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34甘:海での
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エリザータとランディレイは、後日改めて会い、ミルフォンソの救出計画を立てる事にした。そして、その日を迎えたが、エリザータは上の空であった。
「エリザータ?どうしたんだい?」
ランディレイの心配の声が、エリザータに届いた。
「ああ、王子?なんでしょう?」
「エリザータ、心ここにあらずって感じだね?」
エリザータは、少しのためらいを見せた後、正直な気持ちを吐露した。
「あの、申し訳ありません、夫の事を考えていました」
「僕といるのに。どんな事を考えていたんだい?」
「今、夫はベルカイザ号の上なんですが、そのベルカイザ号、予定通りなら、今頃レトの近くの海峡にさしかかってるんてす」
「レトかい」
わずかに震えるエリザータの手。ランディレイはそれに気づき両手で包んでくれた。
「ありがとうございます、王子」
「不安もわかるよ。ブンボルは、レトとは一切交流を持ってないからね」
レト共和国。ブンボル王国とは国交断絶している国だ。ランディレイは天井を仰ぎながらこう続ける。
「何の因果だろうね。今問題になってるヒュラ一族に扇動されてわが国の民を襲った外国人労働者たちの子孫の国。その目の前を君の夫が通っているんだね?」
「はい。何もないといいんですが」
「僕も、王子として無事を祈るよ。でも、不安な君と、重要な話は出来そうもないね?」
「た、大変申し訳ありません」
「いや?違うよ。謝らないでくれ、エリザータ。話し合いがない分、君といつもの時間を過ごせそうと思ったまでだよ」
「そうですか?」
「うん。君の不安がなくなるまで、僕の傍にいていいよ」
「ありがとうございます、王子」
ランディレイは、エリザータを抱きしめてくれた。
一方、妻に心配されているアルヴェードが乗るベルカイザ号。予定通りにレト共和国の近海にいた。その先に寄港予定の国に行くにはそこを通るしか道はなく、領海侵犯しないよう細心の注意を払って航行していた。
「この処女航海最大の難所だな」
アルヴェードは、自らに宛てがわれた部屋にて独り言を言った。すると、船の減速感がアルヴェードに訪れる。
「何か、あったのか?」
この航海の責任者の1人として、アルヴェードはブリッジへと急いだ。するとアルヴェードの顔を見るなり船長の男性が言った。
「次期総帥。国籍はわかりませんが、海賊船と思われる船数隻に、囲まれました」
「なんだって?やはり、レトか?」
「いえ、おそらく違います」
アルヴェードは、刹那の検討の時間を経て、船長に言った。
「では、この近くの国、どこでもいい、救援を頼もう」
「そんな!もしかしたら、レトが関わるかもしれませんよ?」
「乗客の為だ。背に腹は代えられない。何かあった場合は、私が全責任を取る。通信の全チャンネルを開け!」
船長は、戸惑った。しかし、アルヴェードの強い意思を込めた目を見て、覚悟を決めた。
「わかりました」
そして、通信は開かれた。アルヴェードは言った。
「こちらブンボル王国船籍の客船、ベルカイザ号。海賊船と思われる船数隻に囲まれている。この通信が聞こえているいずれかの国に、救援を頼みたい」
アルヴェードの言葉が終わると、沈黙がブリッジを包んだ。しかし、程なくして返答が来た。ブリッジに落ち着いた女性の声が響いた。
「こちらレト共和国。ベルカイザ号の救援を引き受けます。海軍がそちらに向かっています。お待ちください」
「早期の判断に感謝します」
アルヴェードがそう返すと、ブリッジには、政府高官が来た。そして、レトの名前を聞くと、「国際問題だ」と、アルヴェードを叱責した。アルヴェードは、それに謝罪を速やかにした後、こう続けた。
「乗客の安全の為です。今は、お許しいただきたい。国に帰った際は、どんな責めも負うつもりです」
その一言で、政府高官は黙った。そうしていると、海は一瞬の戦場と化した。レト共和国海軍の船から通信が入る。指揮官と思われる男性が言った。
「ベルカイザ号、わが国の港への避難を勧める」
ベルカイザ号は、その指示に従った。国籍不明の海賊船とレト共和国海軍の交戦は、レト共和国海軍の勝利で終わる。その頃、ベルカイザ号はレト共和国の港に停泊。船長の乗客への接触の後、アルヴェードは乗客に謝罪。
「皆様の安全を第一に考えた措置です。ご理解ください」
船内は、それでも動揺は収まらなかった。アルヴェードは、ベルカイザ号の処女航海失敗を噛み締めた。そして、「どこの国の海賊船だかわからないが、よくもミルーネとの旅を邪魔してくれたな」という個人的な怒りを心の中で爆発させた。その心の中での怒鳴り声が終わると、すぐに公人としての頭に切り替えた。
すると、先ほどの女性の声が再び聞こえた。
「ベルカイザ号に告げます。わが国、レト共和国首相、クルセインがベルカイザ号の責任者との面会を求めています」
アルヴェードは、こう返答した。
「こちらも、救援の感謝を直接伝えたい。上陸許可を」
「特例で代表団の上陸許可を出します」
「では、伺います」
「エリザータ?どうしたんだい?」
ランディレイの心配の声が、エリザータに届いた。
「ああ、王子?なんでしょう?」
「エリザータ、心ここにあらずって感じだね?」
エリザータは、少しのためらいを見せた後、正直な気持ちを吐露した。
「あの、申し訳ありません、夫の事を考えていました」
「僕といるのに。どんな事を考えていたんだい?」
「今、夫はベルカイザ号の上なんですが、そのベルカイザ号、予定通りなら、今頃レトの近くの海峡にさしかかってるんてす」
「レトかい」
わずかに震えるエリザータの手。ランディレイはそれに気づき両手で包んでくれた。
「ありがとうございます、王子」
「不安もわかるよ。ブンボルは、レトとは一切交流を持ってないからね」
レト共和国。ブンボル王国とは国交断絶している国だ。ランディレイは天井を仰ぎながらこう続ける。
「何の因果だろうね。今問題になってるヒュラ一族に扇動されてわが国の民を襲った外国人労働者たちの子孫の国。その目の前を君の夫が通っているんだね?」
「はい。何もないといいんですが」
「僕も、王子として無事を祈るよ。でも、不安な君と、重要な話は出来そうもないね?」
「た、大変申し訳ありません」
「いや?違うよ。謝らないでくれ、エリザータ。話し合いがない分、君といつもの時間を過ごせそうと思ったまでだよ」
「そうですか?」
「うん。君の不安がなくなるまで、僕の傍にいていいよ」
「ありがとうございます、王子」
ランディレイは、エリザータを抱きしめてくれた。
一方、妻に心配されているアルヴェードが乗るベルカイザ号。予定通りにレト共和国の近海にいた。その先に寄港予定の国に行くにはそこを通るしか道はなく、領海侵犯しないよう細心の注意を払って航行していた。
「この処女航海最大の難所だな」
アルヴェードは、自らに宛てがわれた部屋にて独り言を言った。すると、船の減速感がアルヴェードに訪れる。
「何か、あったのか?」
この航海の責任者の1人として、アルヴェードはブリッジへと急いだ。するとアルヴェードの顔を見るなり船長の男性が言った。
「次期総帥。国籍はわかりませんが、海賊船と思われる船数隻に、囲まれました」
「なんだって?やはり、レトか?」
「いえ、おそらく違います」
アルヴェードは、刹那の検討の時間を経て、船長に言った。
「では、この近くの国、どこでもいい、救援を頼もう」
「そんな!もしかしたら、レトが関わるかもしれませんよ?」
「乗客の為だ。背に腹は代えられない。何かあった場合は、私が全責任を取る。通信の全チャンネルを開け!」
船長は、戸惑った。しかし、アルヴェードの強い意思を込めた目を見て、覚悟を決めた。
「わかりました」
そして、通信は開かれた。アルヴェードは言った。
「こちらブンボル王国船籍の客船、ベルカイザ号。海賊船と思われる船数隻に囲まれている。この通信が聞こえているいずれかの国に、救援を頼みたい」
アルヴェードの言葉が終わると、沈黙がブリッジを包んだ。しかし、程なくして返答が来た。ブリッジに落ち着いた女性の声が響いた。
「こちらレト共和国。ベルカイザ号の救援を引き受けます。海軍がそちらに向かっています。お待ちください」
「早期の判断に感謝します」
アルヴェードがそう返すと、ブリッジには、政府高官が来た。そして、レトの名前を聞くと、「国際問題だ」と、アルヴェードを叱責した。アルヴェードは、それに謝罪を速やかにした後、こう続けた。
「乗客の安全の為です。今は、お許しいただきたい。国に帰った際は、どんな責めも負うつもりです」
その一言で、政府高官は黙った。そうしていると、海は一瞬の戦場と化した。レト共和国海軍の船から通信が入る。指揮官と思われる男性が言った。
「ベルカイザ号、わが国の港への避難を勧める」
ベルカイザ号は、その指示に従った。国籍不明の海賊船とレト共和国海軍の交戦は、レト共和国海軍の勝利で終わる。その頃、ベルカイザ号はレト共和国の港に停泊。船長の乗客への接触の後、アルヴェードは乗客に謝罪。
「皆様の安全を第一に考えた措置です。ご理解ください」
船内は、それでも動揺は収まらなかった。アルヴェードは、ベルカイザ号の処女航海失敗を噛み締めた。そして、「どこの国の海賊船だかわからないが、よくもミルーネとの旅を邪魔してくれたな」という個人的な怒りを心の中で爆発させた。その心の中での怒鳴り声が終わると、すぐに公人としての頭に切り替えた。
すると、先ほどの女性の声が再び聞こえた。
「ベルカイザ号に告げます。わが国、レト共和国首相、クルセインがベルカイザ号の責任者との面会を求めています」
アルヴェードは、こう返答した。
「こちらも、救援の感謝を直接伝えたい。上陸許可を」
「特例で代表団の上陸許可を出します」
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