1 / 2
《1話》
しおりを挟む
連日ニュースで猛暑日や熱中症などのワードが飛び交う現実世界からはほど近いのに、その現実世界とはまるで時間の流れが違っているこの場所。外壁から内装まで全て白で統一されたこの病院に今年高校生になった星月楓が来たのはつい3ヶ月前だった。本来なら普通の16歳の少女が病院に来ることもないし、医師から自分の余命を告げられることもまず無い。しかし実際、楓は普通の16歳でありながら医師に余命を告げられた。不治の病として有名なその病気を患わった楓の余命は残り1年ほどというとても短いものだった…。
その後のことはよく覚えていない。医師の口から自分が残り1年しか生きられないと告げられてすぐに状況を理解できる方がおかしい。後から詳しく聞いた病気についての説明はそれほど必要ではなかった。不治の病として有名なその病気は私でさえその名前を知っていたからだ。聞いたことのある病気だったからなのか、その怖さを知っている病気だったからなのか、そのせいか余計に自分の病気に対して恐怖を覚えた。もう絶対に治らない。もう前みたいに友達と遊んだりすることも出来ない。そう思うと悲しくて怖くて、私は自分の運命を憎むことしか出来なかった。何で私だけ余命が1年しかないんだろう。何で私には外の世界で友達と遊ぶことが許されないんだろう。何で私だけ…。そんなどこにもぶつけられない怒りが頭の中でさ迷い、私は疲れきってしまった。私のためにお見舞いにやって来てくれる人達さえ憎らしく思えて仕方がなかった。そんなことを思う自分さえも嫌になり、私は人と関わることを避けるようにした。いつ病気の症状が出るかも分からないため色の無いこの白い病院の中でただひたすらに死を待つだけの毎日を過ごした。中学生の頃に思い描いた華やかな高校生の生活の様子なんて欠片も見当たらない、味気ない毎日だった。
ある日、楓のもとにクラスメイトである葵と海香が来た。それは丁度私が人と関わることを避けるようになった頃だった。葵と海香のことは好きなはずなのに、二人が私のお見舞いに来た時に心の中で迷惑だと思ってしまった。その時に気がついた。私は綺麗な嘘の私で本当の私を隠してるだけだったんだということに。どちらに嫌気がさしたのかは分からない。迷惑な二人に対してなのか、本当の私に対してなのか。どちらにしても私は二人に対して言ってしまったのだ。
「もう来ないで。お世辞なんてもう聞きたくない!!」
言ってから気がついた。でも口から出た言葉はもう戻ってこない。私はただ泣いた。二人の前だとかそういうことはどうでもよかった。本当は泣きたくなんかないのに涙が止まらなかった。二人は何も言わずに私が泣き止むのを待っていてくれた。泣き疲れて気がつくと、いつの間にか辺りは暗くなっていた。外では小夜時雨が静かに降っていた。
その後のことはよく覚えていない。医師の口から自分が残り1年しか生きられないと告げられてすぐに状況を理解できる方がおかしい。後から詳しく聞いた病気についての説明はそれほど必要ではなかった。不治の病として有名なその病気は私でさえその名前を知っていたからだ。聞いたことのある病気だったからなのか、その怖さを知っている病気だったからなのか、そのせいか余計に自分の病気に対して恐怖を覚えた。もう絶対に治らない。もう前みたいに友達と遊んだりすることも出来ない。そう思うと悲しくて怖くて、私は自分の運命を憎むことしか出来なかった。何で私だけ余命が1年しかないんだろう。何で私には外の世界で友達と遊ぶことが許されないんだろう。何で私だけ…。そんなどこにもぶつけられない怒りが頭の中でさ迷い、私は疲れきってしまった。私のためにお見舞いにやって来てくれる人達さえ憎らしく思えて仕方がなかった。そんなことを思う自分さえも嫌になり、私は人と関わることを避けるようにした。いつ病気の症状が出るかも分からないため色の無いこの白い病院の中でただひたすらに死を待つだけの毎日を過ごした。中学生の頃に思い描いた華やかな高校生の生活の様子なんて欠片も見当たらない、味気ない毎日だった。
ある日、楓のもとにクラスメイトである葵と海香が来た。それは丁度私が人と関わることを避けるようになった頃だった。葵と海香のことは好きなはずなのに、二人が私のお見舞いに来た時に心の中で迷惑だと思ってしまった。その時に気がついた。私は綺麗な嘘の私で本当の私を隠してるだけだったんだということに。どちらに嫌気がさしたのかは分からない。迷惑な二人に対してなのか、本当の私に対してなのか。どちらにしても私は二人に対して言ってしまったのだ。
「もう来ないで。お世辞なんてもう聞きたくない!!」
言ってから気がついた。でも口から出た言葉はもう戻ってこない。私はただ泣いた。二人の前だとかそういうことはどうでもよかった。本当は泣きたくなんかないのに涙が止まらなかった。二人は何も言わずに私が泣き止むのを待っていてくれた。泣き疲れて気がつくと、いつの間にか辺りは暗くなっていた。外では小夜時雨が静かに降っていた。
0
あなたにおすすめの小説
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる