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ゴディ
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それから数カ月が経った。
「ゴディ、お前の王位継承権を剥奪する。もはや、この国は存続が危うい。何故か分かるか?お前の能力不足と怠慢、政治は無策で社会は不安定化した。国の未来を憂う人々は、お前の退陣を求めるデモを繰り広げ、街は抗議の声で溢れかえっている」
私の王位継承権が剥奪されることが議会で決定し、弟である第二王子が新しく王位継承権第一位となることが決まった。
「な、何故ですか父上!」
「お前は、まともに政務もできていない、それに妃であるイアナは贅沢三昧だ。それも放置して、いまだにカトレアを捜しているというではないか」
「カトレアの居場所が突き止められたかもしれないのです。彼女はマキアの大使館にいるかもしれないという情報が……」
「黙れ!この愚か者!」
「国は、日に日に貧しさが増し、国民たちは食べることもままならず、希望を失っているのだぞ。お前の豪華な結婚式も国民の不興を買った。カトレアの捜索ばかりに躍起になって、政を疎かにしていることを分かっているのか!お前は王子としての責務を果たしていない!」
国民たちはデモを繰り広げ、王都は抗議の声で溢れかえった。
そして、民の不満が頂点に達した時、国王陛下は退位を決意した。国王は国の未来を私の弟に託すことを決めたのだ。この国をこのような状態にした責任を誰かが取らなければならない。
新しく国王となった弟は、私を議会で裁判にかけたのだ。
ついに、私は父親に見放され、責任を取る意味で捕らえられた。
***
正妃であるイアナが命を落としたという知らせを、私は牢屋で聞く事となった。
階段から落ちた事故による死だったという。イアナは私を捨てて、国外に逃げようとしていたようだ。その時に階段を踏み外したらしい。そう知らせを受けたが、実際は消されたのだろうと思った。
もうすぐ出産予定日だった。
私の子だった。
イアナをもっと気にかけてやるべきだった。
彼女の散財も贅沢も、すべて自分のせいだ。正妃であるイアナよりも、カトレアの捜索に必死になっていたからだと今では分かっている。
彼女は嫉妬していたのだ。
王都では、衛生状態の悪化により、病が流行し、多くの民が命を落とした。何千人もの国民が今もなお飢えに苦しんでいる。
弟が国を再建するためには、王家が責任を取るという意味で私の死が必要だった。国民の心には深い傷が残っている。彼らは、自分たちの貧しさが、国政によるものだと分かっている。私の自己中心的な無責任な考えが、守るべき国民を守れなかった。
自分自身に対する悲しみと怒りを抱えながら、私は処刑される。
父である元国王は、逃げたとしか思えなかった。早々に母と共に早朝のうちに王都を出て行き、雲隠れしたという。
新たな国王となった私の弟は、若くしてその重責を担うこととなった。彼もまた、茨の道を歩まなければならないだろう。
地下牢の中、私は冷たい石の床に座り込んでいた。壁には苔が生え、ジメジメとしていた。かすかに水滴が落ちる音が静寂を破る唯一の音となっていた。
鉄格子がはめられた窓が一つだけの狭い牢屋見渡しながら、カレアが仕事をするために使っていた執務室の奥の部屋を思い出した。書棚に囲まれた埃っぽい狭い部屋の中に彼女いつもいた。小さな窓が一つだけあり、茶を飲むスペースもないような場所だ。私はカトレアのデスクを思い出し、そこで仕事をしていた彼女を思った。
彼女はいつも深夜まで一人で仕事をしていた。
彼女がしていた職務は、ほとんど私の仕事だった。けれど私は、全て自分がした仕事だと皆に思わせていた。
事務官などには、できの悪い王子妃のために私が彼女を教育していると思わせていた。
彼女の評判を下げることで、自分が優位に立てると考えていた。
私の考えはうまくいき、城に仕える者たちは皆、彼女を軽蔑し、見下し、嘲笑した。それを利用して、二人だけのときにはカトレアに優しく接し、慰め彼女を励ました。
今となっては本当に愚かな行為だったと、後悔と懺悔の念しかない。
そういえば、夕食はどうしていたのだろう……ふとそんな疑問が頭をよぎった。
結婚した当初は、共に食堂で食べることもあったが、彼女に仕事を任せてからは、私はずっとイアナと食事をしていた。
カトレアの食事の所作は奇麗だった。彼女の慎ましい立ち居振る舞い、柔らかな微笑み、そしてその瞳に宿る知性と温かさを思い出した。
時間が経つと、彼女の遠慮深く物静かで、ひかえめなところが、地味だと感じた。なぜ私はそんなことを思ったのだ、美しい令嬢だったではないか。初めて会った時に、私が彼女に一目惚れしたんじゃなかったのか。
「どうしてこんなことに…」
低く呟くと、私は静まりかえった地下牢の一角で頭を垂れた。
「ゴディ、お前の王位継承権を剥奪する。もはや、この国は存続が危うい。何故か分かるか?お前の能力不足と怠慢、政治は無策で社会は不安定化した。国の未来を憂う人々は、お前の退陣を求めるデモを繰り広げ、街は抗議の声で溢れかえっている」
私の王位継承権が剥奪されることが議会で決定し、弟である第二王子が新しく王位継承権第一位となることが決まった。
「な、何故ですか父上!」
「お前は、まともに政務もできていない、それに妃であるイアナは贅沢三昧だ。それも放置して、いまだにカトレアを捜しているというではないか」
「カトレアの居場所が突き止められたかもしれないのです。彼女はマキアの大使館にいるかもしれないという情報が……」
「黙れ!この愚か者!」
「国は、日に日に貧しさが増し、国民たちは食べることもままならず、希望を失っているのだぞ。お前の豪華な結婚式も国民の不興を買った。カトレアの捜索ばかりに躍起になって、政を疎かにしていることを分かっているのか!お前は王子としての責務を果たしていない!」
国民たちはデモを繰り広げ、王都は抗議の声で溢れかえった。
そして、民の不満が頂点に達した時、国王陛下は退位を決意した。国王は国の未来を私の弟に託すことを決めたのだ。この国をこのような状態にした責任を誰かが取らなければならない。
新しく国王となった弟は、私を議会で裁判にかけたのだ。
ついに、私は父親に見放され、責任を取る意味で捕らえられた。
***
正妃であるイアナが命を落としたという知らせを、私は牢屋で聞く事となった。
階段から落ちた事故による死だったという。イアナは私を捨てて、国外に逃げようとしていたようだ。その時に階段を踏み外したらしい。そう知らせを受けたが、実際は消されたのだろうと思った。
もうすぐ出産予定日だった。
私の子だった。
イアナをもっと気にかけてやるべきだった。
彼女の散財も贅沢も、すべて自分のせいだ。正妃であるイアナよりも、カトレアの捜索に必死になっていたからだと今では分かっている。
彼女は嫉妬していたのだ。
王都では、衛生状態の悪化により、病が流行し、多くの民が命を落とした。何千人もの国民が今もなお飢えに苦しんでいる。
弟が国を再建するためには、王家が責任を取るという意味で私の死が必要だった。国民の心には深い傷が残っている。彼らは、自分たちの貧しさが、国政によるものだと分かっている。私の自己中心的な無責任な考えが、守るべき国民を守れなかった。
自分自身に対する悲しみと怒りを抱えながら、私は処刑される。
父である元国王は、逃げたとしか思えなかった。早々に母と共に早朝のうちに王都を出て行き、雲隠れしたという。
新たな国王となった私の弟は、若くしてその重責を担うこととなった。彼もまた、茨の道を歩まなければならないだろう。
地下牢の中、私は冷たい石の床に座り込んでいた。壁には苔が生え、ジメジメとしていた。かすかに水滴が落ちる音が静寂を破る唯一の音となっていた。
鉄格子がはめられた窓が一つだけの狭い牢屋見渡しながら、カレアが仕事をするために使っていた執務室の奥の部屋を思い出した。書棚に囲まれた埃っぽい狭い部屋の中に彼女いつもいた。小さな窓が一つだけあり、茶を飲むスペースもないような場所だ。私はカトレアのデスクを思い出し、そこで仕事をしていた彼女を思った。
彼女はいつも深夜まで一人で仕事をしていた。
彼女がしていた職務は、ほとんど私の仕事だった。けれど私は、全て自分がした仕事だと皆に思わせていた。
事務官などには、できの悪い王子妃のために私が彼女を教育していると思わせていた。
彼女の評判を下げることで、自分が優位に立てると考えていた。
私の考えはうまくいき、城に仕える者たちは皆、彼女を軽蔑し、見下し、嘲笑した。それを利用して、二人だけのときにはカトレアに優しく接し、慰め彼女を励ました。
今となっては本当に愚かな行為だったと、後悔と懺悔の念しかない。
そういえば、夕食はどうしていたのだろう……ふとそんな疑問が頭をよぎった。
結婚した当初は、共に食堂で食べることもあったが、彼女に仕事を任せてからは、私はずっとイアナと食事をしていた。
カトレアの食事の所作は奇麗だった。彼女の慎ましい立ち居振る舞い、柔らかな微笑み、そしてその瞳に宿る知性と温かさを思い出した。
時間が経つと、彼女の遠慮深く物静かで、ひかえめなところが、地味だと感じた。なぜ私はそんなことを思ったのだ、美しい令嬢だったではないか。初めて会った時に、私が彼女に一目惚れしたんじゃなかったのか。
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