やがて最強になる結界師、規格外の魔印を持って生まれたので無双します

菊池 快晴

文字の大きさ
37 / 39

第37話 最後の休暇と最後の試練

しおりを挟む
「クラインんんんんんん、聞いたぞ、ワイバーンを討伐したなんて凄い凄いぞおおお」
「本当に凄い、凄いわあああああ」
「お、落ち着いて!?」

 帰宅後、いつものように両親サンドイッチ。
 幼い頃の記憶だと、メアリーはもっと落ち着いていた気がする。

 だが愛されているのは変わらない。

 もちろん、フェアも傍にいる。

「二人ともずっと心配で王都へ行きたがっていましたよ。でも、身重の体だったので……」
「え? 身重って……え!?」

 フェアがハッと口を滑らしたという表情をした。
 すると、リルドが笑う。

「気にするな。クラインきづかないか? ほら、大きくなってきているだろう」
「ええええ!?」

 リルドがメアリーのお腹に手を添える。

「クライン、触ってみて」

 ゆっくりとお腹に触れる。確かに丸く、大きくなっていた。
 張っている、とわかる。

「……すごい」
「あなたもここにいたのよ。それと、性別はもうわかってるの」
「え、そ、そうなの!?」

 家族が増えるなんて想像もしていなかった。

 でも、凄く嬉しい。

 すごく、すごく幸せな気持ちだ。

「聞いたか、おもち」
「ぐるぅ!」

 おもちも、頭をお腹にこすりこすり。

「それで、性別は?」
「ふふふ、どっちだと思う?」
「ええと……男の子?」

 メアリーが、嬉しそうに首を横に振る。

「女の子よ。クラインはお兄ちゃんになるの。仲良くしてあげてね」
「妹……俺が、お兄ちゃん」
「そうだ。クライン、ちゃんと妹を守るんだぞ。おもちも守ってあげてくれ」
「……わかった。絶対守る」
「ぐるぅ」

 本当に嬉しい。嬉しすぎて、気づいたら涙がこぼれていた。
 理由はよくわからない。でも、幸せだったのだ。

 フェアが、そっとハンカチで涙を拭いてくれる。

「幸せなことですね。フェアは嬉しいです」
「フェアも家族だ。みんなで幸せになりたい」

 俺の願いで、フェアはにっこり微笑んでくれた。

 それからみんなでご飯を食べた。
 寮での生活、大規模侵攻での授与式について、仲間のことを話しながら。

「リルドも候補生に選ばれたのに、辞退したのよねえ」
「え、そうなの!? 父さんが?」
「昔の話だ。私の場合はお前よりも随分と遅かったがな」
「どうして辞退したの?」
「この付近は今よりもっと魔物が多くてな。後は仕事の関係だ。だが、私の見られなかった話しを教えてもらえるのは楽しいぞクライン」

 それですべてが繋がった。リルドが強い理由が。
 まだまだ知らないことはたくさんある。
 これからももっと家族と一緒にいたい。

 もちろん、仲間たちとも。

「父さん、夜手合わせしよ!」
「今日か? もう遅いぞ」
「うん!」
「はは、いいだろう。それに、いつから父さんになったんだ?」
「え? あ、たしかに……で、でも――」
「お兄ちゃんになるもんねえ」
「うん! そういえば、名前は決まってるの?」
「まだよ。どうしようかしらねえ」
「みんなで考えよう。大事な名前だからな」

 おもちの響きが可愛いので、だいふくはどうかと頼んだが、却下された。
 俺にネーミングセンスはないらしい。

 それから毎日を幸せに過ごした。

 もちろん、フェア師匠とも話し合った。

「ほほう、ミリシアさんだけじゃなくプラタさん……それにアクリルさん、エウリさん……ああ! 何ということ! 流石クライン様! おモテモテですわ!」
「いや、そういうわけじゃ……でも、プラタには好きだって言われたかも」
「え? 好き!? ど、どういうことですか!?」
「え、ええーと!?」

 色々と話すのも大変だったが、何とかうまく話した。

 俺の気持ちは正直まだわからない。
 ミリシアの事が気になっているが、仲間としてかもしれない。

 すぐに休暇が終わり、最後の日、皆でまた見送ってくれた。

 名前を決めるのは、まだもう少しかかる。

「頑張れよ。次は合否が決まった後だな」
「頑張るよ父さん」
「私は心配していないわ。クラインはきっと大丈夫だから」
「ありがとう母さん、そうだといいけど」
「クライン様、ガッツガッツです!」
「ど、どういうこと?」

 その後、ルージュとミリシアと合流した。
 以前と変わらないやり取り、だけどどこがぎこちない。
 
 その理由は、最終試験がすぐだからだ。

「けど実は俺、あんま気にしてないんだ。だって、俺が落ちるってことはクラインもだろ? なら仕方ねえって思える」
「……確かに、ルージュの言う通りかも。今肩の荷がスっと下りたわ」
「え、ど、どういうこと?」
「お前、自分の凄さは相変わらずわかってないよなあ」
「本当に。例え合格しても、おんぶに抱っこにならないよう気を付けなきゃね」
「……ん、んー?」

 寮に戻った後は、またいつも通りだった。
 個別での訓練、合同訓練。

 毎日戦って、考えて、寝て、食べての繰り返し。

 そして、最後の試験がやってきた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます

エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】 「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」 そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。 彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。 傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。 「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」 釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。 魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。 やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。 「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」 これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー! (※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)

追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。 絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」! 畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。 はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。 これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...