聖女は美形獣人たちをトロトロに甘やかすのに本命はぽっちゃりメガネの院長様だけです!

まつめ

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婚約破棄ならして欲しい

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「おまえとは婚約破棄だ! どうだ悲しいか?」
 部屋に入るなり、怒鳴りつけてきた私の婚約者であるらしい王子様を見上げる。

 婚約破棄になるんだ。やっぱり異世界転移したらこの展開がお決まりだよね、でもさあ……

 ろくに掃除も手入れもされない部屋に閉じ込められてから半年になるけど、私ずっとポツンと1人ですよね、婚約破棄ってイベントは豪華なパーティーで貴族様がたくさん見ている前でするもんじゃないのかな。

「どうした? 私と結婚できないんだぞ? 『お願い結婚してください』と泣けば少しは考えてやってもいいぞ」

 蜂蜜色のツヤツヤの金髪に、ブルーサファイヤの澄んだ湖のような瞳がキラキラ輝くギリシャ神話の彫刻のような顔、そりゃあもう見たことのないようなイケメンでいらっしゃるこの王子様は、すごく残念。

 自分が聖女で第二王子の婚約者って、すごい好みの展開なのに、ああ残念。

 私が表情も変えずに黙っていると、悔しそうにイケメン顔が歪む。
 私は元の世界では高校3年生だった、このヘリット第二王子殿下も18歳だと聞いた。だから日本だったら同学年だ。

 学校にこれだけのイケメンがいたらさぞモテただろうにと想像する。私のような平凡な女子の婚約者にいきなりされちゃって、この人も気の毒ではある。でもさあ、もうちょっと優しくてまともな人が婚約者なら良かったのに、イケメンでなくてもいいから。

 婚約破棄だと騒ぎまくり、泣け悲しめと命令してくるけど、私はむしろあなたとの婚約破棄は大歓迎ですよと心でつぶやく。そうしているうちにゲホゲホとヘリット王子が咳き込みだした。

「ゲホッ、父上も……ゲホゲホ……、兄上も……私になにも……させてくれないゴホゴホ、おまえみたいな、つまらない女の婚約者になんて、なりたくないゲホゲホ」

 やれやれと思いながら目の前で膝をついて苦し気に咳をする彼の背中に手をかざす、ホワッと眩い光が手から出てくる。私本当に聖女になったんんだなあと思いながら「どうか彼の苦しさが取り除かれますように」と本気で願う。

「ふん、この程度のことで聖女きどりされてもらっては困る。おまえが治療しなくとも私は平気だったのだ」

 咳が治まってヘリット王子が立ち上がる。私が治療してあげると毎回言うお決まりの台詞を吐いて、嫌そうにこちらを睨んだ。
 
 聖女召喚の儀とやらで、この王国に異世界転移させられた。そしてどうやら聖女の力を私は得たようだった。

 あの日、お母さんの運転する車に乗っていて、正面にセンターラインを越えたトラックが突っ込んでくるのが見えた、恐怖に体が固まって目を閉じた、その瞬間までは日本にいたのだ。でも目を開けたら中世ヨーロッパのお貴族様みたいな服装の人々に取り囲まれて倒れていた。

 体の下には大きな魔法陣のような文様が光を放ってシュウシュウ音をたてていた。
 召喚されたのは私1人で、お母さんの姿はどこにもなかった。

 元の世界に戻りたい、残してきたお母さんをどれだけ悲しませているかと思うと泣き叫びたくなる。
 ここに来て半年が経ち、元の世界に戻る方法もなければこの国の王様は私を返す気がさらさらないことも分かった。どうやら諦めてこの世界で生きていくしかないらしい。

 離婚した後、私を1人で育ててくれたお母さん。看護師の仕事に誇りを持っていた。だからせめてお母さんに恥ずかしくないように、私も人の助けになって生きていこう。そう思っているのだけど……

 だてに異世界転移、異世界転生もののマンガを読み漁っていたわけじゃない。さあ来い悪役令嬢か? 断罪イベントか? 国外追放か? それでも私は聖女としてたくましく働いてこの国の人々を癒すんだ! とかなりやる気だして前向きにこの状況を受け入れているのだけどなあ。

 残念なことに何も起きない。私は召喚されてからただ部屋に閉じ込められているだけ。

 そしてこのヘリット第二王子様が時々やってきて、怒って、咳をして私が治してあげる……ただそれだけの毎日。そして王子が私を馬鹿にするほどに、侍女たちは私の世話に手を抜いていく。

「婚約破棄だというのに、おまえは涙の1つもこぼさない本当につまらない女だな」
 ハリット王子は突然部屋に来て、言いたい事だけ喚いて、私に咳の治療をさせて出ていくのが毎日のお決まりパターンだった。今日はなかなか出て行かず、ぶつぶつ悪態をついている。

 婚約破棄だと言ってくるのも初めてではない、たぶんこの第二王子様は自分で決められることなど無いのだ。父親である王様に言われた通り、聖女の私と婚約して、そして結婚して、そして子供をつくって……

 恐ろしい未来にぞっとする。
 ここから逃げ出したい。

「おまえが私と結婚するには、聖女としての実績が足りない。だから働かせることにした」

 びっくりして彼の顔を食い入るように見て「働けるの?」と大きな声を出してしまった。この半年、なにもなかった閉じ込められた世界に、ついに変化が起きたのだ。

「なんだ、役立たずも聖女として働くことに興味があるのか。だがなあ、おまえみたいなつまらない女に人間は治療させられない。おまえはこれから動物を治療する」

「動物の治療をする? 動物病院で働くの?」

「動物病院なんて変な名前だが、まあそんなところだ。そこで動物の患者を聖女の力で治療しろ、そうして聖女の仕事がまともにできるようになったら、国中に披露目をして私と結婚する」

 結婚の言葉を言うのがよほど不服だったのだろう、ヘリット王子はとてつもなく苦い物を噛んだように、顔をしかめた。

「では早速連れて行く」

 護衛騎士1人を連れて、魔法陣が描かれた狭い部屋に連れていかれた。

 こちらの世界に来て半年間、とまどい泣いて悲しんで、元の世界に帰る希望を失って、落ち込んで……それでも聖女として頑張ろうと決意してからの、何もできなかった月日を振り返る。

 ようし、ついに聖女として働ける! 動物ちゃんたちを治しまくるんだから。

 私はヘリット王子に指示されるままに勇んで進んでいった。人間なにもすることがなく放置されるのが一番苦痛なのだ。どこに行くのか不安よりも興味の方が強かった。この馬鹿王子以外の人に会えるかもしれない。

 護衛騎士と紹介された男性が魔法を使うらしい、彼が詠唱を始めると床の魔法陣が光り出した。
 半年間ため込んだやる気とともに、私は転移魔法で動物病院へと運ばれた。


                 ◇◇◇   ◇◇◇

 私はイケメンが苦手だ。
 すごく整った顔でニコニコして優しくされたら、すごく怖くなる。

 だって父さんがそうだったから。父さんの家系はイケメンぞろいだ、従兄の雄大お兄ちゃんもすごくかっこ良かった。
 高1の時、ある日父と母は離婚することが決まって、あっという間に今まで当たり前だった物が失われた。家も、不自由ない暮らしも、打ち込んでいた吹奏楽部の部活も…… あれ? と気づいたら手の届かない物になったいた。

 狭いアパート暮らしになってお母さんは夜勤までして働いて、私も部活をやめてアルバイトを入れた。

「お父さんには時々会ってもいいのよ」
 お母さんがそう言ったから何度かお父さんに会った。

 すごくニコニコして、優しい言葉を掛けてくれて、咲のことが大好きだよと言ってくれた。
「ねえ、私に悪い所があったら直すからお父さん帰ってきて」

 なんであんな馬鹿なこと言ったんだろう。
「咲に悪い所なんてなんにもないよ。前と変わらずお父さんは咲が大好きだよ」

 それじゃあさ、なんにも悪い所がなくても、私は捨てられちゃうんだね。
 すごく綺麗な顔で優しく笑って、ある日突然バイバイって無くなっちゃう。かっこいい雄大お兄ちゃんもニコニコ優しかった、咲が大好きって言ってた……でもさ……

「おい、目を覚ませ!」
 頬をべしべし叩かれて、ぼんやりする意識のまま目を開けた。目の前に馬鹿王子ヘリットのイケメン顔がある。
 ここはどこだろう? 石で四方を囲われたお墓の中のような不気味な狭い部屋にいる。
「大丈夫ですか?」

 テノールの美しい声がして、気づくと赤毛の騎士様の腕にお姫様抱っこのように抱えられていた。
 さっき、護衛騎士と紹介された若い男性。もう芸能人かハリウッドスターか! て感じのこちらもイケメン様です。もしかしてこの世界にはイケメン男性しか存在しないのだろうか?

 気が付いたんならとっとと歩け。とヘリット王子に怒鳴られて、私は慌てて騎士様から降りると石の階段を上がった。

 なんじゃここは!

 地下室らしき石の部屋を出ると小屋の玄関らしき場所に出て、そこからたぶん動物病院であろう建物の中に入った。
 一歩部屋に足を踏み入れてびっくり。

 ものすごい散らかりよう、本が床から積み上げられ、よく分からない実験用具が使いかけの汚れたまま放置され、服だの使ったままの皿だのがテーブルに積み上げられ、そしてよく分からない魔法陣みたいなのが描かれた紙が、あちこちに投げ捨てられて……

 ほこりまみれで、至る所にクモの巣がはって、それなのになんか観葉植物の鉢があちこちに所に置いてあるから、色んな緑の葉っぱが茂って、ごちゃごちゃの中に緑があふれてるし。

 何ここ、人が生存できる場所なのか!

 おとぎ話に出てくるような、古めかしい木枠の窓を見ると、外には荒れた花壇にまばらに花が咲き、その向こうはうっそうとした森が見えた。どうやらここは森の中のようだ。

 異世界に飛ばされてから外を見る機会はほとんどなかったので興味をもって眺めると、森の様子は日本で見る植物の姿と変わりはない様子だった。

「おい、出てこい。出来損ないの魔法使い。いるんだろう?」

 ヘリットの大声に、玄関にある階段から人が下りてくる気配がした。彼が魔法使いと呼んだ男は、何も言葉を発せずにのっそりと現れた。

「おい聖女。こいつがこの研究院の院長だ。今日からお前はこいつの指示で動物の治療をする」

 この人は……この家の散らかりと同じで、ひどすぎる! なんて不健康そうなんだ!

 伸び放題の腰まである茶色の髪の毛、天然パーマなのだろう広がって絡まってすごい感じで爆発している。
 真っ白い顔には曇ったメガネをかけ、そして口元には茶色い髭がもじゃもじゃ。

 そして太っていてお腹がポッコリ。太い指ががりがり頭をかくとなんか白い粉が舞った。

 絶対に長い事お風呂に入ってない。食生活も乱れまくってる、そして今まで寝てましたというぼんやりした顔、きっと睡眠時間も昼夜逆転か? なんだこの人は、引きこもりのニートさんなのか?

「おい、何か言え」
 ぼーっと立っているもじゃ毛の塊みたいな男に、ヘリット王子が苛々として怒鳴った。

「あーはい殿下、お話しは聞いてます」
 ガサガサした声は低く投げやりだった。

 フンっとヘリット王子は鼻を鳴らして、こんな汚い場所に1秒もいたくないと吐き捨てた。私もそれには同感だった、この汚部屋に居たいとは思えない。

「今日からここに聖女を通わせる。指示された通りに動物の治療をやらせろ。私もここで監督しろと言われたがな、こんな場所にいたら足が腐る。だから護衛だけ置いていくから……」
 そこまでまくし立てると、ヘリット王子は急に黙り込んで、上品に控えている騎士の顔をまじまじと眺めた。

「おまえがこれから毎日ここで聖女と過ごすのか…… 無駄に顔が良いな、聖女がいやらしい考えを起こしてもめんどくさいな……護衛騎士も置くのはやめる。送り迎えだけこいつにやらせよう」

 独り言のようにぶつぶつとヘリット王子が決めたことは、私を恐怖させた。ここに一人で取り残されるの? このホームレスみたいな男の人と二人で?

「あの、一人にしないでください」
「ああ? 1人じゃないだろう、この気味の悪い院長が一緒だ。心配するなこいつは変人で人間に興味は無い。おまえもさすがにこの男には色目をつかうこともないだろう。せいぜい働け」

 ろくに説明もしないまま、ヘリット王子は護衛の騎士を連れさっさと地下室に降りると、転移魔法で帰ってしまった。

              ◇◇◇   ◇◇◇
 
 どうやらここはぐるりと森に囲まれて、人気はなく。そしてこの小屋には院長と呼ばれた男性が1人いるだけのようだった。得体のしれない男性と二人って怖いですって……

「こんにちは、私は田中さきと言います。今日からここで働く聖女です、よろしくお願いします」
 
 どうしていいか分からずに、とりあえず礼儀正しく挨拶をして頭を下げた。

「……アンストートです」
 彼の声は小さくかすれていたのでよく聞き取れなかった。
「ア……トート何ですか?」

 聞き返したものの、男から返事はなかった。度の強そうな丸メガネをくいっと手で持ち上げると、興味なさそうに部屋から出ていこうとする。

「あ、あの……トートさん」
 振り返ったが彼は何も言わない。この人はいったい何歳なのだろう、30歳くらいだろうか。白衣のような服は色んな薬品をこぼした痕で、様々な色に変色して汚い。洗濯もろくにしていないのだろう。

「治療する動物たちはどこにいますか?」
 ヒゲの口元が少し動いて、ふっと笑った。嫌な感じの笑い方だった……まるで見下すような……

「馬鹿ですかあなたは」

 口調は明らかに冷たかった、知らない場所で、初めて会う男性と二人きりにされ、こんな態度をとられたら、もうさすがに怖くて立ちすくんで体を固くするしかなかった。

「あなた異世界から連れてこられたと聞きましたよ。こっちの都合で誘拐されたようなものだ。それなのに、誘拐犯の言うことを聞いて働くつもりなの?」

「でも、怪我した動物たちがいるなら私治してあげたくて……」
 
 彼は頭をガリガリ掻くと、また意地悪く鼻で笑った。
「謝罪も説明もなくいきなり働けなんて命令されたら、僕ならふざけんなって怒りますけど、聖女と言われたら良い気分になって、奴隷みたいに扱われるのも平気になっちゃうのかな?」

 どうぞお好きに……そう冷たく言って彼は2階へ上がってしまい、それきり降りてこなかった。

 自分なりに働くことを楽しみにしていたのに、馬鹿かと言われてしまった。
「それなら私、これから何をして生きていったらいいの?」

 1人汚部屋に取り残された。
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