守ってあげたい女子の学園二位に君臨する脱力系幼馴染が俺の義妹を見た結果、対抗手段を間違ってイケメン女子になった

遥風 かずら

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第二章 新たなライバルで変化!?

第16話 謎の美少女(義妹)がウワサになってる件

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 昼休みに鈴菜の質問攻めをくらった後の午後は何もかもがだるくなって、鈴菜以上の居眠りをして先生に怒られた。

 ……結局鈴菜と音川に振り回された日だったな。

「黒山~! 一緒に帰ろうぜ~!」

 今日に限っては一日中だるさを感じたが、後は帰るだけなうえバイトもないので気分よく教室を出ようとすると、木下から声をかけられる。

「木下? 何だ、俺に何か用か? もしかして暇なのか?」

 木下が一緒に帰りたいと誘ってくるなんて珍しい。

 ……というのも、俺と一緒に下校する奴はほとんど河神ばかり。気まぐれな木下から誘ってくるなんてほとんどないので、誘ってくるということは何か企んでいるとしか思えなかったりする。

 この前の鈴菜の告白シーンで謎に呆れられて疎遠になったかと思っていたが、どういう風の吹きまわしだ?

「暇っちゃ暇なんだけど、一緒についていってもらいたいところがあってさ~」

 ああ、やっぱりそういうことだったか。

「どこに?」
「お前の店」
「俺の店じゃないけどな。なんだ、駄菓子を買いに行くのか?」
「それもあるけど……。その店にいるっていう噂を確かめたいっていうか、見てみたいんだよな~」

 店にいる噂――?

 うちの店に噂でもたってるのか?

「あん? 何が出るって?」
「出るじゃなくている、だ。すっげぇ美少女が働いてるってのが噂になってるんだよ! お前、店に出入りしてるから知ってるよな?」

 すげぇ美少女……あぁ、あの子のことか。

 凪は俺がいない時にシフトに入ることが増えた。母さんが言うには俺と一緒にすると、どちらかというと俺に悪影響を及ぼすかららしい。

 とはいえ、仕事で一緒になっても凪はその辺りはきちんとわきまえていて、作業中は結構淡々としている。母さんが心配している俺にべったり甘えてくるといった行動は、どちらかというとバイト時間が終わってからがほとんどだ。

「知ってるけど?」
「な、名前は? 年は?」

 普段からクラスの女子と緊張せずに話してる木下がここまで興奮するなんて、凪の美少女っぷりはそこまでのレベルか。

「噂になってるんだろ? だったら自分で訊けばいいんじゃね?」
「……そ、それもそうか。お前は今日バイトないんだろ? だったら一緒に店で買い物してくれ!」
「何で休みの日に自分んちの店に表から入らなきゃ駄目なんだよ? 嫌だよそんなの……」

 駄菓子を買う時は、なるべく見知った従業員がいる時は買わないことにしている。恥ずかしいというより、それこそだるいというのが理由だ。

「じゃ、じゃあ、お前は買わなくていいから一緒に店内を歩き回ってくれ! 頼むよ、黒山~」

 店内をうろうろするだけで一緒だと思うが、よほど凪を見てみたいんだな。

「……分かったよ。行くよ。どうせ俺は用が済んだら寝るだけだし」
「おぉ! マジか~! 店の中に入っても黒山に頼らずに声をかけるから、オレを見守ってくれ! じゃ、その前にオレはトイレに行ってくる! ちょっと待ってて」

 かなり嬉しそうにしながらトイレに行く木下を見ていると、そこに――

「――ねえねえ、貴俊くん~。ちょっといい~?」

 今度は鈴菜か。まさか昼休みに続いて質問するんじゃないよな?

「今日は一緒に帰れないぞ。見てたかもしれないけど、木下と一緒に帰るからな」
「一緒には帰らなくてもいいよ~。でも、あのね、今夜……ううん、早朝なんだけど久しぶりに仮眠取りに行ってもいいかなぁ~?」
「ん~……」

 事務室改装ということで断っていたが、今のところ改装すらしてなくて模様替えをしただけだからな。

「駄目、かなぁ?」

 うっ、前に屈んで見つめてくるのは反則じゃないか?

「いや……別にいいけど」
「やったぁ~! 今朝とかお昼休みとか、ごめんね?」
「鈴菜も質問したい日だったんだろ。別に気にしてないよ」

 凪が事務室で寝ることもあるけど、バイトが終わったら家の方にきちんと帰ってるし、鉢合わせることはないはずだ。

「じゃあ、えっと裏口は――」
「今日は寝まくったから俺は多分起きてる。だから開けとく」
「うんっ! えへへ、楽しみ~!」

 …………大丈夫、だよな?

 音川と裏で何かを企んでそうだが、ああやって俺に話しかけてくる鈴菜を見てると裏なんて全然ありそうに見えないんだよな。

 そこまで器用じゃないだろうし。

「まぁ、うん……心配ない」
「何が心配ないって?」

 トイレから戻ってきたか。

「木下はヘタレじゃないだろうなって」
「お、おう。任せろ」

 支店でバイトする美少女(義妹)を見に、俺と木下は駄菓子屋に向かうことにした。

 教室を出る時、鈴菜が音川に耳打ちしながら嬉しそうに話をしていたが、よほど嬉しかったに違いない。

「良かったじゃん、鈴菜!」
「本当だよぉ~! もう行っちゃ駄目なのかなって思ってたから~」
「……思い切ってもぐり込んじゃえば?」
「そ、そうだよね! 貴俊くん、腕がいいって言ってたし……よ~し、よぉぉし!」

 ……などなど、音川の企みに乗る鈴菜の想いなど俺が知るはずもなかった。
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