ただ円を書くだけのスキル「コンパス」がこの世界では最強なのだが?

寿司ただかな

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「コンパスってこの世界に

ないんですか?」



勇者である斎藤は気安く

金髪美人に話しかける。

自分がアタリスキルを得た

ことで調子に乗ってるな。



「はい。コンパスなんて

聞いたことがありません」




まぁ、そっか。

別になくても困らないからな。

コンパスって。

元の世界でも学校でしか

使った記憶が無い。




「そのコンパスとは

どのようなものなのですか?」




金髪美人が斎藤に聞く。

ここで、なんと言われるかで

俺の価値が変わるきがする。




「うーん、ほとんど使わない

というか、使えないものですね」




おいおいおい。

円を描くものだろうが!

なにがほとんど使えないだよ!

確かにそうかもしれんけど。





「でっ、ではステータスの合計値

はいくつでしょう?」




金髪美人は悪い空気になったと

感じたのか話を変える。




「あ~、えっと

…………100です」



またクラスメイト爆笑。

いや~、居心地悪いな。




「そっそうですか」



金髪美人がなんとも言えない

申し訳なさそうな表情で

こちらを見てくる。


いや、これは誰も悪くないよ。

しいてゆうならステータス値が

低い俺が悪い。




「あの、俺達って魔王を倒しに

行くんですよね?」




斎藤が何気ないように聞く。




「はい、私達はそうしてほしいと

思っております」




さっきの空気から切り替えられる

と思ったのか、真面目な顔で

金髪美人が答える。




「足手まといはここで

さよならしたほうがいいんじゃ

ないですか?」




…………お?





「たぶん、命がけの戦いですよね?

そのときに弱いやつがいたら

全滅するかもしれません。

それに、どうせ途中で

リタイアするならここで

いなくなったほうが

お互いのためだと思うんです。

なぁ、浩二」




おいおい。

まだなんにも分かってないのに

俺を追放するつもりか?





「それは、あまりにも

早急すぎる判断だと思います」




おっ。

金髪美人がかばってくれるとは。

予想してなかったな。




「あ~、ナタさんは反対ですか」




えっ、金髪美人はナタさんって

名前なの?

なんで知ってるん?



…………あっ。

首にネームプレートかけてる。

ネックレスかと思ってたわ。




「それなら、俺は魔王討伐なんて

しません。弱いやつをかばいながら

戦うなんて冗談でもないですよ」




なんだよ。

実戦経験ゼロのくせに

俺をかばうことは絶対なのかよ。

それに、弱いやつ弱いやつ

うるさいな。

まだ、ステータスしか差が

ないだろうが。




「勇者である俺がぬけても良いなら

浩二をここに置いとけばいいです。

ですが、みんなも浩二より

俺のほうがいいと思ってますよ?」




そう言われたら弱いな。

俺はクラスメイトから

よく思われていない。

だから、きっと




「なんだよ、浩二が

ぬけるだけなら問題ないだろ?」


「だよね~」


「俺もそう思うわ」





次々と、斎藤への賛成の声。


ほとんど満場一致で

俺より斎藤が選ばれた。





「でっ、ですが

理不尽ではないですか?

皆で魔王を倒しましょうよ!」




「理不尽ならそっちですよ。

突然呼び出して戦えなんて。

ありえません」



あっ、それはそうだ、

戦ったことなんて皆ないもんな。





「ですが、浩二を追放するなら

戦いますよ?」





…………俺ってそんなに嫌われてんの?


心当たりはある。

だけど、ここまでされるか?

普通。




「さぁ、どうしますか?」




俺の意思は全く介入の余地がない。

決定権はナタさんが持っている。




「すっすみません。

浩二さん」




あ~、まぁしゃあないよな。

特に驚くこともなく俺は

追放を受け入れたのだった。

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