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第1話:蒼い瞳をした男性
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「レムリ・アンシード公爵令嬢、君との婚約を破棄させてもらう」
「そんな……」
王室広間に呼び出された後、ノヴェル王太子が私に言いました。
私は、とても複雑な心境でした。
正直、私はノヴェル王太子ことが好きではありません。人生を添い遂げる男性としては考えられないほど最低な人だからです。
それを抜きにしても、これは酷い仕打ちです。
私は、この国のためを思って職務を全うしていたというのに。
「だが安心してくれ。僕の王太子妃はすでに決まってるんだ」
「どういうことでしょ――」
「あら、お姉さま。お久しぶりでございますわ」
扉を開けて現れたのは、私の義理の妹であるエリアスでした。
私の母は、私が幼いころに病でなくなっています。
母の亡くなった数年後、父はさる貴族であるカルニ子爵と再婚。カルニ子爵は私の義妹となる女の子、エリアスを連れてきたのです。
それからというもの、父が変わってしまいました。
父は私のことを疎ましく扱うようになり、エリアスだけを可愛がるようになったのです。もちろん、カルニ子爵もそうです。
私の髪が亡くなった母を彷彿とさせる赤毛であったからでしょう、彼女はその髪色を染めろと、強い口調で、何度も何度も強要してきました。
頑なに拒否したことで諦めてくれましたが、あの時のことを思い出すだけで、今でも身体が震えてしまいます。
エリアスは私と違って長く綺麗な黒髪。端正な顔立ちで、年齢は十五。他貴族の間でも小柄で可愛いと評判です。
対して私は十七歳、そして――素朴な顔。
エリアスは綺麗なドレスを身にまとい、颯爽と私の前を横切っていきます。
「エリアス……どういうことですか、ノヴェル王太子」
私とノヴェル王太子は、幼い頃から結婚が決まっていました。
それには理由があります。
私は生まれながらにして、人を遠くに転移させる魔法を使うことができました。それは同年代の貴族たちと比べても、圧倒的な魔法だったのです。
私自身、少しおそろしく感じてしまっていたほどです。
私の暮らすこのオストラバ王国では、類稀(たぐいまれ)な魔法の才能を持ち合わせていた貴族令嬢は、魔法を次代に残すために王太子と結婚する決まりになっています。
もちろん、授かった子が魔法を習得できるとは限りませんが、上位魔法は遺伝する可能性が高いと立証されています。
そして、私もその運命(さだめ)の一人として生まれ、王太子妃となる予定でした。
幼い頃からそう言われ、王太子妃教育を施されてきたのです
そんなおり、ノヴェル王太子の父でもある、リンクス王はご病気により先日なくなられてしまいました
これを受けて、ノヴェル王太子は正式な王位継承の儀を行うと、彼は王に私が王太子妃となる予定だったのです。
「君の転移魔法は確かに素晴らしい。――いや、素晴らしかった」
「だけど、転移魔法の使えないお姉さまに、価値なんてありませんわ」
そう、私は転移魔法が使えなくなりました。「国民のため、我が国のために頼む」とノヴェル王太子は、何度もその言葉を私に投げかけ、王太子妃なるものとして、戦争で勝利を得るために魔法の使用をお願いしてきました。
休みはほとんど与えられず、転移魔法で何度も兵士を敵地に運びました。
強力な魔法ということもあり負担が重くのしかかってきていましたが、王国のためだと思い頑張ってきたのです。
しかしある日、私は転移魔法が使えなくなりました。
宮廷医に看てもらいましたが、高等魔法の連続使用は相当な負担がかかるとのことでした。
しかし、魔法そのものが使えなくなることは聞いたことがないとのこと。
「僕はずっとエリアスと一緒になりたかったんだよ。この美しい黒い髪、ガラス玉のような瞳、ようやく間近で触れることが出来る。レムリ、君のその小汚い赤髪とは大違いだ。それに君と違い、エリアスの笑顔は心が安らかになる」
「あら、ノヴェル王太子の笑顔には敵いませんわ。お姉さまが転移魔法を授かっていたせいで、私とノヴェル王太子は叶わぬ恋だった。何度も寂しい想いをしていたのよ……運命が私たちを引き裂いていた。だけど――これが真実の愛よ」
そうしてあろうことか、二人は私の目の前で口づけを交わしました。婚前での行為は、オストラバ王国で認められていません。これは、私への当てつけなのです。
私はノヴェル王太子のことを好きではありません。性格がとても残酷で、酷い仕打ちを受けさせられた貴族を大勢知っているからです。それにしても、ここまで性格が悪いとは。
「君と婚約破棄したことはすでに貴族たちは知ってる。ただし、婚前の関係から、君を追い出すことができるのは一週間後だ。その翌日にでも、私は正式な王位継承の儀を行う。最後にこの城の見納めでもしておくといい」
「あら、一週間も猶予があるのですか、レムリお姉さま良かったですわね!」
私は逃げるように王室広間を飛び出しました。エリアスの高笑いが背後で響き渡ります。悔しくてたまりません。
しかし、転移魔法を使えなくなった私の居場所がないのは事実です。
実家に戻ることは許されないでしょう、となると私は――
「どうしてこんな……」
気が付いたら私は涙を流しながら、街中で茫然と立っていました。
転移魔法を王国のために使うようになってからは、自室と魔法室の行き来しか許されていませんでした。
なので、街へ来たのは随分と久しぶりです。
しかしながら、たとえ許されていたとしても私は街へ繰り出そうとは思っていませんでした。
なぜなら――。
「あれ、レムリ公爵令嬢じゃねえか? おっかねえ、血を見るのが好きなんだとよ」
「兵士が嫌がっていても無理やり転移させるらしい」
「ノヴェル王太子は優しくて立派だっていうのに、あんな真逆な相手が王太子妃だとは同情するぜ」
街の人々が、私の姿を見ながらヒソヒソと話しをしています。
私は王国のだと思い頑張っていたのですが、結果として残虐な令嬢として名を馳せてしまっていたのです。
なぜなら、私の転移魔法は戦場においてこの上なく凄まじいものでした。
敵国がどれだけ防御線を張っていたとしても、私には関係ありません。地図さえあれば、私はどこにでも兵士を転移させることが出来たのですから。
しかし、いくら私でも大人数は不可能です。一個小隊、六名ほどが一度で転移できる限界でした。
軍の中でも、私の体調を気遣ってくれる方はいましたが、ノヴェル王太子は私自らやりたいと申し出ろと命令されました。
まだ王太子妃でもない私が、それを断れるはずがありません。
今思えば、毅然とした態度を取るべきでした。
しかし、もう何もかも遅いのです――。
「綺麗……」
街の北の端、そこには今は使われていない展望台があります。老朽化が進んでいて、後日取り壊しされる予定になっていました。
幼い頃、亡くなった母が私をよくここに連れて来てくれていたのです。
私は、最後にこの景色を見たくなりました。
「来世は――幸せになれるかな」
ボロボロの壁に足を掛け、私は柵の上に立って両手を広げました。
空は青く、綺麗な街並みがとても美しいです。少なくとも、私はこの街のために戦っていました。この街は私の誇りです。
なぜなら、転移魔法のおかげでこの国は戦争における損失がほとんどなく、裕福で安全な国として認知されるようになったからです。
報われない人生でしたが、天国にいる母だけ褒めてくれるような気がしていました。
そして、私は飛び降りました。
もの凄い速度で、地面が近づいてきます。
まるで空を飛んでいるみたいで、風が気持ちいい――しかし、私の身体は空中で停止しました。そして、そのまま緩やかに降りていきます
「これは……」
鳥の羽根のように、私はふわふわと地面に着地しました。見たこともないほど強力な光魔法が、身体中に付与されていたのです。
あまりの出来事に、目も口もぽかんと開いてしまいました。
「この国では、美女が降って来るのか」
唖然としている私に手を差し伸べてくれたのは、蒼い瞳をした男性でした。
「そんな……」
王室広間に呼び出された後、ノヴェル王太子が私に言いました。
私は、とても複雑な心境でした。
正直、私はノヴェル王太子ことが好きではありません。人生を添い遂げる男性としては考えられないほど最低な人だからです。
それを抜きにしても、これは酷い仕打ちです。
私は、この国のためを思って職務を全うしていたというのに。
「だが安心してくれ。僕の王太子妃はすでに決まってるんだ」
「どういうことでしょ――」
「あら、お姉さま。お久しぶりでございますわ」
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母の亡くなった数年後、父はさる貴族であるカルニ子爵と再婚。カルニ子爵は私の義妹となる女の子、エリアスを連れてきたのです。
それからというもの、父が変わってしまいました。
父は私のことを疎ましく扱うようになり、エリアスだけを可愛がるようになったのです。もちろん、カルニ子爵もそうです。
私の髪が亡くなった母を彷彿とさせる赤毛であったからでしょう、彼女はその髪色を染めろと、強い口調で、何度も何度も強要してきました。
頑なに拒否したことで諦めてくれましたが、あの時のことを思い出すだけで、今でも身体が震えてしまいます。
エリアスは私と違って長く綺麗な黒髪。端正な顔立ちで、年齢は十五。他貴族の間でも小柄で可愛いと評判です。
対して私は十七歳、そして――素朴な顔。
エリアスは綺麗なドレスを身にまとい、颯爽と私の前を横切っていきます。
「エリアス……どういうことですか、ノヴェル王太子」
私とノヴェル王太子は、幼い頃から結婚が決まっていました。
それには理由があります。
私は生まれながらにして、人を遠くに転移させる魔法を使うことができました。それは同年代の貴族たちと比べても、圧倒的な魔法だったのです。
私自身、少しおそろしく感じてしまっていたほどです。
私の暮らすこのオストラバ王国では、類稀(たぐいまれ)な魔法の才能を持ち合わせていた貴族令嬢は、魔法を次代に残すために王太子と結婚する決まりになっています。
もちろん、授かった子が魔法を習得できるとは限りませんが、上位魔法は遺伝する可能性が高いと立証されています。
そして、私もその運命(さだめ)の一人として生まれ、王太子妃となる予定でした。
幼い頃からそう言われ、王太子妃教育を施されてきたのです
そんなおり、ノヴェル王太子の父でもある、リンクス王はご病気により先日なくなられてしまいました
これを受けて、ノヴェル王太子は正式な王位継承の儀を行うと、彼は王に私が王太子妃となる予定だったのです。
「君の転移魔法は確かに素晴らしい。――いや、素晴らしかった」
「だけど、転移魔法の使えないお姉さまに、価値なんてありませんわ」
そう、私は転移魔法が使えなくなりました。「国民のため、我が国のために頼む」とノヴェル王太子は、何度もその言葉を私に投げかけ、王太子妃なるものとして、戦争で勝利を得るために魔法の使用をお願いしてきました。
休みはほとんど与えられず、転移魔法で何度も兵士を敵地に運びました。
強力な魔法ということもあり負担が重くのしかかってきていましたが、王国のためだと思い頑張ってきたのです。
しかしある日、私は転移魔法が使えなくなりました。
宮廷医に看てもらいましたが、高等魔法の連続使用は相当な負担がかかるとのことでした。
しかし、魔法そのものが使えなくなることは聞いたことがないとのこと。
「僕はずっとエリアスと一緒になりたかったんだよ。この美しい黒い髪、ガラス玉のような瞳、ようやく間近で触れることが出来る。レムリ、君のその小汚い赤髪とは大違いだ。それに君と違い、エリアスの笑顔は心が安らかになる」
「あら、ノヴェル王太子の笑顔には敵いませんわ。お姉さまが転移魔法を授かっていたせいで、私とノヴェル王太子は叶わぬ恋だった。何度も寂しい想いをしていたのよ……運命が私たちを引き裂いていた。だけど――これが真実の愛よ」
そうしてあろうことか、二人は私の目の前で口づけを交わしました。婚前での行為は、オストラバ王国で認められていません。これは、私への当てつけなのです。
私はノヴェル王太子のことを好きではありません。性格がとても残酷で、酷い仕打ちを受けさせられた貴族を大勢知っているからです。それにしても、ここまで性格が悪いとは。
「君と婚約破棄したことはすでに貴族たちは知ってる。ただし、婚前の関係から、君を追い出すことができるのは一週間後だ。その翌日にでも、私は正式な王位継承の儀を行う。最後にこの城の見納めでもしておくといい」
「あら、一週間も猶予があるのですか、レムリお姉さま良かったですわね!」
私は逃げるように王室広間を飛び出しました。エリアスの高笑いが背後で響き渡ります。悔しくてたまりません。
しかし、転移魔法を使えなくなった私の居場所がないのは事実です。
実家に戻ることは許されないでしょう、となると私は――
「どうしてこんな……」
気が付いたら私は涙を流しながら、街中で茫然と立っていました。
転移魔法を王国のために使うようになってからは、自室と魔法室の行き来しか許されていませんでした。
なので、街へ来たのは随分と久しぶりです。
しかしながら、たとえ許されていたとしても私は街へ繰り出そうとは思っていませんでした。
なぜなら――。
「あれ、レムリ公爵令嬢じゃねえか? おっかねえ、血を見るのが好きなんだとよ」
「兵士が嫌がっていても無理やり転移させるらしい」
「ノヴェル王太子は優しくて立派だっていうのに、あんな真逆な相手が王太子妃だとは同情するぜ」
街の人々が、私の姿を見ながらヒソヒソと話しをしています。
私は王国のだと思い頑張っていたのですが、結果として残虐な令嬢として名を馳せてしまっていたのです。
なぜなら、私の転移魔法は戦場においてこの上なく凄まじいものでした。
敵国がどれだけ防御線を張っていたとしても、私には関係ありません。地図さえあれば、私はどこにでも兵士を転移させることが出来たのですから。
しかし、いくら私でも大人数は不可能です。一個小隊、六名ほどが一度で転移できる限界でした。
軍の中でも、私の体調を気遣ってくれる方はいましたが、ノヴェル王太子は私自らやりたいと申し出ろと命令されました。
まだ王太子妃でもない私が、それを断れるはずがありません。
今思えば、毅然とした態度を取るべきでした。
しかし、もう何もかも遅いのです――。
「綺麗……」
街の北の端、そこには今は使われていない展望台があります。老朽化が進んでいて、後日取り壊しされる予定になっていました。
幼い頃、亡くなった母が私をよくここに連れて来てくれていたのです。
私は、最後にこの景色を見たくなりました。
「来世は――幸せになれるかな」
ボロボロの壁に足を掛け、私は柵の上に立って両手を広げました。
空は青く、綺麗な街並みがとても美しいです。少なくとも、私はこの街のために戦っていました。この街は私の誇りです。
なぜなら、転移魔法のおかげでこの国は戦争における損失がほとんどなく、裕福で安全な国として認知されるようになったからです。
報われない人生でしたが、天国にいる母だけ褒めてくれるような気がしていました。
そして、私は飛び降りました。
もの凄い速度で、地面が近づいてきます。
まるで空を飛んでいるみたいで、風が気持ちいい――しかし、私の身体は空中で停止しました。そして、そのまま緩やかに降りていきます
「これは……」
鳥の羽根のように、私はふわふわと地面に着地しました。見たこともないほど強力な光魔法が、身体中に付与されていたのです。
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