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第三章
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しおりを挟む朝眠りから目覚め、僕はベッドの上で寝転んでいた。
昨日の夜は眠れないかと思っていたが、その予想は外れ布団に入った後直ぐに眠りについた。
僕は自分で思っている以上に、図太い精神をしているのかもしれない。
この別荘に来てから、今日が三日目となる。
本来であれば今日この別荘から帰る予定だったが、車がパンクしている為動けなくなっている。
慎二が言うには、明日には異変に気づいた烏間家の者が、この別荘に確認に向かって来てくれるだろうとの事だ。
今はそれを信じるしかない。そして、必ず殺人事件の犯人を見つけてなくてはならない。
これ以上罪を重ねさせない為にも。
そんな事を考えていると部屋の扉がドンドンと叩かれる。
ベッドから起き上がり慌てて鍵を開け扉を開くと、全身を黒に包んだ心配そうな表情の倫太郎が立っていた。
「海斗良かった、食堂に居なかったら何かあったのかと心配になった」
壁掛けの時計を確認すると時刻は八時を過ぎていた。
しまった、考え事をしていて時計を見ていなかった。朝食の時間が始まっている。
「すみません、すぐ行きます」
「慌てなくて大丈夫だよ、俺から皆には言っておくから。まず顔を洗っておいで、それとここ」
倫太郎が僕の頭に手を触れる。
「今日も寝癖がついてるよ」
僕は慌てて洗面所へ向かった。
のり子が用意してくれた朝食を食べた後、食堂にて慎二が珈琲を片手に口を開く。
「今日俺らが帰らなければ、明日には俺の家の者が此処に来てくれる筈だ。そこで一つ提案なんだが、今日は皆バラバラに行動しない方がいいと思う。最低でも二人以上で、一人での行動は絶対にしないようにしようぜ。これ以上殺人犯の好きにさせてたまるかよ」
「俺も慎二の意見に賛成だな。今日は全員が食堂で過ごすようにしよう。そこから移動する時は誰かと一緒に行動するように。皆それでいいかい」
倫太郎の言葉に意見を言う者はいなかった。
椅子から立ち上がる者はいない様で、全員がそのまま食堂で過ごすようだ。
僕と倫太郎は一度食堂を出て、倫太郎の自室へと向かう。
ベッドに腰掛け僕はノートを開くと昨夜の杏奈の事件も含め、現在解けていない謎を書き留めていく。
・密室の部屋に出入りした方法
・犯人だけ睡眠薬を回避した方法
・犯人の動機
・左手の傷の意味
「少しずつ事件を整理していこう、まずは真琴先生の事件から。昨日確認をした通り、犯人は日中に睡眠薬を冷蔵庫の飲料水に入れておき、その夜に睡眠薬入りの飲料水で作られたハーブティーで真琴先生含め全員を眠らせて犯行に及んだ」
「用意した美波の話によると、荒井さんが何か飲みたいと言った事がきっかけで全員分のハーブティーを用意したと言っていました。言い出した荒井さんが怪しいでしょうか」
倫太郎はパンツの右ポケットから煙草の箱を取り出し、一本口に咥えるとライターで火をつける。
煙草を一口吸って、紫煙を吐く。
「いや、今回はたまたま荒井が言い出した事を利用しただけで、犯人自ら提案する予定だったかもしれない。全員にその可能性はあると言えるだろう。それと海斗、ノートを一度貸してもらっていいかい」
僕は事件のノートを倫太郎へと渡す。
「一日目の日中の全員の行動を確認した時に、のり子さんが真琴先生の事で自分の口から言えないって言っていた事があっただろう。それが妙に気になってね。この事件を解決に導く為には、真琴先生の事を調べるのも必要だと思うんだ」
「それもそうですね、でものり子さんの立場上あまり答えてくれると思えません」
倫太郎は灰皿に煙草を押し付け火を消すと、
「慎二に聞くんだ。彼は烏間家現当主の息子だから色々な情報を持っている筈だ」
と言って座っていたベッドから立ち上がると扉へと向かった。
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