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閑話3 この世の春(ノエル)
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兄弟がいると、比べられることが多い。
僕には4人の兄姉がいる。上の二人の姉とは年が離れていて、もう他所に嫁いでいるので、さほど比べられることは無かったが、双子の姉と、2つ上の兄とは、そりゃもう滅茶苦茶比較された。
とにかく彼らの出来が良すぎるのだ。
僕の家のバークレイ家は、昔から魔力が強い事で名を馳せている。田舎の小さな伯爵家だが、父は魔法省の管理職として勤めているぐらいだ。兄と姉達はその力を受けついだのだろう、4人とも魔力が強く、頭も良い。
特に双子の姉のミリアはバークレイ家の始祖と呼ばれる人の生まれ変わりでは無いかと言われてるくらいだ。彼女は強い魔力を持ち、幼い頃から魔術を操れる事に長けていた。しかも頭も良い。
2つ上の兄のケイシーも、ミリアには及ばないけど強い魔力を持つ上に、運動神経が抜群だ。それに明るくて爽やかで、人を惹きつける魅力の持ち主である。
この二人と比較される僕は、結構大変なのだ。僕は生まれつき魔力が少ないし、しかも土の魔力と植物の魔力しかない。使える魔術も少ない。これが分かった時、父と母が大きく溜息をついた事を覚えている。
運動神経も、兄のケイシーには遠く及ばない。というか、兄は2歳で馬を乗りこなしたと言う逸話を持つ恐ろしい人物だ。3歳で崖を素手でよじ登り、5歳でうちの警備隊長を剣で破った。天才と言うか、もうほぼ運動神経のお化けだ。
僕はいまだに馬に乗るのが苦手だけど、世間一般じゃ普通だと思う。
ミリアはと言うと、1歳の時には強い魔力がある事が分かって、5歳で魔術を操れるようになって、今じゃ魔法省の職員以上の魔力と魔術の才がある事が分かっている。学校の成績だって、上から5本の指に入るくらいの才媛だ。見た目も結構可愛いし、ここまで完璧だと笑っちゃうくらいなのだ。
僕はと言うと、ミリアの双子なんだから、顔は似てる筈なのに、どうも美形とは言い難い。たまに可愛いとは言われる事もあるけど、男だからあまりうれしくない。でもそんなに悪くない顔だと思ってる。
勉強はと言うと、真ん中よりも下に近い成績だ。中間テストの成績表を見せると、両親はまたまた大きく溜息をついた。でも、僕よりも何人も成績が悪い子もいるし、赤点は取っていないんだから、別に良いと思っているんだけど。
そんな事を親友のクリフに話したら、クリフは散々大笑いした後にこう言った。
「それがノエルの一番の長所だと思うよ。」
「どういう事さ?」
「比べられても、気にしてないだろ?」
「気にしてない事は無いぞ!。父や母をがっかりさせて、申し訳ないと思ってるさ。」
「でも、ケイシーやミリアを恨んだりしてないだろ?」
「なんで、兄さんとミリアを恨まなきゃいけないんだ?」
「だから、それで良いんだよ。ノエルは。」
こいつの言う事は、たまに良く分からない。でも、クリフも頭の良い奴だから、きっと正しい事を言ってるのだろう。
クリフは領が近くて、年も同じだから小さい頃からの友人だ。覚えてないけど、ウォーレン侯爵が、クリフの遊び相手になって欲しいと、うちに連れてきたのだが最初の出会いらしい。
こいつがまた、僕の兄姉以上に出来る奴なのだ。小さい頃は女の子?って思うくらい奇麗な顔をしていたし、今だってそこいらの女子よりずっと美人だ。さらに魔力や魔術も学校の成績だってミリアに負けず劣らずで、非の打ちどころが無い。
「父も母も、兄やミリアやクリフを基準にしちゃってるからなぁ。僕のレベルだと、満足できないんだよ。でも、僕は別に出来ないわけじゃ無くて、普通なだけだろ?」
「ああ。」
「別に僕は気にならないんだから、父も母もそう思ってくれたら良いんだけどなぁ・・・。」
「ノエルが気にしてないなら、大丈夫だよ。」
クリフはくっくと笑って、僕の背中を叩いた。
「そうだね。明日はアリアナ嬢の別荘に行くから早起きしなくちゃいけないし、そろそろ寝よう。」
僕は枕元のランプの灯を消した。
僕には4人の兄姉がいる。上の二人の姉とは年が離れていて、もう他所に嫁いでいるので、さほど比べられることは無かったが、双子の姉と、2つ上の兄とは、そりゃもう滅茶苦茶比較された。
とにかく彼らの出来が良すぎるのだ。
僕の家のバークレイ家は、昔から魔力が強い事で名を馳せている。田舎の小さな伯爵家だが、父は魔法省の管理職として勤めているぐらいだ。兄と姉達はその力を受けついだのだろう、4人とも魔力が強く、頭も良い。
特に双子の姉のミリアはバークレイ家の始祖と呼ばれる人の生まれ変わりでは無いかと言われてるくらいだ。彼女は強い魔力を持ち、幼い頃から魔術を操れる事に長けていた。しかも頭も良い。
2つ上の兄のケイシーも、ミリアには及ばないけど強い魔力を持つ上に、運動神経が抜群だ。それに明るくて爽やかで、人を惹きつける魅力の持ち主である。
この二人と比較される僕は、結構大変なのだ。僕は生まれつき魔力が少ないし、しかも土の魔力と植物の魔力しかない。使える魔術も少ない。これが分かった時、父と母が大きく溜息をついた事を覚えている。
運動神経も、兄のケイシーには遠く及ばない。というか、兄は2歳で馬を乗りこなしたと言う逸話を持つ恐ろしい人物だ。3歳で崖を素手でよじ登り、5歳でうちの警備隊長を剣で破った。天才と言うか、もうほぼ運動神経のお化けだ。
僕はいまだに馬に乗るのが苦手だけど、世間一般じゃ普通だと思う。
ミリアはと言うと、1歳の時には強い魔力がある事が分かって、5歳で魔術を操れるようになって、今じゃ魔法省の職員以上の魔力と魔術の才がある事が分かっている。学校の成績だって、上から5本の指に入るくらいの才媛だ。見た目も結構可愛いし、ここまで完璧だと笑っちゃうくらいなのだ。
僕はと言うと、ミリアの双子なんだから、顔は似てる筈なのに、どうも美形とは言い難い。たまに可愛いとは言われる事もあるけど、男だからあまりうれしくない。でもそんなに悪くない顔だと思ってる。
勉強はと言うと、真ん中よりも下に近い成績だ。中間テストの成績表を見せると、両親はまたまた大きく溜息をついた。でも、僕よりも何人も成績が悪い子もいるし、赤点は取っていないんだから、別に良いと思っているんだけど。
そんな事を親友のクリフに話したら、クリフは散々大笑いした後にこう言った。
「それがノエルの一番の長所だと思うよ。」
「どういう事さ?」
「比べられても、気にしてないだろ?」
「気にしてない事は無いぞ!。父や母をがっかりさせて、申し訳ないと思ってるさ。」
「でも、ケイシーやミリアを恨んだりしてないだろ?」
「なんで、兄さんとミリアを恨まなきゃいけないんだ?」
「だから、それで良いんだよ。ノエルは。」
こいつの言う事は、たまに良く分からない。でも、クリフも頭の良い奴だから、きっと正しい事を言ってるのだろう。
クリフは領が近くて、年も同じだから小さい頃からの友人だ。覚えてないけど、ウォーレン侯爵が、クリフの遊び相手になって欲しいと、うちに連れてきたのだが最初の出会いらしい。
こいつがまた、僕の兄姉以上に出来る奴なのだ。小さい頃は女の子?って思うくらい奇麗な顔をしていたし、今だってそこいらの女子よりずっと美人だ。さらに魔力や魔術も学校の成績だってミリアに負けず劣らずで、非の打ちどころが無い。
「父も母も、兄やミリアやクリフを基準にしちゃってるからなぁ。僕のレベルだと、満足できないんだよ。でも、僕は別に出来ないわけじゃ無くて、普通なだけだろ?」
「ああ。」
「別に僕は気にならないんだから、父も母もそう思ってくれたら良いんだけどなぁ・・・。」
「ノエルが気にしてないなら、大丈夫だよ。」
クリフはくっくと笑って、僕の背中を叩いた。
「そうだね。明日はアリアナ嬢の別荘に行くから早起きしなくちゃいけないし、そろそろ寝よう。」
僕は枕元のランプの灯を消した。
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