
すると、ずっと男同士で喋っていたミリアの弟のノエルが話に入ってきた。
「アリアナ嬢、この3人は特別なんですよ。こんなに早く魔力を開眼するものはほとんど居ないです。僕だって学園に入る直前で使えるようになったぐらいで・・・」
少し恥ずかしそうに赤くなりながら、それでも笑ってそう言った。
うん、性格良いな~この子。普通双子の片割れが優秀だと嫉妬して拗ねたりしそうだけど、そういう気配は微塵も無い。
「あっ、それに実はクリフも使えるんですよ!なっクリフ?。こいつも結構早いうちから魔術が使えて、しかも色んな属性を操れるんです」
「まぁ、そうなのですか。」
私は感心した素振りでそう言ったけど、内心(そりゃ、そうでしょ)と思っていた。
何せクリフ・ウォーレンは攻略対象で、先の皇帝の息子なんだもん。確か能力値においては現皇太子と同レベルだったはず・・・
(おお怖っ)
この世界では数種類の属性を操れる者が多いが、ほとんどは貴族の人間だ。というよりも魔力を持っている一族が貴族になったというのが正しい。
ただ、ごくたまに平民でも魔力を有する者が現れる。そう言った者たちは、魔力の大小に応じて魔術学校に奨学生として通わされ、長じては低位の貴族に抜擢されるものもいる。このへんの知識は屋敷に居た1か月で知ったことだ。
ただし、平民でどんなに魔力が強くても、貴族だけのアンファエルン学院に通うのは難しい。だけど、ヒロインは入学できた。
それはヒロインが光の魔力を持ち、世界でも扱い手が少ないという光属性の魔術を操れるからだ。
魔力の大小に関わらず、どの属性の魔術が使えるかは、そのものの生まれた時の資質によるものらしい。ある程度は鍛錬によって使えるようになるらしいが、それでも持って生まれたセンスには叶わないのだ。そして光属性に関しては、どんなに鍛錬しても元々の資質が備わっていないと全く育たない才能なのだ。
(まぁ、私には関係ない事だけどね・・・)
「うらやましいわ。私は全く魔術が使えないから」
私は小さくため息を落とした。
「アリアナ様も2年進級時の魔力テストできっと発現されますわ」
ミリアは力づける様にそう言ってくれたが、
「ううん、もう分かってるの、私は魔力ゼロなのです」
私がそう言うと、皆は「えっ?」という風にこちらを見た。
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