57 / 67
57甘:それぞれへの王宮からの電話
しおりを挟む
それから、おおよそ一週間後のことだった。アルヴェードの元に、王宮から電話がかかってきた。
「謹んで、お受けいたします。身に余る措置に感謝いたします。準備などを滞りなく進めて参ります」
アルヴェードの、驚きに染まった心を抑えた返事が、アルヴェードの執務室に響いた。
一方、別の日。王宮からの電話にミルフォンソは応えていた。
「えっ!ぼ、僕が?」
数日後、ミルフォンソは、エリザータを訪ねていた。エリザータは、穏やかに尋ねた。
「急に、どうされたんですか?」
「僕、王宮で働くことになりました」
「ええっ?」
「その、王子の側近に指名されました」
エリザータは目を丸くした。そして、「王子、なんて人事をしているの?ミルフォンソさんにキャナリーンさんを紹介できないじゃない」と心の中で言った。
「そ、その、王宮に泊まり込みなのでしょうか?」
「いいえ。通いでいいらしいです。きちんと休みもあるそうで」
「なら、よかったです」
胸をなでおろすエリザータ。更に問う。
「ミルフォンソさんも、王子の側近ですか。遠いところに行きますね。それでも、時々私と会っていただけないでしょうか?」
「それは、勿論!」
そして、多少他愛のない話をした後、ミルフォンソは帰宅して行った。
「ミルフォンソさん。王子のところで働くなんて、ミルフォンソさんの心、どうなっちゃうのよ?どうして?王子」
心底心配そうなエリザータの声が、ミルフォンソのいなくなったエリザータ宅の玄関に響いた。
その夜、アルヴェードが帰宅すると、エリザータは、ランディレイが行った人事を伝えた。アルヴェードは、軽く笑う。そして、言った。
「大概にした方がいいぞ?ランディレイ王子。と言いたいところだが、ミルフォンソ自身が気持ちを伝えていないのも悪い」
「何でかしら?ミルーネのお兄さんだから?」
「そんな個人的な物ではないだろう。まあ、これは王子なりの配慮なんだろうな。シュク一族への。エウル一族から被った汚名を晴らしてやりたいとでも思って。このまま行ったら、次期国王の側近は、シュク一族からの出のミルフォンソが務める。最高の汚名返上だ」
「それなら、納得だわ」
「まあ、その後の働きにもよるだろうな。汚名返上をした後、名誉挽回が出来るかは」
「え?」
「これから、ミルフォンソは、王子夫妻の仲睦まじい姿を目の前で何度も何度も見せつけられる生活を送ることになる。変な気を起こして暴動を起こさなければいいがな」
エリザータは、眉間に皺を寄せる。
「心配だわ」
「それを起こさないためにも、お前の寄り添いが必要だろうし、キャナリーンとやらの協力も必要だろう。本腰を入れて、キャナリーンを探してみるか」
「私、頑張るわ。それに、お願いね?」
「謹んで、お受けいたします。身に余る措置に感謝いたします。準備などを滞りなく進めて参ります」
アルヴェードの、驚きに染まった心を抑えた返事が、アルヴェードの執務室に響いた。
一方、別の日。王宮からの電話にミルフォンソは応えていた。
「えっ!ぼ、僕が?」
数日後、ミルフォンソは、エリザータを訪ねていた。エリザータは、穏やかに尋ねた。
「急に、どうされたんですか?」
「僕、王宮で働くことになりました」
「ええっ?」
「その、王子の側近に指名されました」
エリザータは目を丸くした。そして、「王子、なんて人事をしているの?ミルフォンソさんにキャナリーンさんを紹介できないじゃない」と心の中で言った。
「そ、その、王宮に泊まり込みなのでしょうか?」
「いいえ。通いでいいらしいです。きちんと休みもあるそうで」
「なら、よかったです」
胸をなでおろすエリザータ。更に問う。
「ミルフォンソさんも、王子の側近ですか。遠いところに行きますね。それでも、時々私と会っていただけないでしょうか?」
「それは、勿論!」
そして、多少他愛のない話をした後、ミルフォンソは帰宅して行った。
「ミルフォンソさん。王子のところで働くなんて、ミルフォンソさんの心、どうなっちゃうのよ?どうして?王子」
心底心配そうなエリザータの声が、ミルフォンソのいなくなったエリザータ宅の玄関に響いた。
その夜、アルヴェードが帰宅すると、エリザータは、ランディレイが行った人事を伝えた。アルヴェードは、軽く笑う。そして、言った。
「大概にした方がいいぞ?ランディレイ王子。と言いたいところだが、ミルフォンソ自身が気持ちを伝えていないのも悪い」
「何でかしら?ミルーネのお兄さんだから?」
「そんな個人的な物ではないだろう。まあ、これは王子なりの配慮なんだろうな。シュク一族への。エウル一族から被った汚名を晴らしてやりたいとでも思って。このまま行ったら、次期国王の側近は、シュク一族からの出のミルフォンソが務める。最高の汚名返上だ」
「それなら、納得だわ」
「まあ、その後の働きにもよるだろうな。汚名返上をした後、名誉挽回が出来るかは」
「え?」
「これから、ミルフォンソは、王子夫妻の仲睦まじい姿を目の前で何度も何度も見せつけられる生活を送ることになる。変な気を起こして暴動を起こさなければいいがな」
エリザータは、眉間に皺を寄せる。
「心配だわ」
「それを起こさないためにも、お前の寄り添いが必要だろうし、キャナリーンとやらの協力も必要だろう。本腰を入れて、キャナリーンを探してみるか」
「私、頑張るわ。それに、お願いね?」
0
あなたにおすすめの小説
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
離した手の温もり
橘 凛子
恋愛
3年前、未来を誓った君を置いて、私は夢を追いかけた。キャリアを優先した私に、君と会う資格なんてないのかもしれない。それでも、あの日の選択をずっと後悔している。そして今、私はあの場所へ帰ってきた。もう一度、君に会いたい。ただ、ごめんなさいと伝えたい。それだけでいい。それ以上の願いは、もう抱けないから。
偽りの愛の終焉〜サレ妻アイナの冷徹な断罪〜
紅葉山参
恋愛
貧しいけれど、愛と笑顔に満ちた生活。それが、私(アイナ)が夫と築き上げた全てだと思っていた。築40年のボロアパートの一室。安いスーパーの食材。それでも、あの人の「愛してる」の言葉一つで、アイナは満たされていた。
しかし、些細な変化が、穏やかな日々にヒビを入れる。
私の配偶者の帰宅時間が遅くなった。仕事のメールだと誤魔化す、頻繁に確認されるスマートフォン。その違和感の正体が、アイナのすぐそばにいた。
近所に住むシンママのユリエ。彼女の愛らしい笑顔の裏に、私の全てを奪う魔女の顔が隠されていた。夫とユリエの、不貞の証拠を握ったアイナの心は、凍てつく怒りに支配される。
泣き崩れるだけの弱々しい妻は、もういない。
私は、彼と彼女が築いた「偽りの愛」を、社会的な地獄へと突き落とす、冷徹な復讐を誓う。一歩ずつ、緻密に、二人からすべてを奪い尽くす、断罪の物語。
曖昧な距離で愛している
山田森湖
恋愛
結婚4年目のアラサー夫婦、拓海と美咲。仲は悪くないが、ときめきは薄れ、日常は「作業」になっていた。夫には可愛い後輩が現れ、妻は昔の恋人と再会する。揺れる心、すれ違う想い。「恋人に戻りたい」――そう願った二人が辿り着いた答えは、意外なものだった。曖昧で、程よい距離。それが、私たちの愛の形。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜
四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」
度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。
事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。
しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。
楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。
その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。
ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。
その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。
敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。
それから、3年が経ったある日。
日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。
「私は若佐先生の事を何も知らない」
このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。
目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。
❄︎
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる