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第二章
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しおりを挟む真琴先生が亡くなった事で疲弊しているとの状況もあり、少し間をおき十ニ時に再度食堂に集合すると決め、それぞれの部屋に戻る事となった。
現在の時刻は九時三十分。
僕は与えられた部屋のベッドに腰掛け事件の事を考えた。
真琴先生を殺した犯人は誰なのか。
部屋は鍵が掛かっており密室状態であった。どうやって部屋に出入りしたのか。
うまく回らない頭でいろいろと考えてみたが、到底僕に分かる筈もない。
何故こんな事になってしまったのだろうか。
別荘から出る事も出来ず、殺人を犯した犯人がいるこの別荘で、後三日間過ごさなければならないのか。
杏奈や美波ほど表には出さないが、正直僕自身も相当疲弊していた。
僕は身体をベッドに預け、目を閉じる。
もう何も考えたくない、このまま眠ってしまおうか。
そんな事を思っていると、部屋にノック音が響いた。
起き上がりドアを開けるとそこには倫太郎が立っていた。
「海斗に話があってね。一度俺の部屋に来てもらっていいかい」
僕は頷き倫太郎の後を追った。
部屋に入ると倫太郎は丸椅子に座ったので、僕はベッドに腰掛けさせてもらった。
「顔色が良くないね、疲れているところ呼び出してすまない。海斗と話をしておきたくてね。君は今回の事件についてどう思う」
「どう思うと言われましても、今のところは何も分かりません」
「だよね、正直俺もわからない事だらけで参っている。でも俺たちの中に真琴先生を殺害した犯人がいる事だけは確かな事だ。俺は推理サークルの仲間として、その人に罪を償って欲しいと思っている。だから海斗も俺に協力してくれないか」
「協力はしますが、僕が倫太郎さんの力になれるとは思えません」
僕はつい不貞腐れた様に答えてしまう。
「そんな事ないさ。君は俺を助けてくれただろう」
「僕が助け事なんて一度もないですよ、いつも迷惑かけてばかりなんです。僕自身が一番自分が駄目だって事を分かっているんです」
事件の事で頭が一杯で、つい八つ当たりの様に倫太郎に接してしまう。
僕の言葉に倫太郎は寂しそうに笑った。
「海斗のダメなところって例えばどんなところか聞いてもいいかい」
「何をやるのも遅いし、いつも失敗ばかりだし、得意なものなんて何もないし。推理サークルの皆からもよく思われてないだろうし」
自分でも悔しいのか悲しいのかよく分からないが、涙が出て止まらなくなってしまった。
倫太郎はそんな僕にハンカチを渡してくれた。
「海斗が今あげた事に駄目なところは一つも無かったよ。やることが遅い、失敗ばかりと言うけれど俺は海斗が何事にも一生懸命に取り組む姿を見ているし、他の皆もそう思っている筈だよ」
「でも慎二さんはいつも僕にばかり当たりがきついし」
「慎二の事は気にするな。あいつは誰にでもマウントを取りたがる奴なんだ。もしまたあいつに何か言われたら俺が言ってやるから、だから自分だけで溜め込まないで」
倫太郎の優しさに心が温かくなるのを感じた。
それと同時にこんなに泣きじゃくっている自分が恥ずかしくなった。
「すみません、突然泣いてしまって」
「全然だよ、少し落ち着いたみたいで良かった」
涙を拭き僕は一つ決意をする。
「僕も倫太郎さんと同じです。今回の事件は僕達の中に犯人がいる事は間違いないと思います。本当は信じたくないけれど、大切な仲間だからこそ犯人には罪を償って欲しいと思ってます。だから倫太郎さんと一緒にこの事件に向き合います」
僕の言葉に倫太郎は微笑む。
「ありがとう、俺達でこの殺人事件を解決させよう」
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