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第6章 悪役令嬢は利用されたくない
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「残念ながら、そんなもん居ませんでしたよ。それに、生活を楽しむ余裕もありませんでしたね。」
「あら、つまんない子ね。どうしてよ?」
「生活費を稼がなくてはいけませんでしたから。それに、奨学金を貰っていたので、成績維持に勉強は必須でしたし。」
トラヴィスの顔が、幾分真面目になった。
「もしかして、苦学生だったの?」
「そんな感じです。」
「よく、乙女ゲームなんかする暇あったわね?。」
「睡眠時間、削ってました。」
そう言うと、トラヴィスの顔があからさまに歪んだ。
「まぁ、私も休みの日の前とかは、徹夜したりはしてたけどね・・・。あんたの場合、倒れないと分からないタイプっぽいか。」
「元気でしたよ?。風邪ひいた事も無かったし。」
「そういう人に限って、突然ってのがあるのよ!。案外それなんじゃ無いの?。ここに居る原因は。とにかく、今はアリアナなんだから、色々無理しちゃだめよ。」
なんだかんだ言って、トラヴィスは優しいねーさんなのだ。
(トラヴィスと話していると、昔の事を良く思い出す・・・。アリアナになってから、ロリコン回避に必死で、ゲームの内容ばかり考えてたなぁ。)
ゲームの内容と言えば、トラヴィスは前世で、ほとんどコンプリート状態だったらしい。
「もう少しで、完全コンプリートだったのに、惜しかったわ。」
と悔しがっていた。
「もしかして、3部まで行けたんですか!?」
と驚きながら聞くと、
「もちろんでしょ!。私を誰だと思ってんの。でも、3部のハッピーエンドまでは到達できなかったのよねぇ・・・。本当に選択肢が巧妙でさ。でも、あんただって、睡眠削ってまでやってたんでしょ?。3部見てないの?。」
「誰のルートから行けるのか、分からないくて・・・。それに、全員は攻略してないですから。」
そう言うと、トラヴィスは目を見開いて、「嘘っ!?」と言った。
「何やってんのよぉ!。推しは居たとしても、まず全クリは基本でしょ!?。も~!、じゃあ、いったい誰と誰は攻略出来てるの?。」
私は指を折りつつ、思い出してみる。
「ディーン3回、パーシヴァル2回、トラヴィス5回、ケイシー7回、クラーク11回です。」
うん、確かそうだった。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ・・・!」
パーシヴァルは私の返事を聞いて、頭を抱えた。
「・・・なんでそんな細かく覚えてるのよ?。いや、そこじゃなくて・・・。何なのよっ!?その偏った攻略は!。しかも、クリフは?。あんた達、仲良いじゃない?。なんで攻略してないのよ!?。」
まくし立てる様に聞いてくる。
「クリフは一回攻略しようとしたら、闇落ちされた上、ヒロインが殺されてしまって・・・。そもそも、ゲーム内のクリフって、ヒロインと出会った時、めちゃくちゃ暗いじゃないですか。暗い人、苦手なんですよね。王太子暗殺に加担しちゃってるし。」
トラヴィスの顎が下がった。
「何言ってんのよ!。それをヒロインが、心開かせていくのが醍醐味じゃんよ!。『怪我したくなければ、俺にかかわるな。』って暗~く言い放つクリフが、『俺は君を守りたい。例え俺を選んでくれなくても。』に変わっていくのが、もう、きゅんきゅんするところでしょ!?。ゲーム内、最高美形キャラを攻略しないでどうすんのよ!」
机を叩きながら立ち上がって、肩で息をしている。
「うーん、ビジュアルは好きだったんですけどね。ヒロインが他の攻略者の時より、悩む事が多いじゃないですか?。可哀そうになっちゃって・・・。で、一回殺されたのがトラウマで、手を出さなくなりました。」
トラヴィスは歯痛をこらえる様な顔で、天を仰いだ。
「じゃ、じゃあさ、マリオット先生は?。あの人は天然キャラで明るいし、可愛いじゃない?。」
そう聞かれて、私は眉を寄せた。
「先生が生徒に手を出すって、ヤバくないですか?。しかも、8才も年下の女の子に。犯罪ですよ、犯罪。」
グスタフほどでは無いが、ロリコンでしょ?。マリオット先生は良い人かもしれんが、ヒロインと恋愛は有り得ない。私はそう言って、胸を張った。トラヴィスは両手で、頭を押さえた。
「・・・あんたの恋愛観、どうなってんのよ。高校の時、先生に憧れたりしなかったわけ?。じゃ、もちろんイーサン様のルートも攻略して無いわけよね。」
(げっ・・・。)
嫌な名前が出て来たな。
「イーサンって、隠しキャラですよね。結局ゲーム内では出会わなかったんです。」
こっちの世界では、妙に関わってしまったが・・・。
「イーサン様は、攻略対象者全員をハッピーエンドでクリアした上で、トラヴィスのルートを選んだ時に、派生ルートとして出てくるのよ。でもって、イーサン様はトラヴィス暗殺のイベントの時しか現れないの。選択肢をちょっとでも間違えたら、ルートには入れないし、本当にイーサン様の攻略には苦労したわぁ。しかもね・・・、」
「あ、あの!、ちょっとストップしてください。さっきから気になるのですが、どうして、イーサンだけ『様』付けなんですか?。」
私は喋り続けようとするトラヴィスを、無理やり遮った。
「あら、つまんない子ね。どうしてよ?」
「生活費を稼がなくてはいけませんでしたから。それに、奨学金を貰っていたので、成績維持に勉強は必須でしたし。」
トラヴィスの顔が、幾分真面目になった。
「もしかして、苦学生だったの?」
「そんな感じです。」
「よく、乙女ゲームなんかする暇あったわね?。」
「睡眠時間、削ってました。」
そう言うと、トラヴィスの顔があからさまに歪んだ。
「まぁ、私も休みの日の前とかは、徹夜したりはしてたけどね・・・。あんたの場合、倒れないと分からないタイプっぽいか。」
「元気でしたよ?。風邪ひいた事も無かったし。」
「そういう人に限って、突然ってのがあるのよ!。案外それなんじゃ無いの?。ここに居る原因は。とにかく、今はアリアナなんだから、色々無理しちゃだめよ。」
なんだかんだ言って、トラヴィスは優しいねーさんなのだ。
(トラヴィスと話していると、昔の事を良く思い出す・・・。アリアナになってから、ロリコン回避に必死で、ゲームの内容ばかり考えてたなぁ。)
ゲームの内容と言えば、トラヴィスは前世で、ほとんどコンプリート状態だったらしい。
「もう少しで、完全コンプリートだったのに、惜しかったわ。」
と悔しがっていた。
「もしかして、3部まで行けたんですか!?」
と驚きながら聞くと、
「もちろんでしょ!。私を誰だと思ってんの。でも、3部のハッピーエンドまでは到達できなかったのよねぇ・・・。本当に選択肢が巧妙でさ。でも、あんただって、睡眠削ってまでやってたんでしょ?。3部見てないの?。」
「誰のルートから行けるのか、分からないくて・・・。それに、全員は攻略してないですから。」
そう言うと、トラヴィスは目を見開いて、「嘘っ!?」と言った。
「何やってんのよぉ!。推しは居たとしても、まず全クリは基本でしょ!?。も~!、じゃあ、いったい誰と誰は攻略出来てるの?。」
私は指を折りつつ、思い出してみる。
「ディーン3回、パーシヴァル2回、トラヴィス5回、ケイシー7回、クラーク11回です。」
うん、確かそうだった。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ・・・!」
パーシヴァルは私の返事を聞いて、頭を抱えた。
「・・・なんでそんな細かく覚えてるのよ?。いや、そこじゃなくて・・・。何なのよっ!?その偏った攻略は!。しかも、クリフは?。あんた達、仲良いじゃない?。なんで攻略してないのよ!?。」
まくし立てる様に聞いてくる。
「クリフは一回攻略しようとしたら、闇落ちされた上、ヒロインが殺されてしまって・・・。そもそも、ゲーム内のクリフって、ヒロインと出会った時、めちゃくちゃ暗いじゃないですか。暗い人、苦手なんですよね。王太子暗殺に加担しちゃってるし。」
トラヴィスの顎が下がった。
「何言ってんのよ!。それをヒロインが、心開かせていくのが醍醐味じゃんよ!。『怪我したくなければ、俺にかかわるな。』って暗~く言い放つクリフが、『俺は君を守りたい。例え俺を選んでくれなくても。』に変わっていくのが、もう、きゅんきゅんするところでしょ!?。ゲーム内、最高美形キャラを攻略しないでどうすんのよ!」
机を叩きながら立ち上がって、肩で息をしている。
「うーん、ビジュアルは好きだったんですけどね。ヒロインが他の攻略者の時より、悩む事が多いじゃないですか?。可哀そうになっちゃって・・・。で、一回殺されたのがトラウマで、手を出さなくなりました。」
トラヴィスは歯痛をこらえる様な顔で、天を仰いだ。
「じゃ、じゃあさ、マリオット先生は?。あの人は天然キャラで明るいし、可愛いじゃない?。」
そう聞かれて、私は眉を寄せた。
「先生が生徒に手を出すって、ヤバくないですか?。しかも、8才も年下の女の子に。犯罪ですよ、犯罪。」
グスタフほどでは無いが、ロリコンでしょ?。マリオット先生は良い人かもしれんが、ヒロインと恋愛は有り得ない。私はそう言って、胸を張った。トラヴィスは両手で、頭を押さえた。
「・・・あんたの恋愛観、どうなってんのよ。高校の時、先生に憧れたりしなかったわけ?。じゃ、もちろんイーサン様のルートも攻略して無いわけよね。」
(げっ・・・。)
嫌な名前が出て来たな。
「イーサンって、隠しキャラですよね。結局ゲーム内では出会わなかったんです。」
こっちの世界では、妙に関わってしまったが・・・。
「イーサン様は、攻略対象者全員をハッピーエンドでクリアした上で、トラヴィスのルートを選んだ時に、派生ルートとして出てくるのよ。でもって、イーサン様はトラヴィス暗殺のイベントの時しか現れないの。選択肢をちょっとでも間違えたら、ルートには入れないし、本当にイーサン様の攻略には苦労したわぁ。しかもね・・・、」
「あ、あの!、ちょっとストップしてください。さっきから気になるのですが、どうして、イーサンだけ『様』付けなんですか?。」
私は喋り続けようとするトラヴィスを、無理やり遮った。
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