34 / 40
33話
しおりを挟む
◆監視開始
翌週のとある登校日の放課後、勇は単独で下校していた。シードの入る繭は、愛の方について行ったため、本当に1人での下校だった。すると、視線の先に、芯の姿を見た。芯も1人のようだったが、勇に気づき、近づいてきた。
「芯さん」
勇の方から芯を呼んだ。芯は、勇をしばらく見つめ、言った。
「相変わらず、君には『死』が視えない」
芯の苦々しそうな顔が勇の目に映る。勇は返した。
「そうなんだ、芯さん。じゃあ、しばらく戦えるって事だね」
「戦って、君は、彩さんを殺す事になるんだ」
「えっ?」
「彩さんに、『死』が視えるようになった」
勇は、目を丸くした。
「オレンジに?」
「そうだよ。だから、君が彩さんを殺さないように監視する事にしたよ」
芯は勇を睨みつけ、言葉を続けた。
「君が色々な手を使ったから、僕と累さんは、『人の盾』をクビになっちゃったんだよね。累さんは、彩さんと充さんの世話っていう仕事があるから、好きな人のそばにいられるけど、僕には仕事がなくなった。アジトの所有者という立場以外はね」
「そう、だったんだ」
「僕は、彩さんを守る。君には、殺させはしない」
◆巡る思考
勇は、それから帰宅した。芯から告げられた迫るオレンジの死。それが頭の中をぐるぐる回っていた。就寝の為に入った自室にて勇は呟いた。
「そっか、そうだよね?地球を守りきるって事は、バイオレットとオレンジを殺さなきゃいけない」
勇の頭に浮かぶバイオレットとオレンジの遺体の想像。勇は、動きを止めた。
「違う。僕がしたいのは、守る事。殺す事じゃない。けど、2人を殺さなきゃ、守れない」
勇は頭の中で、「どうしよう」と続けた。更に、「それに」と言い、再び呟いた。
「プラネットクラッシャーにも、何か事情があるみたいだって事思い出した。いいや?忘れてなかったけど、考えるの、止めてただけだ」
そう言いながら、ベットに入る。そして、心の中で「ジャイアント・キング・デストロイってどんな人なんだろう?」と言い、しばらく止まらない考えに付き合った後、眠りに就いた。
翌週のとある登校日の放課後、勇は単独で下校していた。シードの入る繭は、愛の方について行ったため、本当に1人での下校だった。すると、視線の先に、芯の姿を見た。芯も1人のようだったが、勇に気づき、近づいてきた。
「芯さん」
勇の方から芯を呼んだ。芯は、勇をしばらく見つめ、言った。
「相変わらず、君には『死』が視えない」
芯の苦々しそうな顔が勇の目に映る。勇は返した。
「そうなんだ、芯さん。じゃあ、しばらく戦えるって事だね」
「戦って、君は、彩さんを殺す事になるんだ」
「えっ?」
「彩さんに、『死』が視えるようになった」
勇は、目を丸くした。
「オレンジに?」
「そうだよ。だから、君が彩さんを殺さないように監視する事にしたよ」
芯は勇を睨みつけ、言葉を続けた。
「君が色々な手を使ったから、僕と累さんは、『人の盾』をクビになっちゃったんだよね。累さんは、彩さんと充さんの世話っていう仕事があるから、好きな人のそばにいられるけど、僕には仕事がなくなった。アジトの所有者という立場以外はね」
「そう、だったんだ」
「僕は、彩さんを守る。君には、殺させはしない」
◆巡る思考
勇は、それから帰宅した。芯から告げられた迫るオレンジの死。それが頭の中をぐるぐる回っていた。就寝の為に入った自室にて勇は呟いた。
「そっか、そうだよね?地球を守りきるって事は、バイオレットとオレンジを殺さなきゃいけない」
勇の頭に浮かぶバイオレットとオレンジの遺体の想像。勇は、動きを止めた。
「違う。僕がしたいのは、守る事。殺す事じゃない。けど、2人を殺さなきゃ、守れない」
勇は頭の中で、「どうしよう」と続けた。更に、「それに」と言い、再び呟いた。
「プラネットクラッシャーにも、何か事情があるみたいだって事思い出した。いいや?忘れてなかったけど、考えるの、止めてただけだ」
そう言いながら、ベットに入る。そして、心の中で「ジャイアント・キング・デストロイってどんな人なんだろう?」と言い、しばらく止まらない考えに付き合った後、眠りに就いた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる