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#2 出会い
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色々と思考がグルグルと回っている時に「アサノ」と名乗る人物から名前を聞かれた事を思い出した。
“貴方のお名前は何と言うのでしょうか?”と。
『怪しい人に本名を伝えてはいけない』と言う母からの古くの教えを思い出し、咄嗟に考えた仮名を途切れ途切れになりながらも伝えた。
「不死都ふじみや…不死都、雪、だ。」
…まぁ、表札を見られているだろうから、
「仮名だ」と言うのはすぐに分かるのだろうけど。
すると「アサノ」は少し驚いた様な顔をしてからすぐにニッコリとした例の表情に戻った。
「そうですかそうですか、教えて頂きありがとうございます。私の名前は“浅野 獬”と申します。
貴方のお爺様から私の事について何か聞いていませんか?」
…祖父?僕の祖父は僕が4つの時に死んだはずだ。そんな10何年も昔の事を聞くんだ。僕は言葉を選びつつ答えた。
「いえ、僕の祖父は僕が4つの時に亡くなっていますが…何か祖父に用でも?」
すぐに返答は帰ってきた。
「あ、いえ。そうですか、亡くなっていらっしゃいますか…」
そういうと「アサノ」は顎に手を添えて口元を隠すように指を添えた。
「そうか、これは困ったな…」
ん、今何か聞こえたぞ。
「アサノ」は何事もなかったかのように話を続けた。
「では私からお伝え致します。
不死都さん、貴方は貴方のお爺様から、“何も”聞いてないんですね?」
…何を言っているんだコイツは。
第一、僕と祖父がまともに会ったのは七五三の時と僕がまだ赤子だった時しかない。
赤子の時や3つの時に聞いた事を覚えてる人は居るのだろうか?
僕は疑問を残しつつ口を開きかけた。
風が開けたドアから部屋に入ってくる。
冷たい風が頬に当たって寒い。
このまま戸を閉じてしまうのもアレなので僕は
「アサノ」を家にあげることにした。
「いえ、何も…と言うか何か用でも?
と言うか寒いので上がって行かれますか?」
と、不審に思われないように柔らかく微笑みながら言った。
すると「アサノ」はさっきより自然な笑顔で
「すみませんね…では、お言葉に甘えて。」
僕の家は一人暮らしの築20年程のそこそこに古いアパートである。家賃は4万5000円。ワンルームの洋室である。
そこには学生時代から使っているベットと小さな机とクッション2つ、このアパートに住むと決まった時に親が買ってくれたテレビと某地元の掲示板でとある人から譲ってもらった木製のテレビ台が置いてあるごく普通の一人暮らしの部屋である。
他と違う所をあげるなら、クロゼットと押し入れがあると言う変わった造りと、小さな机の上には黒のノートパソコンが置きっぱなしになっている。という所だろうか。
そんなごく普通の部屋に人を招いたのは、もしかしたらコレが初めてだったかも知れない。
だが、そんな事に気も向けずに、僕と「アサノ」は玄関よりは寒さがまだマシな室内に入った。開きっぱなしになっているパソコンをたたんでベットの上に置き、「人を招いたらまずは茶を出せ。あとクッキーだ。皿にそれなりに綺麗に盛り付けて自分と招いた人の中間地点に静かに置け。」と一人暮らしをする時に母親に渡された母直筆の「母式 社会で生き抜く術」と言う謎のノートに書いてあった事を思い出し、「アサノ」に例の机についてもらった。
僕は小さなキッチンに足を運びながら
「アサノさん、紅茶飲めますか?」
と聞いた。
聞き方、コレで合ってるのか分からないが。
すると困ったような表情でこんな言葉が帰ってきた。
「どうもすみませんね…紅茶は飲めますよ。
ここまでしてくださった人は貴方が初めてです。」
これぐらい当たり前だ と教えられてきた僕としては意外過ぎる言葉だった。
この社会はやっぱり腐ってんな、とか思いながら湯とカップの用意をした。
そして紅茶によく合うクッキー等を皿に盛り付け、丁度アサノから遠くもなく取りやすい位置にクッキーの綺麗に乗った皿を置き、皆さんも予想がつくセリフを言った。
「クッキーです。どうぞ。」
その途端にアサノはとても驚いた表情をした。
驚き過ぎてこっちまで動きが固まる程だ。
するとアサノは僕の事を目が開ききった状態で見た。
そしてアサノは小声で言った。
「先生の言っていた通りの人だ…」
…やっぱりこの人は何を言ってるのか分からない。
何を考えているんだ…と考えている内に朝には相応しくない様な湯が高々と沸いた音がした。
僕はすぐに火を止め、ポットに茶葉の入った茶こしをセットして湯を注いだ。
湯気がふわっと舞い上がり、紅茶の良い香りが広がった。ポットの蓋を茶こしに落とし、2分程蒸らす。
蒸らしている間にアサノと話す事にした。
アサノの向かい側に正座する。そして話を切り出した。
「で、僕に伝えないと行けないこととは何でしょうか?」
アサノは待っていましたと言わんばかりに持っていた黒の鞄からタブレットを出すと画面を僕に見せた。
「この絵を見た事はありませんか?」
アサノが画面をスクロールしながら言った。
出てきたのは「恐い」としか言えないような絵だった。
赤い髪の…女性、だろうか。
その人物がこちらに目も口も線で造られたピエロを彷彿とさせる顔を向けにっこりと狂気を感じる笑顔を向けているのだ。
そのまわりには緑、黄色、シアン、赤のペンキの様なものが飛ばされ、背景には燃え盛る炎のようなエフェクトが充満していた。
それを見た時に僕は直感的に「あ、これダメな奴だ」と思った。
そして言った。
「何なんですか、コレ。アウトな奴ですよね?」
アサノは真顔でこう言った。
「まぁアウトですよね。どう考えても。」
じゃあ見せるなよ…そう思って思わず目を細めた。
アサノが言った。
「その反応からして…見た事は無いと。」
僕は即答した。
「ええ。見た事ないです。何なんですかこの気味の悪い絵。」
アサノから補足が入った。
「コレは、私達“殺人用天使”…ヴァイスシアを創った神なんですよ。」
「は?」
思わず言ってしまった。
ヴァイスシアって何だよ。
アニメでもラノベでも聞いた事ねぇよ。
ましてやここ現実だよ現実
アサノが間伐入れずに言った。
「私、浅野獬は、人間では無いんですよ。」
“貴方のお名前は何と言うのでしょうか?”と。
『怪しい人に本名を伝えてはいけない』と言う母からの古くの教えを思い出し、咄嗟に考えた仮名を途切れ途切れになりながらも伝えた。
「不死都ふじみや…不死都、雪、だ。」
…まぁ、表札を見られているだろうから、
「仮名だ」と言うのはすぐに分かるのだろうけど。
すると「アサノ」は少し驚いた様な顔をしてからすぐにニッコリとした例の表情に戻った。
「そうですかそうですか、教えて頂きありがとうございます。私の名前は“浅野 獬”と申します。
貴方のお爺様から私の事について何か聞いていませんか?」
…祖父?僕の祖父は僕が4つの時に死んだはずだ。そんな10何年も昔の事を聞くんだ。僕は言葉を選びつつ答えた。
「いえ、僕の祖父は僕が4つの時に亡くなっていますが…何か祖父に用でも?」
すぐに返答は帰ってきた。
「あ、いえ。そうですか、亡くなっていらっしゃいますか…」
そういうと「アサノ」は顎に手を添えて口元を隠すように指を添えた。
「そうか、これは困ったな…」
ん、今何か聞こえたぞ。
「アサノ」は何事もなかったかのように話を続けた。
「では私からお伝え致します。
不死都さん、貴方は貴方のお爺様から、“何も”聞いてないんですね?」
…何を言っているんだコイツは。
第一、僕と祖父がまともに会ったのは七五三の時と僕がまだ赤子だった時しかない。
赤子の時や3つの時に聞いた事を覚えてる人は居るのだろうか?
僕は疑問を残しつつ口を開きかけた。
風が開けたドアから部屋に入ってくる。
冷たい風が頬に当たって寒い。
このまま戸を閉じてしまうのもアレなので僕は
「アサノ」を家にあげることにした。
「いえ、何も…と言うか何か用でも?
と言うか寒いので上がって行かれますか?」
と、不審に思われないように柔らかく微笑みながら言った。
すると「アサノ」はさっきより自然な笑顔で
「すみませんね…では、お言葉に甘えて。」
僕の家は一人暮らしの築20年程のそこそこに古いアパートである。家賃は4万5000円。ワンルームの洋室である。
そこには学生時代から使っているベットと小さな机とクッション2つ、このアパートに住むと決まった時に親が買ってくれたテレビと某地元の掲示板でとある人から譲ってもらった木製のテレビ台が置いてあるごく普通の一人暮らしの部屋である。
他と違う所をあげるなら、クロゼットと押し入れがあると言う変わった造りと、小さな机の上には黒のノートパソコンが置きっぱなしになっている。という所だろうか。
そんなごく普通の部屋に人を招いたのは、もしかしたらコレが初めてだったかも知れない。
だが、そんな事に気も向けずに、僕と「アサノ」は玄関よりは寒さがまだマシな室内に入った。開きっぱなしになっているパソコンをたたんでベットの上に置き、「人を招いたらまずは茶を出せ。あとクッキーだ。皿にそれなりに綺麗に盛り付けて自分と招いた人の中間地点に静かに置け。」と一人暮らしをする時に母親に渡された母直筆の「母式 社会で生き抜く術」と言う謎のノートに書いてあった事を思い出し、「アサノ」に例の机についてもらった。
僕は小さなキッチンに足を運びながら
「アサノさん、紅茶飲めますか?」
と聞いた。
聞き方、コレで合ってるのか分からないが。
すると困ったような表情でこんな言葉が帰ってきた。
「どうもすみませんね…紅茶は飲めますよ。
ここまでしてくださった人は貴方が初めてです。」
これぐらい当たり前だ と教えられてきた僕としては意外過ぎる言葉だった。
この社会はやっぱり腐ってんな、とか思いながら湯とカップの用意をした。
そして紅茶によく合うクッキー等を皿に盛り付け、丁度アサノから遠くもなく取りやすい位置にクッキーの綺麗に乗った皿を置き、皆さんも予想がつくセリフを言った。
「クッキーです。どうぞ。」
その途端にアサノはとても驚いた表情をした。
驚き過ぎてこっちまで動きが固まる程だ。
するとアサノは僕の事を目が開ききった状態で見た。
そしてアサノは小声で言った。
「先生の言っていた通りの人だ…」
…やっぱりこの人は何を言ってるのか分からない。
何を考えているんだ…と考えている内に朝には相応しくない様な湯が高々と沸いた音がした。
僕はすぐに火を止め、ポットに茶葉の入った茶こしをセットして湯を注いだ。
湯気がふわっと舞い上がり、紅茶の良い香りが広がった。ポットの蓋を茶こしに落とし、2分程蒸らす。
蒸らしている間にアサノと話す事にした。
アサノの向かい側に正座する。そして話を切り出した。
「で、僕に伝えないと行けないこととは何でしょうか?」
アサノは待っていましたと言わんばかりに持っていた黒の鞄からタブレットを出すと画面を僕に見せた。
「この絵を見た事はありませんか?」
アサノが画面をスクロールしながら言った。
出てきたのは「恐い」としか言えないような絵だった。
赤い髪の…女性、だろうか。
その人物がこちらに目も口も線で造られたピエロを彷彿とさせる顔を向けにっこりと狂気を感じる笑顔を向けているのだ。
そのまわりには緑、黄色、シアン、赤のペンキの様なものが飛ばされ、背景には燃え盛る炎のようなエフェクトが充満していた。
それを見た時に僕は直感的に「あ、これダメな奴だ」と思った。
そして言った。
「何なんですか、コレ。アウトな奴ですよね?」
アサノは真顔でこう言った。
「まぁアウトですよね。どう考えても。」
じゃあ見せるなよ…そう思って思わず目を細めた。
アサノが言った。
「その反応からして…見た事は無いと。」
僕は即答した。
「ええ。見た事ないです。何なんですかこの気味の悪い絵。」
アサノから補足が入った。
「コレは、私達“殺人用天使”…ヴァイスシアを創った神なんですよ。」
「は?」
思わず言ってしまった。
ヴァイスシアって何だよ。
アニメでもラノベでも聞いた事ねぇよ。
ましてやここ現実だよ現実
アサノが間伐入れずに言った。
「私、浅野獬は、人間では無いんですよ。」
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