無頓着な彼は。

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「げ！兄ちゃん、なんで来たの！」

「別にいいだろ。
な、、、もしかして恭か？」

兄ちゃん？とドアを見るとやっぱり夕先輩がいた。

「夕先輩！こんにちは！」
笑顔で話しかけたが返答がない。

「あれ、あの、、」

「あ、あぁ。いやあまりにも可愛くて、すまない。」
真顔で言われると余計に恥ずかしい。

「そ、そうですか、？
あ！おかえりなさいませ「いいよ兄ちゃんには！俺が案内するよ。」

「聞きたい。」
俺と光でごちゃごちゃ話していると、真剣な顔で夕先輩が言った。

「え？」

「聞かせてくれ。」
そんな真剣な顔で言われると余計に恥ずかしいんだって、、

「お、おかえりなさいませご主人様。
お席にご案内いたします。」

「、、、おう。」
俺と同じくらい照れてる夕先輩を見てさらに恥ずかしくなりながら空いた席へ案内した。
また1番奥の席だ。

注文を取り、他の接客をしているとまた廊下が騒がしくなってきた。
また生徒会の人か風紀の人かな、、？


ドアを見つめていると入ってきたのは、


「王子様！？」

「ふふっ
メイドから俺の姫になってくれないかい？」
俺の手を取りそう微笑むのはどこからどう見ても王子様な透先輩だった。
変わらない優しげな微笑みにほっとするが、言葉がいつもと雰囲気が違って戸惑ってしまう。


「あの、、えっと、、」
 

「ならないから離れて！」
葵が俺を引っ張り離れさせ、

「うちのメイドを困らせないで下さい。」
要が俺と透先輩の間に入る。


「恭が可愛くてつい、困らせてすみません。」
変わらず優しく微笑む透先輩。

「あ、いえ。
それにしてもどうしてその格好なんですか？」

「そっか、恭は知らないんでしたね。
俺のクラス、王子カフェってコンセプトでみんなこんな格好なんですよ。
でも俺なんて、王子って柄ではないですよね。」
憂いを帯びた表情も気品溢れる格好によく似合っている。
いつものメガネがないのでなんだか透先輩ではなく本物の王子様のような感じもする。


「いえ、、すごく似合ってます。
本物の王子様みたいです、、」

「そうですか？
恭にそう言ってもらえるなんて、嬉しいです。
恭のメイドも本物の女の子みたいで可愛いですよ。」
すごく嬉しそうに、それでいて甘い目で見つめられて顔がぶわっと赤くなる。


「あ、あの！こんな所で話してすみません。
お席へご案内いたしますね！」
話を変えたくて、慌てて夕先輩の元へと案内した。


「そういえば、言ってくれないんですか？」
席に座った王子様、、透先輩がそう聞いてきた。

「え？」

「おかえりなさいませってやつです。
俺より先にここに来た人達が恭にそう言ってもらったって自慢してましたから。」

自慢？と引っかかる事はあるが、確かにそそくさと案内してしまったので言っていない気がする。


「おかえりなさいませご主人様。」
座っている透先輩に合わせて、しゃがみ込んで見上げながら言った。


言い終わると同時にばっと顔を背けてしまった透先輩。
口元を抑えながら何やらブツブツ言っている気がする。

心配になる俺を他所にあの透先輩が悶えていたとは知る由もなかった。


その後落ち着いた透先輩から注文を取り、席を離れた。