43 / 44
第三章 見えない幼馴染と見られる幼馴染
第43話 昨夜はお楽しみだった?
しおりを挟む
俺が思っていることと鈴菜が思っていたエロ的な思いは全く違っていたものの、ようやくお互いの『好き』を確認出来たのは素直に嬉しく思えた。
キスくらいでと言われれば何も言えなくなるけど。
見た目や性格の一部を少し変えてまで俺に気持ちをぶつけてきた鈴菜の気持ちには、これから少しずつ応えていこうと思う。
俺の家に初めて寝泊まりした鈴菜だったが、一緒に添い寝はしたものの結局何事もなく一日を終える。
しかもいつもなら起きるまで時間がかかる鈴菜だったのに、朝起きたら勝手にいなくなってた。
その辺りの動きに何となく寂しさを感じたり。
「ん~で? おにーさん的に、昨夜はお楽しみだった?」
鈴菜がいなくなっていたので一人寂しく教室に向かうと、既に教室に来ていた凪からぎくりとする言葉を投げられた。
「何のことかな?」
「昨夜ヤったんだよね? おにーさんの幼馴染さん、泊まっていったんだよね?」
「してないよ。単純に俺の部屋に来て寝泊まりしただけ」
「そうなの? 何で?」
何でと言われても困る話だな。
いや、そもそも――
「――何で凪がそれを?」
「だって、ママにばらされたしあの後大変だったし。凪を追い出したからそうなのかなって思うじゃん?」
意外に根に持つタイプだったのか。
……鈴菜は否定してたが、母さんと連絡を取り合ってたから間接的に告げたも同然かもな。
「違うよ」
「え~? じゃあどこまでした感じ? おにーさんのベッドで一緒に寝たんなら何かやっててもおかしくないよね~?」
「何も」
正確には軽く触れたけど。
「へ~……おにーさんってそんなだったんだ。何かな~」
俺に散々甘えてきた凪は、もしかして下心的な期待でもしてたのだろうか。それこそ義妹に手を出したり。
でも俺からしたら同い年だろうと義妹として紹介された時点で、そういう気にはならなかったんだよな。
凪は最初から俺にベタベタしてきたけど、俺に下心な期待をしての行動だったらどのみち応えられなかったかも。
「おれの言った通りでしょ? 凪ちゃん」
「だった~! すっごいがっかり~」
凪の陰からひょっこり出てきたかと思えば、凪の味方なのか早太が顔を見せる。というか、いつの間に仲良くなっていたんだ?
ちなみに凪は俺と同じクラスに編入してきた。編入初日に守ってあげたい推しの編入生として音川に紹介されたことで、すぐにクラスに馴染んだ。
夏休み直前の編入だった凪は、心に余裕が出来たみんなとすぐに打ち解けていた。音川の推しというだけですぐに認知されたというのもあるが。
「あはは。で、どう? うちのクラスの男子にいい人はいた?」
「ん~特には。早太くんは? いないの?」
「おれは恋愛的な対象にされたことがないからね。いないよ」
「じゃあ狙っちゃっていいですか?」
「あはは」
……などなど、俺に対する凪の感情はとっくにどこかにいなくなっていた。
「そういや、音川がいないな。それと、木下の奴も……」
鈴菜は相変わらず女子たちに囲まれているから省くとしても、調子のいい木下と口うるさい音川が教室にいないのは珍しい。
「鈍い、鈍すぎるよおにーさん」
「それはないよ、貴俊」
俺が言ってることがよほど間違っているのか、河神はもちろん凪も俺を見る目がやや冷ややかだ。
「……ん?」
何でなのか教えてくれないまま次の休み時間を迎えたので、俺は思い切って音川に近づくことにした。
ちょうど一人になってるし今がその時だ。
「あ~音川。ちょっと訊きたいことがあるんだけど……」
「黒山? え、何?」
……おかしい。いつもならすぐに罵声を発せられるのに、意外に穏やかな反応なんてどうしたんだ。
「推しが鈴菜から凪に変わったのは知ってるけど、凪が教室にいるのに音川は教室にいないよな? どこに行ってんだ?」
本来なら音川を気にする必要はどこにもない。だが、かつては鈴菜を推していた奴だから一応気にすることにはしている。
「別にどこでもないけど。何であんたが私を気にしてるわけ? 気にするなら鈴菜じゃないの?」
「鈴菜はもう気にしなくてもよくなったし、女子たちに囲まれてるから話しかけるのは流石にな」
「はぁ? バッカじゃないの? まさかだけど、キスごときをしたくらいで安心してるとかじゃないよね?」
「なぜそれをお前が?」
……いや、そういや鈴菜って何でも音川に話してた気がするな。そうなると昨日のことをほとんど話してるのでは。
「キスでお互いの気持ちを確かめたのは聞いたけど、それで安心してるんならヘタレ野郎だろ! 付き合うんなら最後までやれよアホ!」
「何でお前にそこまで言われなきゃならないんだよ! そういうお前は――もしかして、木下とそういう関係か?」
「弘くんとはまだそこまでじゃないけど、あんたに関係ないし。とにかく、鈴菜を泣かすとか許さないから! あと、くだらないことで話しかけんなヘタレ!!」
……弘くん?
ああ、そうか。木下の奴、音川と上手くいってるんだな。それにしたって、鈴菜との関係を何であそこまで言われねばならないのか。
女子たちに囲まれてるところに割って入って教室から連れ出せたら何の苦労もないが、そこまでしなくても大体通じ合ってるだろ。
と思いつつ、昼休みになると鈴菜の周りは女子ばかりで俺が近づく隙はまるで生まれなかった。
そんな俺に呆れながら声をかけてくるのは、凪と河神の二人だった。
「凪が引いたのはおにーさんの行動だぞ? いい加減にしろ~!」
「そうそう。凪ちゃんの言う通りだよ。音川にも言われてたみたいだけど、後は素直に動くしかないんじゃないかな? 貴俊が素直に動けば、きっと晴れの日も続くと思うんだ」
「またお告げか? 早太」
「それもあるけど、夏休みに入っても雨ばっかりだったらいつもと同じことしか続かないと思うよ。だからさ、後は貴俊がちゃんと動くだけだと思う」
音川と木下はともかく、何で凪と河神まで一緒になって俺に説教をしてるのか意味が分からないぞ。
「貴俊おにーさん。凪は本当はおにーさんとイチャイチャしたかったんだぞ。だけど、もういいやって思えたんだからおにーさんが何とかするしかないんだぞ。放課後でいいから、動け~!!」
まさか凪に応援されるとは。
でも昨日のことがあるし、夏休みに入る前に伝えるしかないのかもしれないな。
キスくらいでと言われれば何も言えなくなるけど。
見た目や性格の一部を少し変えてまで俺に気持ちをぶつけてきた鈴菜の気持ちには、これから少しずつ応えていこうと思う。
俺の家に初めて寝泊まりした鈴菜だったが、一緒に添い寝はしたものの結局何事もなく一日を終える。
しかもいつもなら起きるまで時間がかかる鈴菜だったのに、朝起きたら勝手にいなくなってた。
その辺りの動きに何となく寂しさを感じたり。
「ん~で? おにーさん的に、昨夜はお楽しみだった?」
鈴菜がいなくなっていたので一人寂しく教室に向かうと、既に教室に来ていた凪からぎくりとする言葉を投げられた。
「何のことかな?」
「昨夜ヤったんだよね? おにーさんの幼馴染さん、泊まっていったんだよね?」
「してないよ。単純に俺の部屋に来て寝泊まりしただけ」
「そうなの? 何で?」
何でと言われても困る話だな。
いや、そもそも――
「――何で凪がそれを?」
「だって、ママにばらされたしあの後大変だったし。凪を追い出したからそうなのかなって思うじゃん?」
意外に根に持つタイプだったのか。
……鈴菜は否定してたが、母さんと連絡を取り合ってたから間接的に告げたも同然かもな。
「違うよ」
「え~? じゃあどこまでした感じ? おにーさんのベッドで一緒に寝たんなら何かやっててもおかしくないよね~?」
「何も」
正確には軽く触れたけど。
「へ~……おにーさんってそんなだったんだ。何かな~」
俺に散々甘えてきた凪は、もしかして下心的な期待でもしてたのだろうか。それこそ義妹に手を出したり。
でも俺からしたら同い年だろうと義妹として紹介された時点で、そういう気にはならなかったんだよな。
凪は最初から俺にベタベタしてきたけど、俺に下心な期待をしての行動だったらどのみち応えられなかったかも。
「おれの言った通りでしょ? 凪ちゃん」
「だった~! すっごいがっかり~」
凪の陰からひょっこり出てきたかと思えば、凪の味方なのか早太が顔を見せる。というか、いつの間に仲良くなっていたんだ?
ちなみに凪は俺と同じクラスに編入してきた。編入初日に守ってあげたい推しの編入生として音川に紹介されたことで、すぐにクラスに馴染んだ。
夏休み直前の編入だった凪は、心に余裕が出来たみんなとすぐに打ち解けていた。音川の推しというだけですぐに認知されたというのもあるが。
「あはは。で、どう? うちのクラスの男子にいい人はいた?」
「ん~特には。早太くんは? いないの?」
「おれは恋愛的な対象にされたことがないからね。いないよ」
「じゃあ狙っちゃっていいですか?」
「あはは」
……などなど、俺に対する凪の感情はとっくにどこかにいなくなっていた。
「そういや、音川がいないな。それと、木下の奴も……」
鈴菜は相変わらず女子たちに囲まれているから省くとしても、調子のいい木下と口うるさい音川が教室にいないのは珍しい。
「鈍い、鈍すぎるよおにーさん」
「それはないよ、貴俊」
俺が言ってることがよほど間違っているのか、河神はもちろん凪も俺を見る目がやや冷ややかだ。
「……ん?」
何でなのか教えてくれないまま次の休み時間を迎えたので、俺は思い切って音川に近づくことにした。
ちょうど一人になってるし今がその時だ。
「あ~音川。ちょっと訊きたいことがあるんだけど……」
「黒山? え、何?」
……おかしい。いつもならすぐに罵声を発せられるのに、意外に穏やかな反応なんてどうしたんだ。
「推しが鈴菜から凪に変わったのは知ってるけど、凪が教室にいるのに音川は教室にいないよな? どこに行ってんだ?」
本来なら音川を気にする必要はどこにもない。だが、かつては鈴菜を推していた奴だから一応気にすることにはしている。
「別にどこでもないけど。何であんたが私を気にしてるわけ? 気にするなら鈴菜じゃないの?」
「鈴菜はもう気にしなくてもよくなったし、女子たちに囲まれてるから話しかけるのは流石にな」
「はぁ? バッカじゃないの? まさかだけど、キスごときをしたくらいで安心してるとかじゃないよね?」
「なぜそれをお前が?」
……いや、そういや鈴菜って何でも音川に話してた気がするな。そうなると昨日のことをほとんど話してるのでは。
「キスでお互いの気持ちを確かめたのは聞いたけど、それで安心してるんならヘタレ野郎だろ! 付き合うんなら最後までやれよアホ!」
「何でお前にそこまで言われなきゃならないんだよ! そういうお前は――もしかして、木下とそういう関係か?」
「弘くんとはまだそこまでじゃないけど、あんたに関係ないし。とにかく、鈴菜を泣かすとか許さないから! あと、くだらないことで話しかけんなヘタレ!!」
……弘くん?
ああ、そうか。木下の奴、音川と上手くいってるんだな。それにしたって、鈴菜との関係を何であそこまで言われねばならないのか。
女子たちに囲まれてるところに割って入って教室から連れ出せたら何の苦労もないが、そこまでしなくても大体通じ合ってるだろ。
と思いつつ、昼休みになると鈴菜の周りは女子ばかりで俺が近づく隙はまるで生まれなかった。
そんな俺に呆れながら声をかけてくるのは、凪と河神の二人だった。
「凪が引いたのはおにーさんの行動だぞ? いい加減にしろ~!」
「そうそう。凪ちゃんの言う通りだよ。音川にも言われてたみたいだけど、後は素直に動くしかないんじゃないかな? 貴俊が素直に動けば、きっと晴れの日も続くと思うんだ」
「またお告げか? 早太」
「それもあるけど、夏休みに入っても雨ばっかりだったらいつもと同じことしか続かないと思うよ。だからさ、後は貴俊がちゃんと動くだけだと思う」
音川と木下はともかく、何で凪と河神まで一緒になって俺に説教をしてるのか意味が分からないぞ。
「貴俊おにーさん。凪は本当はおにーさんとイチャイチャしたかったんだぞ。だけど、もういいやって思えたんだからおにーさんが何とかするしかないんだぞ。放課後でいいから、動け~!!」
まさか凪に応援されるとは。
でも昨日のことがあるし、夏休みに入る前に伝えるしかないのかもしれないな。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる