モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)

優摘

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第3章 悪役令嬢は関わりたくない

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「わたくしの事をお嫌いなのは分かりました。では、なぜ馬に一緒に乗る事にしたのです?。」

「何?」

「くじに細工をしていましたよね?。わたくしが嫌いでしたら、他の方と乗れば良いのでは?」


私はパーシヴァルが、わざとこの組み合わせになるよう、くじを操っていた事に気付いていた。

(簡単な仕掛けだ。なぜそんな事するのかは、分からなかったけど。)


私の言葉を聞いて、パーシヴァルの雰囲気が少し変わった。

「・・・化けたと言うか、ほんとに変わったんだ・・・。昔のアリアナ嬢なら、そんな頭は回らなかったよね。事故で頭打って、マシになったのかな・・・。」

(口悪いな、こいつ!。)

失礼な言い方だが、まぁ・・・、その通りではある。

(しかし、そとづらマックスの八方美人皇子が、私には随分な言い方するじゃない!?ゲームの中じゃ、女と見れば声かけまくって、リリーにも呆れられてたくせに!)


なんか、イライラしてきた。だから、単刀直入に聞いた。

「で、目的はなんです?。」

「何だって・・・?。」

「目的は何かと聞いてるんです。嫌いなわたくしと、わざわざ同じ馬に乗った理由を聞かせて頂けますか?。」


パーシヴァルは驚いたようで、しばらく黙っていたが、フッと笑って前方を指さした。

「何です?。」

「見えるだろ?。ディーンとリリーだ。」

「馬に乗ってますね。」

「ああ、・・・お似合いだと思わないか?。」

「思います。」

即答した私に、パーシヴァルは「えっ」と言う声を漏らした。


「思いますよ。まるで物語の主人公達の様です。美男美女で、言う事無しです。」

私の言葉に、パーシヴァルは呆気に取られたようだった。


(ふん、私(アリアナ)を怒らせようと思ったのか知らないけど、そんな事じゃ私はビクともしないよ。)

だって、ディーンとリリーの組み合わせに、さっきはよだれ垂らさんばかりにウットリしてたんだからねと、心の中で、的外れな自慢をしてみる。


「・・・だったらっ!」

いつも、へらへらしているパーシヴァルには珍しい、感情のこもった声を聞いて、私は思わず振り向いた。

パーシヴァルは横を向いて、振り向いた私の顔も見ずに眉を寄せた。


「だったら、もういい加減、開放してあげたら?。」

(え?)

「婚約だよ!。君が無理やりディーンにさせた。」

「あ・・・。」

奇しくも昨日、もやもや考えていた事と同じ事を言われて、私は動揺した。
慌てて、前へと姿勢を戻す。

(・・・私だって、解放してあげたいわよ・・・。)

昨日と同じもやもやが、心の中に広がっていく。


「ディーンは君と婚約してから、ずっと辛そうだった。なのに、コールリッジの権力の前に文句をいう事も出来ない。」

(う・・・。)

「学園に入って、明らかにディーンはリリーに惹かれていたんだ・・・。なのに、君がいるから・・・。」

(ううっ・・・。)


私はパーシヴァルの言葉にぐっと胸が苦しくなった。良い訳は出来ない、言い訳はできなけど・・・。


「・・・こう言っては何ですが・・・、パーシヴァル様には関係の無い事では・・・?」

「関係あるよ。僕の親友の事だからね。」

(親友、親友って、踏み込み過ぎじゃないの?。リリーの気持ちだって考えなさいよ。)


そりゃ、リリーもディーンが好きだって言うのなら、その方が良いに決まってるけど・・・。


「君、邪魔なんだって分かってる?」

(分かってますよ・・・。)

「昨日、夜にディーンを呼び出してたよね?」

「えっ?」

(気づかれてたのか!。)

「戻ってきた時、ディーンは難しい顔してた。家の権力振りかざして、またディーンに無理難題でも押し付けたの?」

「け、権力なんて・・・!」


(振りかざして無いよね?。お願いって言ったし・・・。あれ?、でも、振りかざした事になるのか・・・?)

私の後ろにコールリッジ家を感じていたから、ディーンは私の頼みを断れなかったの?。だから嫌々、仲睦まじい婚約者を演じてくれたのだろうか?。そう思った私は、言葉が続かなくなった。


「僕は、さほど力も持っていない只の第二皇子だ。けれど、ディーンの為なら君と刺し違えても良いと思っている。」


この言葉を聞いて、私は何故か違和感を感じた。


(この人、さっきからディーンの事ばっかり言ってる・・・。)


ゲームのパーシヴァルは確かにディーンとは友達だけど、リリーを巡るライバルでもあった筈だ。最後には、どちらと結ばれても、お互い祝福する程、仲の良い親友同士ではあるが・・・。

(それなのに、この人は初めからディーンの恋を応援して、・・・しかもディーンの為に私と刺し違えてもって・・・、とにかくディーンの為に・・・。)


そこで、はたっとある考えが浮かんだ。

(まさか、・・・でも)

あまりの事に、私は思わず振り向いて、彼に問うてしまった


「あなた、もしかしてディーン様の事が好きなのですか?」


ダイレクトにそう言った私に、パーシヴァルは一瞬、虚を突かれたようにぽかんとした。けれど、その顔は見る見る赤く染まり、「あ・・・、う・・・。」と何も言えないまま俯いてしまった。


「え?え?え?」

(マジで・・・?)


そっちなのかよぉー!と、正直私も困ってしまった。

茹でだこの様に赤くなり、黙って片手で顔を隠している第二皇子に、なんだか居たたまれなくなり、急いで再び前を向いた。


(どういう展開・・・。)


これは、・・・対処の仕方が分からないぞ。
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