やがて最強になる結界師、規格外の魔印を持って生まれたので無双します

菊池 快晴

文字の大きさ
27 / 39

第27話 束の間の休暇

しおりを挟む
「よちよち、クラインクライン」
「ぬおおおクラインクラインン」
「ンが一個多いよ。てか――近いよ!? 父さん・・・母さん・・・

 来週からまた忙しくなるということで、候補生になってから初めての休暇をもらった。
 久しぶりに屋敷に帰ってきたのだが、二人とも俺を物理的に挟み込んで離れない。

 書斎に移動したらメアリーが付いてきて。
 お風呂に移動したらリルドが入ってきて。
 寝ようとしたら、フェアが横でニコニコと子守歌を歌ってくれる。

 至れり尽くせりとはこのこと――いや、違うかも。

「お二人ともずっとクライン様のことを心配していたのですよ。王城に連絡を送ることは、はばかれますから」

 ニコニコ顔のフェアの言う通り、二人は俺のことを愛してくれている。
 それも無条件に。
 
 なんて嬉しいことだろう。
 親と子供ってのは、本当に凄く良い関係だ。

 だからこそ、頑張らないと。

 俺が宮廷結界師になれば家は安泰だ。
 候補生として合格か不合格かの制度があることは、後からメアリーとリルドにも伝えられている。
 そのことは秘匿なので漏らすことはできない。

「おもち、おいで」
「ぐるぅ」

 そしてみんなで抱き合う。
 変な光景だ。でも、幸せなのだ。

 詳しい訓練内容は話せないが――。

「これからも頑張るよ。応援ありがとう」

 そんな変な俺たちを、フェアはずっと嬉しそうに眺めていた。

   ◇

 今まででは考えられないほどゆっくりしていたら、父さんが久しぶりに手合わせしようと声をかけてくれた。
 だが驚いた。

 ――こんなにも強かっただなんて。

「魔結界。――残念だな。また私の勝ちだ」

 互いに動きながら結界を掛け合う。
 一部分でポイント、三ポイントで勝利
 体を覆えばその時点で勝利。

 俺はかなり自信があった。
 だが、リルドの魔結界は形成までがおそろしく早いのだ。

「凄い……俺も頑張ってたのになあ」
「はは、まだまだ父としての威厳は保てそうだ。といいたいところだが、既に私を超えてるよ。見たところ魔力の防御力も上がっている。魔滅ありで対決したら既に勝負にならないだろう。そこにおもちだ。クライン、お前は私の自慢の息子だよ」
「ありがとう。でも、まだだよ。これからも頑張るから」
「……クライン」

 リルドは、俺の頭をよしよしと撫でた。

「いいんだ。頑張ってることは知ってるが、元気でさえいてくれたらいいんだ。それで幸せなんだ。私もメアリーも、フェアもそうだ。だから、無理はするな。楽しめばいい」

 本当に優しい父だ。そこから二人で何度か訓練したあと、おもちと一緒にお風呂に入って、みんなで食事した。

 翌日は、フェアの聞き取り調査があった。

「進展なし……ですか!?」
「え、ええと……あのどうだろう。例えばその、なんだろう。肩を叩きあったりはしたことあるよ」
「手を繋いだことは?」
「魔物と逃げるときに一度だけ」
「二人きりでの夜景は?」
「王城の渡り廊下で一度だけ」
「うーん、それはギリ合格ですね」

 相変わらず手厳しい。
 とはいえ、俺もミリシアと仲良くするのは楽しい。
 これが恋愛かどうかはわからないが、元々恥ずかしがり屋なので、フェアの指導はありがたい。

「ふむ、今日のところはいいでしょう」
「はい師匠!」

 色々と女の子扱いを教えてもらってその日は就寝。
 そんな日々が続いて、すぐに休暇の終わりが来た。

 今日は他候補生との対面だ。
 胸がどきどきする。

 けれども、皆が応援してくれる。

「クライン、手紙はもっとちょうだいね」
「今度王都で仕事がある。そのとき会いに行く」
「クライン様、押しですよ、押し!」
「ありがとうみんな。――いこうおもち」
「ぐるぅ」

 ミリシアやルージュも同じ時間を過ごしているだろう。
 気合も入っているに違いない。

 他も三人組と聞いている。
 試験もあるらしい。

 どんな風になるのか楽しみだ。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます

エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】 「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」 そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。 彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。 傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。 「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」 釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。 魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。 やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。 「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」 これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー! (※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)

追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。 絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」! 畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。 はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。 これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...