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第三章 彼と彼氏と友達
28.七瀬の元カノとの遭遇
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「……っしょっと。結構重いから、俺が全部持つよ」
「それ、良くない。お菓子の袋はわたしが持つ」
「うん、それじゃあ軽い方は葛西さんに任せるよ」
「任された」
わたしと林崎くんはコンビニで買い出しを済ませ、手分けして袋を持っている。打ち上げ的な何かといっても、教室でやれるのはせいぜいジュースとお菓子を食べることくらい。
だから、大した量と重さでもなかったけれど彼は優しさを見せてきた。それでも、何となく全てを持たすの嫌だった。
「しかし、七瀬もそうだけど葛西さんも少しずつ変わってきたね」
「変化?」
まさか体型じゃないだろうし、そんなこと言わないよね?
「七瀬は俺に比べて他の女子とは距離を置いていたっていうか、葛西さんとだけしか話してなかったんだ。それが、最近は葛西さんの友達の泉さん……だっけ? 彼女とも話すようになってたからいい傾向かなって思ってた。七瀬もそうだけど、葛西さんも少しだけ変わってきたかなって思ってる」
……なんだ、わたしじゃなくてほとんど七瀬の変化だ。
「わたし、背は伸びてないけど……」
「あ、あはは……そういうことじゃなくてね、話すときの言い方とかが何となくだけど、くだけてきた気がするんだよ。そうじゃなきゃ、多分だけど俺と一緒に行動することもしなかっただろうし、こんな普通に話せなかったはずなんだ」
つまり以前よりは社交的になった?
でも、七瀬と話すときでもそんなには変わってないって自分では思ってるし、そんなに感情を出す方でもないから、変わってないとも言えるような気もする。
「お、俺は――」
「うん?」
「もっと葛西さんと話がしたいって思ってるから! だから嬉しいんだ。それが七瀬のおかげだとしても……」
そっか、林崎くんも七瀬のおかげで変わったんだ。
「七瀬のおかげなの?」
「まぁ、うん。そうだね」
七瀬のおかげでわたしは変わったらしい。それを林崎くんは感謝してるらしいけど、だとしても複雑な表情をしている。
表情の意味は分からないけれど、訊いたところで答えてくれないと思うからあえて訊かないことにした。
学校の近くまで差し掛かったところで、こちらに向かって誰かが手を振っている光景に出くわす。
林崎くんに対してなのか分からないけれど、彼も知らない人らしく首を左右に振っている。
わたしたちがそのまま通り過ぎようとすると、
「ちょっ! ちょっと、そこの……えーと、輔の隣にいたライバル! シカトすんな!」
びっくりした。
通り過ぎる途中で大きな声を出すなんて、もしかして知り合い?
わたしの態度が気に障ったのか、見知らぬ人はその場で地団駄を踏みながらわたしに向かって指差しをしている。
「……誰?」
「いや、俺は分からないけど、葛西さんも知らないの?」
「だー!! だから、私だってば。輔の元クラの元カノなんですけど? 覚えてないの? 今カノさん」
早口でまくしたてられても理解が追い付かない。
「元カノって? ただの同級生って七瀬が言ってた本人?」
「あいつの元カノ? へぇ……そうなんだ」
わたしと林崎くんが顔を見合わせながら、自称元カノさんの話を聞くかどうかを悩んでいると、元カノさんは意地でも話をさせようとしているのかその場から動こうとしない。
「――っていうか、七瀬は? そこの彼とはどんな関係? まさか七瀬がいるくせに付き合ってるとかじゃないよね?」
「俺は同じクラスなだけですよ」
「あ、そうなんだ? その割には~……」
元カノは林崎くんを見ながら、まるで馬鹿にしたようにニヤつきながら話しかけている。そんなふざけた態度を見せながら話す元カノに、何となくムカついた。
「元カノって何アピール?」
「はぁぁ!?」
ムカついたわたしは、思いがけず林崎くんのいい所をアピールして、ついでに七瀬の良い所もアピールして追い打ちをかけることにした。
「それ、良くない。お菓子の袋はわたしが持つ」
「うん、それじゃあ軽い方は葛西さんに任せるよ」
「任された」
わたしと林崎くんはコンビニで買い出しを済ませ、手分けして袋を持っている。打ち上げ的な何かといっても、教室でやれるのはせいぜいジュースとお菓子を食べることくらい。
だから、大した量と重さでもなかったけれど彼は優しさを見せてきた。それでも、何となく全てを持たすの嫌だった。
「しかし、七瀬もそうだけど葛西さんも少しずつ変わってきたね」
「変化?」
まさか体型じゃないだろうし、そんなこと言わないよね?
「七瀬は俺に比べて他の女子とは距離を置いていたっていうか、葛西さんとだけしか話してなかったんだ。それが、最近は葛西さんの友達の泉さん……だっけ? 彼女とも話すようになってたからいい傾向かなって思ってた。七瀬もそうだけど、葛西さんも少しだけ変わってきたかなって思ってる」
……なんだ、わたしじゃなくてほとんど七瀬の変化だ。
「わたし、背は伸びてないけど……」
「あ、あはは……そういうことじゃなくてね、話すときの言い方とかが何となくだけど、くだけてきた気がするんだよ。そうじゃなきゃ、多分だけど俺と一緒に行動することもしなかっただろうし、こんな普通に話せなかったはずなんだ」
つまり以前よりは社交的になった?
でも、七瀬と話すときでもそんなには変わってないって自分では思ってるし、そんなに感情を出す方でもないから、変わってないとも言えるような気もする。
「お、俺は――」
「うん?」
「もっと葛西さんと話がしたいって思ってるから! だから嬉しいんだ。それが七瀬のおかげだとしても……」
そっか、林崎くんも七瀬のおかげで変わったんだ。
「七瀬のおかげなの?」
「まぁ、うん。そうだね」
七瀬のおかげでわたしは変わったらしい。それを林崎くんは感謝してるらしいけど、だとしても複雑な表情をしている。
表情の意味は分からないけれど、訊いたところで答えてくれないと思うからあえて訊かないことにした。
学校の近くまで差し掛かったところで、こちらに向かって誰かが手を振っている光景に出くわす。
林崎くんに対してなのか分からないけれど、彼も知らない人らしく首を左右に振っている。
わたしたちがそのまま通り過ぎようとすると、
「ちょっ! ちょっと、そこの……えーと、輔の隣にいたライバル! シカトすんな!」
びっくりした。
通り過ぎる途中で大きな声を出すなんて、もしかして知り合い?
わたしの態度が気に障ったのか、見知らぬ人はその場で地団駄を踏みながらわたしに向かって指差しをしている。
「……誰?」
「いや、俺は分からないけど、葛西さんも知らないの?」
「だー!! だから、私だってば。輔の元クラの元カノなんですけど? 覚えてないの? 今カノさん」
早口でまくしたてられても理解が追い付かない。
「元カノって? ただの同級生って七瀬が言ってた本人?」
「あいつの元カノ? へぇ……そうなんだ」
わたしと林崎くんが顔を見合わせながら、自称元カノさんの話を聞くかどうかを悩んでいると、元カノさんは意地でも話をさせようとしているのかその場から動こうとしない。
「――っていうか、七瀬は? そこの彼とはどんな関係? まさか七瀬がいるくせに付き合ってるとかじゃないよね?」
「俺は同じクラスなだけですよ」
「あ、そうなんだ? その割には~……」
元カノは林崎くんを見ながら、まるで馬鹿にしたようにニヤつきながら話しかけている。そんなふざけた態度を見せながら話す元カノに、何となくムカついた。
「元カノって何アピール?」
「はぁぁ!?」
ムカついたわたしは、思いがけず林崎くんのいい所をアピールして、ついでに七瀬の良い所もアピールして追い打ちをかけることにした。
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