166 / 284
第6章 悪役令嬢は利用されたくない
43
しおりを挟む
(・・・ヤバい・・ヤバいでしょ?!。ちょっとトラヴィスねーさん、なんとか誤魔化して・・・)
そう思って急いでトラヴィスに目配せしたが、
「アリアナ嬢に精神が二つある事は、私も以前確認している。」
(おおおい!認めちゃってるよ!?)
なんと伯爵に話を合わせてるじゃ無いか!さらに、
「彼女に精神が二つある事で、合わせて大きな精神となっているという事なのか?」
伯爵に質問までした。
「いえいえ!。小さい方の精神は関係ございません。問題にならない程小さいので。もう一つの精神がとんでも無く大きいのです。・・・そうですね・・・恐らく歴史上における大神官、大魔術師、大聖女並みではないかと!。」
(な、何?その比較例。ファンタジー過ぎる)
正直面食らってしまって言葉が出ない。クラークも目を伏せて黙ったままだ。
トラヴィスとヘルダー伯爵は話を続ける。
「なのに、アリアナ嬢には魔力が無い。」
「そうです。これは、かなり特異な現象であると言えます。ですから、もう一度視させていただきたいのですよ。もしかしたら、私の新説を裏付ける様な発見が・・・。」
「念のために言っておくが、論文には書かせないよ。」
トラヴィスの目が光る。
「わっ、分かっております。」
ヘルダー卿は額の汗を袖で拭った。
「し、しかしですねぇ、アリアナ嬢には、なんらかの魔力以外の力が身体を巡っている事は確かだと思うのです。」
「何故?」
「でなければ、身体を維持する事が出来ないと思うのです。私達の体は物理的な物だけで成り立っている訳ではありません。まず有機物で出来た肉体に精神が宿っていないと人は人となりえません。そして、精神から発せられる力が『脈』を通る事で『魔力』となり、さらに身体を循環する事で、心や体の健康を保つ事が出来るのです。」
「えっと、すみません!。魔力って『脈』を通るから出来るのですか!?」
思わず疑問に思って聞いてしまった。
「そこなのですよ!。」
伯爵の細い目がキラリと光った。
「実は、これが私の新しい説なのです!。我々『目』を持つ者が魔力を感知する時、それは精神から感知している訳ではなく、『脈』の中を流れる魔力を視ていると思うのですよ!」
「ほう、それは面白いな。」
トラヴィスが感心した様に声をあげた。
「私は魔力の有無や、ある程度の強弱を測る事は出来るが、卿の様に『脈』を視る事は出来ない。ぼんやりした力の大きさを感じるだけなのだが・・・。しかもその魔力の大きさは精神の大きさとよく似ているから、精神の力が魔力であると思っていたが・・・。」
「ええ、そうなのです!いままで『目』を持つ者は殿下と同じ考えでした。ですから魔力=精神と言う説が生まれたのです。確かにこの説はある程度は正しい。しかしですねぇ、それだと説明できないことがたまにあるのですよ。精神が大きいのに魔術が使えなかったり、精神が小さいわりには魔力量が多かったり。通説に当てはまらない人がいるのです。私はこれには『脈』が関係していると私は思っているのです。」
「というと?」
「まず、精神の力は『脈』を通る事で魔力となります。『脈』が正常であれば、精神の力=魔力となるわけです。この場合、魔力量は精神の大きさに比例します。」
(ふむふむ)
「たまに私でも感知できない程、魔力が少ない方が居るのですが、生まれつき身体が弱かったり、精神的に不安定な方が多いです。その場合『精神』が極端に小さい事もあるのですが、実は『脈』に問題がある事の方が多いのです。つまり精神の大小よりも、その力が滞り無く循環している事が生きていく上で大事と言う事なのですよ!。分かりましたかね!」
ヘルダー伯爵の勢いが増してきた。そろそろトラヴィスに注意して欲しいくらいだけど、彼は考え込むようにしている。
でも今の説明を聞いて、伯爵の言いたい事が分かってきた。
(う~ん、なるほど・・・ということは・・・)
私は伯爵に目を向けて、
「要するに、私は精神の力が『脈』を通らないから魔力が無い。さらに、魔力が無いくせに精神だけが大きいのも不思議である。しかも魔力が身体を巡っていないと、メンタルがおかしかったり体に不調が出るはずなのに、普通に生活出来ている。だから、魔力以外の力が身体に影響している可能性がある。・・・こういう事で良いですか?」
「素晴らしい!アリアナ嬢は学者向きですね!。卒業したら我が魔法省に入って頂きたいぐらいだ。」
小鼻を膨らませて熱っぽく言われたが、どうにも喜べない。
(絶対、研究対象にするつもりでしょうが・・・)
そう思って急いでトラヴィスに目配せしたが、
「アリアナ嬢に精神が二つある事は、私も以前確認している。」
(おおおい!認めちゃってるよ!?)
なんと伯爵に話を合わせてるじゃ無いか!さらに、
「彼女に精神が二つある事で、合わせて大きな精神となっているという事なのか?」
伯爵に質問までした。
「いえいえ!。小さい方の精神は関係ございません。問題にならない程小さいので。もう一つの精神がとんでも無く大きいのです。・・・そうですね・・・恐らく歴史上における大神官、大魔術師、大聖女並みではないかと!。」
(な、何?その比較例。ファンタジー過ぎる)
正直面食らってしまって言葉が出ない。クラークも目を伏せて黙ったままだ。
トラヴィスとヘルダー伯爵は話を続ける。
「なのに、アリアナ嬢には魔力が無い。」
「そうです。これは、かなり特異な現象であると言えます。ですから、もう一度視させていただきたいのですよ。もしかしたら、私の新説を裏付ける様な発見が・・・。」
「念のために言っておくが、論文には書かせないよ。」
トラヴィスの目が光る。
「わっ、分かっております。」
ヘルダー卿は額の汗を袖で拭った。
「し、しかしですねぇ、アリアナ嬢には、なんらかの魔力以外の力が身体を巡っている事は確かだと思うのです。」
「何故?」
「でなければ、身体を維持する事が出来ないと思うのです。私達の体は物理的な物だけで成り立っている訳ではありません。まず有機物で出来た肉体に精神が宿っていないと人は人となりえません。そして、精神から発せられる力が『脈』を通る事で『魔力』となり、さらに身体を循環する事で、心や体の健康を保つ事が出来るのです。」
「えっと、すみません!。魔力って『脈』を通るから出来るのですか!?」
思わず疑問に思って聞いてしまった。
「そこなのですよ!。」
伯爵の細い目がキラリと光った。
「実は、これが私の新しい説なのです!。我々『目』を持つ者が魔力を感知する時、それは精神から感知している訳ではなく、『脈』の中を流れる魔力を視ていると思うのですよ!」
「ほう、それは面白いな。」
トラヴィスが感心した様に声をあげた。
「私は魔力の有無や、ある程度の強弱を測る事は出来るが、卿の様に『脈』を視る事は出来ない。ぼんやりした力の大きさを感じるだけなのだが・・・。しかもその魔力の大きさは精神の大きさとよく似ているから、精神の力が魔力であると思っていたが・・・。」
「ええ、そうなのです!いままで『目』を持つ者は殿下と同じ考えでした。ですから魔力=精神と言う説が生まれたのです。確かにこの説はある程度は正しい。しかしですねぇ、それだと説明できないことがたまにあるのですよ。精神が大きいのに魔術が使えなかったり、精神が小さいわりには魔力量が多かったり。通説に当てはまらない人がいるのです。私はこれには『脈』が関係していると私は思っているのです。」
「というと?」
「まず、精神の力は『脈』を通る事で魔力となります。『脈』が正常であれば、精神の力=魔力となるわけです。この場合、魔力量は精神の大きさに比例します。」
(ふむふむ)
「たまに私でも感知できない程、魔力が少ない方が居るのですが、生まれつき身体が弱かったり、精神的に不安定な方が多いです。その場合『精神』が極端に小さい事もあるのですが、実は『脈』に問題がある事の方が多いのです。つまり精神の大小よりも、その力が滞り無く循環している事が生きていく上で大事と言う事なのですよ!。分かりましたかね!」
ヘルダー伯爵の勢いが増してきた。そろそろトラヴィスに注意して欲しいくらいだけど、彼は考え込むようにしている。
でも今の説明を聞いて、伯爵の言いたい事が分かってきた。
(う~ん、なるほど・・・ということは・・・)
私は伯爵に目を向けて、
「要するに、私は精神の力が『脈』を通らないから魔力が無い。さらに、魔力が無いくせに精神だけが大きいのも不思議である。しかも魔力が身体を巡っていないと、メンタルがおかしかったり体に不調が出るはずなのに、普通に生活出来ている。だから、魔力以外の力が身体に影響している可能性がある。・・・こういう事で良いですか?」
「素晴らしい!アリアナ嬢は学者向きですね!。卒業したら我が魔法省に入って頂きたいぐらいだ。」
小鼻を膨らませて熱っぽく言われたが、どうにも喜べない。
(絶対、研究対象にするつもりでしょうが・・・)
28
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる