さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~

遥風 かずら

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第三章 レンタル道具を指導するおっさん

第23話 ガランド砦の冒険者集団 1

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 侯爵親父ことレグロス侯爵は、聖女アルマはもちろん、俺に対しても洗いざらい話した。

 それによると、そもそも呪われた水門は通りすがりの魔法使いに頼んだ結果によるものだという。

 侯爵自身に備わっているのは鉱山の宝石を使って贅沢三昧……ではなく、その財産を使って用心棒的な冒険者を雇うだけであり、戦う力などは持ち合わせてないらしい。

 まぁ、見た感じですぐに分かることだが。

「……するとなにか、あんたは宝石を報酬として与える代わりに野良の冒険者を雇って守ってもらおうとした……そういうことか?」
「そ、その通りでございます!」

 しかし一部冒険者が報酬に不満を募らせて反旗を翻し、近くの砦に籠って定期的に襲ってくるという。

「砦での冒険者は、勇者アクセルの道具を使って攻撃をしてくるらしいぜ」
「レンタル道具屋だ……」
「ふふ、冗談だよ」

 アルマは素を見せられる俺にあっさりと懐き、やたらと冗談を言い放ってくるようになった。この場にシャンテたちがいたらひがまれそうだが。

「道具を持つ冒険者はどれくらいいるんだ?」

 俺の最弱なサーチスキルは道具の位置こそ掴めるが、冒険者の力の方が強いせいか何の反応も見せなくなった。

 とはいえ、ここにきてレンタル道具を使う冒険者が多く出てきているし、サーチを使わずともすぐに出会えるはずだ。

「か、かなりいる……だからこそ、鉱山に救援を出したのだ。それがまさか聖女と神が来るとは、なんてわしはツイているんだ!! ガハハハッ」

 神じゃないが、この侯爵親父の機嫌がいいならやりやすくなるし、気にしないでおく。

「それではアクセル様。砦へは正門から出てすぐのところにありますわ。けれど、城の地下からも行けるみたいですの。どちらから行かれますか?」
「正面突破だ。道具を使いこなせてない冒険者は脅威じゃないからな」
「かしこまりましたわ。では、侯爵。鉱山へ使いの者を出し、今すぐ水門を修復なさい」
「は、ははー」

 水門破壊は流石にやりすぎたかもしれんが、俺の光りまくる全身に比べればどうってことはない。

「よし。それなら、シャンテたちを連れて砦に向かうぞ」
「お供いたしますわ」
「……よろしく頼む」

 侯爵親父の前では猫を被り続けるらしいな。

 応接間で退屈そうにしていたシャンテたちを連れ、俺は聖女アルマの案内に従ってレグロス城から見えるガランド砦に向かう。

 ガランドという名は侯爵親父によれば、かつて英雄が築いた砦だという話だった。

 英雄が築いたのに今や野良冒険者どもが占拠してるなんて、侯爵親父がいい気になりすぎただけだな。

「アクセルさま。そろそろガランド砦に近づきます。どうされますか?」
「話し合いから始める!」
「ですが、先に攻撃を仕掛けられる可能性もあります」
「その時はその時だ。砦に籠る冒険者ってのは野盗じゃなくて冒険者だろ? 侯爵親父の報酬に不満を持つ冒険者なら、話し合いに応じる奴がいるはずだ」

 レンタル道具を間違って使っている奴が攻撃してきた場合、俺なら対応出来るからな。それ以外の攻撃できた奴に対してはシャンテで問題なく出来るだろうし、クレアの魔法で何とかなる。

「俺はこのままアルマとリミアを連れて砦の中に進む。シャンテとクレアは――」
「お任せを」
「仕方ないわね」

 手荒な真似にならないことを祈るばかりだが――

「――お師匠さま! たくさんたくさんこっちに向かってくるにぁ~!!」

 ……そう簡単ではなさそうだ。

 片手剣を手にした男が三人、両手剣が二人、盾持ちが二人……。あとは杖持ちだから魔法を使う前衛といったところか。

 どうやら話し合う余裕はないとみえる。

「アクセル! 構わず砦に行って!」

 クレアはそう言うが。

「……いや、そうはいかん! 先頭にいる戦士らしき奴の武器を見たか?」

 砦に突入する前に我慢がならないくらい、俺が貸した道具が悲鳴を上げているのが分かった。

 ここにきてようやく俺のレクチャーが発揮出来る時がきたわけだ。

「魔法属性が付加された剣ね。それがどうかしたの?」
「奴が俺たちに向かってくるのは見ての通りだが、まるでなっちゃいない!! 先頭集団の冒険者は俺が全て引き受けるから、クレアとシャンテはその先にいる杖持ちを止めてくれ」
「わ、分かったわ」
「かしこまりました」

 全く、だから店できちんと説明を聞いてから旅に出ろと言ったのに。

「アクセルさまっ!」
「ちょっと、アクセル!! 来てるわよ!」

 クレアとシャンテを説得し、冒険者たちの方に視線を向けると、魔法剣を手にした男が俺に剣を振り下ろしている。

 若干眩しそうにしながら強引に攻撃してくるが、全身の輝きは結構有効だな。

「でぇぇぇい!!」

 ……なってないな。

「駄目だな、その剣はやみくもに振り下ろしたところで相手に傷をつけられるものじゃないんだ! 何も分かってないんだな、お前は!」

 振り下ろされた剣だが、魔法を付与して初めて威力が発揮される剣。俺はその剣を指先で受け止め、すぐに男に使い方を教えることにした。

「いいか? この剣の使い方はな、魔法を剣に当てて使うんだ! お前、魔法は?」
「うぇっ!? レンタル道具屋のおっさん!?」
「魔法を使えずに魔法剣なんか借りたのか? どうなんだ?」
「え、ええと……」

 まさか、一人目でこれなのか?
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