8 / 10
第7章
ふたりで紡ぐ、新しい暮らし
しおりを挟む
第7章 ふたりで紡ぐ、新しい暮らし
春の終わりを告げるように、
街の空気は少しずつ、初夏の匂いを含み始めていた。
紗月と遥は、肩を並べて歩いていた。
新しく見つけた、小さなアパート。
静かな路地に佇むその建物は、ふたりのこれからを受け入れるように、穏やかにそこにあった。
鍵を開けると、ほのかに新しい木の匂いが鼻先をくすぐった。
まだ何もない部屋。
けれど、窓から差し込む光は、まるでふたりを歓迎するように、床の上に柔らかな模様を描いていた。
「……ここが、ふたりの場所なんだね。」
遥が、ぽつりとつぶやく。
その声には、少しだけ震えるような、けれど確かな喜びが滲んでいた。
紗月は、そっと頷き、遥の手を取った。
「うん。
今日から、ここが──私たちの家。」
遥は、紗月を見上げ、ゆっくりと笑った。
その笑顔が、紗月の胸にふわりと暖かい火を灯した。
部屋にはまだ、何もない。
カーテンも、テーブルも、ふたりの未来も、
これから、少しずつ選んで、少しずつ育てていくのだ。
床に座り込み、ふたりで小さな箱を開ける。
カップや、ノートや、色とりどりのマグネット。
どれも、日々の中で拾い集めた、ささやかな宝物たち。
「このカップ、どっちが使う?」
「好きなほう選んでいいよ。」
「じゃあ、二人で交代にしよう。」
そんな、たわいもない会話が、
少しずつ、部屋の空気をあたためていった。
やがて、夕暮れが訪れる。
窓の外は、茜色に染まり、世界が静かに一日の終わりを告げる。
遥は、そっと紗月の肩に寄りかかった。
紗月もまた、遥の頭をやさしく撫でた。
ふたりで選んだ場所。
ふたりで決めた暮らし。
小さなことに迷ったり、
些細なことで笑い合ったりしながら、
きっと、これからも。
──ふたりで紡ぐ、新しい日々。
「ねえ、紗月。」
「うん?」
「ずっと、ここで一緒にいようね。」
遥のささやかな願いに、
紗月は静かに頷き、優しく遥を抱き寄せた。
夜の帳が降りるなか、
窓の外には、ひとつ、またひとつと、灯りがともりはじめていた。
ふたりの新しい暮らしも、
いま、静かに灯りをともしたのだった。
春の終わりを告げるように、
街の空気は少しずつ、初夏の匂いを含み始めていた。
紗月と遥は、肩を並べて歩いていた。
新しく見つけた、小さなアパート。
静かな路地に佇むその建物は、ふたりのこれからを受け入れるように、穏やかにそこにあった。
鍵を開けると、ほのかに新しい木の匂いが鼻先をくすぐった。
まだ何もない部屋。
けれど、窓から差し込む光は、まるでふたりを歓迎するように、床の上に柔らかな模様を描いていた。
「……ここが、ふたりの場所なんだね。」
遥が、ぽつりとつぶやく。
その声には、少しだけ震えるような、けれど確かな喜びが滲んでいた。
紗月は、そっと頷き、遥の手を取った。
「うん。
今日から、ここが──私たちの家。」
遥は、紗月を見上げ、ゆっくりと笑った。
その笑顔が、紗月の胸にふわりと暖かい火を灯した。
部屋にはまだ、何もない。
カーテンも、テーブルも、ふたりの未来も、
これから、少しずつ選んで、少しずつ育てていくのだ。
床に座り込み、ふたりで小さな箱を開ける。
カップや、ノートや、色とりどりのマグネット。
どれも、日々の中で拾い集めた、ささやかな宝物たち。
「このカップ、どっちが使う?」
「好きなほう選んでいいよ。」
「じゃあ、二人で交代にしよう。」
そんな、たわいもない会話が、
少しずつ、部屋の空気をあたためていった。
やがて、夕暮れが訪れる。
窓の外は、茜色に染まり、世界が静かに一日の終わりを告げる。
遥は、そっと紗月の肩に寄りかかった。
紗月もまた、遥の頭をやさしく撫でた。
ふたりで選んだ場所。
ふたりで決めた暮らし。
小さなことに迷ったり、
些細なことで笑い合ったりしながら、
きっと、これからも。
──ふたりで紡ぐ、新しい日々。
「ねえ、紗月。」
「うん?」
「ずっと、ここで一緒にいようね。」
遥のささやかな願いに、
紗月は静かに頷き、優しく遥を抱き寄せた。
夜の帳が降りるなか、
窓の外には、ひとつ、またひとつと、灯りがともりはじめていた。
ふたりの新しい暮らしも、
いま、静かに灯りをともしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
👨一人用声劇台本「寝落ち通話」
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。
続編「遊園地デート」もあり。
ジャンル:恋愛
所要時間:5分以内
男性一人用の声劇台本になります。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる