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閑話3 この世の春(ノエル)
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今、アンファエルン学園は夏休みに入った所だ。僕は自分の家に帰ってきている。
隣のベッドで寝ているクリフは、夏休み前に急に彼の領に帰ってしまったし、その前もなんだか元気が無かったから心配だった。でも、僕が領に戻ったら前と同じように、いや、前よりもなんだか元気になって、うちの屋敷に遊びに来た。
何があったのか、詳しくは聞いてない。きっとそのうち、話したくなったら話してくれるだろう。
それよりも、クリフが元気になった事がうれしかった。今年の夏休みも一緒に過ごせるのだ。しかも、コールリッジ公爵家のアリアナ嬢の別荘で!
(ミリアがアリアナ嬢と友達になってくれて、本当にありがたいよ。コールリッジ家の別荘に招待されるなんて、凄いことだ!)
きっと素晴らしい所だろうし、食事だって豪華に決まってる。楽しみしかないじゃないか。
そんな事を考えながら、僕は眠りに落ちた。
「ノエル、忘れ物は無い?お財布は持った?」
馬車に乗り込んだ僕に、ミリアがそう尋ねた。
「うん、大丈夫だよ。昨日準備してたから。」
「帽子は?かぶってないけど、どこにあるの?」
「あっ!玄関に置いてきた!」
「もう、しっかりしなさいよ。」
僕は1日1回はミリアに注意されてる気がする。帽子を慌てて取りに行ってから、馬車は出発した。
馬車は2台。ミリアとジョーとレティが乗った馬車と、僕とクリフの馬車だ。6人乗りの馬車1台で行こうとしたのだが、荷物が乗り切らなかった。女の子たちは荷物が多いしね。でも、もう1台の馬車はクリフの家が出してくれたし、僕はクリフと二人で道中が気楽で良い。
「ああ、楽しみだなぁ。アリアナ嬢の別荘ってどんなのだと思う?」
僕がそう聞くとクリフは向かい側の席で笑った。
「ノエル、一昨日会ってから、ずっとそればっかり言ってるぞ。」
「だって、楽しみじゃないか!。コールリッジ公爵家の別荘なんだよ。」
「観光地の近くの湖の側で、普通の屋敷ぐらい大きいってさ。父が言ってた。」
「うちの屋敷より、大きいだろうなぁ。」
何せ、向こうは大貴族だ。小さな伯爵家とは格が違う。
「でも、僕ってほんとにラッキーだと思うんだよ。」
「ん?」
「領が隣だってだけで、クリフと友達になれただろ?それにミリアのおかげで、レティやジョーとも親しくなれた。二人とも結構美人だし。」
「・・・ああ、そうだな。」
「しかも、学園に入ってからは、アリアナ嬢とリリー嬢とも懇意になれただろ?学園でもトップクラスに可愛いって有名な二人なんだよ!?。」
「へぇ、そうなんだ。」
「感動が薄いな、クリフは。僕達、周りの男子生徒からは、結構羨ましがられてるんだ。これがラッキーで無くて何だっていうだ?。僕ってほんとについてるよなぁ。」
しみじみ言うと、向かい側でノエルが吹き出した。
(クリフって、ほんと笑い上戸だよな・・・。あっ、でも、こんな風に笑う様になったのって、学園に入ってからかもしれない。)
関心無いようなフリしているが、クリフもきっと、レベルの高い女子に囲まれている学園生活が楽しいのだろう。
「なぁ、アリアナ嬢って婚約者のディーン殿とあまり上手くいって無い噂だろ?」
「そうなのか?」
「クリフはあまり、噂とか興味無さそうだから、知らないかもな。でも、アリアナ嬢もそう言ってたじゃ無いか。ピクニックに行く馬車でさ。ディーン殿にあまり好かれてないって。だからアリアナ嬢だって、将来に備えて働きたいって言ってただろ?」
「ああ。」
「僕だったら、喜んでアリアナ嬢と結婚するけどな。だってアリアナ嬢って、可愛いし、優しいし、頭良いし。お金持ちだし。」
「普通、男って自分より頭が良い女性は、気に入らないようだけど?」
「僕は全然気にしないよ。あっでも結婚したら、家に居て欲しいとは思うけどね。女性を働かせるのは、男のしてどうかと思うし。クリフは自分より頭の良い女性は苦手なのか?」
「いや。」
「そうだろ?。あっ、もしかしたら、そのせいでディーン殿はアリアナ嬢を好きじゃないのかな?」
「それは違う。」
何故か、クリフはきっぱりと断言した。
「それに、ディーン殿は別にアリアナ嬢を嫌っていないと思う。むしろ・・・」
「むしろ?」
「・・・いや、やめとく。本人に聞いたわけじゃないから。」
どういう事だろう?まぁ、クリフの様な頭の良い奴は、色々考える事があるのだろう。
「アリアナ嬢とディーン殿が婚約解消したら、僕にもチャンス無いかなって思ったんだけど。・・・やっぱり無理かな?」
「無理かどうかは、自分次第だろ。・・・ノエルはアリアナ嬢が好きなのか?」
「当たり前だろ!。あ、でもリリー嬢も可愛いよね。やっぱり頭良いし、優しいし。ジョーも良いよね。さっぱりしてるし、美人だし。レティも綺麗だし、迷うなぁ。」
「前言撤回、お前には無理だ。」
クリフは呆れたように溜息をついた。
隣のベッドで寝ているクリフは、夏休み前に急に彼の領に帰ってしまったし、その前もなんだか元気が無かったから心配だった。でも、僕が領に戻ったら前と同じように、いや、前よりもなんだか元気になって、うちの屋敷に遊びに来た。
何があったのか、詳しくは聞いてない。きっとそのうち、話したくなったら話してくれるだろう。
それよりも、クリフが元気になった事がうれしかった。今年の夏休みも一緒に過ごせるのだ。しかも、コールリッジ公爵家のアリアナ嬢の別荘で!
(ミリアがアリアナ嬢と友達になってくれて、本当にありがたいよ。コールリッジ家の別荘に招待されるなんて、凄いことだ!)
きっと素晴らしい所だろうし、食事だって豪華に決まってる。楽しみしかないじゃないか。
そんな事を考えながら、僕は眠りに落ちた。
「ノエル、忘れ物は無い?お財布は持った?」
馬車に乗り込んだ僕に、ミリアがそう尋ねた。
「うん、大丈夫だよ。昨日準備してたから。」
「帽子は?かぶってないけど、どこにあるの?」
「あっ!玄関に置いてきた!」
「もう、しっかりしなさいよ。」
僕は1日1回はミリアに注意されてる気がする。帽子を慌てて取りに行ってから、馬車は出発した。
馬車は2台。ミリアとジョーとレティが乗った馬車と、僕とクリフの馬車だ。6人乗りの馬車1台で行こうとしたのだが、荷物が乗り切らなかった。女の子たちは荷物が多いしね。でも、もう1台の馬車はクリフの家が出してくれたし、僕はクリフと二人で道中が気楽で良い。
「ああ、楽しみだなぁ。アリアナ嬢の別荘ってどんなのだと思う?」
僕がそう聞くとクリフは向かい側の席で笑った。
「ノエル、一昨日会ってから、ずっとそればっかり言ってるぞ。」
「だって、楽しみじゃないか!。コールリッジ公爵家の別荘なんだよ。」
「観光地の近くの湖の側で、普通の屋敷ぐらい大きいってさ。父が言ってた。」
「うちの屋敷より、大きいだろうなぁ。」
何せ、向こうは大貴族だ。小さな伯爵家とは格が違う。
「でも、僕ってほんとにラッキーだと思うんだよ。」
「ん?」
「領が隣だってだけで、クリフと友達になれただろ?それにミリアのおかげで、レティやジョーとも親しくなれた。二人とも結構美人だし。」
「・・・ああ、そうだな。」
「しかも、学園に入ってからは、アリアナ嬢とリリー嬢とも懇意になれただろ?学園でもトップクラスに可愛いって有名な二人なんだよ!?。」
「へぇ、そうなんだ。」
「感動が薄いな、クリフは。僕達、周りの男子生徒からは、結構羨ましがられてるんだ。これがラッキーで無くて何だっていうだ?。僕ってほんとについてるよなぁ。」
しみじみ言うと、向かい側でノエルが吹き出した。
(クリフって、ほんと笑い上戸だよな・・・。あっ、でも、こんな風に笑う様になったのって、学園に入ってからかもしれない。)
関心無いようなフリしているが、クリフもきっと、レベルの高い女子に囲まれている学園生活が楽しいのだろう。
「なぁ、アリアナ嬢って婚約者のディーン殿とあまり上手くいって無い噂だろ?」
「そうなのか?」
「クリフはあまり、噂とか興味無さそうだから、知らないかもな。でも、アリアナ嬢もそう言ってたじゃ無いか。ピクニックに行く馬車でさ。ディーン殿にあまり好かれてないって。だからアリアナ嬢だって、将来に備えて働きたいって言ってただろ?」
「ああ。」
「僕だったら、喜んでアリアナ嬢と結婚するけどな。だってアリアナ嬢って、可愛いし、優しいし、頭良いし。お金持ちだし。」
「普通、男って自分より頭が良い女性は、気に入らないようだけど?」
「僕は全然気にしないよ。あっでも結婚したら、家に居て欲しいとは思うけどね。女性を働かせるのは、男のしてどうかと思うし。クリフは自分より頭の良い女性は苦手なのか?」
「いや。」
「そうだろ?。あっ、もしかしたら、そのせいでディーン殿はアリアナ嬢を好きじゃないのかな?」
「それは違う。」
何故か、クリフはきっぱりと断言した。
「それに、ディーン殿は別にアリアナ嬢を嫌っていないと思う。むしろ・・・」
「むしろ?」
「・・・いや、やめとく。本人に聞いたわけじゃないから。」
どういう事だろう?まぁ、クリフの様な頭の良い奴は、色々考える事があるのだろう。
「アリアナ嬢とディーン殿が婚約解消したら、僕にもチャンス無いかなって思ったんだけど。・・・やっぱり無理かな?」
「無理かどうかは、自分次第だろ。・・・ノエルはアリアナ嬢が好きなのか?」
「当たり前だろ!。あ、でもリリー嬢も可愛いよね。やっぱり頭良いし、優しいし。ジョーも良いよね。さっぱりしてるし、美人だし。レティも綺麗だし、迷うなぁ。」
「前言撤回、お前には無理だ。」
クリフは呆れたように溜息をついた。
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