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第6章 悪役令嬢は利用されたくない
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「どうしてって、『推し』だからに決まってるじゃない。」
トラヴィスはケロリとのたまった。
「お、推し?。イーサンが!?。どうしてですか?、あんな性格悪い人!。ケイシーとか、クラークの方がよっぽど良いですよ。ビジュアルだって、クリフやディーンに及ばないし。それこそトラヴィス殿下なんて、性格、顔、権力の三拍子揃ってるじゃないですか!?。なのに、なんでイーサン?。」
全くもって、理解できない。困惑する私に、トラヴィスは「チッチッチッ」と人差し指を振った。
「まだまだ、やり込み度が浅いわね。私くらいのレベルになると、普通のイケメンや優しい人じゃ、満足できないわけ。イーサン様って、口調は軽くて明るいのに、どこか影があるでしょう?。それに真面目そうで可愛い顔してるのに、表情に毒があるのよ。さらに意地悪で残酷なのに、時折見せる優しさがもう・・・。」
両手の拳を握って、ぷるぷる震えている。それがトラヴィスの姿でやるもんだから、こっちはげんなりだ。そんな、私の心情を無視して、彼は続けた。
「おまけに、ゲーム内最高魔力の持ち主で、闇魔術だけじゃなく、ほとんどの魔術の使い手よ!。これを押さずして、どうするの!?。」
「すみませんが、ぜんっぜん、分かりません。私はやっぱり、明るくて優しい人が良いです。」
一人で盛り上がってるトラヴィスには悪いが、ビシッと言ってやると、彼は白けた様な顔で「つまんない子ねぇ。」とため息をついた。
「まぁ、良いわ。じゃ、あんたの『推し』って誰だったの?。」
「え?」
彼は、意味ありげに笑みを浮かべると、
「だって、あなた。こんな理想的な世界に生まれ変わったのよ?。私と違って、ちゃんと女の子なんだし、今なら悪役令嬢でも無いでしょ?。自分の『推し』を現実で攻略できるチャンスじゃ無いの!。勿体ぶらないで教えなさいよ。」
机に片肘をついて、にやにやしながら私を指さした。
「いや、あの・・・。」
「攻略量で言うとクラークだけど、実の兄じゃ無理よねぇ。・・・次だとケイシー?。まさか・・・。ちょっとぉ!。流石に私を落とそうとするのは止めてよね!。え~、でも、どうしてもって言うのなら、やぶさかでも無いけどぉ・・・。」
両手を頬に添えて、首を振りながら一人で盛り上がっているのを、冷めた目で見ながら、
「絶対無いので、安心してください。」
と、冷静に返事をした。
「あら、そうなの?。残念ねぇ。」
トラヴィスが本当に残念そうにしてるので、マジで引いてしまう。
(この人、大丈夫か?。頭の中身、どうなってんの?)
「殿下にはエメライン王女が居るでしょ?。あの方と戦うのなんて、絶対にごめんですからね。それに、私、別に『推し』とか無いですから。」
「えええっっ!」
トラヴィスは、目を見開いて、机から乗り出す勢いで大声を出したので、私は思わずのけ反った。
「な、何ですって?!。『推し』無しで、あんた何回もゲームやってたの?」
有り得ないものを見る様な目で見られて、私もちょっとムキになった。
「別に良いじゃないですか!、私はヒロインのリリーが可愛くて・・・、彼女が攻略対象と恋愛して幸せになるのを見るのが好きだったんですよ。・・・あっ、そうか。じゃあ、リリーが『推し』でも良いのかも・・・?」
私がそう言うと、トラヴィスは机にガバッと突っ伏した。
「なんで、悪役令嬢のアリアナの『推し』がリリーになるのよぉ!?。もう、なんか色々間違ってる!。」
「で、殿下だって、私はもう悪役令嬢じゃ無いって、言ってくれたじゃないですか!?。リリーを推して何が悪いんですか!?。」
「そうじゃ無くてぇ!。」
トラヴィスは伏せていた顔をあげた。
「私が言いたいのはね。こんな良い男だらけの世界に生まれ変わって、嫌な設定からも、頑張って逃れられたんでしょ?。だからあんたも、ゲームのリリーみたいに、素敵な恋愛を楽しんだら?って事。ねぇ、アリアナ。あんたは今、この世界で、いったい誰が好きなの?。」
トラヴィスはケロリとのたまった。
「お、推し?。イーサンが!?。どうしてですか?、あんな性格悪い人!。ケイシーとか、クラークの方がよっぽど良いですよ。ビジュアルだって、クリフやディーンに及ばないし。それこそトラヴィス殿下なんて、性格、顔、権力の三拍子揃ってるじゃないですか!?。なのに、なんでイーサン?。」
全くもって、理解できない。困惑する私に、トラヴィスは「チッチッチッ」と人差し指を振った。
「まだまだ、やり込み度が浅いわね。私くらいのレベルになると、普通のイケメンや優しい人じゃ、満足できないわけ。イーサン様って、口調は軽くて明るいのに、どこか影があるでしょう?。それに真面目そうで可愛い顔してるのに、表情に毒があるのよ。さらに意地悪で残酷なのに、時折見せる優しさがもう・・・。」
両手の拳を握って、ぷるぷる震えている。それがトラヴィスの姿でやるもんだから、こっちはげんなりだ。そんな、私の心情を無視して、彼は続けた。
「おまけに、ゲーム内最高魔力の持ち主で、闇魔術だけじゃなく、ほとんどの魔術の使い手よ!。これを押さずして、どうするの!?。」
「すみませんが、ぜんっぜん、分かりません。私はやっぱり、明るくて優しい人が良いです。」
一人で盛り上がってるトラヴィスには悪いが、ビシッと言ってやると、彼は白けた様な顔で「つまんない子ねぇ。」とため息をついた。
「まぁ、良いわ。じゃ、あんたの『推し』って誰だったの?。」
「え?」
彼は、意味ありげに笑みを浮かべると、
「だって、あなた。こんな理想的な世界に生まれ変わったのよ?。私と違って、ちゃんと女の子なんだし、今なら悪役令嬢でも無いでしょ?。自分の『推し』を現実で攻略できるチャンスじゃ無いの!。勿体ぶらないで教えなさいよ。」
机に片肘をついて、にやにやしながら私を指さした。
「いや、あの・・・。」
「攻略量で言うとクラークだけど、実の兄じゃ無理よねぇ。・・・次だとケイシー?。まさか・・・。ちょっとぉ!。流石に私を落とそうとするのは止めてよね!。え~、でも、どうしてもって言うのなら、やぶさかでも無いけどぉ・・・。」
両手を頬に添えて、首を振りながら一人で盛り上がっているのを、冷めた目で見ながら、
「絶対無いので、安心してください。」
と、冷静に返事をした。
「あら、そうなの?。残念ねぇ。」
トラヴィスが本当に残念そうにしてるので、マジで引いてしまう。
(この人、大丈夫か?。頭の中身、どうなってんの?)
「殿下にはエメライン王女が居るでしょ?。あの方と戦うのなんて、絶対にごめんですからね。それに、私、別に『推し』とか無いですから。」
「えええっっ!」
トラヴィスは、目を見開いて、机から乗り出す勢いで大声を出したので、私は思わずのけ反った。
「な、何ですって?!。『推し』無しで、あんた何回もゲームやってたの?」
有り得ないものを見る様な目で見られて、私もちょっとムキになった。
「別に良いじゃないですか!、私はヒロインのリリーが可愛くて・・・、彼女が攻略対象と恋愛して幸せになるのを見るのが好きだったんですよ。・・・あっ、そうか。じゃあ、リリーが『推し』でも良いのかも・・・?」
私がそう言うと、トラヴィスは机にガバッと突っ伏した。
「なんで、悪役令嬢のアリアナの『推し』がリリーになるのよぉ!?。もう、なんか色々間違ってる!。」
「で、殿下だって、私はもう悪役令嬢じゃ無いって、言ってくれたじゃないですか!?。リリーを推して何が悪いんですか!?。」
「そうじゃ無くてぇ!。」
トラヴィスは伏せていた顔をあげた。
「私が言いたいのはね。こんな良い男だらけの世界に生まれ変わって、嫌な設定からも、頑張って逃れられたんでしょ?。だからあんたも、ゲームのリリーみたいに、素敵な恋愛を楽しんだら?って事。ねぇ、アリアナ。あんたは今、この世界で、いったい誰が好きなの?。」
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