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聞きたいことがありますよ
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目を覚ますと、ダイニングルーム横の小さな部屋で私はベッドに寝かされていた。すぐに心配そうに見ているトートさんの顔が見えた。
「咲さん気分はどうですか?」
起き上がろうとしたけれど体がひどく疲れていてうまくできなかった。
「まだ横になっていてください。お水もってきますね」
ベッドの横にあるイスに座っていたトートさんはそう言って立ち上がろうとした。
「待ってトートさん、あのさっきのワシ……」言いかけて言葉を変えた。
「あの男の人は無事ですか?」
とても困った表情になって、少し間を開けてからトートさんは答えた。
オオワシの肩は私の治癒で問題なく治ったけれど、衰弱していたので一緒に来た魔法使い達が連れて帰ったこと。そして一緒にダンくんとクマさんも騎士団の方へ帰ったと教えてくれた。
「あのワシの男の人は誰ですか?」
「彼は……バッケル騎士団長です。カルス殿とロー殿の上官です」
「鳥だったのに、人間になった。あの人も騎士……」
私には絶対に聞きたいことがあった。それをトートさんも分かっているはずなのに目を逸らす。
「ダンくんとクマさん、あの子たちは獣人なんですか?」
トートさんは「は?」と間抜けな顔をして首をかしげたまま目をぱちぱちさせた。
「え? あの……咲さんの世界にも獣人っているんですか?」
この答えで私の疑念は確信に変わった。この世界には獣人がいるのだ。それが分った瞬間に、火山の噴火みたいに恥ずかしさがぶわーっと噴きあがった。
え? え? え?
ちょっと待って?
ダンくんって獣人なの? 体小さいから幼い男の子とかそういうことになってくれないかな。
どうする、もし成人男性だったら。
だって、私、会う度に目の上にチューしてたよね……ていうか、ダンくん抱っこした時、私の胸の間に顔をうずめてすりすり……そしてほっぺをペロペロしてきて……
クマさんに私なにしたっけ……お風呂で全身を洗って……あの時下半身も……え? 何した私……
そこまで考えてこれ以上思い出すのを脳が拒否した。
そして、恥ずかしさは一気に怒りに変わった。
「獣人は私の世界にいません!」
キッとトートさんを睨みつけた。
「いませんけどね、私は獣人のでてくる漫画大好きなんで知ってます。ええ知ってますとも!!!」
よくも黙っていたな! ひどいトートさんどうして彼らが獣人だと教えてくれなかったのか!
勢いよく身を起こして、トートさんにこの怒りをぶつけようと思った。それなのに……
ぺしゃりと体が倒れてしまった。どうしよう、疲れて体を起こすこともできない、治癒の力を使い過ぎたのかもしれない。
「咲さん、多分あと1時間くらいで迎えがきます。それまでここで休んでいてください」
王宮からの迎えが来る。その言葉に全身が恐怖で固まった。
「嫌だ帰りたくない、やだ、やだ」
どうしたんですと覗き込んできたトートさんの腕にすがって、袖を握りしめて行かないでと引き留めた。怖くて手が震える。
「どうしよう、どうしよう、私今帰ったら動けない。こんな体じゃ逃げられない。どうしようトートさん。どうしよう」
その後パニックになって、ひたすらどうしようと叫んでトートさんにしがみ付いたのは覚えていたけれど、どれくらい自分が騒いでいたのかは分からなかった。
「咲さん、咲さん」
気が付いたら、トートさんの胸に抱きついていた。彼は私を抱きしめかえしてくれて、片手で頭を撫でて繰り返し名前を呼んでくれる。怖くてたまらないけれど、なんとか気持ちを落ち着かせようとして、息を大きく吸った。
「どうしたの咲さん。何を困っているの?」
優しい問いかけに、トートさんの胸の中で答えた。
「ヘリット殿下が夜中に私の所に来るの……前は帰ってくださいってはっきり言えばすぐ居なくなったのだけど……」
「ヘリット殿下が夜あなたの所へ? 何をしに来るんです」
言いたくない、でもどうしていいか分からない。
「初めはただ顔を見に来るだけだっけど……ヨーゼフ殿下が私を側妃にすると言った日から、彼の態度が変わって……それで……子供をつくるって言うの、そうしたら兄上も諦めるからって……それで」
その先を言おうとしてできなくて、強くトートさんにしがみついた。涙がじわーっと溢れてきて彼の胸がぬれた。
「……何か、されたの?」
それは震えるささやき声だった。
「眠らないようにしてたけど……うとうとしてて……気づいたら体の上にいて……手を抑えられて動けなくて……嫌だーって叫んだら、そしたら飛び跳ねるようにベッドから降りて出て行った。何もされてない。でも、今日はこんなに疲れてて、動けないもの……抵抗できないよ。どうしよう、怖いよ」
トートさんが強く抱きしめてくれるので、今は安心できた。ずっとここにいたい、でもトートさんは助けてくれる? そんなこと彼はしてくれる?
引きはがすように、いきなり体が離れた。
トートさんが睨みつけるような怖い顔をしていた。
離れないで欲しかった。けれど彼は立ち上がって「咲さん」と厳しい声で呼んだ。
返事を待たずに、彼は足早に部屋の扉まで行き振り返った。アフロの天使の可愛い笑顔は消え失せて、殺し屋みたいな顔をしていた。アフロのせいでどこかの組の人みたいな凄みがあった。
「待ってて」
言って部屋を出ていった。
◇◇◇ ◇◇◇
それから30分ほどして、私の元に帰ってきたトートさんは、冷静な顔でとんでもない言葉をするする口から出した。
「この小瓶ですが、スプレー式になっているのでヘリット殿下に吹きかけてください。くれぐれも自分に掛からないように気をつけてください。あなたに掛からないように魔法を組み込みましたが、時間が無いので完璧とはいえません」
「あの……この液がかかるとどうなるんですか?」
「皮膚に付着すると、水分を高速で蒸発させていきます。服の上からでも効果がありますからどんどん吹きかけてください。魔法で酸の働きを高めたので、数秒で表皮を破壊して真皮に到達します」
なんですと? なにこれ塩酸なの硫酸なの、それの効能高めてるの……大やけどなりますよね。
「それからこれは高圧電流を流す装置で……やはり時間がなかったので大きくなってしまいました。でも枕の下に隠すことができると思います。100mAまで質力を上げられますから、遠慮なくあいつの体に放電してやるといい。咲さんには電流は流れないように術式を組んであります」
「あ……あの、質問いいですかね。その100mAってどれくらいの強さなんです?」
トートさんはそんなことは気にするなといったふうで、軽く答えた。
「そうですね、10mAで耐えがたい苦しみを与えられますね」
「え? あのちなみに人間はどれくらいまで耐えられるの?」
「まあ……普通は50mAくらいまでかな」
ちょーっと、ちょっと。100mAの電流したら死ぬってこと。トートさん表情変えずに言うのやめて。
「それからこの玉なんですが、僕はこれが一番使いやすいと思うんです。何かあったらとにかくこれを投げてください。そうしたら空中で炸裂しますから……」
炸裂してどうなるんだ、聞くのが怖い。
「150デシベルを越える爆音が響いてヘリット殿下を攻撃します。これは上手く魔法を組み込むことができましたから咲さんに害はありません」
「あのー、一応聞きますけど、人間が耐えられるデシベルは……」
「90ぐらいで聴覚を失いますね」
だから……150ってとんでもないですから……
「それから、この器具が……」
「いや、トートさん。もうこれ以上はいりません。ありがとうございます。じゃあ私電流の機械を借りてきます。ええと、10mAにセットしてもらって」
トートさんが「いえせめて20mAに」と言って聞かない。冷静な顔をしているから気づかなかったけれど、この人はキレてるんだ。めちゃくちゃ怒ってるんだ。だからって女子高生に殺人させないで欲しいんですけど……
迎えが来た時、私はまともに歩けなかったので、赤毛の騎士さんにお姫様だっこされて帰ることになった。断ったのに、袋にいれた全ての殺人器具をトートさんは私の体に乗せた。
私を抱いているので魔法が出せない騎士さんに代わって、トートさんが転移魔法をかけてくれる。地下室に行きながら、彼はずっとぶつぶつ言っていた。
「どうして今日は来ないんだ。雷か……いや氷結か……壊死させてやれたのに……」
ヘリット殿下のどこを壊死させるつもりなんですトートさん……
「咲さん……」
別れ際のトートさんはとても苦し気で、口の中でほんの小さく何かを言った、それは「ごめん」と聞こえた気がした。
トートさんに付いてきて欲しかった。ベッドの横にいてずっと守っていて欲しいと願った。そして、できることならば、ここから帰りたくなかった。
いくら泣きわめいても、そのどちらも叶わないことは知っていた。
「咲さん気分はどうですか?」
起き上がろうとしたけれど体がひどく疲れていてうまくできなかった。
「まだ横になっていてください。お水もってきますね」
ベッドの横にあるイスに座っていたトートさんはそう言って立ち上がろうとした。
「待ってトートさん、あのさっきのワシ……」言いかけて言葉を変えた。
「あの男の人は無事ですか?」
とても困った表情になって、少し間を開けてからトートさんは答えた。
オオワシの肩は私の治癒で問題なく治ったけれど、衰弱していたので一緒に来た魔法使い達が連れて帰ったこと。そして一緒にダンくんとクマさんも騎士団の方へ帰ったと教えてくれた。
「あのワシの男の人は誰ですか?」
「彼は……バッケル騎士団長です。カルス殿とロー殿の上官です」
「鳥だったのに、人間になった。あの人も騎士……」
私には絶対に聞きたいことがあった。それをトートさんも分かっているはずなのに目を逸らす。
「ダンくんとクマさん、あの子たちは獣人なんですか?」
トートさんは「は?」と間抜けな顔をして首をかしげたまま目をぱちぱちさせた。
「え? あの……咲さんの世界にも獣人っているんですか?」
この答えで私の疑念は確信に変わった。この世界には獣人がいるのだ。それが分った瞬間に、火山の噴火みたいに恥ずかしさがぶわーっと噴きあがった。
え? え? え?
ちょっと待って?
ダンくんって獣人なの? 体小さいから幼い男の子とかそういうことになってくれないかな。
どうする、もし成人男性だったら。
だって、私、会う度に目の上にチューしてたよね……ていうか、ダンくん抱っこした時、私の胸の間に顔をうずめてすりすり……そしてほっぺをペロペロしてきて……
クマさんに私なにしたっけ……お風呂で全身を洗って……あの時下半身も……え? 何した私……
そこまで考えてこれ以上思い出すのを脳が拒否した。
そして、恥ずかしさは一気に怒りに変わった。
「獣人は私の世界にいません!」
キッとトートさんを睨みつけた。
「いませんけどね、私は獣人のでてくる漫画大好きなんで知ってます。ええ知ってますとも!!!」
よくも黙っていたな! ひどいトートさんどうして彼らが獣人だと教えてくれなかったのか!
勢いよく身を起こして、トートさんにこの怒りをぶつけようと思った。それなのに……
ぺしゃりと体が倒れてしまった。どうしよう、疲れて体を起こすこともできない、治癒の力を使い過ぎたのかもしれない。
「咲さん、多分あと1時間くらいで迎えがきます。それまでここで休んでいてください」
王宮からの迎えが来る。その言葉に全身が恐怖で固まった。
「嫌だ帰りたくない、やだ、やだ」
どうしたんですと覗き込んできたトートさんの腕にすがって、袖を握りしめて行かないでと引き留めた。怖くて手が震える。
「どうしよう、どうしよう、私今帰ったら動けない。こんな体じゃ逃げられない。どうしようトートさん。どうしよう」
その後パニックになって、ひたすらどうしようと叫んでトートさんにしがみ付いたのは覚えていたけれど、どれくらい自分が騒いでいたのかは分からなかった。
「咲さん、咲さん」
気が付いたら、トートさんの胸に抱きついていた。彼は私を抱きしめかえしてくれて、片手で頭を撫でて繰り返し名前を呼んでくれる。怖くてたまらないけれど、なんとか気持ちを落ち着かせようとして、息を大きく吸った。
「どうしたの咲さん。何を困っているの?」
優しい問いかけに、トートさんの胸の中で答えた。
「ヘリット殿下が夜中に私の所に来るの……前は帰ってくださいってはっきり言えばすぐ居なくなったのだけど……」
「ヘリット殿下が夜あなたの所へ? 何をしに来るんです」
言いたくない、でもどうしていいか分からない。
「初めはただ顔を見に来るだけだっけど……ヨーゼフ殿下が私を側妃にすると言った日から、彼の態度が変わって……それで……子供をつくるって言うの、そうしたら兄上も諦めるからって……それで」
その先を言おうとしてできなくて、強くトートさんにしがみついた。涙がじわーっと溢れてきて彼の胸がぬれた。
「……何か、されたの?」
それは震えるささやき声だった。
「眠らないようにしてたけど……うとうとしてて……気づいたら体の上にいて……手を抑えられて動けなくて……嫌だーって叫んだら、そしたら飛び跳ねるようにベッドから降りて出て行った。何もされてない。でも、今日はこんなに疲れてて、動けないもの……抵抗できないよ。どうしよう、怖いよ」
トートさんが強く抱きしめてくれるので、今は安心できた。ずっとここにいたい、でもトートさんは助けてくれる? そんなこと彼はしてくれる?
引きはがすように、いきなり体が離れた。
トートさんが睨みつけるような怖い顔をしていた。
離れないで欲しかった。けれど彼は立ち上がって「咲さん」と厳しい声で呼んだ。
返事を待たずに、彼は足早に部屋の扉まで行き振り返った。アフロの天使の可愛い笑顔は消え失せて、殺し屋みたいな顔をしていた。アフロのせいでどこかの組の人みたいな凄みがあった。
「待ってて」
言って部屋を出ていった。
◇◇◇ ◇◇◇
それから30分ほどして、私の元に帰ってきたトートさんは、冷静な顔でとんでもない言葉をするする口から出した。
「この小瓶ですが、スプレー式になっているのでヘリット殿下に吹きかけてください。くれぐれも自分に掛からないように気をつけてください。あなたに掛からないように魔法を組み込みましたが、時間が無いので完璧とはいえません」
「あの……この液がかかるとどうなるんですか?」
「皮膚に付着すると、水分を高速で蒸発させていきます。服の上からでも効果がありますからどんどん吹きかけてください。魔法で酸の働きを高めたので、数秒で表皮を破壊して真皮に到達します」
なんですと? なにこれ塩酸なの硫酸なの、それの効能高めてるの……大やけどなりますよね。
「それからこれは高圧電流を流す装置で……やはり時間がなかったので大きくなってしまいました。でも枕の下に隠すことができると思います。100mAまで質力を上げられますから、遠慮なくあいつの体に放電してやるといい。咲さんには電流は流れないように術式を組んであります」
「あ……あの、質問いいですかね。その100mAってどれくらいの強さなんです?」
トートさんはそんなことは気にするなといったふうで、軽く答えた。
「そうですね、10mAで耐えがたい苦しみを与えられますね」
「え? あのちなみに人間はどれくらいまで耐えられるの?」
「まあ……普通は50mAくらいまでかな」
ちょーっと、ちょっと。100mAの電流したら死ぬってこと。トートさん表情変えずに言うのやめて。
「それからこの玉なんですが、僕はこれが一番使いやすいと思うんです。何かあったらとにかくこれを投げてください。そうしたら空中で炸裂しますから……」
炸裂してどうなるんだ、聞くのが怖い。
「150デシベルを越える爆音が響いてヘリット殿下を攻撃します。これは上手く魔法を組み込むことができましたから咲さんに害はありません」
「あのー、一応聞きますけど、人間が耐えられるデシベルは……」
「90ぐらいで聴覚を失いますね」
だから……150ってとんでもないですから……
「それから、この器具が……」
「いや、トートさん。もうこれ以上はいりません。ありがとうございます。じゃあ私電流の機械を借りてきます。ええと、10mAにセットしてもらって」
トートさんが「いえせめて20mAに」と言って聞かない。冷静な顔をしているから気づかなかったけれど、この人はキレてるんだ。めちゃくちゃ怒ってるんだ。だからって女子高生に殺人させないで欲しいんですけど……
迎えが来た時、私はまともに歩けなかったので、赤毛の騎士さんにお姫様だっこされて帰ることになった。断ったのに、袋にいれた全ての殺人器具をトートさんは私の体に乗せた。
私を抱いているので魔法が出せない騎士さんに代わって、トートさんが転移魔法をかけてくれる。地下室に行きながら、彼はずっとぶつぶつ言っていた。
「どうして今日は来ないんだ。雷か……いや氷結か……壊死させてやれたのに……」
ヘリット殿下のどこを壊死させるつもりなんですトートさん……
「咲さん……」
別れ際のトートさんはとても苦し気で、口の中でほんの小さく何かを言った、それは「ごめん」と聞こえた気がした。
トートさんに付いてきて欲しかった。ベッドの横にいてずっと守っていて欲しいと願った。そして、できることならば、ここから帰りたくなかった。
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