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閑話3 この世の春(ノエル)
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コールリッジ家の別荘はうちからは結構遠く、途中で宿に1泊して、次の日の午後にやっと到着した。
そして、別荘は想像していた以上に素晴らしかった。前には大きな青い湖が広がり、後ろには山々がそびえたっている。
「凄い!。うちの屋敷よりも大きいし豪華だ。」
僕は馬車が止まると同時に飛び降りて、別荘と周りの景色に見惚れていた。
(こんな所で夏休みを過ごせるなんて、本当にラッキーだよ。)
入り口を入ってすぐのホールも、高そうな装飾品がいっぱいで、目がチカチカするくらいだ。
(おおーっ!。さすが、皇国一の大貴族の別荘。)
初めて会ったコールリッジ公爵は、なんだか全身からオーラが出てるようで、凄く緊張してしまった。うちの父のようにお腹は出てないし、若々しくてハンサムだ。それに、公爵夫人は年齢が分からないくらい若く、凄い美人だった。さすが、アリアナ嬢のお母さんだと思う。
驚いたことに、僕達と同じ日に、ディーン殿と第二皇子のパーシヴァル殿下もやってきた。つまり僕は、第二皇子と、二人の公爵子息とこの夏休みを過ごすと言う事なのだ。
なんてラッキーなんだ。
貴族社会では、交友関係やツテなんかが、結構重要になってくる。学園生活は勉強だけでなく、そういう人間関係を作る場でもあるのだ。親友のクリフだって侯爵子息だし、これって僕の将来は凄く明るいんじゃないか?
そんなこんなで正直、僕は結構、浮かれていた。整えられた庭での優雅なお茶や、綺麗な滝でのピクニック。食事は豪華で美味しいし、女の子たちは皆、美人で可愛い。
(もっ最高だ。)
夜になると男子はクラーク殿の部屋に集まった。クラーク殿とディーン殿が、皇国の発展の為の政策についての議論を始めたのだが、内容が難しくて良く分からなかった。けれど、なんだか僕も、上級貴族の仲間入りをしたような気分になった。
僕達には一人に一部屋を用意してくれていたけど、僕は一人じゃ寂しいのでクリフと同じ部屋にして貰った。そして寝る前にクリフと、この別荘生活の感動を分かち合っていた。
「人生で一番楽しい夏を過ごしていると言っても、過言じゃないと思うな。・・・なぁ、来年もまたアリアナ嬢は、僕達を招待してくれるかな?。」
「来たばかりで、もう来年の話か?。」
「だって、毎年こんな所で皆と過ごせたら、最高じゃないか。」
「ああ、そうだな。」
クリフはベッドの上で片膝に肘を乗っけてこっちを向いた。僕もクリフの方に、身体を向けた。
「クラーク殿やディーン殿の話の内容って難しくなかったか?。パーシヴァル殿下は理解していたみたいだけど、クリフは分かった?。きっと、3人とも、小さい頃からそういう教育を受けてるんだろうなぁ。良いなぁ。僕も公爵家に生まれたかったな。」
子沢山の地方の伯爵家の家庭教師は、よぼよぼのおじいさんだった。ミリアと一緒に授業を受けたけど、内容は歴史ばかりで政治については教えて貰えなかった。
僕がその事を言うと、クリフは、
「教育を受けたって、本人にそういう意識がなければ身に着かないよ。二人は幼い頃から、ちゃんと自覚していたから出来るのさ。」
そう言って、珍しく、少し悔しそうな顔をした。
(やっぱりクリフは変わったよなぁ。)
前はこんな顔するような奴では無かった。いつも、何をしていても、どこか冷めてて、つまらなそうだった。
(でも、悪い変化じゃない。)
前のクリフも好きだけど、今の感情を見せるクリフの方がもっと好きだ。
そんな風に思っていたら、思い出した事があった。
「そう言えばさ、今日滝にピクニックに行っただろ?」
「ああ」
「僕達が洞窟から出て来た時、クリフとアリアナ嬢、岩で出来た舞台みたいな所に立ってたよな?。」
「うん・・・。」
「あの時さ、二人が精霊のイルクァーレと妖精のシーリーンみたいに見えたんだよなぁ・・・。」
向かい合ってお互いを見ていた二人は、現実世界の者とは思えない程、綺麗だった。美形の威力って凄いなと思った。
(レティシアなんか、見た途端に悲鳴上げてたもんな。何故か、急にスケッチブックを広げだしたから、びっくりしたけど・・・。そう言えばクラーク殿は、ちょっと顔が引きつってな。)
僕は二人の姿が、あまりにも幻想的だったから、馬鹿みたいに口を開けて見惚れていたけど。
「なぁ、あの時二人で何してたんだ?。」
そう聞くと、クリフは急に僕に背中を向けて寝っ転がった。
「別に・・・。もう寝る。」
一瞬見えた顔が赤くなってて、僕はそんなクリフも初めて見たので驚いた。そして、
(やっぱり今のクリフの方がずっと良い。)
そんな風に思った。
そして、別荘は想像していた以上に素晴らしかった。前には大きな青い湖が広がり、後ろには山々がそびえたっている。
「凄い!。うちの屋敷よりも大きいし豪華だ。」
僕は馬車が止まると同時に飛び降りて、別荘と周りの景色に見惚れていた。
(こんな所で夏休みを過ごせるなんて、本当にラッキーだよ。)
入り口を入ってすぐのホールも、高そうな装飾品がいっぱいで、目がチカチカするくらいだ。
(おおーっ!。さすが、皇国一の大貴族の別荘。)
初めて会ったコールリッジ公爵は、なんだか全身からオーラが出てるようで、凄く緊張してしまった。うちの父のようにお腹は出てないし、若々しくてハンサムだ。それに、公爵夫人は年齢が分からないくらい若く、凄い美人だった。さすが、アリアナ嬢のお母さんだと思う。
驚いたことに、僕達と同じ日に、ディーン殿と第二皇子のパーシヴァル殿下もやってきた。つまり僕は、第二皇子と、二人の公爵子息とこの夏休みを過ごすと言う事なのだ。
なんてラッキーなんだ。
貴族社会では、交友関係やツテなんかが、結構重要になってくる。学園生活は勉強だけでなく、そういう人間関係を作る場でもあるのだ。親友のクリフだって侯爵子息だし、これって僕の将来は凄く明るいんじゃないか?
そんなこんなで正直、僕は結構、浮かれていた。整えられた庭での優雅なお茶や、綺麗な滝でのピクニック。食事は豪華で美味しいし、女の子たちは皆、美人で可愛い。
(もっ最高だ。)
夜になると男子はクラーク殿の部屋に集まった。クラーク殿とディーン殿が、皇国の発展の為の政策についての議論を始めたのだが、内容が難しくて良く分からなかった。けれど、なんだか僕も、上級貴族の仲間入りをしたような気分になった。
僕達には一人に一部屋を用意してくれていたけど、僕は一人じゃ寂しいのでクリフと同じ部屋にして貰った。そして寝る前にクリフと、この別荘生活の感動を分かち合っていた。
「人生で一番楽しい夏を過ごしていると言っても、過言じゃないと思うな。・・・なぁ、来年もまたアリアナ嬢は、僕達を招待してくれるかな?。」
「来たばかりで、もう来年の話か?。」
「だって、毎年こんな所で皆と過ごせたら、最高じゃないか。」
「ああ、そうだな。」
クリフはベッドの上で片膝に肘を乗っけてこっちを向いた。僕もクリフの方に、身体を向けた。
「クラーク殿やディーン殿の話の内容って難しくなかったか?。パーシヴァル殿下は理解していたみたいだけど、クリフは分かった?。きっと、3人とも、小さい頃からそういう教育を受けてるんだろうなぁ。良いなぁ。僕も公爵家に生まれたかったな。」
子沢山の地方の伯爵家の家庭教師は、よぼよぼのおじいさんだった。ミリアと一緒に授業を受けたけど、内容は歴史ばかりで政治については教えて貰えなかった。
僕がその事を言うと、クリフは、
「教育を受けたって、本人にそういう意識がなければ身に着かないよ。二人は幼い頃から、ちゃんと自覚していたから出来るのさ。」
そう言って、珍しく、少し悔しそうな顔をした。
(やっぱりクリフは変わったよなぁ。)
前はこんな顔するような奴では無かった。いつも、何をしていても、どこか冷めてて、つまらなそうだった。
(でも、悪い変化じゃない。)
前のクリフも好きだけど、今の感情を見せるクリフの方がもっと好きだ。
そんな風に思っていたら、思い出した事があった。
「そう言えばさ、今日滝にピクニックに行っただろ?」
「ああ」
「僕達が洞窟から出て来た時、クリフとアリアナ嬢、岩で出来た舞台みたいな所に立ってたよな?。」
「うん・・・。」
「あの時さ、二人が精霊のイルクァーレと妖精のシーリーンみたいに見えたんだよなぁ・・・。」
向かい合ってお互いを見ていた二人は、現実世界の者とは思えない程、綺麗だった。美形の威力って凄いなと思った。
(レティシアなんか、見た途端に悲鳴上げてたもんな。何故か、急にスケッチブックを広げだしたから、びっくりしたけど・・・。そう言えばクラーク殿は、ちょっと顔が引きつってな。)
僕は二人の姿が、あまりにも幻想的だったから、馬鹿みたいに口を開けて見惚れていたけど。
「なぁ、あの時二人で何してたんだ?。」
そう聞くと、クリフは急に僕に背中を向けて寝っ転がった。
「別に・・・。もう寝る。」
一瞬見えた顔が赤くなってて、僕はそんなクリフも初めて見たので驚いた。そして、
(やっぱり今のクリフの方がずっと良い。)
そんな風に思った。
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