セイバー

森田金太郎

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33話

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◆監視開始
 翌週のとある登校日の放課後、勇は単独で下校していた。シードの入る繭は、愛の方について行ったため、本当に1人での下校だった。すると、視線の先に、芯の姿を見た。芯も1人のようだったが、勇に気づき、近づいてきた。

「芯さん」

 勇の方から芯を呼んだ。芯は、勇をしばらく見つめ、言った。

「相変わらず、君には『死』が視えない」

 芯の苦々しそうな顔が勇の目に映る。勇は返した。

「そうなんだ、芯さん。じゃあ、しばらく戦えるって事だね」
「戦って、君は、彩さんを殺す事になるんだ」
「えっ?」
「彩さんに、『死』が視えるようになった」

 勇は、目を丸くした。

「オレンジに?」
「そうだよ。だから、君が彩さんを殺さないように監視する事にしたよ」

 芯は勇を睨みつけ、言葉を続けた。

「君が色々な手を使ったから、僕と累さんは、『人の盾』をクビになっちゃったんだよね。累さんは、彩さんと充さんの世話っていう仕事があるから、好きな人のそばにいられるけど、僕には仕事がなくなった。アジトの所有者という立場以外はね」
「そう、だったんだ」
「僕は、彩さんを守る。君には、殺させはしない」

◆巡る思考
 勇は、それから帰宅した。芯から告げられた迫るオレンジの死。それが頭の中をぐるぐる回っていた。就寝の為に入った自室にて勇は呟いた。

「そっか、そうだよね?地球を守りきるって事は、バイオレットとオレンジを殺さなきゃいけない」

 勇の頭に浮かぶバイオレットとオレンジの遺体の想像。勇は、動きを止めた。

「違う。僕がしたいのは、守る事。殺す事じゃない。けど、2人を殺さなきゃ、守れない」

 勇は頭の中で、「どうしよう」と続けた。更に、「それに」と言い、再び呟いた。

「プラネットクラッシャーにも、何か事情があるみたいだって事思い出した。いいや?忘れてなかったけど、考えるの、止めてただけだ」

 そう言いながら、ベットに入る。そして、心の中で「ジャイアント・キング・デストロイってどんな人なんだろう?」と言い、しばらく止まらない考えに付き合った後、眠りに就いた。
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