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第2章 悪役令嬢は巻き込まれたくない
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良かった。クリフは自分で運命を変えた。ゲームの中の暗い影を背負った彼はもういない。真っすぐな目でクリフは話す。
「デイビットから聞いた叔父のたくらみも、全部父に話したよ。父が今、皇帝と前皇帝とに報告していて、これからの対処が決まるようだ。俺もまだ色々聴取されるみたいだし、もしかしたら何かの処罰を受けるかもしれないけれど・・・。」
「大丈夫ですわ。クリフ様のお父様がそんなことさせる訳ありません。」
私はあえて、どちらの父であるかは言わなかったが、きっとその両方の意味である事はクリフも分かっただろう。彼は全て洗い流したような、すっきりした顔で笑った。
「今まで爵位は辞退するつもりで適当に生きてきたから、ちょっと反省しているんだ。これからはもっと自分を大事に生きてみるよ。欲しいものもできたし。」
そう言って私の方を見た。何故だか少し頬が赤くなっている。
「欲しいものですか。ウォーレン侯爵家の財力でしたら、大抵の物は手に入るのでは?。」
私がそう聞くと、
「お金で買えるものでは無いからね。俺は相当努力しないと無理だろうな・・・。強力なライバルもいる事だし・・・。」
「はぁ、ライバルですか・・・。」
それを聞いてはたっと思い当たった。
(お金で買えない・・・、努力・・・、ライバル・・・それって、学園の成績の事じゃない!?。もしかして欲しいものって学年1位の称号!?。)
そして私は恐ろしい事に気付いた。クリフは多分、今まで勉強も適当にやっていたのだ。それなのに、学年5位の成績を収めているのである。
(クリフは私の地位を脅かす存在になるかもしれない・・・。)
そっと彼を見ると、彼はまだ私を見つめている。その目に何か熱いものが込められているように感じた。こんなやる気に満ちてるクリフは初めてだ。
(そういう事なの?!。ということはライバルって、もしかして私の事!?。)
そう思うと、不思議と心に嬉しさがこみあげてきた。なんだろう、好敵手を見つけた時の戦士ってこんな気持ちなのかも?
(・・・ふふふ・・・いいでしょう。上等よ!、受けて立とうじゃない。)
なんだか闘志がわいてきた。
「分かりましたわ!。負けないですよ、私も。」
「は?」
「クリフ様にライバルと言って頂けて光栄です。それに恥じないよう、次のテストも全力を尽くしますわ!。」
そう宣言して両手の拳を握った私を、クリフは口をぽかんと明けて、美形にはそぐわない間抜けな顔で見ていた。
そして今、皆と夏休み前の最後のお昼休みを過ごしているわけなのだが、
(あの後、何故かクリフの笑い上戸が爆発して、話にならなかったのよね・・・。)
クリフは私の寮のリビングで散々笑い転げた。あまりに笑い続けるから、メイドや兄が心配して様子を見に来たぐらいだ。あげくの果てに「息が出来ない・・・。死ぬ・・・。」と言って、私達を慌てさせた。
(まぁ、人んちであれだけ笑えるって事は、元気になった証拠よね。)
そう結論付けて、私はお茶をゆっくり飲んだ。
そして帰り際のクリフを思い出してなんだかむずむずとした落ち着かない気分になった。
あの時、心ゆくまで笑ってから正気に戻った(?)彼は、私達にしっかり非礼を詫びた。そして、玄関で見送りに出た私にいきなりひざまづいたのだ。
「ク、クリフ様!?。」
動揺する私の手を取り、
「今回の事は君のおかげだ。君に心からの感謝を・・・。」
そう言って、私の手の甲に口付けたのだ。その瞬間、私は全身の血液が逆流し、全ての髪の毛が逆立ったような気分になった。
(きざっ!。マジできっざ!。でもあのビジュアルなら全然許せる。ていうかむしろウエルカム!。)
思い出しただけで、頬が赤くなるのが分かる。
(クリフは、ヤバい。その気になったらあの美貌で国一つぐらい落とせそうだわ。)
そんなくだらない事を考えていると、
「アリアナ様、どうなさいました?。お顔が少し赤いようですが、お体の具合でも・・・。」
ミリアが怪訝そうに私を見る。
「い、いえなんでもありませんわ。とにかく皆様、クリフ様は絶対元気になっています。私が保証します。だから、皆で目いっぱい楽しい夏休みを過ごしましょう。」
皆の明るい笑顔が、初夏の眩しい日差しに照らされていた。
「デイビットから聞いた叔父のたくらみも、全部父に話したよ。父が今、皇帝と前皇帝とに報告していて、これからの対処が決まるようだ。俺もまだ色々聴取されるみたいだし、もしかしたら何かの処罰を受けるかもしれないけれど・・・。」
「大丈夫ですわ。クリフ様のお父様がそんなことさせる訳ありません。」
私はあえて、どちらの父であるかは言わなかったが、きっとその両方の意味である事はクリフも分かっただろう。彼は全て洗い流したような、すっきりした顔で笑った。
「今まで爵位は辞退するつもりで適当に生きてきたから、ちょっと反省しているんだ。これからはもっと自分を大事に生きてみるよ。欲しいものもできたし。」
そう言って私の方を見た。何故だか少し頬が赤くなっている。
「欲しいものですか。ウォーレン侯爵家の財力でしたら、大抵の物は手に入るのでは?。」
私がそう聞くと、
「お金で買えるものでは無いからね。俺は相当努力しないと無理だろうな・・・。強力なライバルもいる事だし・・・。」
「はぁ、ライバルですか・・・。」
それを聞いてはたっと思い当たった。
(お金で買えない・・・、努力・・・、ライバル・・・それって、学園の成績の事じゃない!?。もしかして欲しいものって学年1位の称号!?。)
そして私は恐ろしい事に気付いた。クリフは多分、今まで勉強も適当にやっていたのだ。それなのに、学年5位の成績を収めているのである。
(クリフは私の地位を脅かす存在になるかもしれない・・・。)
そっと彼を見ると、彼はまだ私を見つめている。その目に何か熱いものが込められているように感じた。こんなやる気に満ちてるクリフは初めてだ。
(そういう事なの?!。ということはライバルって、もしかして私の事!?。)
そう思うと、不思議と心に嬉しさがこみあげてきた。なんだろう、好敵手を見つけた時の戦士ってこんな気持ちなのかも?
(・・・ふふふ・・・いいでしょう。上等よ!、受けて立とうじゃない。)
なんだか闘志がわいてきた。
「分かりましたわ!。負けないですよ、私も。」
「は?」
「クリフ様にライバルと言って頂けて光栄です。それに恥じないよう、次のテストも全力を尽くしますわ!。」
そう宣言して両手の拳を握った私を、クリフは口をぽかんと明けて、美形にはそぐわない間抜けな顔で見ていた。
そして今、皆と夏休み前の最後のお昼休みを過ごしているわけなのだが、
(あの後、何故かクリフの笑い上戸が爆発して、話にならなかったのよね・・・。)
クリフは私の寮のリビングで散々笑い転げた。あまりに笑い続けるから、メイドや兄が心配して様子を見に来たぐらいだ。あげくの果てに「息が出来ない・・・。死ぬ・・・。」と言って、私達を慌てさせた。
(まぁ、人んちであれだけ笑えるって事は、元気になった証拠よね。)
そう結論付けて、私はお茶をゆっくり飲んだ。
そして帰り際のクリフを思い出してなんだかむずむずとした落ち着かない気分になった。
あの時、心ゆくまで笑ってから正気に戻った(?)彼は、私達にしっかり非礼を詫びた。そして、玄関で見送りに出た私にいきなりひざまづいたのだ。
「ク、クリフ様!?。」
動揺する私の手を取り、
「今回の事は君のおかげだ。君に心からの感謝を・・・。」
そう言って、私の手の甲に口付けたのだ。その瞬間、私は全身の血液が逆流し、全ての髪の毛が逆立ったような気分になった。
(きざっ!。マジできっざ!。でもあのビジュアルなら全然許せる。ていうかむしろウエルカム!。)
思い出しただけで、頬が赤くなるのが分かる。
(クリフは、ヤバい。その気になったらあの美貌で国一つぐらい落とせそうだわ。)
そんなくだらない事を考えていると、
「アリアナ様、どうなさいました?。お顔が少し赤いようですが、お体の具合でも・・・。」
ミリアが怪訝そうに私を見る。
「い、いえなんでもありませんわ。とにかく皆様、クリフ様は絶対元気になっています。私が保証します。だから、皆で目いっぱい楽しい夏休みを過ごしましょう。」
皆の明るい笑顔が、初夏の眩しい日差しに照らされていた。
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