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第7章 悪役令嬢は目覚めたくない
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「それで、早速だが質問させてくれ。君に精神魔術をかけた人物を覚えているかい?」
トラヴィスの問いに私とマリアと顔を見合わせた。
(う~ん、困った・・・)
私が目覚めた後、リリーとマリオット先生はメイドのマリアの解術も行ってくれた。ずっと半分眠っている様にぼんやりしていたマリアだったが、夢から覚めた様な顔で正気に戻った。
一安心した私達は、ステラの淹れてくれたお茶を飲み、落ち着いた頃にトラヴィスが聞いてきたのだが・・・
「実は、まったく思い出せないのです。マリアに呼ばれてお客を出迎えに玄関まで行ったことは覚えているのですが、そこから先が思い出せなくて・・・」
マリアも困ったように眉を寄せて、
「私もお客様をお迎えしてアリアナ様をお呼びした事は覚えております。でも、お客様がどんな方だったのかがさっぱり・・・」
その後の事は解術されるまで何も覚えてないと、首を振った。
トラヴィスもクラークも当惑した顔で、
「どういう事だ?精神魔術を解術した以上、思い出してもおかしく無いと思うのだが・・・」
トラヴィスの言う通りなのだが、私達は揃いも揃ってその人物の事だけきれさっぱり忘れてしまっている。
(術者はそんな複雑な魔術をかけたのだろうか?そうだとしても、今の聖魔術で解術されてもおかしく無いのに・・・)
「アリアナ嬢は、黒い影の事を言っていたけど、正体は分からなかったのかい?」
クリフが私に尋ねた。
そう、そうだあの黒いフードの人物。
「解術で私を繋いでいた鎖が解けた時、私その人物の顔を見ました!。見た瞬間はそれが誰か分かったと思ったのですけど・・・」
「どうした?」
「それが誰だったか全く思い出せないのです・・・」
落胆の雰囲気が伝わって来る。
(なんで?!フードがズレて、私は確かに顔を見たはず!・・・なのに、全然思い出せない!男か女かすら分からないなんて・・・)
「うう~、なんで?」
私はげんこつでこめかみを叩いてみる。
「アリアナさん、落ち着いて。きっと相手の魔術師が私達より一枚上手なのでしょう」
マリオット先生が慰める様にそう言ってくれた。
トラヴィスは肘をついて、人差し指で自分のこめかみを叩きながら、、
「他に何か気付いた事は?。君はその人物が指輪をしてるって言ってたみたいだけど?」
「あっ!そうです」
私は人物の特徴を説明した。片手に玉(恐らく魔力増幅の宝珠)を持ってた事。もう片方の手の二つの指輪・・・赤い石が入った指輪と家紋の印が指輪。
「家紋?」
「はい。見たことが無い形でしたけど・・・」
私はこの皇国の主要な貴族の家紋ならばだいたい覚えている。だからあれは、あまり目立たない貴族の家紋なのか、それとももう滅びた家のものなのかもしれない。
「あっ、それから黒い人物とは別なのですが!」
私は例のブロンドの女性について説明した。
「ふうむ・・・意識世界に現れた女性か・・・」
「はい、彼女が何者なのか、どうして現れたのかとても不思議で。・・・それに、彼女は精神魔術の解術を手助けしてくれたようにも思えました」
謎だらけの女性・・・確か名前は、
「・・・ルカ?。・・・ルーカ?。そのような名前を言ってましたけど、よく聞き取れませんでした」
せっかく目覚めたのに、謎は深まっていくばかりだ。
皆の中にも困惑した空気が流れた。
そうして誰も答えを出せない中、
「今夜はもう遅いし、アリアナさんも色々あって疲れているでしょう。今日はここでお開きにしないかい?。明日から授業が再開する事だしね」
マリオット先生がそう言った。
エメライン王女の襲撃でしばらく休校になっていた学園だったが、ようやく明日から再開の目処が立ったらしい。
「マリオット先生の言う通りにしよう。では明日放課後、集まれる者は生徒会室に来てくれ。ああ、アリアナ嬢は無理しなくても良いがどうする?」
トラヴィスが片眉を上げて悪戯っぽく私を見た。
(ねーさん、分かってるくせに)
「行きますよ。授業だってちゃんと出ます」
休んでなんかいられるか!
皆が帰る準備を始める中、私は少しホッとしていた。
(話・・・しなくて済んだ・・・)
目の端っこでチラッと彼の方を窺って、私は自分の頬に一気に熱が上がるのを感じた。
(あああ、やっぱ無理)
私はアリアナ同様、目覚めてからずっとディーンの顔が見れなかった。
(さ、避けてるつもりは無いんだけど・・・)
とにかく気まずい。なんというか居たたまれないのだ。
トラヴィスの問いに私とマリアと顔を見合わせた。
(う~ん、困った・・・)
私が目覚めた後、リリーとマリオット先生はメイドのマリアの解術も行ってくれた。ずっと半分眠っている様にぼんやりしていたマリアだったが、夢から覚めた様な顔で正気に戻った。
一安心した私達は、ステラの淹れてくれたお茶を飲み、落ち着いた頃にトラヴィスが聞いてきたのだが・・・
「実は、まったく思い出せないのです。マリアに呼ばれてお客を出迎えに玄関まで行ったことは覚えているのですが、そこから先が思い出せなくて・・・」
マリアも困ったように眉を寄せて、
「私もお客様をお迎えしてアリアナ様をお呼びした事は覚えております。でも、お客様がどんな方だったのかがさっぱり・・・」
その後の事は解術されるまで何も覚えてないと、首を振った。
トラヴィスもクラークも当惑した顔で、
「どういう事だ?精神魔術を解術した以上、思い出してもおかしく無いと思うのだが・・・」
トラヴィスの言う通りなのだが、私達は揃いも揃ってその人物の事だけきれさっぱり忘れてしまっている。
(術者はそんな複雑な魔術をかけたのだろうか?そうだとしても、今の聖魔術で解術されてもおかしく無いのに・・・)
「アリアナ嬢は、黒い影の事を言っていたけど、正体は分からなかったのかい?」
クリフが私に尋ねた。
そう、そうだあの黒いフードの人物。
「解術で私を繋いでいた鎖が解けた時、私その人物の顔を見ました!。見た瞬間はそれが誰か分かったと思ったのですけど・・・」
「どうした?」
「それが誰だったか全く思い出せないのです・・・」
落胆の雰囲気が伝わって来る。
(なんで?!フードがズレて、私は確かに顔を見たはず!・・・なのに、全然思い出せない!男か女かすら分からないなんて・・・)
「うう~、なんで?」
私はげんこつでこめかみを叩いてみる。
「アリアナさん、落ち着いて。きっと相手の魔術師が私達より一枚上手なのでしょう」
マリオット先生が慰める様にそう言ってくれた。
トラヴィスは肘をついて、人差し指で自分のこめかみを叩きながら、、
「他に何か気付いた事は?。君はその人物が指輪をしてるって言ってたみたいだけど?」
「あっ!そうです」
私は人物の特徴を説明した。片手に玉(恐らく魔力増幅の宝珠)を持ってた事。もう片方の手の二つの指輪・・・赤い石が入った指輪と家紋の印が指輪。
「家紋?」
「はい。見たことが無い形でしたけど・・・」
私はこの皇国の主要な貴族の家紋ならばだいたい覚えている。だからあれは、あまり目立たない貴族の家紋なのか、それとももう滅びた家のものなのかもしれない。
「あっ、それから黒い人物とは別なのですが!」
私は例のブロンドの女性について説明した。
「ふうむ・・・意識世界に現れた女性か・・・」
「はい、彼女が何者なのか、どうして現れたのかとても不思議で。・・・それに、彼女は精神魔術の解術を手助けしてくれたようにも思えました」
謎だらけの女性・・・確か名前は、
「・・・ルカ?。・・・ルーカ?。そのような名前を言ってましたけど、よく聞き取れませんでした」
せっかく目覚めたのに、謎は深まっていくばかりだ。
皆の中にも困惑した空気が流れた。
そうして誰も答えを出せない中、
「今夜はもう遅いし、アリアナさんも色々あって疲れているでしょう。今日はここでお開きにしないかい?。明日から授業が再開する事だしね」
マリオット先生がそう言った。
エメライン王女の襲撃でしばらく休校になっていた学園だったが、ようやく明日から再開の目処が立ったらしい。
「マリオット先生の言う通りにしよう。では明日放課後、集まれる者は生徒会室に来てくれ。ああ、アリアナ嬢は無理しなくても良いがどうする?」
トラヴィスが片眉を上げて悪戯っぽく私を見た。
(ねーさん、分かってるくせに)
「行きますよ。授業だってちゃんと出ます」
休んでなんかいられるか!
皆が帰る準備を始める中、私は少しホッとしていた。
(話・・・しなくて済んだ・・・)
目の端っこでチラッと彼の方を窺って、私は自分の頬に一気に熱が上がるのを感じた。
(あああ、やっぱ無理)
私はアリアナ同様、目覚めてからずっとディーンの顔が見れなかった。
(さ、避けてるつもりは無いんだけど・・・)
とにかく気まずい。なんというか居たたまれないのだ。
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