ボロボロのエルフを拾ったらめちゃくちゃヤンデレになった件、とりあえず一緒に錬金術する?

菊池 快晴

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第18話:魔虫とガクガク

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 冬を超えて春、オストラバ王都では明確な四季を表す言葉はないが、俺はそう呼んでいる。
 それが気に入ったレナセールも、春は過ごしやすいですねと言いはじめた。

 だがフェニックスの尾の情報は相変わらずない。
 錬金術師が公に調べていると、こいつ作れるのか? と噂になるかもしれないので、冒険者ギルドで報告書や依頼書を確認しているだけだが。

 商人ギルトとも信用を重ねていき、今ではすっかりレナセールもミュウリさんと仲良くなっていた。
 だって、ベルク様と個人的に外で会うわけじゃないですもんね、と少しだけ含む言い方をしていたが。

 毎月のお金をもらって待合室。商人ギルドにも冒険者ギルドと同じ依頼書が貼られている。
 初めは片方だけだったらしいが、こんな単純な事だけでも受注が二倍になったらしい。
 
 その時、面白い依頼書を見つけた。

「どうしたんですか? ベルク様」
「いや、割りがよさそうだなと思ってな」

 報酬は金貨1枚。
 とある貴族の台所に現れた魔虫を何とかしてほしいとの依頼だ。

 魔虫とは、春から夏にかけて増えてくるハエのようなぶんぶんと騒ぐ虫のことである。
 人体に害はないが、音が不快なので嫌われている。

 だがあいつらに困っているのは殆どが貴族だ。

 それは魔虫が、別名グルメ虫とも言われることが原因である。

 俺たちが食べているような安パンや食事に目もくれず、貴族が食べる高級肉の匂いを辿っていく。

 噂では、魔虫を退治する為だけに貴族が火魔法使いを護衛として雇っているとも聞いたことがある。

「魔虫は聞いたことがあります」
「俺も見たことがある。確かにうっとおしい音を出す奴らだ」
「でも、貴族様なら魔法使いに頼んで魔除けとかはできないんですか?」
「魔虫は名前だけで、魔力を殆ど持たない。結界は魔力に反応するからな」
「なるほど……もしかして、何かお考えがあるんですか?」
「ああ。俺が住んでた世界では、虫よけスプレーってのがあったんだ。それをこっちの世界で作れるかなと思ってな」
「虫よけですか?」
「正しくは虫の嫌いな匂いを出すんだ。その分効果も続く。鼻が利く魔虫なら効果も望めるだろう」

 だが大きな問題がある。
 それは、レシピが思い浮かばないことだ。

 きっと誰も作ろうとしなかったのだろう。
 錬金術師ってのは、現代に例えるなら東大を合格してから物理学者を目指すくらいの知識が必要だ。
 
 そんなに頑張った人が、魔虫に対して力を入れるとは考えられない。

 だがいくつかの魔除けのレシピはある。
 それを改良すればできるかもしれない。

 それと、もうひとつ。

「このラザーニャ家って貴族は、王都でも有名だ。外国との輸入関係の仕事をしていたはず。ここで恩を売っておけば後々、俺たち・・・の為にもなるかもしれない。とりあえず話だけも聞いてみるか」

 口が堅そうならばフェニックスの尾についても聞けるだろう。
 報酬もいい。金貨1枚で100万はくだらない。

 ふとレナセールに視線を向けると、なぜ恍惚顔で震えていた。

「何かあったのか?」
「いえ、俺たち・・・って言葉が、嬉しくてたまらなく……悶えておりました」

 彼女の言う通り、足がガクガクしていた。

 うんやっぱレナセールは変態だ。
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